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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編1年生
63/123

バレンタインの準備

「みのりん、チョコ作り手伝って〜!」


「急にどうしたの?雅美ちゃん。」


いきなり抱き着いてきた雅美ちゃんに聞くと雅美ちゃんは言った。


「来週のバレンタインに爽夜にチョコをあげたいから作り方教えて!」


「チョコ?バレンタインって恋人がバラを送る日じゃなかった?」


「そうなの?日本ではチョコを贈る日だと思うけど。それに、来週から映画の撮影があるの。だから早めに渡したくて。」


雅美ちゃんは照れ臭そうに笑った。


「えっ、そうなの!?」


「うん。私のデビュー作。しかも海堂監督の映画での主演デビューなの。響彼さんが色々根回ししてくれてね、あのRiri様と同じ映画デビュー出来る事になったの!」


「凛莉さんって映画でデビューしてたんだね。」


私がそう言うと雅美ちゃんは驚いた顔で言った。


「知らないの!?Riri様も海堂監督の映画でデビューしてるの!」


「そうなんだ。雅美ちゃん、撮影頑張ってね。」


「うん。ありがとう。って話が逸れたけどチョコ作り手伝ってくれない?」


「そのチョコって好きな人に渡すの?」


「そうだけど……あ!もしかして、みのりんも九条くんに渡すの?」


雅美ちゃんにそう聞かれ、私は軽く頷いた。

雅美ちゃんは目を輝かせて言った。


「本当!ねえ、みのりんはチョコ作った事ある?」


「無いわね。雅美ちゃん、チョコの作り方、一緒に聡兄様に教わらない?」


私がそう言うと雅美ちゃんは「うん!」と元気良く返事をした。するとユーリちゃんとレイラちゃんがやって来た。


「2人とも盛り上がってるけどどうしたの?」


「2人とも元気だねえ。」


「バレンタインの話だよ。レイラ達はどうするの?」


レイラちゃんは「私は特に……」と言っていたがユーリちゃんが、


「みんなで友チョコ交換しない!?」


と提案して来た。


「友チョコ……?」


「友達同士でチョコを贈るの。」


「楽しそう。」


「じゃあみんなで作ろうよ!」


という事で、皆でチョコ作りをする事になった。


「私、早めに渡したいからバレンタインの2日前でも良い?」


「私は良いよ。」


「私も。」


「もちろん、私も大丈夫だよ!」


そして数日後……

今日はバレンタインの2日前。聡兄様に頼んでみんなでチョコ作りをする日だ。


「千秋が甘いの苦手って言ってたのだけど、どうすれば良いかしら?」


「それならビターチョコを使って砂糖は少なめにしたら良いと思うよ。美乃梨が作るのはフランボワーズのボンボンショコラだっけ?」


「ええ。前にお祖父様から頂いて、とても美味しかったの。」


「千秋くん、きっと喜んでくれるよ。雅美ちゃんはブラウニーを爽夜くんに渡すんだよね?」


「はい!」


そして私は雅美ちゃん達と交換する友チョコやお父様達に渡すのはココアクッキーにした。


「よし、じゃあ作ろうか。」


レイラちゃんはマフィン、ユーリちゃんはタルトを作るそうだ。それぞれ作業をしつつ、分からないところや難しい工程は聡兄様に手伝って貰う。

私はまず、テンパリングからだった。こっそり魔法で温度調整をしようかと思ったけれど聡兄様に直ぐにバレてしまった。


「美乃梨、駄目だよ?」


と笑顔で言われてしまったからには真面目にするしかない。正直、料理は出来るがお菓子作りはあまりした事がないのである。


聡兄様考案のレシピ通りに作り、何とか型に流し入れて、休憩に入った。


「はあ、疲れた。」


「美乃梨様、お茶が入りましたよ。」


「京駕さん、ありがとうございます。今年のバレンタインはクッキーを渡しますね。」


「美乃梨様がバレンタインに何かくれるとは珍しいですね。御友人の影響ですか?」


「はい。今まで、バレンタインはお父様がお母様にバラの花束を贈っている日という認識でしたので。」


京駕さんは優しく微笑みながら「そうですね。」と言った。


「そういえば、貴翠と京翠と篤季はどこですか?朝しか顔を見ていませんが。」


「ああ、3人ならソワソワとしながらそれぞれ待っていますよ。」


「簡単なココアクッキーですし、あまり期待するような物ではありませんが……」


「いえ。3人にとっては美乃梨様から贈られる物なら何でも嬉しいのですよ。勿論、私も楽しみにしております。」


私は貴翠と京翠と篤季と京駕さんにココアクッキーを渡すと前もって言っている。そうでもしないと作っている最中でも私の護衛をしようとする者が2人、何をしているかとわざわざ見に来る人が1人居るからだ。


「ご馳走様でした。美味しいお茶をありがとうございました。では、私は調理場の方へ戻りますね。」


京駕さんにそう言い、私は調理場へ向かった。

レイラちゃんのマフィンもユーリちゃんのタルトももう殆ど完成だった。私も先程型を抜いて並べていたクッキーの生地をオーブンに入れて焼いた。


雅美ちゃんのブラウニーの方が先に焼けて網の上で冷ましている。


「後はみのりんのクッキーだけだね。」


「大量だったけど、誰にあげるの?」


「えっと、貴翠と京翠と篤季と京駕さん。それと煌達とお父様達。後は響彼くん。」


「大人数だね。私はみのりんとユーリと雅美だけなんだけどちょっと余った。」


と言いながらレイラちゃんは聡兄様の方に向かって言った。


「聡さん、今日はチョコ作りのお手伝い、ありがとうございました。余ってしまったので良ければ食べて下さい。」


「気持ちは嬉しいけど、ご両親に渡したら?」


「いえ、聡さんが兄と似ていて私が渡したいだけなので。」


「そっか。ありがとう。」


雅美ちゃん曰く、レイラちゃんのお兄ちゃんはとてもかっこいいらしい。私も写真では一度だけ見た事がある。


「レイラのお兄さんはアメリカだもんね。」


「そうなの。ビリーと一緒にホームパーティーをするらしい。」


ほら、と言ってレイラちゃんは写真を見せてくれた。


「相変わらずレイラとそっくりだね。」


「ねー。ウィリアムくんもかっこいいし。」


私も写真を覗くと、レイラちゃんにそっくりな金に近い茶髪の男性と黒髪と蒼い目をした男の子が写っていた。


「こっちの人がレイラちゃんのお兄さんよね?」


「うん。隣がビリーだよ。冬休みに会いに行ったばかりなの。」


「そうなんだ。」


「それでその時何か隠してるみたいだったんだよね。アルも一緒に隠してたし。」


「アル?」


「アルバート・翔喜(しょうき)・姫野。私のお兄ちゃん。お母さん似で私よりもアメリカの血が濃いの。因みに私はお父さん似。」


レイラちゃんのお父さんは純血の日本人だが髪も目も茶色らしい。レイラちゃんは黒髪に少し色素の薄い瞳をしている。ご両親の写真を見せて貰った事はあるけれど、どちらにも似ていた。


「レイラちゃんはご両親のどちらとも似ていると思うわ。」


「そうかな?でもみのりんの方がそっくりだと思うけど。ですよね、聡さん。」


すると聡兄様は物凄く深く頷いて言った。


「美乃梨は養父上と養母上のどちらとも兄妹の様にそっくりだね。」


「確かによく言われるわ。煌達とも似ているって言われるけれど。」


「確かにそうだね。」


すると雅美ちゃんが言った。


「そう言えば煌くん達って3つ子だから顔立ちはそっくりなのに雰囲気が全然違うから初めて会った時から間違え無かった。」


「そうね。煌達は性格もバラバラだからね。」


私がそう言った時、丁度私のクッキーが焼けた。


「よし、じゃあ美乃梨はクッキーの粗熱が取れたらデコレーションとラッピングだね。それまでに千秋くんにあげる方のボンボンショコラも箱に詰めて置いたら?」


「うん。そうする。」


そしてクッキーにもチョコレートでデコレーションし全てのラッピングが完成した。


「皆完成したね!聡さん、今日はありがとうございました。」


「お役に立てて良かったです。じゃあ、僕はこれで。皆楽しんでね。」


「ちょっと待って。これ、聡兄様と花央さんの分のクッキー。いつもありがとう。花央さんの分も渡しておいてくれる?」


「ありがとう、美乃梨。分かった、花央にはちゃんと渡しておくね。」


そして、聡兄様が調理場を出て行った後、皆で作ったチョコを交換した。


「みのりん、またね。」

「帰ったらみのりんから貰ったチョコ、凪に自慢してやる!」

「九条くんに渡すの、頑張って!」


「うん。3人とも、またね。」

夏だけどバレンタイン!

次回は皆んなに配ります!

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