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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編1年生
57/123

家族会議ver.有栖川家、九条家、倉津木家、神崎家

有栖川家


「お、景。お帰り。兄上と義姉上にあったら呼んで来てくれない?」


サッカー部の練習から帰って来たばかりの僕に、叔父様が声を掛けて来た。


「分かりました。叔父様が呼んでいたと伝えれば良いという事ですね。」


「いや、景にも参加して貰う。」


僕が何にですか?と聞くと叔父様は微笑みながら仰った。


「家族会議を開く。雛菊と志紀都と紗奈咲も呼んで来るから兄上達を会議室に誘っておいてくれ。」


「分かりました。」


何故叔父様が突然家族会議を開こうとするのかは分からなかったが自分の部屋に戻って、着替えた後、父さんと母さんの部屋に向かった。


「父さん、母さん、いらっしゃいますか?」


ノックをして声を掛けると扉が開いた。


「景、お帰りなさい。そういえば、明日は部活動はあるのかしら?」


「ありませんが、何か用があるのですか?」


「ええ。来月、拓の誕生日があるでしょう?一緒にプレゼントを買いに行きましょう。」


「そうですね、分かりました。」


「それと、拓なら仕事部屋に居るから呼んで来るわ。何か用があったのでしょう?」


「はい。ですが、僕が呼んで来ます。母さんは先に会議室に向かって下さい。」


僕がそう言うと母さんは首を傾げた。


「どうして会議室に?」


「伝え忘れていました。叔父様が家族会議を開くので父さんと母さんを呼んで来て欲しいと仰って。」


「そう。壱はそう言うの好きそうだものね。」


そして母さんは会議室の方へと向かった。

僕は父さんの居る仕事部屋へ行った。コンコンとノックをすると扉が開いた。出迎えてくれたのは父さんの使い魔、カルロだった。


「ありがとう、カルロ。父さん、叔父様が家族会議を開くそうなので会議室に来て下さい。」


「ああ、少し待ってくれ。」


父さんはさっと机の上を片付けて仕事部屋を出た。

会議室に行くとルークが叔父様の使い魔であるアシルと一緒にお茶の用意をしてくれていた。そして母さんと父さんと僕と、叔父様と叔母様と志紀都と紗奈咲で家族会議を開く事になった。


「ねえ、お父様。どうして突然家族会議を開こうなんて思ったの?」


僕も内心同じことを疑問に思っていたので紗奈咲に微笑んだ。紗奈咲は気付いているのかよく分からないが微笑み返した。


「何故って、薫さんが家族会議をしたと自慢して来たからね。あ、兄上。新事実が発覚したんですよ。」


叔父様は興奮気味にそう言った。


「何だ?」


「この間の年明けの時に初めて知ったんですが、薫さんと私達は従兄弟だったそうです。」


「何を突然……知っているが?」


叔父様の言った事に対して父さんは当たり前のようにそう答えた。僕は父さんに聞いた。


「薫さんと父さん達が従兄弟って事は、僕は美乃梨ちゃんの再従兄弟になるんですか?」


「ああ。言ってなかったか?」


「聞いてません。」


「そうか。それより壱も知らなかったなんてな。」


父さんにそう言われた叔父様は


「私だけでなく、薫さんも知らないそうですよ。」


と言った。

道理で美乃梨ちゃんも知らない訳だ。


「で、壱。家族会議とは何を話し合うのだ?」


「えっと……悩み事がある人挙手。」


壱さんがそう言うと、志紀都が手を挙げた。


「はい、志紀都。」


「僕、魔法が下手なんですけど、どうしたら上手くなりますか。」


「私はイメージ力が大事だと思うよ。兄上は?」


「そうだな……まずは簡単に魔力を動かす事から始めたらどうだ?」


「魔力を動かす?」


「ああ。今度教えてあげよう。」


「ありがとうございます、伯父上!」


すると紗奈咲が羨ましそうに志紀都を見た。


「伯父様、私にも教えて下さりますか?」


「ああ、勿論だ。」


父さん2人に向かってそう言い僕にも「景も教えてあげようか?」と聞いて来たので、珍しい誘いに僕は頷いた。そして叔父様や叔母様から五家会議の事を聞いて家族会議は終わった。



九条家


俺と姉上が書斎で本を読んでいると……


「千夏、千秋。少し良いかしら?」


「あら、お母様。丁度読み終えた所なので私は大丈夫ですよ。」


「俺も大丈夫です、母上。」


「そう。なら、2人とも会議室へ来てくれる?」


俺と姉上は首を傾げながら会議室へ向かった。会議室には父上が居た。


「父上、何か緊急事態でもありましたか?」


「……ああ。」


「「!?」」


深刻そうな顔で父上が頷いたので、俺も姉上も気を引き締めた。


「ちょっと千歳、大袈裟すぎるわ。」


「そうか?一大事だと思うが。」


「父上、何の事ですか?」


俺がそう聞くと、父上は一度咳払いをして言った。


「薫から家族会議をしたと聞いて、私達家族はちゃんとした話し合いをした事がないという事に気付いたんだ。」


「そうでしたか?」


「言われてみればそんな気も……」


「だから一度腹を割って家族会議をしてみたいと思ってな。」


父上がそう言うと母上は困ったように笑いながら言った。


「あんな風に格好付けているけれど、千歳は薫さんから家族会議をしたという話を聞いて羨ましがっていたのよ。だから付き合ってあげて。」


「いえ、俺も話したい事がありましたから。」


俺がそう言うと父上は興味深そうに聞いて来た。


「で、私に話したい事とは何だ?」


「実は、父上が薫さんと電話しているのを聞いてしまいました。」


「……あの事を聞いたのか。はあ、油断して防音魔法を掛けていなかった私が悪い、気にするな。」


「あの事とは何です?」


唯一事情を知らない姉上が尋ねた。


「美乃梨さんと煌くんの事だ。千夏も七倉蓮介について、多少の事は碧依くんから聞いただろう?」


「はい。」


「その七倉蓮介が転入前の美乃梨さんと煌くんの写真を持っていた事が貴翠くんの調査で分かったんだ。」


「え!?一大事じゃないですか。」


「ああ。だから千秋は話題に出して来たんだろう。」


「ああ、成程。美乃梨さんが心配なんですね。」


姉上は俺に、からかうような笑みを向けながらそう言った。すると母上も便乗して


「千秋は昔から美乃梨ちゃんが大好きだったわね。2歳くらいの頃はいつも美乃梨ちゃんの隣にくっついていたものね。」


と言って来た。

"あの木"のおかげで思い出した記憶があるので母上が言っている事は嘘ではないと分かる。が、


「何故今言うんですか?」


「千秋がそんなに表情を変えるなんて面白い、いえ、珍しいからよ。千秋は今でも美乃梨ちゃんが大好きなのよね?」


「はい。」


俺は聞かれたので正直に答えただけなのに何故か父上も母上も姉上も驚き固まった。


「何故そんなに驚くのですか?」


「何故って、千秋。貴方、今までこういう質問に素直に答えた事あったかしら?」


「今までは好きだと思える人が居なかっただけです。俺は、美乃梨の事が好きです。と言うか、表に出していても美乃梨は気付いてくれないので。」


俺がそう言うと父上の顔が綻んだ。


「千秋が年相応の表情をするようになったのは美乃梨さんのおかげだな。」


「そうね。今度会ったらお礼を言わないと。」


「それで、父上達は他に何を隠しているんですか?」


俺は疑問に思っていた事を口にした。姉上はもしかしたら碧依くん経由で聞いているかと思っていたが、同じように父上達に探るような表情を向けていたので知らなかったのだろう。


「どうすれば、美乃梨を護れますか……!?」


俺がそう言うと姉上が言った。


「美乃梨さんを護りたい気持ちは私にも分かるわ。あんなに可愛い子わ危険に晒したくはないものね。でも焦って周りが見えなくなっては足を取られるわよ。」


「分かっています。でも……」


俺が言い淀むと母上が言った。


「そんなに心配なら貴方が直接美乃梨さんに言いなさい。千秋が隣で護ってあげたら良いじゃない。」


俺は母上の言葉に頷いた。

七倉蓮介だって学校で何かしてくる事は無いとは思うが心配にならない訳ではない。京翠さんや貴翠さんが居ても、内心は俺自身が護りたいと思っている。


「千秋の話は詳しく聞きたい所だが、それはまた今度にしよう。何せ家族会議だからな。千夏は何か無いのか?」


「私は……そうですね。初夏には婚姻も控えていますし、色々な準備を手伝って貰えればと思います。」


「そのくらい当たり前だ。何かもっとこう、家族会議の議題のような物は?」


父上にそう言われ、姉上は少しの間、黙って考え込んだ。そして口を開いた。


「では、蔵書数を増やして下さい。」


「今あるので十分じゃないのか?九条家の書斎は五家の中で一番な蔵書数を誇る筈なんだが。」


「もう全て読みきりましたし、何度も読み返しましたので。千秋も読み切っているでしょう?」


「はい。ですが、最近は美乃梨と煌から恋咲家の本を貸して貰っているので読む物はあります。」


「そうか。では欲しい本をリストにしてくれたらこちらで購入しておこう。千秋も何かあれば千夏と一緒にリストにまとめておいてくれ。」


父上はそう言いながら頭を掻いた。


「腹を割って話そうとは言ったが、特に話す事が無かったな。これにて家族会議を終わる。」



倉津木家


私が碧依と叔父上と一緒にお茶をしていると、柊さんと母上がやって来た。


「紅音、碧依、凛哉。今から家族会議をします。」


「姉上、どうして急にそんな事を?」


「美乃梨と煌に関わる事よ。」


母上がそう言ったのでこの場の全員が真剣な顔に変わった。叔父上と柊さんは溺愛していた妹にそっくりな美乃梨と煌達の事を物凄く可愛がっているし、私と碧依は弟妹同然で可愛がっているからだ。


「美乃梨と煌に何があったんですか!?」


一番に口を開いたのは叔父上だった。伯父上は鈍感で周りに疎い美乃梨を特に心配していた。


「凛哉、落ち着きなさい。今から話すから。」


母上は叔父上を宥めてから話し始めた。


「貴翠くんが七倉蓮介のパソコンを調べていた時、出てきたらしいの。転入前の美乃梨と煌の写真が。」


「転入前だと!?」


「七倉蓮介は美乃梨があの学校に行く前から美乃梨と煌の情報を入手していた……?」


碧依が困惑気味に柊さんと母上の方を見ると、2人は重く頷いた。


「でも、どうして美乃梨と煌を?」


「それは、五家会議の内容だから一応秘匿よ。でも一つ言っておくわ。美乃梨と煌は恋咲家で稀に生まれる時空魔法を魔力に刻み込んでいるらしいの。」


「それと2人を狙っているのがどう繋がるのだ?」


「それは言えないわ。一部の関係者にしか情報は渡っていないもの。」


「そうか。薫はどうなんだ?愛娘と愛息がその状況では良くても軟禁だろう?」


叔父上の言葉に全員が頷いた。薫叔父上はこれ以上ない程の過保護だからだ。


「それが、どういう風の吹き回しか美乃梨を今まで通り学校へ通わせるそうよ。」


「薫叔父様が!?」


碧依は驚きで声を上げた。私も驚きを隠せなかった。本当に一体何があったのか、今度聡か美乃梨に聞いてみよう。


「とにかく私の可愛い甥姪が狙われているから気を引き締めるわよ!」


「分かっている。」

「分かってます。」


「あ、それと碧依。来年には婚姻を控えているんだから準備で分からない事があったら私や経験者の柊に聴きなさい。」


「はい。ありがとうございます。」


そして家族会議(という名の美乃梨と煌の心配会)が終わった。



神崎家


僕は朝から当主である麗華の部屋に呼ばれていた。

麗華は身重の身であり、体調を考え、公の場にはここ数ヶ月出ていない。大きく膨らんだお腹を麗華は撫でながら僕の方を向いた。


「真央、いらっしゃい。」


「冬真さんは?」


「私の代わりに仕事をしてくれてるわ。そろそろ戻って来るとも思うけど。」


「そう。転けたりしないでね。」


僕がそう言うと麗華は笑い出した。


「私はそう簡単に転ばないわよ。万が一転んでも魔法でクッションを作るし。真央は偶に過保護な所があるわよね。でもまあ、ありがとう。」


「どういたしまして。それで話って?」


「そうそう!七倉蓮介の狙いが美乃梨ちゃんと煌くんらしいの。」


「はあ!?」


僕が驚いて声を上げると麗華は耳を塞いで口を膨らませながら言った。


「うるさいわよ、真央。この子達もびっくりしちゃうじゃない。」


「ああ、ごめん。……ってこの子"達"?」


「あれ、言ってなかった?双子なんだって。男の子2人の。」


「そう、なんだ。」


「真央は末っ子だものね。この子達のお兄ちゃんしてあげてね。」


「うん。」


姉のような存在だった麗華の母をしている姿を見て少し驚いた。しばらくして冬真さんが戻って来た。


「あ、真央くん。いらっしゃい。麗華から家族会議する事もう聞いた?」


「え?聞いてません。」


「麗華、忘れてたの?花央もあと2ヶ月で結婚するんだし、家族会議なんてもう開けないよ。」


「ごめんごめん。真央、会議室に居るから叔父様と叔母様と花央と那央を連れて来てくれる?」


「分かった。」


そして僕は兄さんと姉さんと父さんと母さんを連れて会議室へ向かった。


「それでは、第1回、神崎家家族会議を始めます。お父様とお母様は今イギリスに行ってて居ないけど。何か話したい事とか質問がある人!」


麗華がそう言うと姉さんが手を挙げた。


「はい、花央。」


「麗華は休んだ方が良いんじゃないの?」


「そういう質問は受け付けません。大丈夫。1時間もないでしょう?」


「何で急に家族会議なんて開こうと思ったんだ?当主の間で流行ってるのか?」


「流石那央ね。薫さんも茉乃凛さんも家族会議をしたって言うから。で、誰も議題が無いのかしら?」


「では、一つ良いか?」


父さんが発言をした。


「次の政府との会合に向かう人を決めたい。」


「別に良いけれど、またじゃんけんで?叔父様、また負けるんじゃないかしら?」


「いや、今回はクジで決める。」


政府との会合は五家の代表者1人が出る。五年に一度回って来る。そして今年は神崎家らしい。代表者の対象は成人している本家の人間だ。それより、


「今まではじゃんけんで決めていたんですか?」


「ああ。全員が嫌がるからな。それに灯紀(とうき)や姉上達は海外に逃げるからな。」


灯紀とは冬真さんの父、神崎灯紀さんの事だ。父さんの従兄弟で今は夫婦でヨーロッパ諸国を回っている。

結局クジで決めても代表者は父さんに決まった。


「やっぱり代表は叔父様しかいないという事よ。」


「そうですよ、父上。」


「那央。ここに行くと社会経験が積めるだろう。代わらないか?」


「お断りします。」


そして他には別荘の管理(その年一度は行かなければならない別荘)を決めた。僕は未成年の為関係なかったが。


「では、家族会議を終わります。」


という麗華の声と共に家族会議は終わった。



ーおまけー


「美乃梨、壱から聞いた事なんだが……」


リビングで貴翠達と一緒に話していると焦った様子のお父様が駆け込んできた。


「どうしました?」


「私と壱は従兄弟らしい。」


「……そうですか。」


私がそう言うとお父様は驚いたように


「知っていたのか?」


と聞いて来た。


「知っていたと言いますか……有栖川家の前当主、壱さんのお父様とお祖母様の顔がそっくりなので、多分兄妹何だろうな思っていました。」


「ああ、そうだ。壱の父親は母上の兄らしい。だから美乃梨と景くんは再従兄弟という事になる。」


「そうですね。そう思った時は少し驚きましたが今は特に驚いていませんね。」


私がそう言うとお父様は「流石美乃梨だな。」と言いながら私の頭を撫でた。

千秋くんは作中で「父上」「母上」と呼んでいますが、学校では「母さん」「父さん」と呼んでいます。

柊さんは溺愛していた妹(紫乃凛さん)とありますが、妹のような存在。美乃梨ちゃんと聡さんの関係と同じような感じだと思って下さい。

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