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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編1年生
46/123

文化祭の幕が降りる

「みのりん、京翠センセ、おはよ!」


「ユーリちゃん、おはよう。」


「秋月さん、おはようございます。」


「みのりんは部活の出し物の担当、今日だっけ?」


「うん。1年生は今日の午前だよ。」


「そっか。絶対遊びに行くね!」とユーリちゃんは笑顔で言った。


「ユリ、みのりん、おっは〜!あ、京翠センセーもおはよう!」


「「おはよう!」」


レイラちゃが元気よく教室に入って来た。


「みのりん、部活の担当っていつ?」


「午前だよ。」


「じゃあ午後からは一緒に回らない?」


「うん。一緒に回りたい。あ、でも今日は麗華さん達が来るんだよね。」


と私が言うと2人は頭を捻った。


「麗華さんは真央くんの従兄弟。今日来るのは麗華さんと千秋のお姉さんの千夏さん。それと真央くんのお兄さんとお姉さんの那央さんと花央さん。」


「神崎先輩って兄弟いるの!?意外。」


「そう?そういえばレイラちゃんって兄弟いるの?」


と私が聞くとレイラちゃんは笑顔で言った。


「居るよ。3つ上の兄が。でもアメリカに居るんだよね。ほら、これ。」


とレイラちゃんは写真を見せてくれた。


「うわっ、いつ見てもイケメンだね。」


「うん。レイラちゃんと似てるね。」


「えへへ。ありがと。そういえばユリ、お兄さん達は来るの?」


ユーリちゃんは物凄く嫌そうな顔をして頷いた。


「どうしたのよユリ。顔歪みすぎでしょ。」


「トモくんは良いとして、お兄ちゃんとヤマが問題なんだよ〜」


「えっと、一応確認するけどヤマは従兄弟でトモは2番目のお兄ちゃんだよね?」


「そうそう。昔から1番上をお兄ちゃんって呼んでたんだからトモくんは君付けなんだよね。」


「そうなんだ。私はお兄ちゃんの事は呼び捨てだけどね。」


アメリカでは兄妹間でも名前で呼び合うのが普通らしい。


「仲良いんだね。」


「うん!でもみのりんも弟くん達と仲良さそうだったじゃん。」


「うん。3人ともとても可愛いの。それに、とても優しいわ。」


私がそう言うとユーリちゃんは「みのりんずるい!」と言った。


「どうしてよ?ユーリちゃんもお兄さんが居るじゃない。」


「だって私のお兄ちゃんは優しくないし。いつもからかってくるんだよ?トモくんは天然気味だからか、悪気なく馬鹿にしてくるし。」


「それはそれで仲良いじゃん!ユリは贅沢者だね。」


「レイラにだけは言われたくない。イケメンな彼氏とイケメンなお兄ちゃんが居るんだもん。」


とユーリちゃんは頬を膨らませた。


「ユーリちゃんにもきっと素敵な王子様が現れるよ。」


と私が言うとユーリちゃんは不貞腐れたように言った。


「王子様が現れるのはみのりんみたいな可愛い子の前だけだよ。」


既にユーリちゃんに恋している王子様(和真くん)が居るのに、ユーリちゃんは信じてくれない。


「ユーリちゃんは可愛いよ!」


「そうだよ、ユリ。確かにみのりんは規格外の美少女だけどユリも十分顔整ってるから!その証拠にユリにそっくりなトモ、モテモテじゃん!」


「トモくんと私はあんまり似てないよ。」


「いや、笑った顔そっくりでしょ!ね、みのりん。」


「うん。ユーリちゃんのかっこいい版って感じがしたわ。」


「うんうん、そうだねえ〜」と後ろから声が聞こえて来た。


「おはよ、美乃梨。秋月と姫野もそろそろ席に着いたら?ホームルーム始まるけど。」


「え、嘘マジ!?」


「気付かなかった〜」


そして2人は席に戻った。


「おはよう、凪くん。千秋も。」


「"も"だって。千秋はおまけのおもちゃだね。」


と凪くんは可笑しそうに笑った。


「黙れ、凪。美乃梨、おはよう。」


「今日は千夏さん達も来るんだよね?」


「ああ。それと……いや、何でもない。」


「何それ。気になるんだけど。」


「後でのお楽しみだ。」


と千秋は悪戯そうな顔で笑った。そしてホームルームは三日月先生の話、「精一杯楽しむ事」とのひと言で終わった。


「美乃梨〜、千秋〜!一緒に行こうぜ!」


と爽夜くんと透くんが呼んでくれた。1年生は私達しか居ないので皆んなで屋外に順番されている簡易コートに向かった。そして準備が終わった頃、


「まだ人も来てねえし、京翠センセ、相手してくれませんか?」


と爽夜くんが言い出した。


「構いませんよ。ハンデはどうしますか?」


「ハンデ?京翠センセーはバスケ経験者だったんですか?」


「はい。スポーツはひと通り。」


「じゃあシュートとカットは利き腕じゃない方でお願いします。」


そして1on1が始まった。千秋が審判をしている。

透くんは私の方に寄って言った。


「どっちが勝つと思う?」


「京翠でしょう。」


「まあ、そうだよな。京翠先生、やばい程運動神経良いもんな。じゃあ何点差だと思う?」


「10点マッチでしょう?なら6点差くらい?」


「俺は1点も決めさせないと思う!」


と透くんは自信満々に言い切った。流石に京翠はそんなに大人気ない事はしない、と思う。ちゃんと言い切れないのは偶に、子供相手に手加減無しで勝負に勝つ時があるからだ。


そしてあっという間に終わり結果は透くんの予想した通り10−0で京翠の勝ちだった。


「京翠センセー強すぎだって、ハア、ハア」


爽夜くんは息を切らしながらそう言った。


「すみません。美乃梨様の前でしたのでつい力が入ってしまい。」


爽夜くんと対照的に汗一つ見えない京翠が涼しい顔をしながらそう言った。しばらくして三日月先生が大荷物を持ってやって来た。


「そこの1年4人!大事なものを忘れてるだろ?」


「「「…………」」」


「あ、コスプレですか?」


私がそう言うと三日月先生は顔を明るくして言った。


「ご名答。さっさと着替えて来い。もうすぐお客さんが来るぞ。」


「待って、先生。女装ばっかじゃ無いですか!」


「男装もある筈……しまった。男装は山代達が来てるからもうあと1着しか無いんだった。」


「何で颯先輩が?」


「いや、山代達3年はお前達1年の次だろ?だからだ。全員女装を回避したくて早めに衣装を受け取りに来たんだ。女装して校内歩くことに比べたらコスプレなんか千倍マシだってさ。親に見られたくないんだとよ。」


「普段はノリ良いくせに酷いよな〜」と三日月先生は言ったが、そこから透くん、爽夜くん、千秋のバトルが始まった。


「三日月先生、私これにします。先に着替えて来ますね。」


私が選んだのは至って普通の白いワンピース、かと思いきや先生は私を引き留めた。


「恋咲。それはこれとセットだ。」


「ふわふわ……」


そう、渡されたのはふわっふわな白い羽。私の選んだ服は天使のコスプレだった。羽は邪魔そうだけどまあ良いかと思いながら更衣室に行って着替えた。ご丁寧に天使の輪まで用意されている。


「着替え終わりました、ってまだ言い合いしてるんですか?」


私は言い合いを傍観している三日月先生に聞いた。


「ああ。おかえり、恋咲。俺ちょっと用があるから席を外すな。もうそろそろお客さんも来るだろうしどうにかしといてくれ。」


と言い三日月先生は行ってしまった。

はあ、と溜息をついて3人の所に行った。


「3人とも早くしないとお客様が来ちゃうわよ?コスプレなんて何でも良いでしょう?」


「いや、百歩譲って女装以外なら何でも良い。」


「「…………」」


2人も沈黙しているので分からないが爽夜くんの意見は分かった。


「普通にじゃんけんで決めたら良いんじゃ……」


「俺はそれで良いんだけど千秋と透が拒否するんだ。じゃんけんは弱いからって。」


「じゃあいっその事全員女装すれば良いじゃない。あ、私が男装しようか?」


「いや、美乃梨はそれ似合ってるからそれのままで良いと思う。」


「そう?ありがとう、爽夜くん。」


そして時間は迫るばかり。そして意を決して?爽夜くんは警察の服を選んだ。


「あ、爽夜くん。」


『その衣装なら色合い的に制服のズボンと合わせられるんじゃない?』


『本当だ。教えてくれてありがとな。』


『良いよ。早く着替えてくれないと私1人じゃ対応出来ないから。』


そして透くんと千秋の方へ行った。因みに唯一の男子用のコスプレは


「何、これ?」


「海賊らしい。」


2人はどうやら海賊の衣装を取り合っていたようだ。他にあったのはヒラヒラのフリルのついたワンピースのメイド服と赤いワンピースの


「赤ずきんちゃん?」


「ああ。千秋ならまだしも俺は似合わない。」


と透くんは言った。


「2人とも似合うと思うけど、」


その時着替え終わった爽夜くんが帰って来た。


「おい、2人とも。まだ決めてないのか?」


「え、何でスカートじゃないんだ?」


「美乃梨がアイディアをくれたから。」


結局2人とも嫌々ながらも女装する事になった。


「最初から女装しておけば良かったのにな。」


「そうだよね。お祭りなんだから楽しまなくちゃ!」


そして2人が着替えて戻って来てから初めてのお客様が来た。


「ユーリちゃん、レイラちゃんと雅美ちゃん!それに凪くんと篤季まで!来てくれたんだ。ありがとう。」


「俺達は11時まで担当なんだ。」


「そっか。終わったら一緒に景達の所行かない?あ、雅美と回るか。」


「雅美とは昨日回ったし、雅美も美乃梨達と回りたいだろ?」


「うん!当たり前じゃん!」


すると篤季が声を上げて言った。


「美乃梨お嬢様!その衣装、とてもお似合いです!」


「そう。ありがとう、篤季。」


「うんうん、凄く似合ってる。可愛いね。」


最近、凪くんが躊躇わずに可愛いと口にしてくるので少し反応には慣れてきた。


「ありがとう。でも千秋と透くんには負けちゃうかもだけど。」


「最近の美乃梨、可愛いって言ってもスルーできるようになったよね。そういうとこも好きだけど。」


「す、好きだなんて気安く言っては駄目よ。」


「可愛い以外は耐性がつかないのは美乃梨らしいっちゃらしいよね。」


凪くんはからかいながら笑っている。


「柄灯、みのりんをからかいすぎると騎士(ナイト)が怖いよ?良いの?」


レイラちゃんがそう言うと凪くんはハッとしたように口元を押さえた。


「みのりん、写真撮ろ!」


とレイラちゃんは私の腕を引いて言った。が、爽夜くんが止めた。


「美乃梨と写真を撮りたかったらちゃんとここで遊ぶ事。美乃梨と写真を撮る為だけに来たならただの営業妨害だ。」


「うわ、松岡が正論言った。てか分かってるよ!みのりんのシュート姿見に来たんだから。」


そして私はレイラちゃん、ユーリちゃん、雅美ちゃんと1on1をする事になった。もちろんコスプレのままでだ。三日月先生曰く、このコスプレはハンデの意味もあるかららしい。


「羽と天使の輪があると動きづらい。」


「みのりん相手にハンデがそれだけって、三日月先生は景品くれる気無いよね?」


6点先取で行った試合は私が全て勝った。流石にほぼ毎日練習してるのに負けられるわけがない。


そして透くんと凪くん、千秋と篤季で試合をし、結果はバスケ部組の勝利だ。


「ちょっとくらい手加減してよ!」


「美乃梨お嬢様の前でくらいは勝ちたかったのに、」


そして私はレイラちゃん達と写真を撮った。


「京翠センセー、写真、お願いします!」


「かしこまりました。」


カシャ、とシャッター音が鳴り京翠は撮った写真を見せてくれる。


「やっぱ、みのりん可愛すぎ!写真でも可愛いけどやっぱり本物が一番可愛いね!」


「ありがとう。ユーリちゃんもとても可愛いよ。」


そして京翠がレイラちゃんにスマホを返すと篤季と凪くんも一緒に写真を撮ろうと言って来た。


「3人で撮るの?凪くんと篤季って仲良かったんだね。」


「え、3人で?美乃梨とのツーショットが良かったんだけど。」


「でも2人同時に言ったわよね?」


「それは偶々。」


結局凪くんと篤季とはそれぞれ別で撮った。

そして凪くん達は他の所を回るそうだ。「11時になったらまた来るね。」と言い、凪くんはここを離れた。


そして続々と人が来て、中には私や千秋のファンだという子も来て握手やサインを求められた。偶に写真を求めてくる人も居たけれど……京翠が、何というか、笑顔で追い払った。


(私としても見ず知らずの人と写真を撮るのはあまり進んでしたい事では無かったので良かったけど)


そして私達が担当した最後のお客様、


「麗華さん!花央さんと千夏さんも!来てくれてありがとうございます。」


「天使なんだ。可愛いね。それと来てるのは私達だけじゃないよ?」


と麗華さんは後ろに視線を向けた。


「那央さんと冬真さんと碧依くん?それに……紅音くん!?」


「久しぶり、美乃梨。元気だったか?」


と紅音くんは私の頭を撫でながら言った。


「うん!煌達も元気だよ。」


「そうだ。母上から聞いたよ、今度お茶会をするってね。楽しみにしている。」


「私も楽しみ!前、紅音くんと会ったのは紅音くんの二十歳の誕生会だよね?」


「そうだな。ところで後ろの子達は友達か?困惑してるが。」


と紅音くんは爽夜くん達を見ながら言った。


「こちらは私の友人の、」


「松岡爽夜です!」


「笹木透です。」


「初めまして。美乃梨の従兄弟の倉津木紅音です。」


すると爽夜くんが私の腕を引っ張って耳元で言った。


『美乃梨の周りって美形しか居ないのか!?』


『確かに美人な人が多い気はするけれど……そんなに驚くことかしら?』


『いや驚くだろ!?何か美形が集まりすぎてオーラがやばいんだが!?』


『そんな事ないわよ、多分。』


すると後ろからポン、と肩を叩かれた。振り返ると碧依くんが立っていた。


「美乃梨、婚約者候補以外の好きな人が出来てたの?安心して、僕は応援するから。」


「何言ってるの?私の好きな人は……婚約者候補のうちの1人だから。」


「そう?随分と仲が良いように見えたから。」


すると爽夜くんは慌てて首を横に振った。


「美乃梨と俺はただの友、いや親友です。」


「そうだよ。それに爽夜くんにはとても可愛い彼女がいるんだし。」


「いや、美乃梨何言って、」


「彼女が?青春ですね。」


碧依くんにそう言われて爽夜くんは顔を真っ赤に染めて頷いた。


「ご、ごめん。」


「別に良いよ。それより説明しないと、って透と千秋がもうしてるか。」


そして紅音くんと碧依くんは爽夜くんと千秋と1on1をする事になった。結果は紅音くんと碧依くんの勝ちだった。


「流石だね、2人とも。」


私はそう言って2人にミサンガを渡した。


「ありがとう。婚約者の前でくらいは格好つけたいからね。」


碧依くんはチラッと千夏さんの方を見た。千夏さんは碧依くんの視線に気付かず千秋をからかっている。そして私達の担当が終わり3年生へバトンタッチした。


「颯先輩、よろしくお願いします。」


千秋と透くんは11時になった途端更衣室まで着替えに走った。


「似合ってたのにね。」


「美乃梨、2人の気持ちも考えてやれ。2人も好きな子の前ではかっこよくいたいんだよ。」


「そっか。2人とも好きな人が居るんだ。爽夜くんが着替えないのはその服がかっこいいって雅美ちゃんに言われたから?」


「まあ、それもあるけどイベントだしな。美乃梨もそうだろ?」


「うん。羽と天使の輪は少し動きづらいけどレイラちゃん達に似合ってるから今日一日はそのままで居てって言われたから。」


爽夜くんは納得したように頷いた。

そして千秋達と一緒に凪くん達がやって来た。


「あれ、美乃梨と爽夜はそのまま?千秋と透は着替えてるのに。」


「私達が頼んだの。じゃあ先にお昼食べよ!」


とユーリちゃんは言った。私達は貴翠のクラスの屋台へと向かった。屋台の前は人集りが出来ていた。


「あれ、混んでる。」


私がそう呟くと京翠が言った。


「貴翠ですね。ああ見えて自分の容姿の良さに気づいていませんので。感情の機微には敏感ですのに。」


するとユーリちゃんが言った。


「貴翠先輩かっこいいですもんね。放送部の先輩が声も良いって言ってました。」


「やっぱり貴翠って人気なのね。」


「それよりどうやって屋台に近付くかだけど……OK?みのりん!」


「お、OK。」


そして私は息を吸って言った。


「貴翠ー!バスケ部の担当時間終わったよー!」


レイラちゃんは昨日、客寄せ中の貴翠と会い、話したらしい。レイラちゃん曰く、私の部活の担当時間が終わったら抜けられると言っていたらしい。(何故かは分からないが。)


すると人集りの中に道が出来、貴翠が私達の元へとやって来た。


「美乃梨様、お待たせ致しました。」


貴翠はそう言いながらポープコーンを持って来た。


「お疲れ様、貴翠。それよりどうして私が来ると抜けられるの?」


「それは、私のクラスメイト達が私が美乃梨様へ恋心を寄せていると思っているそうで、否定するのも面倒臭かったのでそのままにしておいたんです。」


「どうしてそんな誤解が生じているのよ。」


「私がクラスメイト達に美乃梨様に関する質問をしすぎた所為でしょうか。」


そして私達は周辺の屋台でお昼を済ませた。

午後から凪くん達は景くんと和真くんの居るサッカー部に向かうと言っていた。ユーリちゃんがサッカー部の出し物をしたいと言ったので私達もサッカー部に向かう事になった。


「そういえば、篤季はこちらに居ると思いましたが、凪さん達と共に行動しているのですね。」


「そう、私の知らないうちに皆仲良くなってたのよ!貴翠は知ってた?」


「いえ、仲良くですか。恋敵(ライバル)同士でも仲良くなれるんですね。」


「なんのライバル?」


「勿論、美乃梨様を獲り合う恋敵ですよ。凪さんと篤季は。他にも居るようですが今はまだ時期尚早でしょうか。」


「獲り合うって私は2人に好きな人が居るからと振っているのよ。」


するとユーリちゃんが言った。


「みのりん、柄灯くんと本堂くんにそれを言っても効果はゼロでしょ。」


「ユリの言う通りだよ。みのりんが九条に告るまであの2人はアプローチし続けるでしょうね。神崎先輩なんか九条とみのりんが両思いになっても全然諦めなさそう。」


「それに後の2人も、ね。」


雅美ちゃんが最後にボソッと呟いた。


「後の2人って誰と誰?」


「今のは忘れて。」


そしてグラウンドに着くと和真くんが出迎えてくれた。サッカー部の出し物はキックターゲット。今は透くんが挑戦中だ。


もう終わったらしい凪くんと爽夜くんはそれぞれ景品を持っている。凪くんがサッカーボールのしおりで、爽夜くんがキーホルダーだった。


「数字に寄って貰える景品は違うよ。美乃梨もやるのか?」


「うん、私もやってみたかったけど今、スカートだから無理かな。」


私が自分の姿を見下ろしながら言うと和真くんが、


「欲しい景品があったら頼んでみたら?後ろに居る貴翠先輩とか、景とか。」


と言った。


「流石に悪いよ。私は見てるだけで十分だから。」


という私の発言も聞かず、和真くんは景くんを呼びに行った。景くんはゴールのあった所から真っ直ぐ走って来た。「足速すぎっ!」とレイラちゃん達は言っている。


「美乃梨ちゃん、天使の衣装だ……!凄く似合ってるね。」


「ありがとう。」


「和真から聞いたけど、欲しい景品があったら僕がとってあげるよ?」


「えっと、和真くんにも言ったけど流石にそれは景くんに悪いからいい。私は見てるだけで十分。」


「じゃあ、交換って事で。僕の担当時間もうすぐで終わるんだけど、文化祭、一緒に回ってくれない?」


「ごめん、レイラちゃん達と約束して、」


「良いよ!」


私が断ろうとするとユーリちゃんが遮りながら言った。


「私達は昨日も一緒に回ったし、雅美もみのりんの天使姿見て満足してるし。ほら、みのりん。有栖川くんからのデートのお誘いだよ?」


「で、デートなんて大袈裟よ。」


私がそう言いながら景くんの方を見ると景くんは私を見つめて言った。


「僕はデートのつもりだよ。」


景くんの真剣な目線を逸らすことは出来ずにしばらく固まってしまった。そして景くんはゴールの方へと戻って行った。


「京翠、ついて来てくれるよね?」


「勿論ついて行きますが……どうされました。」


「いや、自意識過剰なだけだと思うからいい。」


「(まさか美乃梨様が景様からの好意に気付かれた?いや、美乃梨様が気付かれるだろうか?)独り言でもよろしいので、なんでも仰って下さい。」


「景くんってもしかして私の事……からかってるのかしら?」


「はい?」


「前にも照れてる私を見て笑っていたわ。今回は笑っていなかったけれど、真剣そうな顔をしてたわ。真剣にからかってるのかしら?」


私が「どう思う?」と京翠に聞くと京翠は「景様が可哀想です」と言った。(どうしてなのよ?)私はそう思いながら貴翠に目線を向けた。貴翠は優しく微笑んで教えてくれた。


「美乃梨様は人を信用しきれていないのではないでしょうか?」


「そんな事ないわよ。」


「では、先程の景さんの表情はどうでしたか?」


「真剣そうだったわ。」


「ではどうしてからかっていると思ったのです?」


「……表情に出ている事が全てでは無いから。表情なんて訓練すれば隠せるわ。」


貴翠は「そうですね。」と微笑みながら言った。

そして、


「美乃梨様が鈍感なのは環境の所為でしょう。」


と言い出した。私が反論しようとするもユーリちゃん達は頷いている。

しばらくして千秋と透くんも終わったようで景くんがやって来た。


「美乃梨ちゃん、どの景品が欲しい?」


「このリストバンド。」


「えっ、」


私が紺のリストバンドを指差すと景くんは固まった。


「駄目だった?お洒落だったからつい、」


固まった景くんに変わって和真くんが教えてくれた。


「それ、景の手作りなんだ。器用だよな。」


「凄い!景くん裁縫上手だね!」


「あ、ありがとう。自分で自分の作った景品を狙うってなんだか変な気分。」


と言いながら景くんはゴール前に行った。リストバンドの入っている箱は6番なので6番のゴールを狙わないといけない。チャンスは1人2回まで。


景くんは綺麗なフォームでボールを蹴り見事6番と書かれた布に当てた。


「流石景だな。一発ゴール!」


「ちゃんと当たって良かったよ。美乃梨ちゃん、はいこれ。」


そう言いながら景くんは紺のリストバンドを渡してくれた。


「ありがとう。大切にするね。」


そして景くんは一緒に回ろう、と私の腕を引っ張って行った。サッカー部のユニフォーム姿の景くんと天使の羽と輪のついた私。周りから見たら物凄く目立つのだろう、視線が痛い。


そして、色々な教室を周りレイラちゃん達の元へ帰ろうとした時、見覚えのある人達が


「あれ、美乃梨ちゃん?」


「久しぶり〜」


「優里どこに居るか知らないか?」


「レンさん、ヤマさん、トモさん!ユーリちゃんならグラウンドにいると思います。」


「ありがとう。可愛い天使さん。」


ヤマさんはウインクしながらそう言ってグラウンドに向かった。


「景くん、私達もレイラちゃんの所に……ってどうしたの?」


景くんは私の腕を引っ張って人気の無い屋上へと連れて行った。


「どうしたの、景くん。」


「美乃梨ちゃん、今から言う事は美乃梨ちゃんを困らせちゃう事なんだけど、それでも聞いてくれる?」


景くんは今にも泣いてしまいそうな悲しい顔でそう言った。私は断れる筈も無く、首を縦に振った。


「僕は、頭が良いのに天然っぽくて鈍感で、アピールしても全然気付いてくれない。そんな美乃梨ちゃんが大好きだよ。」


私は一度深呼吸をして景くんに言った。


「私は景くんの事、友達として好き。でも、私には好きな人が居るから……ごめんなさい。」


「謝らないで。千秋の事が好きなんでしょ?」


私がなんで分かるの!?と言うと景くんは


「千秋本人以外は気付いてるんじゃないかな。」


と言った。


「困らせる事って言うのはね、僕は美乃梨ちゃんが千秋を好きだって分かってて告白した事だよ。つまり、諦める気はないって事。」


景くんは悪戯そうな顔をして笑った。いつも王子様みたいにキラキラしている景くんが今は13歳の悪戯っ子な男の子に見えた。


「じゃあ、千秋達の所に戻ろうか。」


そう言いながら景くんは私の手を引いて行った。グラウンドに着くと真央くんが居た。なんでも那央さんと対決していたそうだ。


そしていよいよ文化祭も幕を閉じた。

やっと景くんが告白出来ました!(^。^)

残すは千秋と透くんです!どちらが先に告白を?

次回はパーティーの服の試着です♪

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