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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編1年生
5/121

婚約者候補者目線

今回は景くん、千秋くん、真央くんの順で紹介します。前の投稿から随分時間が経ってしまい申し訳ありません(^_^;)

―景目線―

僕は有栖川景。

ご当主様である叔父様からの命により恋咲家の跡取りである美乃梨さんという方の婚約者候補者になりました。僕は今まで恋などしたことがなかったので婚約者候補者という立場になりどういう振る舞いをしたら良いのか分かりません。


いよいよ明日は美乃梨さんにお会いする日。

叔父様曰く同い年だそうでたいそうお可愛い方だそう。叔父様は


「同い年なのだから言葉遣いは崩しなさい」


と仰られた。それを聞き、僕はちゃんとやっていけるのか少し緊張してきました。婚約者候補の方は僕の他にも2人いるそうで、その方たちと仲良くできるかも心配になってきました。


美乃梨さんにお会いする前に使い魔のルークに身だしなみのチェックをお願いし、少し乱れていたシャツの襟を整えて貰いました。


美乃梨さんのお父様、恋咲家当主の薫さんのお部屋に向かい部屋の奥の方で待機していました。他の2人は先に着いていたようでソファに腰掛けていました。僕は軽く挨拶をすると、空いている場所に腰掛けました。


美乃梨さんが着いたそうです。僕たち3人は薫さんに呼ばれ、1人ずつ挨拶をしていきます。叔父様の言った通り美乃梨さんはかなり整った顔立ちをしていてとても可愛い子でした。


美乃梨さんが名前で呼んで良いと言ってくれたので、僕は美乃梨ちゃんと呼ぶことにしました。これからだんだんと言葉遣いを崩していこうと思いました。



挨拶が終わった後、僕たちはお茶会をしてその日は解散した。


今日は美乃梨ちゃんや僕たちの転入する日。

職員室へ着くと眠そうにあくびをしている真央がいた。(なんだ、僕が一番じゃなかったんだ)


「おはよう、真央!」

僕は真央の眠気が覚めるように大きめの声で挨拶をした。真央はびっくりしたように、


「あ、あぁ、おはよう景」


と挨拶を返した。

数分後には千秋もやってきた千秋は「はよ、」とだけ返した。美乃梨ちゃんもやってきて挨拶をすると先生が話し始めた。



……僕は1年2組だった。

(どんな人がいるのかな?)

千秋と美乃梨ちゃんと離れたし真央も学年が違うのは少し寂しいけどそれより僕は新しいクラスがどんな様子なのか気になっていた。


真央や千秋や美乃梨ちゃんたちと別れて教室に向かった。担任の先生に呼ばれて自己紹介をした。


「初めまして!有栖川景です!よろしくお願いします!」


明るい気持ちで挨拶を終えると教室内がざわついていた。僕は何か間違えたかな?と思いながら席へ向かった。僕の席は窓側から2列目の一番後ろの席だった。


隣の席の子は体育会系の男の子だった。僕はざわついた原因を知りたくてその子に聞いた。


「僕、何か間違ってたかな?なんか教室がざわついてない?」


すると隣の子は答えてくれた。


「あぁ、それは多分お前ががすげぇイケメンだからだろ、」


驚いた。今まで自分の容姿が整ってるなんて思ったことがなかったからだ。


「えっ!イケメンなんて初めて言われた」


すると男の子は、


「マジでか!?お前今までどんなとこにいたんだよ!」


と聞いて来た。素直に答えられる訳もなく「普通の学校だよ」と答えた。

話が一段落すると男の子が言った。


「そういえば名前まだ言ってなかったな!俺の名前は坂下和真(かずま)よろしくな!景!」


僕は気軽に下の名前で読んでもらえたことが嬉しかった。


「あぁ、よろしく和真」


僕はこのクラスならとても楽しい学校生活が遅れると思った。




ー千秋目線ー

俺は九条千秋。

俺は九条家の長男として生まれた。生まれた季節が秋だったからという理由で姉の千夏と同じように千秋と名付けられたそうだ。(ちなみに姉の千夏は夏生まれだ。)


そして、いよいよ明日は俺の13の誕生日だ。

明日の試練の発表に今までにないほど緊張してきた。



誕生日当日

俺は久しぶりにローブに袖を通した。

このローブは俺の好きな色である濃紺で去年の春に両親からプレゼントされたお気に入りのローブだ。


試練の発表は9時頃だというのにまだ8時にもなっていないというのにホールに向かった。それは昨日父さんから伝えないといけないことがあると言われたからだ。


ホールに着くとすでに父さんと母さんが揃っていた。


「千秋、誕生日おめでとう。」


父さんが綻んだ笑顔で言うとつられて俺の緊張も解けていった。


「千秋お誕生日おめでとうございます。もう13歳ですのね。子供の成長は驚くほど早いものですね。」


母さんは俺の成長を喜ぶように微笑んだ。


「ありがとうございます。父さん、母さん。」


俺はまだ慣れない呼び方で返事をした。

実は前まで父さんと母さんのことは父上、母上と呼んでいた。それが何故か今年から父さん、母さんと呼ぶように言われた。その理由は、すぐに分かった。


「千秋、お前に伝えないといけないことというのは、だな、恋咲家の跡取り娘の婚約者候補になってもらう、ということだ。勝手に進めてすまない。」


父さんが急に話しづらそうに切り出したかと思えば婚約者候補の話だった。そういえば姉の千夏も13歳の時3人の婚約者候補を連れてこられていた。千夏は今17歳でその時連れてこられた婚約者候補の内の1人と婚約している。

でも、まさか俺が恋咲家跡取りの婚約者候補になるとは思っていなかった。


母さんは、


「いきなりでごめんなさい。あなたの意志を尊重したいのは山々なのですがこればかりは決定事項なので覆せないの。」


と申し訳無さそうに言った。

俺は父さんと母さんに向き直り、


「父さんと母さんがそんな顔をする必要はありません。跡取りに婚約者候補がつくのは普通のことですよ。姉上だってそうではないですか。むしろ婚約者候補に選ばれたという事は本来誇れるべき事なのですよ。」


といい父さんと母さんに婚約者候補を受ける意思表示をした。そんな話をしているうちに時間は過ぎていった。


ちらほらと少しずつホールに人が集まってきた。

姉の千夏がやってきて祝いの言葉をくれた。


「誕生日おめでとう。千秋、試練も頑張って」


続いて姉上の婚約者である倉津木碧依(くらつきあおい)くんが祝ってくれた。


「千秋くん、試練が始まると思うけど頑張れ。」


俺は少し気恥ずかしくて


「ありがとうございます。姉上、碧依くん」


というと逃げる様にその場を去った。他にも挨拶や祝いの言葉を交わすと父さんに呼ばれた。試練の発表の始まりだ。


「皆、本日は息子の為に集まっていただき感謝する。これから息子の一つ目の試練を発表する。内容は正体を隠し続け一般の学校で生活することだ。」


俺は少し驚いたが一つ目の内容は婚約者候補となる為恋咲家の跡取りである美乃梨さんに合わせているらしいのですぐに返事を返した。


「俺、九条千秋は御年13を迎え試練を受けることをここに宣言します。」


あれから2日後、今日は美乃梨さんと他の婚約者候補2人との初交流だ。久しぶりに使い魔のレオが話しかけてきた。


「千秋様、今日は交流会ですので少しくらいオシャレをしてみては?」


レオは基本無口で俺も積極的に喋るタイプじゃない為あまり頻繁喋る事はない。珍しく提案をしてきたので乗ることにしてイニシャルが入った夜がモチーフのネックレスをつけてみた。


交流会では美乃梨の他に景と真央とも仲良くなった。4人共同じ試練の内容で俺たちは皆同じ学校に転入する。



転入初日

俺はいつもより早めに目が覚めたのでゆっくり学校に向かう事にした。

職員室に着くと景と真央はもう揃っていた。

俺が職員室に着いた5分後くらいに美乃梨は遅れてやってきた。全員が揃ってクラスが発表された。


俺は美乃梨と同じクラスだ。


教室に着くとサッと自己紹介を済ませて席に向かった。


俺の席は美乃梨の前の席だった。俺はその事に安心しつつ隣の席の人からの挨拶に軽く返した。そのあと美乃梨の隣の席の凪が話しかけてきた。凪は何故か熱っぽい顔をしていたので心配しつつ返事をした。



―真央目線―

夏も終わりに近づき残暑が厳しいある日、

僕は従兄弟であり当主の神崎麗華(れいか)に呼ばれた。麗華は3年前に当主になったばかりでまだ今年で24だ。


麗華は9つ上の姉さんや、7つ上の兄さんと仲が良く小さい頃から姉のように慕っていたが、当主になってからは忙しいようで中々会えていなかった。急に呼ばれたのでどんなようかと思い僕は急いで向かった。


麗華の部屋に着くと麗華の夫である神崎冬真(とうま)さんが迎えてくれた。


「いらっしゃい、真央くん」


冬真さんは僕の再従兄弟にあたる親戚で一族の集まりなどで顔を合わす程度だったけど麗華と婚約してからはよく会っていた。部屋の中に入ると麗華は目を通していた書類からこちらに目を向けた。


「久しぶりね、真央。いきなりだけど恋咲家の跡取りである恋咲美乃梨ちゃんの婚約者候補になって欲しいの。そして二つ目の試練の発表が明日にあるわ。」


本当にいきなりだよ。跡取りに婚約者候補が必要な事は知っているけどまさか僕が選ばれるとは思わなかった。そして、二つ目の試練の内容を早く聞きたいと思う気持ちが大きい。美乃梨ちゃんの事は見かけた事がある程度だ。でも特に断る理由はない為僕はその話を受けることにした。


「分かったよ…いえ、承知致しました。当主。」


僕はそう返事をすると交流会の知らせなどを聞いてから久しぶりに会ったので少しだけ冬真さんと麗華とお茶をしてから自分の部屋に戻った。



翌日、

誕生日ぶりのローブは落ち着いた黒色で体に馴染んでいる。僕の一度目の試練は使い魔を実体化させるという内容だった。普通の人には見えない使い魔を実体化させるのは凄く時間がかかったけれど使い魔のハルクと協力して去年の冬に無事やりとげる事ができた。


二つ目の試練の発表は近しい身内だけで集まって発表するらしい。集まっているのは姉の花央(かお)と兄である那央(なお)、そして両親、麗華と冬真さんだ。皆口々にお祝いと応援の言葉をかけてくれる。


僕が皆にお礼を言い終わると麗華は中央に立った。


「これから神崎真央の二つ目の試練を発表する。内容は正体を明かす事なく一般の学校に通う事だ。」


僕は驚いたが恋咲家跡取りである美乃梨ちゃんの婚約者候補になった時点で覚悟はしていたので無事宣言する事ができた。


「僕、神崎真央は二つ目の試練を受ける事をここに宣言します。」



あれから3日、今日は美乃梨ちゃんや他の婚約者候補との交流会だ。使い魔のハルクに朝早くから身だしなみを整えてもらった。


挨拶が終わり僕たちは4人でお茶をした。僕たちは4人共同じ学校に通う事になるので無事皆と仲良くなる事ができて良かった。



転入初日

僕は家でソワソワしていたら那央兄さんに


「そんなに落ち着かないなら早めに学校に行けば良いだろ?」


と言われ早めに向かう事にした。僕が職員室で他の3人が来るのを待っていた。


3人が揃いクラスが発表された。美乃梨と千秋が同じクラスで景は違うクラスになっていた。僕は一つ上なのでもちろん別のクラスだ。


自分のクラスに着くと担任の先生に呼ばれ、教室に入り自己紹介をする。


「初めまして、神崎真央です。これからよろしくお願いします。」


僕の席は窓側の列から数えて2列目の一番後ろの席だった。早速隣の席の子に挨拶をした。


「初めまして。ぜひ気軽に真央って呼んでね」


隣の席はハーフアップの似合う大人っぽい雰囲気の女の子だった。その子も挨拶をした。


「初めまして、早瀬瑠奈(はやせるな)です。こちらこそ宜しくね。分からない事があったら是非頼ってください。」


頼りがいのある子で僕はとても安心した。

描き忘れてしまいましたが、景くんの一つ目の試練の内容も、もちろん「魔法使いとバレずに普通の学校に通う」です!

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