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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編2年生
74/123

祝いの日

結婚式を機に皆んなが前に進んでいきます。

もうすっかり春になり、温かい日差しが朝を包む。

今日は聡兄様と花央さんの結婚式だ。


いつものようにリビングに行くと、髪を固めてピッシリとしたスーツを着ている聡兄様が居た。


「おはよう、美乃梨。」


「おはよう、聡兄様。その服似合ってるわ。いつもより更にかっこいいもの。」


「そうかな?あまり着慣れてないから自信無いんだけどな。」


「自信持って!本当に似合ってるから。」


すると扉が開き、お父様とお母様、そして聡兄様の御父様(匠さん)と御母様がやって来た。


「あの聡が結婚なんてな。時が経つのは早い。」


「聡、似合っているわね。」


「久しぶりだな、聡。」


「大きくなったわね。」


「養父上、養母上、父さん、母さん。これまで僕のことを支えてくれて、ありがとうございました。」


聡兄様の言葉に、涙脆いお父様と匠さんは涙を流していた。お母様と聡兄様の御母様は穏やかに微笑んでいた。


「聡兄様、花央さんは?」


「離れの部屋に居るよ。」


私は花央さんの元へと向かった。

軽くノックをすると中から扉を開けてくれた。


「いらっしゃい、美乃梨ちゃん。」


「おはようございます、麗華さん。」


そして部屋の奥に進むと、美しく着飾れた花央さんが居た。


「花央さん、とても綺麗です。」


「ありがとうございます、美乃梨さん。」


少し話しているとノックの音が響いた。

来たのは、千夏さんだった。


「花央、綺麗ね。凄く似合っているわ。」


「ありがとう。千夏も後2ヶ月後ね。楽しみだわ。」


「そうね。でも私はこれから始まる花央の結婚式の方が楽しみだわ。」


「そういえば花央、聡くんの事は好きになったの?」


麗華さんがそう聞いた。千夏さんも気になっていたようで花央さんに注目した。


「ええ。好きよ。これが恋愛感情かどうかは分からないけれど聡さんは年下なのに頼り甲斐があるから、とても格好良くて素敵だわ。」


その時、ガタッと扉の外から音が聞こえた。

もしかしなくても今、噂になっていた人物だという事が全員に分かった。


「花央のご両親が来たから伝えに来ようと思って。ごめん、立ち聞きするつもりは無かったんだけど、聞こえた。」


少し顔を逸らして口元を手で覆いながらそう言う聡兄様は、誰がどう見ても恋をしている顔だった。

対する花央さんを見てみると……

耳まで赤く染まっていた。


「あら、恋愛感情かどうか分からないんじゃなかったかしら?」


「もう答えは出ているようね。」


「聡兄様、花央さん凄く綺麗でしょう?」


「あ、ああ。……綺麗だよ、花央。」


「えっと、ありがとうございます、聡さん。」


2人のやり取りを見ていると、見ているこちらが恥ずかしくなりそうだった。すると、麗華さんが、


『美乃梨ちゃん、ここは2人にさせてあげましょ。』


と言ったので、静かに部屋を後にした。

リビングに向かうと、真那さんと那央さんと央椛さんが居た。


「麗華、花央はどうした?」


「……叔父様、今は邪魔しちゃダメですよ。」


「麗華、それは聡さんと仲良くしているという事かしら?」


「そうね。花央の事は心配要りません。随分と初々しかったですよ。」


すると那央さんが言った。


「自分の友達と姉上が結婚とは、少し複雑だな。」


「聡くんから惚気を聞かされるんじゃない?」


「それは嫌だ。姉上との惚気なんて幾ら何でも気まず過ぎるだろ。」


「まあまあ、そう言わず。というかそんな事より皆んな、結婚祝いは贈った?」


麗華さんの質問に、真那さんと央椛さんと千夏さんは頷いた。


「私は慧星くんと選んだので、今日一緒に渡そうと思っています。」


「慧星くん?」


「私の幼馴染です。魔法使いの事も知っているので昔から色々私を助けてくれていたんです。そろそろ来ると思いますけど……」


丁度その時、貴翠が来た。


「美乃梨様。飛鷹さんと向日葵さんと茉莉花さんと慧星さんがいらっしゃいました。」


「迎えに行くわ。」


「いえ、もうこちらに居らしています。」


貴翠が後ろを向くと、京翠と一緒に茉莉花ちゃんと慧星くんが立っていた。


「美乃梨お姉様!お久しぶりです!」


「美乃梨、3日振りだな。」


「茉莉花ちゃん、久しぶり。2人とも紹介するね。」


そして皆んなに2人の事を紹介した。


「飛鷹さん達は?」


「薫さん達に挨拶に行ってるぞ。柏木は今日はプライベートだから知り合いと会ってるみたいだけどな。」


「そうなんだ。私はそろそろ千秋達が来ると思うからお出迎えに行くけど……2人はどうする?」


「俺も行く。」


「私は煌達の所に行きますわ。」


そして私は慧星くんと京翠と一緒に千秋達のお出迎えに行った。3人揃って来たそうだ。


「いらっしゃい、3人とも。」


「久しぶりだな。俺の事覚えてるか?」


すると景くんが答えた。


「はい。慧星さんですよね?美乃梨ちゃんと凄く仲が良いようだったので印象に残っています。」


「ああ。美乃梨とは殆ど兄妹みたいなものだ。この間も一緒にショッピングモールに行ったしな?」


「うん。煌達よりも仲が良いかもしれないわね。」


すると真央くんが慧星くんを連れて少し離れた所に行って何かを話しているようだった。


 『慧星さん。美乃梨と随分仲が良いようですけど、美乃梨の事を好きとかでは無いですよね?』


『美乃梨の事は普通に好きだぞ?茉莉花と同じくらいにな。』


『そうですか。……はあ、良かった。』


『美乃梨の事好きなんだろ?俺は美乃梨の味方だから応援は美乃梨次第だが、まあ頑張れよ。』


そして皆んなを控え室に案内した。

聡兄様と花央さんも今はリビングに居るそうなので結婚祝いのプレゼントを持って渡しに行った。


「聡兄様、花央さん。ご結婚おめでとうございます。これは私と慧星くんからの結婚祝いです。」


「ありがとう、美乃梨、慧星くん。」


「ありがとうございます。開けても良いですか?」


「はい。」


「食器のセットだ。凄く使いやすそう。」


「こちらはキーケースとタンブラーですね。」


「花央さんの趣味がドライブだと聞いて……」


「そうなんです!聡さんとも何度か行っていて、ペアのタンブラーなんですね。大切に使いますね。」


2人とも気に入ってくれているようで写真を撮っていた。


「慧星さんもありがとうございます。美乃梨さんと選んで下さったんですよね?」


「はい。美乃梨はどれを選んだらお2人が喜んでくれるかと一生懸命悩んでいたので、お気に召されたようで何よりです。」


「はい。とても気に入りました。」


そして私達は先に式場となるホールに向かった。

私の隣の席は慧星くんで、後ろの席に貴翠と京翠が座っている。会場にはゾロゾロと招待された人達が入って来た。聡兄様も花央さんも本家の人なので参加者はそれなりに多い。


花央さんと聡兄様が手を取りながら入場して来た。


「花央さん、本当に綺麗。」


「そうだな。美乃梨もきっと似合うぞ。美乃梨の結婚式では俺が司会をしてやろうか?」


「気が早過ぎるわ。でも、私が結婚する時に慧星くんが覚えていたら頼もうかしら?」


「忘れるわけないだろ。」


そして式が終わり、披露宴へと移った。

お色直しをした花央さんは先程の優しくおっとりした雰囲気とは違い、キリッと大人っぽい雰囲気だった。


披露宴では、紅音くんが司会を。新郎の友人代表として、龍人さんがスピーチを、那央さんは、聡兄様と花央さんそれぞれのムービーを流していた。


嬉々として聡兄様のドジ話を語る龍人さんに聡兄様は慌てた様子を見せ、花央さんは笑っていた。その微笑ましい光景に、招待された人皆んなが笑顔になった。


披露宴も終わり、参加者の大半が帰った後……


「あ、慧星く、」


バルコニーに居た慧星くんに声を掛けようとすると、話し声が聞こえて来たので、私は急いで口を塞いで隠れた。


「慧星、私ね、好きな人が居るの。」


「はあ。律、また心を読んだのか。あと、知ってる。律の好きな人。」


「嘘!私最近まで自分で自覚してなかったのに……」


「はあ?見てたら誰でも分かるぞ?それに俺が告白する前に勝手に振るなよ。まあ、本気で好きになる前に振ってくれたのは感謝するけど。」


「ごめんごめん。代わりに一ついい事教えてあげる。慧星、今年、将来妻になる彼女が出来るよ。」


「そうか。今年は楽しみが出来たな。あ、律、アプローチのしなさすぎじゃないか?勘が良いはずの彼奴が全く気付いてないぞ。」


「えっ!?そうなの!?ちょっとこれから頑張ってみる。」


そして慧星くんはこっちに向かって来た。逃げようと思いつつも振り返ると、目が合ってしまった。

慧星くんはニヤッと笑って私の頭を掴んだ。


「盗み聞きとは趣味が悪いな、美乃梨。」


「聞くつもりは無かったけど……ごめんなさい。全部聞こえました。」


すると慧星くんは私の肩に頭を埋めた。


「分かってた事だけどさ……振られた。これが失恋なんだな。」


「うん、多分そう。」


「まあ、彼女が出来るらしいから下向いてなんて居られないけどな。」


慧星くんは立ち上がると、言った。


「美乃梨、俺の結婚式には絶対に出席してくれよ?」


「うん。」


「律の事も連れて来いよ?」


「私が態々連れて行かなくても律ちゃんなら喜んで行くと思うわ。」


「そうだな。じゃあ後は"お2人"で。」


慧星くんはそう言い残して部屋を出て行った。

2人と言われても、律ちゃんならもう外から出て行ったし私1人の筈なのに。


そう思った時、後ろから声を掛けられた。


「美乃梨。」


「千秋!?いつから居たの?全然気付かなかった。」


「少し前から。今日、全然美乃梨と話せなかったから美乃梨の事を探しに来たんだ。」


「そうなんだ。」


「「…………」」


「美乃梨、好きだ。」


少しの沈黙の後、急に千秋が言って来た。


「きゅ、急にどうしたの?……私も好きだよ。」


「美乃梨は、慧星さんの事を好きになったんじゃないのか?」


「え?慧星くんは聡兄様と同じような感じだけど?」


「でも、距離が近かったから……」


「確かに慧星くんは昔からそうだけど、本当に兄妹のような存在だったから距離の近さはあまり考えた事が無かったわ。気に障ったならごめん、なさい?」


気付いた時には千秋の頭が私のすぐ横にあり、私は千秋の腕の中にいた。しばらくして、自分が抱きつかれているという事が分かった。


「ど、どうしたの?」


「悪い。俺、慧星さんに嫉妬してた。俺、自分で思っているより嫉妬深いらしい。」


「……ふふっ」


「何で笑うんだよ。」


「ごめん、嬉しくて。慧星くんの事は好きだけど、それは100%兄妹愛。聡兄様と全く同じ気持ち。でも、千秋は違う。初めての、大好きな人。私の、王子様だよ。」


「今は見ないでくれ。変な顔している自信がある。」


「私も、今は絶対頬が緩み切ってると思う。」


少し時間が経つと恥ずかしさから少し距離を取った。そして千秋はじっと私の顔を見つめてふっと笑いながら言った。


「確かに緩みきってるな。可愛い。」


「…………」


「美乃梨、どうした?返事をしてくれないと恥ずかしいんだが。」


「えっ、千秋が可愛いって言ったから。珍しいなって思って。」


「あまり直接言った事は無いがいつも思ってる。」


「そっか。……私も思ってるよ、ずっと。今も。」


「何て?」


「世界一かっこいいって。」


私は恥ずかしさから顔を背けて手で隠した。

中々反応が無いなと思うゆっくり振り向くと、千秋が口元を抑えて固まっていた。


「……俺、外の空気浴びて来る。」


「そ、そう。私も一度部屋に戻るね。」


そして廊下に行くと、息をついた。

それと同時に数人の気配を感じた。


「なっ、ど、どうして皆んなが居るの!?」


そこに居たのは、貴翠と京翠、篤季と景くんと真央くんだった。分かりやすく顔を逸らす篤季達に話を聞かれていたとすぐに分かった。


「嘘、全部見てたの?」


私がそう言うと、真央くんが顔を逸らしながら、


「全部では、無いよ?」


と言った。


「でも、やっと吹っ切れたって言うか、僕も進まないとって思ったよ。」


「……?」


「今はまだ、美乃梨の事が好きだよ。それは僕にはどうしようも無い。でもね、決めた。僕は、次に進むよ。だからね、美乃梨。"友達"として、僕の事応援してくれる?」


「!……ええ!もちろん応援するよ。」


すると景くんも続くように言った。


「僕も、美乃梨ちゃんと千秋には2人で笑っていて欲しいって思えたから。今までは、なんで僕じゃ駄目なんだろうって思ってたけど、美乃梨ちゃんには千秋で千秋には美乃梨ちゃんじゃないと駄目なんだね。」


「そう、なのかな。」


「そこはちゃんと言い切ってくれないと。ねえ、美乃梨ちゃん。僕は、初めて好きになった子が美乃梨ちゃんで良かった。諦めないって宣言したけど、僕には無理そう。千秋とも美乃梨ちゃんともこれから先も仲良くしていたいから。大好き"だった"よ、美乃梨ちゃん。これからは友達としてよろしくね。」


「うん。……私のことを好きになってくれてありがとう。」


「こちらこそ、僕に初恋をくれてありがとう。」


この時初めて、私は2人の本音を聞けた気がした。

ずっと2人にはどんな思いをさせているのか不安だった。仲良く接してくれて、偶にからかって来て、笑ってても悲しそうだったり、本気で私の事を心配してくれたりもした。改めて、私は幸せ者だなと実感した。


そして、2人と本当の友達になれた気がした。


「美乃梨お嬢様。僕は、2人のように次へ進むことは出来ません。すみません。まだ、美乃梨お嬢様の事を困らせてしまいそうです。」


篤季は申し訳なさそうにそう言った。


「謝らなくても良いわ。私がもし、篤季の立場だったら、真央くん達のように諦められないかもしれないもの。でも、私の事を好きでいる間に時間が過ぎてしまって後悔してからでは遅いわよ?」


「美乃梨お嬢様を好きでいる事に後悔なんてするはずがありません!ですが、いつか心から美乃梨お嬢様にお仕え出来る日が来る事を願っています。その時には僕の誓いを受けて下さいますか?」


「ええ。」

次回は伝えないといけない事、です。

お楽しみに☆

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