表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編1年生
50/123

WAKABAプロ創立記念パーティー

とうとうパーティー当日。

服は前に試着した物で、髪は本堂満留(みつる)さん。京翠達の従姉妹に当たる人がしてくれた。


「満留さん、ありがとうございます。」


「いえ、このくらいお安いご用です。美乃梨様、楽しんで来て下さいね。」


満留さんは19歳で京翠よりも2つ年上。おっとりした感じでとても話しやすい人だ。満留さんは律ちゃんに仕えているのでこうして会うのも数年ぶりだ。


レイラちゃん達も着替え終わり、満留さんに髪を結ってもらっていた。リビングに行くと皆集まっていた。


「よし、全員揃ったな。帰りは直接家に向かう子は着替えを忘れてないか?」


「「「はい!」」」


「じゃあ各々車に乗り込んでくれ。」


響彼くんが先生みたいで少し驚いた。律ちゃんは隣でお腹を抱えて笑っていたけど。

パーティー会場までは車で40分程の場所にあるホテルだ。このホテルも恋咲家経営のものだそう。


私は車に乗り込みながら、(相変わらず恋咲家は凄いな)と他人事のように思っていた。それに気付いたのか、向かいに座る貴翠が言って来た。


「美乃梨様は多くの会社を経営する恋咲家の次期当主ですから、今日も多くの方にご挨拶されるんでしょうね。」


「はあ、パーティーは楽しみだけど挨拶ばかりだったら参るわ。そう言えば、響彼くんがエスコートしてくれる相手を選んでおきなさいって言っていたわ。」


「それなら私が致します。」


と貴翠が言った。


「良いの?」


「勿論ですよ。兄さんは美乃梨様のボディーガードとして後ろにいますからエスコートは出来ないでしょうし、篤季がすると他の方からクレームが入ります。」


「どうして?」


「篤季が美乃梨様を慕っているのは皆様承知しています。なので狡いというクレームが入るでしょう。その点私は主人として美乃梨様を慕っているのでクレームは入りません。」


「そう。なら貴翠に頼むわ。ありがとう。」


しばらく話しているとホテルに着いた。パーティーの開始時間は5時で終了時間は9時だ。私はどちらかと言うと主催者よりなので初めから終わりまで参加する。レイラちゃん達や雅美ちゃん達は8時に抜ける事になっている。

会場に向かうともうボチボチと人が集まっていた。


「うわっ、凄え!」


「美味しそう!」


ビュッフェスタイルの料理を見て和真くんと透くんが声を上げていた。それを見ていた爽夜くんが2人の頭をペシっと叩いて


「あんまし騒ぐなよ。」


と言った。

すると雅美ちゃんが後ろから


「爽夜ってみのりん達にあってからしっかりするようになったよね。」


と言った。


「そうなの?」


「うん。なんかみのりんとか九条くんを見てると兄心?が刺激されるらしい。やっぱ末っ子だから下の弟妹(きょうだい)が出来たって思ってるんじゃ無い?」


「何で私が下なの!?」


「それは、」


と雅美ちゃんが言いかけた時、話を聞いていたらしい爽夜くんが言って来た。


「美乃梨と千秋が世間知らず過ぎるからだ。美乃梨は妹みたいな感じだからな。」


「爽夜くんがお兄ちゃんか。じゃあ爽夜くんは聡兄様の弟?」


「聡さんの弟なら大歓迎だ。煌も俺の弟になるのか。良いな。」


「じゃあ雅美ちゃんは私のお姉ちゃん?」


私がそう言うと雅美ちゃんは照れながら笑った。


「みのりんが妹だったら凄く過保護になっちゃうよ」


そして続々と人がやって来たので私達も中の方へ移動した。


「あ、あの俳優知ってる!」


透くん達と一緒にビュッフェを楽しんで居た凪くんが声を上げた。すると凪くんの声に気付いた俳優さんは手を振り返したていた。


「つ、ツーショットお願いしても良いですか!」


凪くんは俳優さんにツーショットを撮って貰って凄くご機嫌そうだった。


「うわっ、凪ずるっ!」


と隣で雅美ちゃんは言っている。


「雅美ちゃん、響彼くんが呼んでるからそろそろ行こうか。」


「うん。」


私と雅美ちゃんは会場の中心にあるステージに向かった。参加者が1000人近く集まった頃、響彼くんがマイクを持ってステージに立った。


「ご来場の皆様、本日は我がWAKABAプロダクション創立記念パーティーにお集まり頂き、誠に有難うございます。WAKABAプロ社長、恋咲響彼です。この度、我がプロダクションに新しく所属したタレント達を紹介させて頂きます。」


そう言いながら響彼くんは新しく所属したメンバーを紹介して行った。そして雅美ちゃんが紹介される番が来た。


『どうしようみのりん。緊張がやばい!』


『雅美ちゃんなら大丈夫!自信持って!』


雅美ちゃんはマイクを持ってステージに上がった。


「初めまして、この度WAKABAプロダクションに所属致しました、飛翼結月です。皆様、よろしくお願い致します。」


雅美ちゃんはリハーサル通り挨拶を終えた。さっきまで緊張していた筈なのに本番では堂々とやり切る姿は流石俳優だと思わずには居られない。


そして最後に私の紹介がある。


「最後に、私の姪である恋咲家跡取りの紹介を致します。」


私はマイクを持ってステージに上がった。


「皆様初めまして。恋咲家跡取り、恋咲美乃梨と申します。本日のパーティーは今年最後のパーティーになるでしょう。皆様、是非楽しんで下さい。」


そして響彼くんにバトンタッチした。


「皆様、ビュッフェも用意しておりますので挨拶も程々に楽しんで下さい。」


そこから私は他の事務所の方に挨拶されたり、WAKABAプロダクションに所属しているタレントに挨拶されたりと中々休憩が取れない。幸い、煌達も請け負ってくれたので負担は軽く済んだが。


「美乃梨さん、お久しぶりです。僕の事は覚えていますか?」


「はい。如月界莉さんですよね?お久しぶりです。つい最近TVで拝見しました。」


「ありがとうございます。こっちは僕の義理の兄の」


と界莉さんは隣の男性を紹介した。


「初めまして、一ノ瀬玲音と申します。」


「初めまして。実はこの前、友人と水族館へ行った時に丁度撮影があったみたいで一ノ瀬さんを見たので、初めましてという感覚はあまりありませんが。」


私がそう言うと一ノ瀬さんは


「そうなんですか。娘の誕生日プレゼントの事を聞いてましたか?」


と笑顔で聞いて来た。


「はい。」


すると界莉さんの後ろから「私も挨拶してよろしいでしょうか?」という声が聞こえて来た。


「初めまして、芸能プロダクション『リーリウム』社長、一ノ瀬凛莉です。WAKABAプロダクションでは弟がお世話になっております。」


「界莉さんのお姉さまですか。こちらも界莉さんには助かっていると響彼くんから聞いております。」


すると凛莉さんは私の隣と背後を気にするような仕草を見せた。


「紹介が遅れてすみません。こちらは私のボディーガードと、」


「ボディーガード"候補"の本堂貴翠と申します。この度、美乃梨様のエスコート役に任命されました。」


「私はボディーガードの本堂京翠です。美乃梨様のお父上である恋咲家当主直々のご指名で美乃梨様のボディーガードとなりました。」


凛莉さんは少し驚いた様な顔をした。ボディーガードは私と同じように煌にも聡兄様が付いている。


「どうしましたか?」


「すみません。美乃梨様のお父さまも夫と同じくらい過保護なのかと思うと驚いてしまい。」


「一ノ瀬さん、いえ、玲音さんもそれ程過保護なのですか?」


「はい。莉音、娘の事になるとどうも親バカで過保護になってしまうので……」


すると界莉さんが笑った。


「玲音は確かに凄え過保護だよな。でもね、美乃梨ちゃん。美乃梨ちゃんのお父さんと叔父さんの方が怖いくらい過保護だよ?」


「父と知り合いなんですか?」


「はい。実は美乃梨ちゃんの叔父さんが社長になるまでの仮の社長をしていたんだよ。」


「そうだったんですか。」


「薫さんは仕事の休憩に入った度に美乃梨ちゃんの自慢をしてたんだよ。もう毎日同じ話を聞かされて。」


界莉さんは呆れたように溜息をついた。


「父がすみません。」


「いやいや、気にしないで。俺、将来彼氏が出来たらとかからかってたから。その度に薫さんは『美乃梨の相手は何が何でも美乃梨を護り抜く者にしか託せない役目だ』って言ってたんだ。」


「そうなんですか?それは少し意外です。」


「それと社長も。その頃はまだ16歳だったかな?偶に事務所に来てたんだけどその話をすると『美乃梨の相手なら私より強い者じゃないとな』とか言ってたよ。確か社長は武術はひと通り出来ると言っていた気がするんだが。」


「はい。響彼くんはひと通り習っていたそうなので。大会などにはあまり出ていなかったみたいですが。」


「それなのに自分より強い相手を求めるのは可笑しいよね。」


「そう、ですね。ですが2人、響彼くんに勝てる相手に心当たりがあります。」


私がそう言うと界莉さんは興味津々に「誰!?」と聞いて来た。


「貴翠と京翠です。貴翠は頭を使って勝ち、京翠は響彼くん以上の武術の使い手なので。」


すると界莉さんは「へえー」と意外そうに言った。


「京翠は西洋剣術が得意だったわよね?」


「はい。私の最初の師匠は響彼様でした。」


「最初のって今は?」


「独学です。ですが、響彼様のお陰で美乃梨様のボディーガードに任命されたと言っても過言ではありません。」


「過言だ。」


急に背後から声が聞こえて来て振り返ると


「響彼くん!?」

「響彼様。」

「社長!」


響彼くんが立っていた。


「おい、界莉。そろそろ美乃梨にも休憩させてやれ。パーティーが始まってから挨拶ばかりで一度も座ってないんだ。貴翠と京翠も美乃梨が無理しそうになったら止めてくれと頼んだ筈だが。」


「響彼くん、私はまだ大丈夫よ。」


「美乃梨、気付いていないのかもしれないが4時間居続けるのは初めてなんだ。ちゃんと休憩を挟まないと後半の体力が持たないと思うが?」


響彼くんに言われて私はハッとなった。今までは最大でも2時間程度だったからだ。

貴翠と京翠はお母様からの言い付けで私が自分から休憩を求めるまで倒れそうにならない限りは口を挟まないように言われたそうだ。響彼くんはそれを聞いて溜息をつきながら言った。


「義姉上は相変わらず厳しいな。とにかく美乃梨、煌達も休憩を挟みながら挨拶をこなしているから美乃梨も気にせず休憩に入りなさい。」


そう言われ、私はビュッフェコーナーに向かった。

すると雅美ちゃん達が興奮気味に寄って来た。


「みのりん、さっき話してたのってRiri様よね!?」


「凛莉さん?って一ノ瀬凛莉さんのこと?」


「そう!みのりん知らないの!?Riri•Kisaragiを。」


「世界的スターだよ!?5歳でデビューして10歳で世界的に有名な子役になってそこから26の引退まで売れ続けたんだよ!」


「そうなの。凄いわね。」


「何か冷めてる。みのりんらしいけど!」


ビュッフェのおかずのコーナーに行くと葉月くんが美味しそうにローストビーフを頬張っていた。


「あ、恋咲。これ凄え美味いぞ!」


「確かに美味しそうね。京翠と貴翠も私に付き添ってばかりじゃなくても今くらいは自分の好きなもの取りに行ってね。」


と私が言っても2人は離れない(これは予想通りだ)


「京翠はパエリア、貴翠はカプレーゼを取って来てくれるかしら?」


私がそう言うと2人は驚いたような顔をしながらも取りに行った。これは2人の好物だ。葉月くんは


「美乃梨って実はお偉いさん?」


と聞いて来た。


「そんな事ないよ。でもああ言わないと2人ともお腹空いてる筈なのにご飯を食べないから。」


そして2人はパエリアとカプレーゼを持って帰って来た。


「ちゃんと食べてね。私だけ食べるなんて出来ないから。2人が食べないなら私も何も食べないわ。」


そう言うと2人はちゃんと食べてくれたので私も葉月くんがおすすめしてくれたローストビーフを食べた。


そしてお腹も満たされ、私はビュッフェコーナーから離れた。すると響彼くんが手招きしているのが見えたのでそちらに向かった。


「響彼くん、どうしたの?」


「美乃梨に紹介しようと思ってな。」


すると響彼くんと話していた背の高い男性が私の方を向いた。


「初めまして、海堂倫(かいどうりん)です。美乃梨ちゃんだったかな。私の映画に出てみないか?」


私が断ろうとすると響彼くんが


「美乃梨は芸能界に興味がないそうで……もし美乃梨が芸能界に入るなら私の事務所から大々的に宣伝させますよ。」


と言った。


「あの、海堂さん。私よりも素晴らしい新人俳優が居ますよ?」


私はそう言いながら雅美ちゃんを呼んだ。


『みのりん、こういう時って芸名だよね?』


『うん。』


私に呼ばれた雅美ちゃんは海堂さんを知っているらしく、緊張した様子で挨拶をした。


「初めまして、飛翼結月です。」


雅美ちゃん、いや、結月ちゃんが挨拶すると海堂さんは驚いたように目を見開いた。


「結月ちゃんか。私は海堂倫です。是非、私の作品に出て下さい。主演として。」


「えっ!私の演技見ても居ないのに……!?」


「私はね、売れる人の色とオーラが分かるんだ。君は俳優に向いている。そして色は太陽のように眩い金色だ。」


「金色……?それは良いんですよね?」


「勿論だ。スター性を秘めているという事だ。」


「流石結月ちゃんね!」


そして雅美(結月)ちゃんは名刺を渡されていた。

響彼くんは溜息をつきながら「ちゃんと事務所を通して下さい。」と言いながら仕事の話を始めたので私は雅美ちゃんと一緒にその場を離れた。


「はあ、緊張した。」


「そういう割に堂々としてたよ、結月ちゃん。」


「みのりん、本当に海堂監督知らない!?前にみのりん家の別荘で観た映画を作った監督だよ!?」


「そうなの!?後で映画の感想言えると良いな。」


私がそう言うと雅美ちゃんは相変わらずだね、と笑った。


「それよりどうしよう……海堂監督の映画に出れるって!しかも主演!みのりんのお陰だよ!」


「どうして?」


「だってみのりんが居なかったら私は響彼さんにスカウトして貰えなかったわけだし。」


「それは違うよ。きっと遅かれ早かれ誰かの目に留まっていたと思うよ。だから私のお陰じゃなくて雅美ちゃんの実力だよ。」


「ありがとう、でもみのりんがきっかけになったのは本当だから。」


「本当にありがとね。」と雅美ちゃんは笑ったので私は「どう致しまして」と返した。そして時刻は6時。創立記念のお祝いとして来てくれている方達が色々なことをしてくれる。


最初は如月界莉さんがデビュー曲を歌ってくれた。界莉さんのファンらしい葉月くんと凪くんは最前列で聴き入っている。


「凄いね。美乃梨も歌ったら?」


「真央くん!歌う事は好きだけど流石に界莉さんの後に歌える程の自信は無いわよ。」


「美乃梨なら大丈夫でしょ。」


界莉さんの歌が終わり、大歓声が上がった。

私も拍手を送った。次は若手ピアニストだった。


「これからカノンを演奏するんですが誰かヴァイオリンを弾いてくれる方居ませんか?実はヴァイオリンを弾いてくれる予定だった人が手に怪我を負ってしまったので。」


すると響彼くんが言った。


「それなら私の姪の美乃梨ならどうだ?実力は私が保証する。美乃梨、やってくれるか?」


「私よりも律ちゃんの方が上手いと思うけど?」


「律の演奏は……個性派すぎるから人と合わせるのには向かない。」


と響彼くんは苦笑した。私は受けようか悩んでいると貴翠が


「美乃梨様、動画を撮っておきますね。」


と言いながら立派なカメラを出して来た。京翠も


「ヴァイオリンはもう一つあるそうなので私も一緒にしますね。」


と言って来たので断りづらくなり、受ける事にした。

ヴァイオリンは2歳の頃に初めて触り、今も悩みが出来た時などに気晴らしで弾いている。因みに私のヴァイオリンの先生は京駕さんだ。


「よろしくお願いします。楽譜は大丈夫ですか?」


「はい。カノンは何度も引いた事があるので。」


「私も大丈夫です。」


そしてピアノの音色が会場に響き渡り、演奏が始まった。私はピアノの音を聞きながらヴァイオリンを弾き始めた。ピアノの音色に重なるようにヴァイオリンの音色が会場に響いた。私は段々楽しくなって来て無我夢中になって弾いた。そして気付いたら演奏は終わり、拍手が聞こえていた。


「美乃梨様、とてもお上手でした。」


「ありがとう、京翠も凄かったわ。」


私達がステージから降りると少し人が集まって来た。殆どの人が名刺を差し出していて、受け取ってみれば音楽関係の人達だった。


「是非、我がレコーディング会社のコンクールに、」


「いやいや、我が音楽事務所に、」


「すみません。お断りさせて頂きます。」


私がそう言うと京翠の方へと移動していった。


「申し訳ございません。私には美乃梨様をお護りすると言う役目がございますから。」


京翠も断ると名刺を渡してきた人達は残念そうに肩を落とした。そして人集りから抜けて響彼くんの所に向かうといかにも想定通りというような顔で迎えてくれた。


「響彼くん、私を指名したのってわざとだよね?」


「さあ、どうだろうな。」


と響彼くんはニヤリと笑った。絶対確信犯だ。


「それはどうであれ、楽しそうだったな。」


「うん。楽しかった。」


私がそう笑うと響彼くんは「良かったな。」と私の頭にポンと手を置いた。そして響彼くんの所を離れ、貴翠の所に向かった。


「美乃梨様、綺麗に撮れましたよ。薫様と紫乃凛様にもお渡ししますね。」


「そう。ありがとう、貴翠。」


私が貴翠にお礼を言うと丁度後ろから声が聞こえた。


「みのりん、凄かった!」


「感動したよ!」


「流石美乃梨だな。」


「ハイスペすぎだって。」


振り返ると雅美ちゃん達と爽夜くん達がいた。


「皆ありがとう。」


「恋咲、良かったら今度俺の作った曲も弾いてくれないか?」


「良いよ!私も葉月くんの作った曲、聞いてみたいから。」


そう返すと葉月くんは「ありがとう」と笑った。

そしてパーティーも終盤に掛かり、雅美ちゃん達は門限の為、帰って行った。


「姉さん、一緒に写真撮ってくれませんか?」


と稔が聞いて来た。


「もちろん良いわよ。稔、今日は本当にありがとう。稔達が居てくれたおかげで私の負担がとても軽くなったわ。」


「いえ。姉さんに頼られるのは嬉しい事ですから。姉さん、これからも僕達に出来る事なら何でも頼って下さいね。」


「ありがとう。でも……いえ、偶には頼らせてもらおうかな。」


「はい!」


そして稔と一緒に写真を撮った。すると聡兄様と煌と架も来たので3人とも写真を撮った。最後に5人で写真を撮って貰った。


「姉さん、この写真、和真さんに送っても良いですか?」


「別に良いわよ?」


「ありがとうございます。」


架は和真くんととても仲が良いらしく今日も2人で写真を撮ったりしたそうだ。


「私は少し風に当たってくるわね。」


私はそう言いながらバルコニーに向かった。

外は少し肌寒くて身震いした。


「美乃梨様、私の上着を着て下さい。」


「ありがとう、貴翠。」


ホテルの20階のバルコニーから見る夜景はとても幻想的で綺麗だった。


「……美乃梨か?こんな所に居たら寒いだろう?」


「少し風に当たりたくて。流石に長時間のパーティーは疲れてしまって。それに、貴翠が上着を貸してくれたから寒くないわ。」


「……そうか。」


そしてうるさい沈黙が流れる。千秋といると本当に心臓が壊れそうだ。


「美乃梨、」

「千秋っ!」


「ははっ、揃ったな。」


「そうだね。えっと千秋、先にどうぞ。」


千秋はしばらく黙った後、真剣な様子で私を見た。


「美乃梨、俺は美乃梨の事が……好きだ。」


「えっ、」


私は驚きと嬉しさで固まってしまった。夢じゃないかと自分の頬をつねってみたりもしたが痛みを感じたのでこれは現実という事になる。


「……え、これ私の夢の中じゃないの?」


つい口走ってしまった。


「何で夢だと思うんだ?」


千秋は首を傾げながら聞いてくる。


「だって、千秋が私を好きだって言うから。私の妄想かと思って。……友達としてじゃないよね?」


「友達としてならわざわざ言わない。」


「良かった。私も、千秋に恋してるの。」


私がそう言うと千秋は驚いたように固まった後、フッと口元を緩めた。


「俺の、姫になって下さい。」


「はい!王子様!」


私はそう言って千秋に抱き着いた。千秋はぎこちなく腕を後ろに回してくれる。


「私、不安だったの。」


「何がだ?」


「千秋に好きな人が居るって聞いて、」


私は気付いたら涙を流していた。すると、私の背中に回っている腕に力が篭った。


「そんなの、俺も同じだ。美乃梨の好きな奴は誰なんだ、ってずっと考えてた。美乃梨は誰とでも仲が良いから、俺には全く分からなかった。」


「私の好きな人は千秋だよ。」


「俺の好きな奴も美乃梨だ。」


そしてふと我に返り、この状況が恥ずかしくなって千秋から離れた。自分から離れたというのに寂しさを感じ、千秋の袖を引いた。


「手を繋ぐのは恥ずかしいからこうさせて。」


「……あ、ああ。」


私達はまだ婚約者候補で付き合う事は出来ない。出来るのは私の15歳の誕生日からだ。


「美乃梨をとられないようにしないとな。」


「それは私の台詞。千秋は人気者だから。」


「俺は美乃梨以外は意識した事すらない。それより美乃梨は真央や景や篤季が狙ってるから。実際、美乃梨が15歳になるまでは俺も真央達と同じ婚約者候補の1人だしな。」


千秋はハアと溜息をついた。


「私は確かに真央くんや景くん達にドキドキさせられる事もあるけれど、それはただ単に男の子に慣れていないからであって好きなのは千秋だけだよ。」


私がそう言うと千秋の顔は耳まで真っ赤に染め上がった。それを見て私も照れてしまう。


「そ、そろそろ会場に戻ろう。もうパーティーも終わる頃だろうし。」


「……そうだな。」


そして私達は会場に戻った。貴翠と京翠は少し後ろから見守っていたらしい。見られているのは私も千秋も承知の上だったけれど。


会場に戻ると真央くんや景くん、篤季や煌達に囲まれてしまった。


「美乃梨、千秋に告白されたの?」


「何でそれを……!?」


「じゃあ両想いになったんだよね。まあ、僕は諦めないけど。」


真央くんは「油断しないでね?」と言った。景くんも


「僕も今のところ諦めるつもりないよ。婚約者を決めるまでまだ後2年もあるからね。」


と言った。


「僕もです!美乃梨お嬢様の意思は尊重したいですがやはり僕の隣に居て欲しいので美乃梨お嬢様が婚約者を選ぶまでの間だけは頑張らせて頂きます!」


篤季も2人に負けず劣らず勢いよく言った。

隣に居る千秋を見ると眉を顰めて3人を見ていた。


「姉さん、少し千秋さんを借りても良いですか?」


「え、ええ。」


千秋は煌達に連れて行かれた。




―「千秋さん、姉さんを傷付けたら俺達は絶対に貴方を許しません。」


「なので、姉さんを笑顔にさせてあげて下さい。姉さんは1人で抱え込んでしまうので。僕達はまだ子供で、姉さんよりも年下なのであまり頼って貰えません。」


「だから、千秋さんが隣で姉さんを支えてあげて下さい。無理をしている時は止めてあげて下さい。姉さんは僕達の前では完璧な面しか見せてくれません。でも千秋さんの前でなら弱い姿を見せると思います。」


「俺達がしている事は千秋さんからとったら余計なお世話だと思います。でも、姉さんが弱い所を見せた時は絶対に止めて下さい。」


「「「お願いします!」」」


俺は煌と稔と架にそう言われてしっかりと頷いた。


「ああ、誓おう。美乃梨が1人で追い込む事は知っているから。弟達にも言われたしな。」


「まだ弟じゃありません。」


「そうだな。義兄(あに)の座を獲られないようにしないとな。」


俺がそう言うと、3人は頷いた。―




千秋が煌達と一緒に戻って来た。何となくだけど安心したような顔付きをしていた。


「どうしたの?千秋。」


「いや、美乃梨に頼って欲しいと思っただけだ。」


「私、千秋の事頼ってばかりよ。」


「そうか?でももっと頼ってくれ。1人で何でも背負いこむな。」


「分かった。でも、千秋もね。」


私がそう言うと千秋は「約束する」と軽く微笑んだ。

普段クールなのに偶にこうして微笑んでくるから本当に心臓に笑いと思う。


『ねえ、京翠。私、千秋と居ると寿命縮まりそうなんだけど。』


『その内慣れますよ。きっと。』


そして響彼くんの挨拶でパーティーはお開きとなった。車に乗り込もうとすると、スマホの入った鞄を置いて来てしまったことに気付いたので取りに帰ろうとすると、車にノックする音が聞こえた。


「これ、美乃梨ちゃんの忘れ物だよね?」


「匡哉先輩!?あ、ありがとうございます。でもどうして私の物って分かったんですか?」


「真央が気付いたんだよ。でも渡しに来る勇気は無かったみたいだけど。(美乃梨ちゃんと千秋くんが両想いになったばかりだからな)」


「?そうなんですか。わざわざありがとうございました。おやすみなさい。」


「おやすみ、美乃梨ちゃん。」


そして匡哉先輩は真央くん達の車がある方へ行った。

京駕さんが運転を始めると車の心地良さで私は夢の中へ旅立ってしまった。

やっと美乃梨ちゃんと千秋くんが両想いになりました!

本当にやっとです。50話です!

読んで下さった皆様、本当にありがとうございます!

これからも「王子様は1人じゃないっ!」をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ