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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編1年生
56/123

初の家族会議ver.恋咲家

冬休みも残り数日。

今日は聡兄様の養子縁組の日だ。

恋咲家の一族と木野家が集まった。

本堂家からも少し集まったが、他の分家には聡兄様を妬み嫌がらせ行為をする人も居る為、今回のような場には一家代表以外は呼ばれない。


お父様は恋咲家の家紋と当主の印の入ったローブを被り、聡兄様も同じく木野家の家紋が入ったローブを被る。家紋や印は眷族の誓いを立てる事で魔力によってローブに刻まれる。そしてとうとう眷族の誓いが始まった。


「時と空を司る我が恋咲家に新たなる一員を迎える。木野聡。」


「はい。」


「其方を我が眷族として受け入れ、恋咲家の一員とする事をここで誓う。」


「私、木野聡は恋咲聡となり、恋咲家の一員として尽力をする事を誓います。」


そして誓いと同時に金色の魔力が吹き出し聡兄様のローブの家紋が恋咲家の家紋に変わった。


「改めて、長男として恋咲家に歓迎する。」


「はい。養父上(ちちうえ)。」


聡兄様の養子縁組は名字が変わるだけで両親との縁を切るわけではないそうだ。


「養子縁組にも種類があるのね。」


「はい。私達本堂家の者が養子縁組する場合は親との縁を切ることになりますが、木野家は元々恋咲家の分家なので親と縁を切る必要はありませんから。」


養子縁組が終わり集まっていた人達が帰った後……


「お父様、お母様、聡兄様。少しお時間よろしいですか?」


「別に構わないが、どうした?」


「薫、会議室に移動しましょう。」


私の表情を見て何かを察したお母様はお父様を会議室へと促した。そして会議室にて、お父様とお母様と聡兄様が私の向かい側に座り、私の後ろには貴翠と京翠が立っている。


「美乃梨、何があったの?」


お母様が心配そうに聞いて来た。


「実は七倉先生の事なんですが……」


「七倉蓮介か。また何かあったのか!?」


お父様が声を荒げるとお母様がお父様の肩に手を置きながら言った。


「薫、落ち着きなさい。美乃梨が話し辛くなるでしょう?美乃梨、詳しく教えて頂戴。」


「はい。実は七倉先生のパソコンから転入する前の私の写真や煌の写真が見つかったようで、それをお父様達に伝えておこうと思いましたのでこうして時間を取って頂きました。」


私がそう言うと唖然としている聡兄様とお父様に代わり、お母様が言った。


「美乃梨はどうしたいのです?」


「どうしたいとは?」


「親心としては美乃梨に学校へ行かせるのは心配で堪りません。京翠が付いてくれている事も分かってはいますが心配が無くなるわけではありません。」


「では、学校へは……!」


「美乃梨は学校が好きなのね。私は今まで全く我が儘を言って来てくれなかった娘の我が儘が聞いてみたいわ。」


お母様はにっこりと微笑んだ言った。


「お母様!私、学校は休みたくありません。行かせてください。お願いします!」


「ええ。娘の初めての我が儘なんですもの。聞いてあげましょう。貴翠、京翠。美乃梨の事は2人に任せますね。」


「承知しております、紫乃凛様。」


「美乃梨様の事は何があっても護ります。」


そしてお母様は聡兄様とお父様に対して言った。


「聡、煌の事だけどあの子に伝えるかどうかは貴方の判断に託します。警戒は良いですがあまり過保護にし過ぎないで頂戴ね。」


「分かりました。煌には様子を見つつ伝えるかどうかを検討します。」


「ありがとう。薫、貴方は美乃梨が学校に行く事は反対のようね。」


お母様がそう言うとお父様は


「当たり前だ!危険すぎる!」


と言った。


「それにこれ以上七倉蓮介が何かをしでかしたら私は抑えが効かない。」


「お父様、抑えって、」


「彼奴への殺意だ。きっと美乃梨の後ろに立っている2人も同じだろう。この情報を掴んだのは貴翠か?どうしてもっと早く言わなかった。」


お父様は溜め息をつきながら貴翠に聞いた。


「薫様へお伝えすると美乃梨様が外に出られなくなるだろうと思いましたのでお伝えするのが遅れました。申し訳ございません。」


「そうだな。確かにそうするつもりだった。だが、娘の初めての我が儘だ。聞いてやりたい気持ちがある。それでも学校に行かせるのは危険すぎる。取り敢えずこの事は五家当主に伝えよう。……美乃梨、学校へ行く事は許すつもりだ。」


「ありがとうございます、お父様!」


「だが、ボディーガードは今まで以上に増える事になるだろう。」


お父様がそう言うとお母様は笑顔でお父様に向かって言った。


「薫、美乃梨が心配な気持ちは私も同じです。でも、過保護すぎるのは良く無いわ。」


「大丈夫だ、紫乃凛。京翠みたいな教育実習生では無く、学校側の者に頼むからな。」


「そう。それなら私は構わないけれど、美乃梨が驚いてしまうわよ?」


お母様のその言葉に私は頭を捻った。


「学校側って誰の事か分かる?」


私は後ろに居る貴翠と京翠に聞いた。


「私には分かりません。」


「私は……情報収集をしていた為、情報と行動を基に大体の見当は付きますが。」


「流石貴翠ね。それで、誰なの?」


「私は別に言っても良いですが、美乃梨様は戸惑われると思いますよ?」


私はじゃあ遠慮しておくわと言いお母様達の方を向いた。


「お母様、お父様。心配をお掛けして申し訳ございません。」


「気にしなくて良いわよ。親というのはつい自分の子供は心配してしまうものだから。」


「そうだ。ただな、美乃梨。何かあったら絶対に我慢するな。これは約束だ。私は美乃梨が今まで我慢して来た事に中々気付いてやれなかった。だから何かあったらすぐに言って欲しい。」


「分かりました。」


そして聡兄様も言った。


「美乃梨の事を心配している人は養父上(ちちうえ)養母上(ははうえ)だけでは無いからね。煌の事は僕が護るから、美乃梨は自分の心配をしてなよ。」


「うん。ありがとう、聡兄様。」


するとお母様が


「折角、聡も居るのだから家族会議をしましょう。」


と言った。

そして私は貴翠と京翠と一緒に架と律ちゃんと響彼くんを、聡兄様が煌と稔を呼びに行く事になった。架は多分律ちゃんと練習場に居ると思うし、響彼くんは自室に居るだろう。


「というか、何故敷地内でも付いてくるの?」


「美乃梨様の臣下ですから。」


キラキラの笑顔でそう答えてくる貴翠にそう、と言いながら私は響彼くんの部屋に向かった。響彼くんの部屋の前に着き、扉をノックしようとした時、


「姉さん?」


「架、ここに居たのね。響彼くんと律ちゃんは?」


「響彼兄さんならあそこに。」


そう言いながら架は机に積み上がった書類と睨めっこしている響彼くんを指差した。


「響彼くん。今、忙しい?」


「いや、大丈夫だ。これは海堂監督から来た結月への映画主演オファーだ。」


「そうなの!?デビュー作が映画の主演なんて凄いわね。」


「ああ。海堂監督に気に入られたようだからな。ところで美乃梨、呼びに来た理由は?」


「あ、家族会議を開くから呼びに来たの。律ちゃんはどこ?」


私がそう聞くと響彼くんは下を指差した。


「地下書庫?」


「ああ。私が呼んで来るから美乃梨は架と一緒に先に会議室へ向かってくれ。私も律を連れてすぐに向かうから。」


そう言いながら響彼くんは部屋の奥にある階段を降りて行った。なんだか少し違和感を覚えたが架と一緒に会議室へ向かった。


「ねえ、京翠。響彼くんは何か隠していたわよね?」


「そうですか?」


京翠は相変わらず笑顔を崩さずに言ってくる。貴翠も隣で微笑んでいる事から2人は何か分かっているのだろう。そして、何かを隠しているという事を私にも分かるように表情を"敢えて"笑顔にしているのだろう。


「姉さん、」


架もわざとらしい2人の笑顔に怪訝そうな顔をしながら私を呼んだ。


「響彼兄さんの隠し事は姉さんは絶対に関わらないようにして下さい。」


「どうしたの?架。関わらないでって……」


架は「お願いします」と私の服の袖を掴みながら言った。架の目は真剣そのものだった。


「分かったわ。」


私は安心させるように微笑みながら言った。するとホッとしたように息をついた。正直凄く気になるが、架にも貴翠達にも心配させるわけにはいかないのでこれ以上は追求しない事にした。


そして私達が会議室に着いて数分後、律ちゃんと響彼くんと一緒に煌と稔を連れた聡兄様達がやって来た。

会議室には京駕さんと満留さんも居た。


「それでお母様、家族会議とは……?」


架がお母様に尋ねた。


「最近色々な事が起こったのは架の耳にも入っているでしょう?その中で話し合いが必要になったのでこうして集まってもらいました。」


響彼くんと律ちゃんには聡兄様がメモ用紙のような物を渡していた。


「まず、美乃梨についてだ。」


「は、はい!」


「美乃梨はマスコミに写真を流されてしまった。美乃梨が美人なのは分かりきっているが、学校もバレている。幸い、車での登下校なので大丈夫だとは思うが、重々注意してくれ。貴翠と京翠、京駕さん。美乃梨を頼みます。」


「「「お任せ下さい、薫様。」」」


「私共は美乃梨様に臣下の誓いを立てたその日から、命が消え失せるその時まで美乃梨様の御身をお護りすると決めておりますから。」


貴翠はお父様に向かって堂々と宣言した。お父様は大きく頷いて「頼んだ」と言った。


「次は煌。……その顔は、何かあるようだな。」


煌は真剣な眼差しでジッとお父様を見つめていた。


「最近、と言ってもここ数ヶ月の事ですが……同じような夢を見るようになりました。場所は近世ヨーロッパで、誰の目線かは分かりませんが金髪に蒼い瞳の男性か女性か分からない人が出て来ます。」


「他には?」


「小高い丘の上に金色の葉と先程言った人の瞳によく似た蒼い果実のついた大木が聳え立っていました。

そう、我々、魔法使いのご先祖様の話に出てくるような。」


するとお父様もお母様も目を見開いて息を呑んだ。いや、反応したのは2人だけでは無かった。

私、架、稔、そして話をした当人の煌以外全員が驚きで固まっているようだった。きっと"あの丘"で貴翠が私に隠した律ちゃん関係の事だろう。


「父上達には心当たりがあるんですね。」


煌は探るようにそう言った。でもお父様も当主、そう簡単には教えて下さらない。


「……煌達は知らなくて良い。」


「どうしてですか?俺は当人なのに……母上、教えて下さい。」


お母様は困ったように頬に手を当てながら言った。


「煌、この件は情報が少なすぎて何に関わっているかも全く分かっていないの。なので簡単に教えるわけには行かないわ。」


「律姉さん……」


お母様に断られた煌は律ちゃんの方を向いた。

律ちゃんはお父様とお母様の方を見て首を振った。


「ごめんね、煌。教えて何がどう変わるか、私には分からないけど、薫お兄様とお義姉様は煌の為を思って黙ってるんだよ。」


「分かりました。自分でこたえを探します。」


煌は表情を変えずにそう言った。


「そうか。他に夢で見た事は無いか?」


「はい。」


煌がそう答えた時、架が言った。


「夢ではありませんが、実は最近"誰かの記憶"が頭に流れてくる事があって……」


「誰かの記憶?」


「はい。魔法の練習をしている時やソラルと話す時などに映画のワンシーンの様な情景が頭に浮かびます。場所は分かりませんが魔法使いではあるようです。」


架がそう言うと、聡兄様が首を傾げた。


「どうして魔法使いだと分かったの?」


「使い魔が居たので。」


そして架は詳しく説明してくれた。

殆どが情景だけだったらしいが、ひと言だけ、声が聞こえたらしい。『……の木の下で。』と。肝心な最初の部分は分からなかったそうだけど"木"とは多分、ご先祖様のお話に出てくる木だろうと思った。


「架、それはいつからだ?」


「先月からだと思います。」


「煌もだが、どうして今まで言わなかった?」


お父様が煌と架に向かってそう言った。


「報告はするつもりでしたが、今年は色々と忙しそうでしたので。」


「僕は、お父様達は忙しそうだったので代わりに響彼兄達に相談に乗ってもらいました。」


2人がそう言うとお父様とお母様は申し訳なさそうに謝った。


「それは私が悪かった。出来るだけ親子の時間を作ろうと頑張っては居るんだがな。」


「私もごめんなさい。これからは何かあったら相談して頂戴。勿論、直接私達に言わなくても良いわ。」


そしてお父様は稔にも何か無いかと尋ねた。


「僕は、将来についてなんですが……俳優になりたいです。」


「そうか!」


一番に反応したのは響彼くんだった。

何でもパーティー後、煌達に声を掛けてはいたが、煌は即答で断り、架と稔は保留だったそうだ。


「架はどうだ?もう決まったか?」


「はい。僕も、魔法師と両立して、俳優を目指すつもりです。」


「そうか。2人ともうちの事務所に来るんだよな?」


響彼くんがそう言うと稔が


「響彼兄の事務所に行けば権力とか出来レースと言われてしまいそうなんですが……」


と言った。


「普通に事務所のオーディションを受けたら良いだろう?私は贔屓目無しでも2人とも凄いと思うから合格は確定してるがな。」


そして、稔は響彼くんの事務所に所属する事が決まった。でも、架は違う事務所が良いらしい。


「実は僕、凛莉さんから事務所の名刺を貰っていて、凛莉さんの事務所に行こうと思っています。」


「そうか、如月さんの所か。」


響彼くんがそう言うと架が首を傾げた。


「如月さん?凛莉さんの名字は一ノ瀬じゃ……」


「旧性だ。あの人は仕事によって名前を使い分けているからな。事務所では一ノ瀬、テレビに出たり公の場では如月だ。」


そして架は感心したように頷いた。


「兄上、義姉上、2人が俳優を目指す事に反対はありませんよね?」


「ああ。2人とも、応援してるぞ。」


「私も応援してます。でも、何かあった時は無理しないで大人を頼りなさい。」


「「はい!ありがとうございます。お父様、お母様。精一杯頑張ります。」」


そしてお父様の言葉で家族会議が終わった。


「是にて、家族会議を終了する。」

出来るだけ早く投稿するつもりでしたが、忙しくて遅くなってしまいました。次回は五家それぞれの家族会議です。お楽しみに

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