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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編2年生
73/123

結婚祝いを探して

『はい。』


「あら、涼都くん?茉莉花ちゃんは?」


『お嬢は現在慧星様からお誕生日にプレゼントされたチケットで美術館に行っております。』


「茉莉花ちゃんが?珍しいわね。」


『龍人さんが、勉強をしないお嬢に大量の課題を熟すか美術館で芸術鑑賞をするかの選択を迫ったので。』


「それで茉莉花ちゃんは美術館を選んだのね。」


『それで、ご用件は何でしょうか?私の方から伝えておきますが。』


そうだった。つい会話に集中して用件を伝え忘れてしまっていた。


「茉莉花ちゃんと一緒に聡兄様達の結婚祝いのプレゼントを選ぼうと思って。」


『そうですか。ですが、お嬢は美術館から帰って来たら大量の課題が待っていますので無理かと。丁度春休みに入ったばかりの慧星様ならお暇だと思います。』


「そうなのね。態々教えてくれてありがとう。茉莉花ちゃんは煌達と選ぶかしらね。茉莉花ちゃんにお勉強頑張ってね、と伝えておいてくれる?」


『はい。では、失礼します。』


ツーツーと不通音が鳴り、私は慧星くんに電話を掛けた。


「もしも、」


『美乃梨!電話をくれるなんて珍しいな!』


「慧星くん。相変わらず元気そうで安心するわ。今、大丈夫?」


『ああ。丁度暇をしていた所だ。それで、どうしたんだ?』


「聡兄様の結婚祝いのプレゼントを選びに行こうと思っているのだけれど……一緒に行かない?」


『ああ!行く!薫さんに頼んでおいて良かった。』


「私と一緒に選びたいって言っていたのは慧星くんの方だったのね。」


『今から行くか?』


「えっ!?今から!?まあ、大丈夫だけど。」


『じゃあ準備したらすぐに迎えに行くから待っててくれ。』


「分かったわ。」


そして忙しく電話が終わった。

すると丁度、ノックの音が響いた。


「美乃梨様、失礼致します。」


「貴翠、京翠。どうしたの?」


「仕事の予感がしまして……」


流石と言うか何と言うか貴翠と京翠の勘は中々鋭かった。


「今から慧星くんと聡兄様達の結婚祝いのプレゼントを選びに行く事になったの。準備が終わったら迎えに来るって。」


「左様でございますか。」


「では、私達も準備をして参りますね。」


2人はそう言い足早に立ち去った。

そして本当にすぐに慧星くんが来た。


「美乃梨、慧星来たよ〜!」


「律ちゃん。教えてくれてありがとう、って慧星くんと知り合いだっけ?」


「うん。薫お兄様の友達の息子だからね。昔から何度か会った事あるの。ね、慧星?」


「……誰だ?」


「え、ひどっ!忘れたの?律だよ。」


すると慧星くんは目を見開いて言った。


「は?お前が律?律はもっと小さいだろ?」


確かに律ちゃんは昔は背が低い方だった。

でも、今は170センチ弱だ。


「成長期が来たんだよ。だって薫お兄様の妹なのよ?背が低いわけないじゃない。」


「まあ、そう考えてみればそうかもな。あのちびっ子だった律がなあ……」


「ねえ!私の方が慧星より年上!私、18。来月で19歳になるんですけど?」


「はいはい、そうですか。相変わらずお元気そうで何よりですよ、ふっ、律"お姉さん"。」


慧星くんは面白がるようにそう笑った。

律ちゃんはというと、慧星くんのほっぺを引っ張っていた。


「痛えよ、律!美乃梨、行くぞ。」


「うん。律ちゃん、行ってきます。」


「行ってらっしゃい、美乃梨。京翠、貴翠。美乃梨の事よろしくね。」


そして慧星くんの乗ってきた車に乗せて貰った。


「そう言えば、何故京翠と貴翠くんも居るんだ?」


「貴翠で大丈夫です。」


「何故と言われましても、美乃梨様の警戒心の薄さは心配になってしまいますので、ボディーガードとした付いて来たまでです。」


京翠の言葉に、貴翠は隣で頷いている。

正直私はそんな事は無いと思っているので何故そんなに警戒心が薄いと思われているのかと首を傾げる。


「私、そんなに警戒心薄くないわよ?一般の方のいる所では特に。」


「確かに、あからさまに怪しい人にはついて行かないと思いますが、自分に好意を持っている人やお年寄りの方や小さい子供なら警戒心はゼロですよね?」


それは否定する事が出来ない。


「それはまあ、そうね。」


「だからですよ。小さい子供は未だしも、お年寄りは変装すれば誰でもお年寄りのふりくらい出来るんですから。」


「まあ、美乃梨の警戒心がいくら薄くても、周りの警戒心は怖い程だから大丈夫だろう。」


「それはそうですね。そう言えば慧星、今日は慧星のボディーガードが見当たりませんね。」


すると慧星くんはスイーッと目を逸らした。

京翠は溜息をついて言った。


「また、置いてきたんですか?」


「いや、休憩させてやろうと思って……」


「主人に撒かれる事は休憩とは言いません。」


「え、えぇ〜」


「私が涼都くんに連絡するわ。」


私はそう言い、涼都くんに電話を掛けた。


『美乃梨様、どうされましたか?』


「涼都くん。今、慧星くんといるのだけど……慧星くんのボディーガードの方にお会いしたら伝えて欲しい事があって。」


『はい。先程会いましたよ。慧星様を探している様子でしたので、美乃梨様とお出掛け中だと伝えておきました。』


「えっ!?そうなの?ありがとう。」


『< 岬、もういや!……誰かと話してる?あ、もしかして美乃梨お姉様!?代わって!> 電話中です。静かにして下さい。美乃梨様、失礼致しました。では、お出掛けを楽しんで下さい。』


そう言って涼都くんは電話を切った。

(茉莉花ちゃん、英語のお勉強中なんだろうな。)


「美乃梨、岬は何て?」


「もう伝えてあるって。」


「途中で茉莉花の声が聞こえてきたけど?」


「うん。凄く嫌そうな声だった。」


「英語の勉強中なんだろ。」


そしてしばらくしてお店に着いた。


「ここは?」


「超大型ショッピングモール。この中に300店舗以上の専門店が入ってるらしい。」


「凄い!」


「だろっ?」


慧星くんはニカッと誇らしげに笑った。


「いつも行ってる店よりこういう所の方が新鮮だし、色々見れるかなって思って。」


「うん!」


そしてショッピングモールの中に入ると、驚く程、賑わっていた。家から30分くらいの場所にこんなに大きいお店があるなんて、全く知らなかった。


「どの店から回るの?」


「入りたいと思った所で良いだろ。よし、行くぞ、美乃梨!」


慧星くんは私の手首を掴んでお店を回り出した。

本当に懐かしい。昔は私が慧星くんを引っ張って連れ回してたな。


「どうした?美乃梨。」


「ううん。ちょっと懐かしいなって。昔は私がよく慧星くんを引っ張って色々なところに連れ回してたなって思って。」


「そう言えばそうだったな。」


慧星くんは今は逆だな、と笑いながらお店に入った。

入ったお店は洋服屋さんだった。

慧星くんは色々な服を手に取りながら見ている。

すると、誰かが慧星くんに話しかけた。


「すみません。二条慧星さんですよね?」


「え?ああ、はい。」


「お父上にはお世話になっています。坂下賢杜と言います。実はこの間茉莉花さんのパーティーにも参加させて貰っていまして。」


「そうなんですか。こちらこそ、父がお世話になっております。」


「いえ。飛鷹さんは私の経営する会社の筆頭株主ですから。」


そう話すこの男性は何処かで見覚えがある気がしてならない。誰だろうと思案していると……


「兄貴!遅えよ。兄貴が試着しろって言ったんだろ?終わったぞ!」


「和真くん!?」


「美乃梨!修了式ぶりだな。」


和真くんがスーツを着ていた。


「この子、和真の知り合い?」


「ああ、同じ学校の友達。あ、貴翠さん!京翠先生!お久しぶりです!美乃梨が居るってことはやっぱり2人も居ますよね。」


「お久しぶりです、坂下くん。」


「そうですね。美乃梨様のいらっしゃる所なら何処へでも。」


すると慧星くんが後ろから、


「誰だ?」


と聞いて来た。


「美乃梨の友達の坂下和真です。こんにちは!」


「二条慧星だ。美乃梨の学校の知り合いか。」


「ええ。」


すると和真くんの隣に立っている男性も挨拶をした。


「初めまして。坂下賢杜です。弟がいつもお世話になっているようですね。」


「和真くんの御兄様でしたか。初めまして。恋咲美乃梨です。和真くんとは友人として仲良くさせて頂いています。」


「恋咲ですか?もしかして響彼さんのお知り合いですか?」


「ええ。響彼は私の叔父です。」


その後少し話した後、和真くんと賢杜さんは服を買いに行った。

慧星くんも何か服を買おうとしているらしく、店内を回っていた。


「もしかして、茉莉花ちゃんに?」


「ああ、いや?美乃梨は欲しいの無いのか?」


「私は良いわよ。余る程あるもの。」


私がそう言うと、慧星くんはクルッと回って出口に向かった。


「買わなくて良かったの?」


「ああ。美乃梨は別に要らないんだろう?」


「?ええ。まあ。」


「なら良いんだ。」


訳がわからない。私が要らないからと言って茉莉花ちゃんが欲しがらない訳じゃないのに。


そしてある雑貨屋さんに入った。


「聡兄様は料理が好きだから食器にするわ。花央さんは何が好きなのかしら?弓道以外わからないわ。」


「私が那央から聞きましょうか?」


「お願いしても良い?」


「勿論です。」


そしてしばらくして電話から戻って来た京翠が言った。


「花央さんの趣味はドライブだそうです。」


普段おっとりした花央さんには少し意外な趣味だったがかっこいい、と思った。


「ならキーケースとかタンブラーが良いかしら。」


「そうですね。」


「美乃梨、食器の量凄え多いんだけど……全部買えば良いのか?」


「全部だと多い気がするわ。」


どれにしたら良いんだろうと2人して考えていると、店員さんが話しかけて来た。


「プレゼントをお探しですか?」


「はい。兄の結婚祝いを探していて……兄は料理が好きなので食器を贈ろうと思っているんですが、これ全部だと量が多過ぎますよね?」


「全部、ですか……!?コホン。失礼しました。食器でしたらプレゼント用のセットになっている物もございますよ。」


「そうなんですか?」


「はい。こちらの店舗では8種類程扱っております。勿論別々に選ばれてセットにする事も可能ですが……セットで買われた方が統一感があって喜ばれる事も多いんですよ。」


「ならセットで選ぼう。喜んで貰えるのが一番だからな。」


「そうよね。すみません、セットの一覧表みたいなのってありますか?」


「はい。勿論です。」


そして一覧表を見せて貰った。

可愛いものから落ち着いた大人っぽいものまであり、私は感心した。


「慧星くんはどれが良いと思う?私はこのモノトーンの物が一番良い気がするのだけれど……」


「そうだな。俺もそれが一番良いと思う。」


そしてモノトーンの食器セットと、花央さんへ贈るキーケースとタンブラーを選んで買った。


「こちらは宅配でお送り致しますか?」


「はい。」


「プレゼントという事なのでメッセージカードもお付けできますが?」


「はい。お願いします。」


そしてメッセージを書いて店員さんに渡した。


「慧星くんは?」


「俺はまだあまり親しくないし、美乃梨の所に連名で書いて良いか?」


「ええ。」


(この2人、どういう関係なんだろう?)


「では、後日送らせて頂きますね。」


「はい。お願いします。」


そしてお店を出ると慧星くんが、


「あ、俺さっきの店に忘れ物したから取りに行ってくる。美乃梨は京翠と貴翠とあそこのベンチで待っていてくれ。」


と言った。


「え、私も着いていくわよ?」


「いや、すぐ戻るから大丈夫だ。」


「そう?」



 美乃梨が普通の学校で頑張っていると聞いて、幼馴染としては少し心配だった。魔法使いとして色々あるだろうしな。電話越しの美乃梨は明るいようで、何か影を落としていた。だから今日は美乃梨にプレゼントを買おうと思っている。


服屋に寄っても服は要らないと言っていたが、雑貨屋に寄った時、月のネックレスをチラチラと物欲しそうに見ていた。こっそり買って喜ばせてやろう。


「すみません、あの月のネックレス下さい。」


「貴方はさっきの、」


「さっき一緒にいた人に贈りたいんですが、何色が良いと思いますか?」


「そうですね。薄いピンク色が一番似合うと思います。」


「じゃあ、それにします。いくらですか?」


「2万円になります。」


言われた通り2万円払うと、ラッピングはどうするかと聞いて来たので要らないと答えた。


「ありがとうございました〜。(本当にどういう関係なんだ?)」



 忘れ物を取りに行くと言って戻って来た慧星くんは戻って来て早々に目を瞑ってと言って来た。言われた通り目を瞑ると、首に何かが触れる感触があった。


「もう目を開けて良いぞ。」


ゆっくり目を開けて鏡越しに首元を見ると……


「さっきの雑貨屋さんのネックレス!」


「欲しそうな顔をしていたからな。」


「慧星さんが買ってしまいましたか。私が後から美乃梨様なら贈ろうと思っていましたのに。」


「悪いな、貴翠。」


「慧星くん!ありがとう!」


私は笑顔でそう答えた。でも、欲しがっていたのがバレていたというのは少し恥ずかしい。


「美乃梨、プレゼントも買い終わったし色々店回るの付き合ってくれるか?」


「ええ!もちろん!」


そして色々な所を回った。

時々視線を感じる事があったけれど、貴翠や京翠や慧星くんは目立つので仕方ないと思う。


1階に降りると、何やら人集りが出来ていた。


「何だろ?行くぞ、美乃梨!」


そして慧星くんは人集りの中を通って一番前まで出て行った。TV番組の飛び入り参加型のカラオケ大会をしているそうで、大盛り上がりだった。


(学校のレクリエーションの時は千秋達も引き連れて参加したんだった。)


ゲスト席の方を見てみると……


「界莉さんと玲音さんだ。」


「あ、本当だ。って、慧星くんもあの2人の事知ってるの?」


「ああ。テレビでよく観るからな。それに、うちの会社のCMにも出て貰ってるからな。カラオケだって。美乃梨も歌って来たら?」


「嫌よ。慧星くんが行って来たら良いじゃない。」


「そうだな。楽しそうだし。あ、良い事思いついた!美乃梨、勝負しないか?負けるのが怖いか?」


「……なことない」


「え?」


「そんな事ない!負けないからね!」


慧星くんはしてやったりという様な顔をして笑った。

でも、勝負と言われて負けるわけにはいかない。そして慧星くんは私の手を掴みながら自分の手も挙げた。


「はい!俺ら参加しまーす!」


「じゃあ貴翠、京翠、行ってくるね。」


「はい。行ってらっしゃいませ。」


そしてスタッフさんにステージに案内された。するとゲスト席の方から玲音さんと界莉さんが歩いて来た。


《新しい挑戦者が2人も来てくれました!お名前と年齢を聞いても良いですか?》


「はい。二条慧星、17です。」


「恋咲美乃梨です。13歳です。」


《慧星と美乃梨な。OK!》


《今日はお2人で来られたんですか?》


「いえ、観客席側で見ていてくれる幼馴染と4人で一緒に。」


《そうですか。では、早速歌って貰う事になるんですがどちらが先に歌われますか?》


「美乃梨、先に歌ったらどうだ?」


「慧星くん、お先にどうぞ。」


「え、美乃梨の薄情者〜。まあ良いけどさ。」


《いや、良いのかよ。って夫婦漫才みたいだったからついツッコんじまったじゃねえか。慧星が先な。どんな歌声を聴かせてくれるか、楽しみにしてるぜ!》


そして慧星くんはマイクスタンドの前に立った。

慧星くんが歌う歌はリバイバル映画の主題歌だった。


《……得点は、99点!慧星凄いな!》


盛大な歓声と拍手が上がった。

所々「かっこいー!」「イケメン!!」という声も聞こえてくる。


《え、慧星俺より人気じゃねえか。》


《僕よりも人気だね。今日の最高点数を叩き出したくらいだし。じゃあ次は美乃梨ちゃん、どうぞ!》


そして私の番が来た。私の選んだ曲は、凪くんからお勧めされた界莉さんの歌だ。

無事歌い終えると、拍手が贈られてホッとした。


《まさか、俺の歌を歌ってくれるとは思わなかった。ありがとう、美乃梨!》


《美乃梨ちゃんの得点は……99点!慧星くんと全く同じ!》


《っし、今日の最高点を取った慧星と美乃梨はカメラに向かってひと言どーぞ!》


という無茶振りをされた。

そういえば忘れていたけれど、これはTV番組だった。


『美乃梨ちゃん、社長とか家族に向かってひと言でも良いよ?』


界莉さんはアドバイスをしてくれた。

慧星くんはノリノリで答えていた。


「いや〜、100点取りたかったですね。美乃梨と勝負もしていましたし。」


私は家族に向かってメッセージを贈った。


「家族の皆へ、いつも側で支えてくれてありがとうございます。」


《素敵なメッセージでしたね。皆さん、お2人に温かい拍手を。》


そして拍手を贈られながらステージを降りた。

まだイベントは続くそうだが、私達はお昼という事もあり、ご飯を食べに行った。


「美乃梨、フードコートだって。何食べる?」


「……たこ焼き。」


「良いな。俺もたこ焼きにしよ。お、何かトッピング凄え種類あるぞ。」


俺はチーズかな、と言いながら慧星くんはトッピングを見ている。


「貴翠と京翠はどうするの?」


「私達は栄養補給のゼリーを持って来ておりますのでお気になさらず。」


「分かったわ。」


私は12個入りのたこ焼きを頼んだ。

隣の慧星くんはトッピングを全部乗せ出来るか店員さんに聞いている。


「すみません、全部乗せるのは大丈夫ですが、味の保証は出来かねます。」


「そうですか。じゃあチーズで。美乃梨は?」


「もう頼んでるわ。」


そしてたこ焼きを受け取ると、貴翠が取ってくれていた席に着いた。


「美乃梨、12個も食べるのか?」


「違うわよ。貴翠、京翠。3つずつあげるわ。ゼリーだけなんてお腹が空いてしまうでしょ?」


「美乃梨様が仰るならそうですね。」


「有り難く頂戴致します。」


「美乃梨〜、俺とも一つ交換しないか?」


「ええ。」


貴翠と京翠に分けている間に慧星くんが一つくれた。


「チーズ凄え伸びるな。はい、口開けて。」


「あつっ、あ、でも凄く美味しい!」


「そうか。俺も食べよ。ん、美味しいな。」


「そういえば慧星くんに聞きたいことがあったの。」


「ん?何だ?」


「音さん、星川音さんと従姉妹なの?」


私がそう言うと、慧星くんがゴホッと咽せた。


「大丈夫?」


「ああ。それより、何で美乃梨が音の事を知ってるんだ?」


「同じ学校だからよ。」


慧星くんは「そう言えば音の家は美乃梨の家の方だったな。」と言いながら水を飲んだ。


「美乃梨の言う通り、音とは従姉妹だ。音の奴、馬鹿そうに見えて頭良いから時々怖いんだよな。」


「そうなの?」


「ああ。それに勘が鋭くてな。昔、音の大事にしてたおもちゃを壊した時、俺の今までして来た悪戯と一緒に父上に言い付けて来たからな。それに勘が鋭いせいで隠し事をしても一瞬でバレるんだ。」


慧星くんの話で音さんの意外な一面を知る事が出来、少し驚いていると、


「確かにそうですね。」


という貴翠の声が聞こえた。


「貴翠も音と知り合いなのか?」


「はい。私も美乃梨様と同じ学校に通っておりましたし、音さんとは個人的にお付き合いをさせて頂いていますので。」


「個人的なオツキアイ……音の彼氏って事か!?」


「はい。世間的にはそういう事になりますね。」


すると慧星くんは溜息をついた。


「貴翠にも彼女が居るのか。京翠はどうなんだ!?」


「私にはお付き合いをしている方は居ませんよ。慧星は婚約者の方とは……そういえば、別れを申し込まれたんでしたね。」


「いや、俺から別れを申し出たんだ。京翠、誰か良い人を紹介してくれないか?このままだとまた政略結婚の許婚が決まりそうなんだ。」


すると京翠は少し考える素振りをした後、にっこりと微笑みながら言った。


「私に紹介できる女性は満留くらいですかね。普段はおっとりしたふりをしていますが、性格は星川さんにそっくりですから慧星とは仲良くなれるんじゃないですか?」


「いや、やはり相手は自分で見つけるのでさっきの話は忘れてくれ。」


「そうですか。では、良い出会いがある事を願っていますよ。」


そして昼食を終えると、折角だからとまたお店を回った。1階のイベントはもう終わったようで人が捌けていっていた。ステージの横を通り過ぎようとすると、


『よっ、美乃梨ちゃん。』


とどこからか声が聞こえた。キョロキョロと辺りを見回すと、マスクに深く帽子を被った界莉さんと玲音さんがいた。


「先程は、お世話になりました。」


「いやいや、こちらこそ美乃梨ちゃんが出てくれて良かったよ。俺、TVだとちょっとキャラ違うから驚かなかった?」


「少しだけ驚きました。」


「貴翠くんと京翠くんだっけ?ボディーガードブラザーズ。あ、貴翠くんはまだ候補なんだっけ?」


界莉さんの質問に貴翠は嬉しそうに?答えた。


「実は、あの後正式なボディーガードとなれました。薫様と響彼様に認められるのはそれはそれは大変でした。」


「お疲れ様です。で、どうして美乃梨ちゃんと慧星くんが一緒に居るんだ?もしかしてデート?」


すると玲音さんが界莉さんの頭を叩いた。


「痛えよ玲音!」


「そういう野暮な質問はするなよ界莉。」


「いえ、大丈夫ですよ、玲音さん。私達は私の兄の結婚祝いを買いに来て居ただけですから。」


「そうなんですね。2人が並ぶと絵になるからてっきり僕もデートかと思っていました。」


「そうですか?ですが、私にとって慧星くんは兄のような存在です。」


慧星くんも私の頭にポンと手を置きながら、


「美乃梨は妹ですよ。」


と言った。


「まあ、慧星くんは好きな人が居るみたいだしね。」


「ああ、そうだ!……って、は!?いつ俺がそんな事言ったんだ?」


「あれ?違った?律ちゃんの事好きなのかと思っていたわ。」


私がそう言うと、慧星くんは片手で顔を隠しながら言った。


「ちょっと待て。お前、本当に美乃梨か?偽者とかじゃないよな?美乃梨はもっと鈍感だろう?」


「幼馴染の事なら分かるわよ。篤季の時は気付かなかったけど、これが女の勘ってものなのかも。」


「いや、でも別に俺、律の事好きとかじゃ、ない、筈だって。」


タジタジな様子の慧星くんに玲音さんと界莉さんは言った。


「この反応はもうYESと言ってるようなものだね。」


「いや、慧星くん分かりやすすぎだろ。慧星くんってそんな露骨に態度に出るっけ?」


すると京翠と貴翠も言った。


「慧星、数年振りに再会した律様に一目惚れしたんですね。」


「美乃梨様がお気付きになられたのは予想外でしたが私は初めから分かっていましたよ?」


「嘘だろ。いや、でも恋とかじゃない。うん。律が急に成長してたから驚いただけだ。何しろ律には好きな奴が居るし。」


「そうですね。昔から一途に想っていらっしゃいますね。」


と慧星くんと貴翠で共感し合っていた。きっと2人には律ちゃんの好きな人が分かるのだろう。私と京翠は2人で顔を見合わせながら首を傾げた。


「あ、玲音、そろそろ行かないと。」


「美乃梨ちゃん、またね。」


「はい。」


そして行きに送ってくれた時同様慧星くんの迎えの車に一緒に乗って、家まで送ってもらった。

次回は結婚式です。

お楽しみに☆

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