テストが終わって文化祭へ!
「はあ〜、やっとテスト終わったよ。」
隣の席から凪くんの声が聞こえて来た。
今日でテストも終わり、部活が再開する。
「そうだね。」
「でも僕、今回は今までで一番自信あるんだよ!」
「そ、それは良かったね。」
「うん!美乃梨とのデートが掛かってるからね。まさか、忘れてないよね?」
「忘れてなんてないわよ。でも380点とれたらだからね!
……それに、凪くんこそ、私に好きな人が居る事忘れてない?」
「忘れるわけないよ。でも、デートが出来たら美乃梨に絶対僕の方が良いって思わせてみせるから!」
「私、そんなに惚れやすくないわ。」
私がそう言うと後ろから急に声が聞こえて来た。
「確かに、美乃梨様は手強そうですね。」
「京翠!?」
「京翠先生、好きな子へのアプローチって何をしたらいいと思いますか?」
「好きな子の目の前で聞く事ではないと思いますが、アプローチですか……正直私もあまりした事が無いのでお役に立てるか分かりませんが、そうですね。」
と言い京翠は目を瞑って考える素振りをした後、凪くんの方を向いて言った。
「ボディータッチやストレートな愛の言葉の方が美乃梨様にはよく効くと思いますよ。」
「ありがとうございます!京翠先生。やっぱり美乃梨の事は京翠先生に聞いて正解でした。」
「京翠、何私を売ってるの?」
「とんでもございません。私が美乃梨様を売るだなんて……柄灯くんにピッタリなアドバイスをしたまでですよ。実際、柄灯くんにアドバイスした事は美乃梨様には効果的でしょう?」
「そんな事、無い、とは言い切れないかもしれないけど、何でそんなにアドバイスが適確なのよ。」
「私は今、先生ですので。」
上手く言い逃れしている気がするけど良しとした。
そして三日月先生が入って来てホームルームが始まった。
「今日でテストは終わりだけど気を抜きすぎるなよ。明日から本格的に文化祭の準備が始まるからな。」
「先生、文化祭までもう時間ありませんよね?」
「いや、それが、学校側の都合で文化祭が11月半ばに延びたからまだ時間はある。」
「そうなんですか。」
「あ、それと、恋咲と阿藤、今日実行委員会の集まりがあるんだ。伝え忘れてた、すまない。」
「はい、分かりました。」
「了解です!」
そしてホームルームが終わり、
「千秋、私委員会終わってから部活に向かうね。」
と言い委員会に向かった。
勿論京翠はついて来ているが、阿藤くんは気にしていないみたいなので良かった。
「恋咲〜、そろそろ行くぞ?」
「うん。あ、阿藤くん、集まりってどこでするの?」
「あー、3年6組。」
「6組……三笠先輩のクラスだっけ。」
3年6組に着くと、三笠先輩も居た。
「三笠先輩!お久しぶりです!」
「恋咲!ありがとう!」
「はい!?いきなり、どうしたんですか?」
「いや、後で説明する。」
三笠先輩がそう言った時、後ろに居た阿藤くんが
「藍、何で居るんだ?」
と言った。
「ごめんね、葉月。驚かせようと思って。」
「えっ、三笠先輩と阿藤くんって知り合いだったんですか?」
「ああ、兄弟だよ。」
「そうなんだ。確かに似てるかも?」
と私が言うと2人が驚いたように言って来た。
「何で驚かないんだ!?」
「俺も驚かれなかったのは恋咲が初めてだ。」
「そういえば、名字、違いますね。」
「気付くのが遅いな。俺達、両親が離婚して、それぞれ別の方について行ったから名字が違うんだ。俺は母方の名字の阿藤、藍は父方の名字で三笠。」
「そうなんだ。」
「じゃあ、恋咲。事情も知った事だし、出来れば名前で呼んで欲しいな。」
「どうしてですか?」
「実は、母さんと父さん、離婚後にまた仲直りと言うか付き合い始めて、もしかしたら再婚するかもしれないんだよ。それで名字呼びだと変わるかもしれないからね。」
「そうですね。私の知り合いも婿入りの人が多いですから。改めて、よろしくお願いします、藍先輩。」
私が藍先輩にそう言うと阿藤くんも
「じゃあついでに俺も下の名前で呼んでくれ。なんか名字でくん付けってくすぐったいんだよ。」
と言った。
「分かった、葉月くん。」
そして委員会の担当の先生が入って来た。
七倉蓮介先生だった。私が軽く後ろに目をやると京翠は笑顔を見せたので気にしなくていいだろう。
七倉先生もこちらに気付いたようで気にするような動作を見せたがすぐに我に返ったようで話を始めた。
「今日は各クラスの内容を決める。じゃあ3年から第一希望を発表して下さい。」
そして3年生、2年生、1年生という順に第一希望を発表していった。私達の第一希望の劇は他に3クラスしか無かったのですんなりと決まった。
そして他のクラスは3年生が優先されて決まり、2年生と1年生は抽選で決まった。
「次は担当を決める。内容は、看板作り、ポスター作り、案内係、文化祭の開催宣言、そして実行委員主催のなんでも告白大会の司会、進行役。はい、10分とるので考えて。」
と言い、七倉先生はタイマーを10分にセットして時間を計り始めた。
「葉月くん、なんでも告白大会って何か分かる?」
「いや、大体は分かるけど……」
と言いつつ前に座っている藍先輩の肩を叩いた。
「藍、なんでも告白大会ってどんななんだ?」
「よくあるのは秘密の告白とか好きな人への告白が多いと思う。まあ、俺には関係無いけどな。」
「んだよ、その意味深な言い方。」
「さあな。葉月には教えてやらない。恋咲には後で教えるけどな。」
「だから何の事ですか?」
「後でな。それより決めないと時間無いよ?」
「本当だ。私、なんでも告白大会の司会と進行面白そうなんでやってみたいです。」
私がそう言うと葉月くんが
「恋咲、劇の主役も部活もあるのに大丈夫なのか?
無理しすぎじゃないか?」
と心配してくれた。
「心配してくれてありがとう、葉月くん。でも、私、イベント好きだし体力あるから大丈夫よ。」
「意外だな。」
「葉月くんはどれにするの?」
「俺は看板作りにする。藍は?」
「俺は案内係にするよ。」
そして委員会は滞りなく終わった。
私は気になっていた事を藍先輩に聞いた。
「藍先輩、結局最初の感謝の言葉は何だったんですか?」
「恋咲には話したかったんだけど、葉月に、弟に知られるのは恥ずいんだけど。」
「何でだよ、良いだろ?」
「いや、恥ずいからやだ。恋咲、耳貸して。」
と言い、藍先輩は私の耳元で教えてくれた。
『恋咲のお陰で環奈と付き合えたんだ。』
「本当ですか!?凄いですね!」
『恋咲が背中押してくれたお陰だ、ありがとう。』
「大した事してませんが、どういたしまして。そしておめでとうございます!」
私が藍先輩にそう言うと葉月くんが
「何がおめでたいんだ?」
と聞いて来た。藍先輩は直様誤魔化したが、葉月くんは知っていたみたいで……
「何、副会長と付き合える事にでもなった?」
と聞いて来た。私だけでなく、藍先輩も目を丸くして
「何で葉月が知ってんだよ。言ってねえのに。」
と言った。葉月くんは
「はあ?ペンギンが好きな人って副会長の事だろ?この前偶然見かけた時、鞄にペンギンのグッズがこれでもかという程付いてたからな。」
と言いニヤリと笑って
「大ヒントくれてたよな?」
と言った。
少しして、先程話に上がっていた環奈先輩が来た。
「藍くん?もう終わった?」
「ああ。」
「環奈先輩、お久しぶりです。」
「恋咲さん、久しぶり。もう1人は……阿藤葉月くんだよね。初めまして。2人とも藍と知り合いなの?」
「環奈、葉月は僕の弟なんだよ。」
「えっ!?そうなんだ。でも言われてみれば似てるかも?」
「ほら、恋咲。やっぱり普通は驚くんだよ。」
「偶々と思うわ、多分だけれど。」
私が葉月くんとそんな話をしていると環奈先輩が眉を歪めて京翠に近づいた。私はすっかり忘れていた。京翠が、いや、本堂家の人が巫女の血を受け継いでいる事を……
「すみません、教育実習生の方ですか?」
「はい。1週間程前に教育実習生としてこの学校に来た本堂京翠です。」
「本堂というのは本堂貴翠さんとその弟さんの知り合いですか?」
「はい、兄です。どうかしましたか?」
「いえ、何となく気配を感じて。もしかして貴方、」
「環奈先輩、」
環奈先輩が少し際どい事を言いそうになったので私は慌てて遮った。
「本堂先生が私と似ているように感じただけ。」
私は「そうですか?」と躱そうとしても彼氏である藍先輩が環奈先輩に聞いた。
「環奈と本堂先生が?似てるか?」
「藍くんは私が巫女なのを知ってるよね?」
(ちょっと、本当に危ない。分かってるの、京翠?)という目線を後ろの京翠に送った。京翠はこちらに気付き、笑顔で頷いた。
「環奈さん、と呼ばせていただきますね。環奈さんは何を言いたいんですか?」
「では単刀直入に言います。本堂先生は男巫なんですか?」
「私の家は神社ではありませんよ。」
「神社の神官達とは気配が全く違います。」
「そうなんですか?」
「しらばくれないで下さい。そういえば、本堂くんと恋咲さんは知り合いみたいだね。本堂先生とも昔馴染みのようだし……恋咲さん、何か知らない?」
と私に聞いて来た。
「えっと、実家が神社では無いことくらいしか。」
「本当に?信じて貰えるか分からないけど、私ね、巫女なの。本物の。」
「凄いですね!」
と私が言うと環奈先輩は「ありがとう」と言った。
「環奈、"本物の"ってどういう事?」
「本当に神を降ろす事が出来るって事。あと、神託を伝えたりも出来るかな。」
「凄いな。」
「副会長、それってマジなんスか?」
「うん。本当だよ。で、本堂先生。話を戻しますね。本堂先生は男巫なんですよね?」
「では、仮定の話をします。もし、私が男巫だったらどうするんですか?」
「どうするも何も、おかしいじゃないですか。神社の生まれでも無いのに。ですので一応神社協会には報告しようかと思っただけです。」
「そうですね。正直に言いまして、私自身は男巫ではありません。」
「"自身は"という事は周りの人には居るって事ですよね。」
環奈先輩は探るような笑顔を見せながら京翠にそう言った。京翠も表情を読まれないよう笑顔で答える。
「そうですね。父から先祖の中には巫女が居たという話は聞いた事がありますね。」
「そうですか。ではあと一つだけ教えて下さい。」
「何ですか?」
「巫女って気配を読める人が多いんです。本堂先生の気配は男巫だけではなく何か他のものも混ざっているような気配なんです。それは何故ですか?」
「……そうですね。純粋に巫女以外の血を引いているからだと思いますよ。」
「……そうですか。」
環奈先輩は納得していないような表情をしながらも頷いた。
「時間を取らせてしまいすみません。藍くん、そろそろ帰ろう。恋咲さん、阿藤くん、またね。」
「ああ。じゃあね、恋咲、葉月。」
「お、おう。」
「はい、さようなら、藍先輩、環奈先輩。」
2人が帰って葉月くんも
「俺もそろそろ部活に行くわ。また明日、恋咲。」
と言い、部活に行った。
「京翠、私達も体育館に行こう。」
「そうですね、美乃梨様。」
そして体育館に着くと何故か全員制服姿だった。
「皆、制服姿でどうしたの?」
私は近くに居た透くんに聞いた。
「実は部活でも文化祭の準備があるんだってさ。」
「そうなの?それで、バスケ部は何をするの?」
「フリースロー大会と1on1だってさ。それで今日は看板作りと景品作りの係決め。」
しばらくして大荷物の三日月先生がやって来た。
「おう、恋咲。お疲れ様。バスケ部の女子はまた来てないのか。」
「そういえばまだ顔も見た事ありませんね。」
「まあ、あいつらは幽霊部員みたいなものだからな。でも、地域のクラブチームに通ってるらしいから練習はちゃんとしていると思うけどな。」
「そうなんですね。ところで先生のその荷物は何ですか?」
「ああ、これか?これは……」
と言い先生は荷物の中身を見せてくれた。
「コスプレ衣装だ。このバスケ部の伝統で文化祭の時にコスプレをするらしくて前の部室にあったのを持って来たんだ。」
「面白そうですね!」
「だよな!なのに他の部員とくれば……」
「何言ってんだよ美乃梨!」
「急に大声出してどうしたのよ、爽夜くん。」
「そのコスプレには女装も入ってるんだぞ。千秋は良いとして、俺は絶対嫌だね!」
「松岡、コスプレの一つでも出来ないと好きな女子に『へえー松岡くんって度胸ないんだ。かっこ悪い!』って言われるぞ?」
「え、うそ。」
「嘘じゃないよな?恋咲。」
と先生に言われて、私は答えた。
「確かに度胸のある男の人はかっこいいと思います。あと、コスプレは普段見慣れないのでギャップがあるんじゃないですか?その、ギャップ萌え?というのを狙えるらしいです!」
「マジか。……美乃梨、コスプレした方が良いと思うか?」
「うん!普通の服よりコスプレの方がテンションが上がると思う!それに……」
と言い私は爽夜くんの耳元で言った。
『雅美ちゃんにかっこいいって思って貰えるかもしれないよ?』
『美乃梨こそ、千秋に可愛いって思って貰えるのを期待してんだな?』
『そ、んな事ないよ。』
『そうか〜?』
と爽夜くんはからかうように笑いながら言った。
『そ、爽夜くんこそ雅美ちゃんにかっこいいって思われたいでしょう?』
『それは、まあ、思われたいけど。』
『ほら。まあ、本当は私も思われたいけど。』
私達がそんな事を言い合っていると三日月先生が
「おい、そこの2人。仲が良いのはいい事だがそろそろこっちの話も聞いてくれ。」
と言った。
「すみません!」
「すいません!」
「じゃあ、看板担当と景品担当で別れるぞ。」
と言いグジ引きで決まった。私は景品担当で爽夜くんも一緒だった。千秋と透くんと真央くんは看板担当に決まったようだ。
「じゃあ景品担当の人は空き教室を借りてるのでそこで作業して下さい。はい、これ鍵。」
「了解です。」
景品担当の方には、颯先輩も居た。そして空き教室には材料が置いてあった。
「颯先輩、景品って何を作れば良いんですか?」
「ああ、それは、毎年恒例のミサンガとお守りだ。お守りはバスケ部っぽくバスケットボール型のな。」
「ミサンガの作り方は知ってますが、バスケットボール型のお守りの作り方は知らないです。」
「じゃあお守りは作り方を知ってる俺達が作るようにするな。美乃梨と爽夜がミサンガを作り終わったらお守りの作り方を教えるから。」
「はい!じゃあ爽夜くん、ミサンガ作ろう!」
そして2年の先輩と3年の先輩はお守り作り、私と爽夜くんはミサンガ作りになった。
「なあ、美乃梨。ミサンガって編むの難しくてねえ?俺、不器用なんだけど。」
「大丈夫、慣れたら簡単だよ。」
そう言いながら私は爽夜くんに見本を見せる為に編み始めた。
「ほら、こうやって編むの、簡単でしょう?」
「ん?こうか?」
「違うよ。ここをここに通して。」
「おお!出来た。凄えな美乃梨。勉強会の時も思ったけど教えるの上手いな。」
「ありがとう。」
私と爽夜くんがそんな話をしながら作業をしていると颯先輩が聞いて来た。
「なあ、美乃梨と爽夜って付き合ってんのか?」
「何言ってんスか、颯先輩。」
「だってお前ら仲良いじゃねえか。」
颯先輩に便乗して他の先輩達も言って来た。
「あ、それ俺も思ってた。」
「そうだよな。ずっと気になってたんだよ。流石は副キャプテン、いい事聞いてくれる。」
「で、本当はどうなんだ?2人とも。」
「付き合ってませんよ!」
「そうっスよ!第一、美乃梨には婚約者候補が居るんですから。」
爽夜くんはサラッとそんな事を言った。
「マジで!?」
「婚約者候補とかマジモンの令嬢じゃねえか!」
「因みに誰なんだ?」
と爽夜くんの所為で質問攻めにあった。
「お、教えませんよ。」
「それ、逆に気になるんだけど。頼む美乃梨、教えてくれ!」
「ほら、先輩達が頭下げてるぞ。教えてやれよ。」
「元はと言えば爽夜くんの所為なんだからね!」
「それは悪い。」
先輩達が中々頭を上げてくれないのでもう言うことにした。
「景くんと千秋と真央くんです。」
「景ってあの有栖川景!?」
「真央って神崎だよな?」
「千秋もなのか!?」
「はい。お父様が決めた婚約者候補ですけど。」
私がそう言うと颯先輩は
「その中から将来の夫を決めるんだろ?美乃梨は何とも思わないのか?」
と言った。
「確かに最初は戸惑いましたけど、私と同じような立場の人が知り合いに居たので。それに候補ってだけで決まったのはつい最近らしいですし。」
「それは、他にも候補が居たって事じゃないのか?」
「多分そうですけど、私は知りません。」
私がそう言うと後ろに立っていた京翠が言った。
「私、知っておりますよ。」
「何で京翠が……」
「どうして教育実習生の本堂先生が、知ってるんですか?」
「実は私と美乃梨は家族ぐるみで仲の良い幼馴染なので、美乃梨が知らなくても美乃梨の御父様である薫様に聞いていますので。」
京翠に呼び捨てで呼ばれるのは初めてなので少し変な気分だけれど、爽夜くん達の前以外ではそう呼ぶように初めに言っておいたのだ。
「教えて、京翠!」
「まず、貴翠です。それに聡様と紅音さん、あと1人は、私です。」
「え、」
「もう一度言いますね。貴翠、聡様、紅音さん、私が外された候補ですよ。」
「嘘。聡兄様と紅音くんは分かるけど、貴翠と京翠は養子縁組が必要じゃない。」
「そうですね。貴翠は美乃梨に望まれたらと言っていましたが、私は美乃梨に仕える立場から支え合う立場になるのは大変興味深い事でしたが、やはり同年代の方がよろしいかと思い辞退させて頂きましたが。」
「私、貴翠と京翠が居たら他の人に見向きもしていなかったと思うわ。なんたって、既に家族同然の存在なんだから夫婦になっても構わないもの。」
「美乃梨(様)軽々しくそういう事を言ってはなりませんよ。」
京翠が様付けで呼んだように感じたが、口の動きだけだったようだ。
「そういう事って?」
「天然って怖いです。」
私が訳が分からなくて頭を捻っていると爽夜くんが私の肩を叩いた。
「美乃梨って何で頭は良いのにそんなに鈍感なんだ?ある意味凄いと思う。」
「そう?ありがとう。」
「褒めてない!先輩方も思いますよね。」
爽夜くんは先輩達に共感を求めた。
「そうだな。美乃梨は時々周りからの好意に鈍感だよな。それに、たまに抜けてる。」
「颯先輩、私はしっかりしている筈です!」
「自信満々だな。でもたまに抜けてるぞ。家族から言われたりしないのか?」
「そういえば、お母様に言われました。」
「そうだな。軽井沢の時に言われてたな。」
爽夜くんがそう言うと颯先輩は「やっぱりお前ら付き合ってんだろ?」と言って来た。
「いやいや、何でですか?」
「家族公認だろ?」
「違いますよ。この前爽夜くんも一緒に軽井沢に行っただけです。」
「勿論、2人でじゃないっスよ。凪とか千秋も居ましたし、美乃梨の弟達も居ましたから。」
「へえ〜、美乃梨って弟居るんだ。意外。」
「はい、3つ子の弟が居ます。颯先輩は兄弟居ないんですか?」
「いや、年子の姉が居るよ。学校は私立だから違うけど同い年だ。」
「そうなんですか?何となく下に兄弟が居ると思っていました。」
数時間後、私は15本のミサンガを編み終えた。
「終わりました!」
「早いな美乃梨。器用だからか?俺はまだ8本しか編めてねえよ。」
「じゃあ手伝うよ。」
そして1時間後……
「よっしゃ、終わった!」
「お疲れ、2人とも。明日からはお守りの作り方教えるからお守りを作ってくれ。」
「はい!」
その時、三日月先生が焦った様子で教室までやって来た。
「三日月先生、どうしたんスか?」
「実はラッピングを買い忘れてな。別に景品を作り終わってからでも良いんだが……誰か買い出しに行ってくれないか?余ったら金で差し入れでも買って良いから。誰か買い出し係したい人ー!」
「いや、三日月先生忘れてません?俺達、3年と2年はコートの準備も必要なんですけど。」
「ああ、そうだったな。じゃあ1年の4人に頼む事にするよ。良いか、2人とも?」
「はい、分かりました!」
「じゃあ皆帰る準備して、そろそろ下校時間だ。」
昇降口に向かうと透くんと千秋と真央くん、それに篤季と貴翠が待ってくれていた。
「篤季と貴翠は先に帰っていて良かったのに。」
「美乃梨様を差し置いて先に帰宅など出来るわけがございませんよ。」
「僕は美乃梨お嬢様の隣の席に座って帰りたかったので待っていました!」
「私、篤季の隣に座るなんて言ってないけど。」
と、私が言うと真央くんが
「そうだよね。美乃梨は僕の隣に座るんだよね。」
と言って来た。
「真央くんの隣に座るとも言ってないわ。」
「じゃあ、誰の隣に座るの?」
「えっと、それは、京翠!」
「京翠さん、席、譲ってくれませんか?」
「美乃梨様直々の御指名ですのに譲れる訳がございませんよ。」
そして景くんと和真くんもやって来た。
「何してんだ〜?」
「美乃梨の隣の席に誰が座るか抗争!」
「何言ってるのよ、爽夜くん!」
「間違ってねえだろ?」
爽夜くんはニヤリと笑いそんな事を言って来る。
「間違ってるよ!」
と言い、私は爽夜くんの耳元で言った。
『千秋は全く混ざって居ないじゃない!』
『それ、千秋本人に言えば良いだろ?』
『そんな事言える訳ないじゃない。爽夜くんだって雅美ちゃんに同じ車に乗る時に隣に座ってなんて言えるの!?』
『それは、言おうと思えば言えるけどわざわざ言ってないだけだ。』
『嘘だ。』
『マジだ。』
私達が睨み合ってると和真くんが
「爽夜と美乃梨って仲良いよな、何でなんだ?」
と聞いて来た。
「何でって言われても、なあ?」
「友達だから?あ、秘密を共有したから?」
「ああ〜、それだ!元々仲良かったけど、その後から更に仲良くなった、的な?」
「うん。」
「秘密ってどんな?」
「それを言っちゃうと秘密にならないわよ。」
「だって美乃梨は爽夜だけと秘密を共有してるんだよな?実はこっそり付き合ってます!とか?」
「そんなんじゃねーよ。」
「じゃあ、どんなだよ?」
和真くんは面白がるように聞いて来た。
「和真になら教えても良いけど、先に和真から聞かないといけないよな?」
「うん、そうだよね。簡単に教えられるようなのは秘密じゃないからね。」
「じゃあ、俺の秘密も教えるから。」
と言い、和真くんは私と爽夜くんの腕を引っ張って何処かへ連れて行った。
「ここなら誰にも聞かれねえよ。」
と和真くんが連れて来たのは階段の踊り場だった。
私は一応防音魔法を使ったが。
「それで、秘密っていうのは?」
「だからお前が先に言えって。好きな人とか、他でも良いからさ。」
「えっ、はあ?す、好きな人?」
「その反応は居るって事だよね?」
「いや、居るけど、まだ景にしか言ってねえよ。」
「教えろ、交換条件だ。」
すると和真くんは声のボリュームを更に下げて言った。
『……秋月』
「えっ!そうなんだ!」
「意外だな。」
『俺、小6の頃同じクラスで最初はよく笑う奴だな、としか思って無かったのにずっと見てたら好きになってたって言うか……』
「それより2人の好きな人も教えてくれ!交換条件、なんだろ?」
「私の好きな人は千秋。」
「俺は雅美だ。」
「爽夜はまだしも、美乃梨は意外だな。」
「どうして?」
「鈍感だから、人を好きになっても自覚しなそうだと思ってた。」
「自覚したって言うかさせられた感じ。ユーリちゃん達に。」
「秋月達って事は姫野とか鳳にもって事か?」
「うん。お茶会をした事があるんだけど、その頃は千秋の事気になるな、くらいにしか思ってなかったの。でも3人に言われて好きかもって思ったら、顔見たら逃げそうになるし、心臓が壊れそうな速さになるから流石に自覚した。爽夜くんは?」
「俺、実は気になり始めたのが前の旅行の時なんだ。風呂上がりの雅美を見て、こんなに大人っぽい雰囲気だったか?って思った時にはもう惚れてた。」
「そういえば美乃梨。景から聞いたんだけどさ、告白されたって。因みに入学してから何人目?」
「えっと、4人目かな?」
「凄えな。それで、避けたりしないのか?」
「波多さんとはクラスも違うからその後会ってないんだけど、篤季と真央くんは行き帰りが一緒だし、凪くんは隣の席だから避けようにも避けられないわ。」
「そうなのか?」
「だからもうポーカーフェイスを頑張る!」
私がそう宣言した頃、下校を促すアナウンスが流れたので、そろそろ昇降口に向かう事にした。防音魔法も解除して。すると後ろからコソコソと誰かの話し声が聞こえて振り返ると、
「やっぱり。何でついて来てるのよ?」
「それは勿論、好きな人の秘密は知りたいからだよ。篤季もそうだよね?」
「はい!」
「真央くんと篤季はまあ、一応分かったわ。でも貴翠と千秋と景くんと透くんは何で?京翠はボディーガードだし、ついて来て居ても不思議は無いけど。」
「俺は、何となく。」
「私は美乃梨様のお側に居たかっただけです。」
「僕は透と貴翠さんが行ったからついて来た。」
「俺は全員行ったから。」
皆はそう言って私はため息をついた。すると爽夜くんと和真くんが焦ったように
「聞こえてないよな?」
「話、聞かれてたんじゃ?」
と言った。皆は首を横に振った。そして透くんが
「声が小さすぎたのか全く聞こえなかった。」
と残念そうに言った事で2人はそっと胸を撫で下ろしたようだった。その後京翠に
「防音魔法を使うなんて念の入れようが凄いですね。まあ、私は読唇術を使えるので大体内容は分かりましたがね。」
と言って来た。
「やっぱり透くん以外は全員防音魔法に気付いてたわよね?」
「そうでしょうね。篤季と真央様は分かりやすく残念がってましたから。」
そして私達は京駕さんの車で帰った。
最近忙しくて投稿が遅れてしまいすみません!
阿藤葉月くんと体育祭の頃出て来た三笠藍先輩が兄弟と判明しました!環奈先輩は京翠さんの事を疑っている様子ですが、早瀬瑠奈さんは気付いているのでしょうか?
次回は五家集結会議です。




