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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編1年生
28/123

いよいよ今日は体育祭! 後編

前回の投稿から更に遅くなりましたがお待たせしました。

「レイラちゃん、何があったの?」


「実はね……」


―私は日本に来て初めての体育祭に浮かれて準備とかも結構頑張ってたんだよね。でも張り切り過ぎてかサボっている先輩達を見て少しキツめに注意したり、喋ってばかりで手の動いていない子達にも強めに注意しちゃってさ。それで、さっき控え室に忘れ物を取りに行った時に聞こえちゃったの。

「姫野ちゃんってさー、なんか真面目すぎない?」

「あー、分かるー。ただの体育祭なんかに張り切り過ぎなんだよね。ねー、あなた達もそう思わない?」

「思います!ちょっと喋ってたら『話してる暇があるなら手を動かしなさい!』とか言ってくるしー。」

「正直言って誰もそこまで真面目じゃないのにね!」

だってさ。確かに私もそう思ったよ。でも裏でコソコソ言われるのが凄く悔しかった。それを否定できない事も。―


「だから自業自得なんだよ。」


「そんな事ないわよ!レイラちゃん何も間違えた事言ってないじゃない!それで自分を責めるのは正しい行いをした自分自身を否定してるのと同じだよ!?本当に間違えた行いをしているのはその影でコソコソ言っている人達だよ!レイラちゃんは自分を責めちゃダメだからね!逆に先輩達にもハッキリ意見を言えるなんて凄い事だから、自信持ってね!」


私がそう言い終わると真央くんが私の両肩を軽く掴んだ。


「美乃梨、僕も当然そう思うけどね、姫野さんが美乃梨の勢いに押されてるよ。」


「あ、あら?ごめんなさい。つい、ね?」


「大丈夫だよ。みのりん。私もそう思う!」


「私も。それだけレイラが大切って事でしょ?」


「雅美ちゃん……!ユーリちゃん……!」


景くん達も頷いている。

少ししてさっきまで落ち込んでいたレイラちゃんが顔を上げて私達に向かって言った後大声で空に向かって叫んだ。


「皆んな、ありがとう。本当にこんな事でウジウジ悩むなんて私らしくないね!」

「文句がある奴は正々堂々ぶつかって来いーー!」


「その方がレイラらしくて良いよ!」


「姫野が下向いてるなんて違和感しかないよ。」


「ねえ、そういえばここなら皆んなでお弁当食べられそうじゃない?」


ユーリちゃんが言った。確かにここならベンチもあるし人も居ないから良いかもしれない。


「そうだね。僕雫達を呼んで来るね。」


「俺も手伝いに行くわ。」


そして瀧くん達を呼びに行った爽夜くん達は何故中々戻って来ないので私と雅美ちゃんで様子を見に行く事にした。


「おーい、凪ー、爽夜ー、遅くない?」


雅美ちゃんと一緒に凪くん達の所に向かうと何やら話し声が聞こえた。すると先に行った雅美ちゃんが


「茉ちゃん!朔くん!久しぶり!」


と声を上げた。

私も行くと何故か見た事ない2人が立っていた。


「わあー!可愛い!ねえ、爽。誰よ、この美少女!何で教えないの!?」


私に声をかけて来た女性は爽夜くんの知り合いのようで爽夜くんは質問に呆れた顔で答えている。


「そうなると思ったからだよ。」


その声でもう1人の男性も私の方に寄って来た。


「本当だ。そこらの芸能人より数万倍美人だな。」


私が誰この人達?という視線を投げかけると爽夜くんは嫌そうに答えた。


「俺の姉貴と兄貴。」


「初めまして、松岡茉夜です!爽、あ、爽夜の事ね。いつも爽と仲良くしてくれてありがとうね。」


「爽夜の兄の朔夜です。君は?」


「私は恋咲美乃梨です。よろしくお願いします。」


私も挨拶をすると茉夜さんは


「美乃梨ちゃん、今度うちに遊びに来てよ!」


と言って来た。


「誘って貰えるのはもちろん嬉しいですけれど……、良いんですか?」


「もっちろん!お菓子とかも爽に用意してもらうし、あ、ジュースも買ってきて貰おうか?」


「いえ、手土産は私も持って行きますよ?」


「いいのいいの。あ、そうだ!うちでお疲れ様パーティーしたらどう?」


「お疲れ様パーティーですか?」


爽夜くんや凪くん達によるとイベントが終わった後はいつもどちらかの家に集まって打ち上げをするそうだ。


「それに私が混ざっても良いんですか?」


「全然良いよ。みーちゃんも凪も良いよね?あ、朔兄も。」


「「良いよ!」」


「俺も別に構わない。」


爽夜くんは茉夜さんにおずおずと尋ねた。


「姉貴、俺達昼休憩の時間決まってんだけど。もう行って良い?」


「ああ、別に良いよ。美乃梨ちゃん、みーちゃん、引き止めてごめんね。ついでに凪も。」


「は!?俺は!?」


「爽は……知らん。だってお弁当忘れてたでしょ?朔兄が気付かなきゃ持って来てあげてなかったよ?」


「まじか!?うわ、本当だ。あると思ってた。ありがとう、兄貴。」


「礼にコンビニチキン、奢りな?」


「おう!」


そして私達は皆んなでレイラちゃん達の待っている中庭に向かった。中庭には和真くんも居た。


「美乃梨、俺の事忘れてたな!?」


「ごめんなさい!凪くん達を呼びに行く前までは覚えてたんだけど……。本当にごめんなさい!」


「……いや、そこまで本気で謝んなくても良いけど。忘れてたの、美乃梨だけじゃないんだろ?」


「な?」と言いながら和真くんは景くん達の方を見た。3人ともバツの悪そうな顔で「悪かった。」とか「ごめんね。」と言っていた。


「まあ、次忘れなかったら良いよ。」


和真くんは笑って許してくれた。

ご飯を食べる前凪くんが


「皆んな、手は洗った?はい、アルコールティッシュで拭いてからお弁当食べてね。」


と言っているのを見て意外とお兄ちゃんだなと思っていると口に出ていたみたいで凪くんが


「意外と、は余計だよ。」


と言った。そして皆んなで「いただきます!」と声を合わせて食べ始めた。


「わあ、美味しそう!流石聡くん特製のお弁当!」


「俺の好きな物も入ってるな。聡さんに後で改めてお礼を言わないとな。」


「うん、そうだね!」


そうして皆んなで話しながら食べていると雫ちゃんが


「みのりちゃん、これ、おいしいよ?あげる!」


と言って卵焼きを持って来てくれた。


「ありがとう。お礼に雫ちゃんにもお返し。凪くん、雫ちゃんってアレルギーとかない?」


「特にないよ。」


「じゃあ、唐揚げあげるね。」


「じゃあこうかんこ!」


雫ちゃんのくれた卵焼きは甘くてトロっとしていて美味しかった。


「うん!美味しい!」


「それ、瀧が朝作ってたやつだよ。」


「えっ!そうなの!?凄く美味しいよ。瀧くん、料理上手なんだね。」


私がそう言うと瀧くんは少し照れ臭そうに鼻をかいて


「母さん達、忙しいから家事は当番制でしてるんですよ。料理は基本俺、凪、泉がやってるんです。雅美は料理下手で。」


「そんな事ないよ!確かに前までは苦手だったけど木野さんに教わって少しは作れるようになったから!」


「そういえば、生姜焼きだけは作れるんだっけ?」


「これからもっとレパートリー増やすから。」


瀧くんは煽るように「頑張れ〜。」と言っていた。

そうこうしているうちに昼休みはあと少しになっていた。千秋と爽夜くんは午後の部最初のチャンバラ合戦に出るので準備をする為、先に片付けて向かった。


「私も応援の準備行って来るね!」


白組応援団控え室に入ると三笠先輩が居た。


「早いですね。三笠先輩!」


私が声をかけても三笠先輩は何か思い悩むように手を組んでベンチに座っている。


「三笠先輩?」


「あ、恋咲か。どうした?」


「こちらのセリフですよ。」


「恋咲、ハチマキの伝説って知ってるか?」


「はい、三日月先生から聞きましたけど……?」


三笠先輩はため息を吐きながら喋り始めた。


「俺、渡そうかどうか迷っててさ。恋咲、渡した方が良いよな?」


「まあ、渡した方が良いと思いますけど。でも伝説を知らなかったり信じていない人も居るんじゃないですか?」


「そうだよな〜、やっぱり渡すだけじゃなくて告白した方が良いよな。」


「因みに先輩のハチマキを渡そうか迷っている方はどんな方なんですか?」


先輩はしばらく黙り込んでから教えてくれた。


「かっこよくて、生徒からも先生方からも信頼が厚くて頼りになる人。あとペンギンが大好きな人でほぼ毎日ペンギンの話をしてて。でもその人には好きな人がいてさ。もう諦めた方が良いのかな?」


「そんな事ないですよ!それよりもしかして三笠先輩の気になっている方って環奈先輩ですか?」


「ああ、そうだよ……って恋咲知り合いなのか!?」


「はい。もしかしてですけれど、好きな人っていうのは千秋じゃないですか?」


「そんな事まで!?」


「私、環奈先輩とあまり話した事は無いんですがファンクラブにはルールがあるそうで……。その、恋愛感情の好き、の人はファンクラブには入らないそうで。その点、環奈先輩は千秋のファンクラブ会長ですし、恋愛感情とは違うと思いますよ?」


「そんなルールがあったのか……!」


「まあ、他に好きな人が居ないかどうかは分かりませんけれど。」


「恋咲、希望が見えたのに釘刺さないで!」


「いや、希望が大きくなり過ぎるともし好きな人が居た時のショックも倍になるかと思いまして。」


三笠先輩は苦笑しながら「ありがとう、恋咲。頑張って渡してみるわ。出来れば告白も。」と言った。


「じゃあそろそろ行きましょうか!」


「そうだな。」


と言い私と先輩は立ち上がった。

私達がグラウンドに着くと丁度放送が入った。


「さあ、いよいよ午後の部の開始です!午後の部最初の競技は……チャンバラ合戦!これは3年前から始まった競技でルールは水の染み込んだスポンジの刀を相手の服に当てる競技です。尚、競技参加者は水に濡れると色の変わる服を着用しております。服の濡れた面積の少ない方の勝利です。引き分けの場合は代表選が行われます。参加者の皆さん、準備は良いですね!」


放送部の人の声に合わせて入場門から「おー!」という声が聞こえて来た。全員が入場し終わり競技が始まる。初めは1組対4組で5対5だ。


「「千秋ー!爽夜ー!頑張れー!」」


応援席からは凪くんと透くんらしき声が聞こえて来た。私は三笠先輩の笛に合わせて声を出して旗を振った。白組応援団の人達は私と三笠先輩と先程の放送をしていた放送部の人以外はこの競技に参加する。


「三笠先輩、この競技凄く人気なんですね。」


「まあ、特に体育会系の人達には人気だな。休み時間に廊下で暴れてる奴とかにもな。」


「ふふっ、確かにそんな気はしますね。」


そして競技に目を移した。千秋も爽夜くんも全くとまではいかないかもしれないけれどほぼ濡れて居なかった。ピーッと終了の笛が鳴った。

結果は4組の、白組の勝利だった。


そして私は1年の部の応援が終わり2年の部も終わった頃、次の競技の準備の為、抜ける事になった。


「すみません、三笠先輩。私色別に出るのでここで抜けさせて貰いますね。」


「了解。もう少ししたら2年も来るし大丈夫だよ。俺はここで応援しとくから頑張って来いよ!」


「はい!」


私は急いで更衣室で着替えて応援席に行った。


「透くん!そろそろ入場門に行こ!」


「ああ。」


応援席に居た雅美ちゃん達は「応援してるね!」と言いながら送り出してくれた。

入場門に着くとまだ数人しか揃っていなかった。


「美乃梨さん!」


と元気の良い声が聞こえて来て振り返ると音さんが居た。音さんは確かメンバーには居なかった筈だけど。


「音さん?どうしてこちらに。」


「美乃梨さんが出場すると聞き一言でも応援の言葉が言いたくて来ました!」


「音さんは赤組ですのに。大丈夫なんですか?」


「はい、もちろんです!私はたとえ美乃梨さんと違うチームであっても美乃梨さんの味方ですから。頑張って下さい!」


「ありがとうございます。その言葉、大切に受け取りますね。」


「はい!こちらこそありがとうございます!」


程なくして全員揃い入場した。

真央くんが「美乃梨、トップバッターだけど頑張ってね。」と言ってくれた。


スタートラインに立ちパンッという音と同時に走り始めた。2走者目で待っている透くんの所までトップで辿り着く事が出来た。

赤組の2走者目は和真くんで透くんとの差は少しずつ縮まっていったけれど透くんは追い抜かされる前に3走者目の先輩にバトンを渡した。

4走者、5走者、と続きいよいよアンカーに渡される。

白組アンカーは真央くん、赤組アンカーは景くんだ。

景くんは先にバトンを受け取り走り始めた。アンカーは他の人と違い距離は一周、200メートルだ。

真央くんは追い上げて景くんとほぼ並走状態だったけれど、ゴールテープを切る際、少しだけ景くんの方が早かった。


「勝ったのは……赤組です!」


その放送と同時に赤組応援席からは「やったー!」「凄えー!」という声が上がった。


「負けちゃったね。」


「ああ。そうだね。でも美乃梨凄え速かったぞ。」


「透くんもだよ。フォーム凄く綺麗だったし。」


真央くんが歩いて来て「ごめん!」と言った。


「何言ってるの?あの距離で追いつく事が出来たのは真央くんだからこそでしょ?凄くかっこよかった!」


「美乃梨の言う通りですよ、真央先輩!俺だったらもっと差があいたゴールになっていました。」


そして和真くんと景くんも来て、


「美乃梨、凄かったな。足速すぎんだろ!」


「真央も。僕追いつかれそうで怖かったよ。」


と言った。


「和真くんも凄かったよ。ね、透くん?」


「ああ、半周だったから良かったけど、一周あったら絶対抜かされてたな。流石、サッカー部。」


「次は俺も負けないからな!」


そして退場の合図で私達は退場門に向かった。


「私、次の競技も出るから直接入場門に向かうね。」


「分かった。千秋達にも伝えとくよ。」


そして私は退場門で透くん達と別れた。

入場門には思った通り誰も居なかったがレイラちゃん達は思っていたより早くに来た。


「2人とも、もう少しゆっくりでも大丈夫なのに早かったね。」


「だって、みのりん1人に待たすわけにはいかないでしょ?」


「そうだよ!九条くん達もすぐ来ると思うよ。」


「そうなんだ。」


2人は私の事を気遣って来てくれたみたい。

2人が言うように、間も無くして千秋と爽夜くんと凪くんもやって来た。


「千秋、爽夜くん、チャンバラ合戦凄かったよ!」


「ありがとう。美乃梨もリレー、トップでバトン渡してたな。またファンが増えたんじゃね?」


「あはは」と苦笑していたら千秋が疲れた顔で


「爽夜の言う通りだよ。美乃梨も絶対ファンが増えてると思う。」


と言った。


「千秋、どうしてそんなに疲れた顔してるの?」


「それが聞いてよ美乃梨。千秋ね、チアの格好して熱狂的なファンが増えたらしいよ。特にハチマキを欲しがる子達が。」


と凪くんが教えてくれた。そんな事があったんだ、と感心していた私に凪くんは


「美乃梨も他人事って思わない方が良いと思う。元々千秋のファンは大人しめの人が多かったから今日増えた熱狂的なファンが目立ってるけど、美乃梨は最初から騒いで来るファンが多いから。何かあったらすぐ僕達に言ってね。」


と忠告して来た。私は頷いて「分かった」と言った。

そして入場のアナウンスが流れた。


「絶対勝とうね!」


「「「「「おー!」」」」」


1走者目は私だ。

スタートの合図と同時に走り出した。

トップのまま2走者目の凪くんにバトンを渡せた。

凪くんもトップをキープしつつ3走者目のユーリちゃんにバトンパス。

凪くんからバトンを受け取ろうとしたユーリちゃん。

でも、バトンが落ちてしまった。バトンを拾って走り始めるも3位に落ちてしまった。

因みに今先頭を走っている2人はどちらも赤組だ。

ユーリちゃんは必死に追い上げて4走者目のレイラちゃんにバトンを渡した。

レイラちゃんは前の人が陸上部の短距離選手だった事もあって差が開いてしまったまま5走者目の爽夜くんにパス。

爽夜くんは開いた差は埋めたけれど並走状態で千秋にバトンパス。

千秋はそこから抜かし更に差を広げて堂々の一位でゴールした。


「1位は1年4組!白組です。2位は1年2組、赤組。3位は1年5組、白組。4位は……」


アナウンスは続いているけれど私達には聞こえなかった。


「やった、勝ったよ!」


「うん。勝った!」


「凄えな俺ら!」


ハイタッチをしたり、ジャンプしたり盛り上がっていると凪くんとユーリちゃんが「バトンパスミスしてごめん。」と言った。


「そんな事気にしなくて良いよ。」


「そうだよ。凄く楽しかったし。」


そう言うとユーリちゃんは泣いて私に抱きついて来た。


「みのり〜ん!皆んな、本当にごめんね!私、みのりん達と走れて凄く楽しかった〜!!」


「泣かないでユーリちゃん。誰もミスなんか気にしないし、何より負けたとしてもこのメンバーで走れたっていう思い出は残るんだから。ほら、涙拭いて。せっかく可愛い顔してるんだから、笑わなきゃ。ね?」


私がそう言いながらユーリちゃんの涙を拭うと何故か皆んな動きを止めた。そしてレイラちゃんは


「どうしよう、私みのりんと結婚したい。」


とか言い出すし、ユーリちゃんも


「みのりん、私に嫁がない?」


と言い出した。


「2人とも急にどうしたの?」


私が聞くと2人とも声を揃えて


「「みのりんが王子様にしか見えなくて。」」


と言った。私が凪くん達の方に顔を向けると凪くんと爽夜くんは顔が真っ赤で千秋も顔を逸らしているけれど耳が少し赤い。


「え、私そんなに変な事言った?」


「美乃梨、凄いな。俺、一瞬惚れかけたわ。」


「……僕も。何か白馬の王子様を見た気分。」


「……」


千秋だけ無言を返してくる。


「よく分からないけれど王子様と言うなら景くん、真央くん、千秋でしょ?それに爽夜くんは優しいヒーローみたいだし、凪くんはフレンドリーで凄く頼りになるし、レイラちゃんはいつもハッキリしててかっこいいし、ユーリちゃんは元気で可愛いよ?……改めて考えてみると私は本当にかっこよくて可愛くて素敵な人達に囲まれて幸せ者ね。」


私がそう言うとユーリちゃんは


「みのりんって天然?」


と言いレイラちゃんは


「天然というより小悪魔。」


と言った。

よく分からないけれど私は悪魔じゃなくて魔法使いだよ、と心の中でツッコミを入れつつ私達は2年生の部を応援する。他の競技は学年ごとに退場していたけれど男女混合リレーは最後の競技種目なので3学年揃ってから退場する。真央くんの組の1走者目は誰だろうと見てみると


「早瀬先輩だ!」


前に会った時はハーフアップだった髪をポニーテールにして結んでいる早瀬先輩が立っていた。

早瀬先輩は私よりも背が高く大人っぽい人でとてもかっこいい人だ。


「え、みのりんと瑠奈さんって知り合いなの?」


「知り合いっていうか、私、部活体験で合唱部に行ったから。」


「あー、そういう事か。」


「ユーリちゃんこそ知り合い?」


「いや、有名なんだよ。ここらで1番大きい神社知ってる?早瀬神宮って言うんだけど。瑠奈さんと環奈さんはそこの神社の娘で巫女なんだよ。その神社ね、結構大きいから儀式とかも色々しててその儀式に参加している美人姉妹の巫女っていうのでテレビや新聞にも一時期出てたんだよ。」


「……巫女?」


私が少し顔を顰めるとユーリちゃんに「みのりん、顔が可愛いから美人になってる。」と謎の言葉を受け、「何でもないよ。」と誤魔化した。

話を聞いていたらしい千秋も苦い顔をしていた。


そんな話をしているともう2走者目の人が3走者目の人へバトンパスをする頃になっていた。5位でバトンを受け取った3走者目の人はグングンと追い上げて1位で4走者目の人にバトンを渡した。


「あの人凄い!」


「あ、俺知ってるかも。」


私が声を上げると爽夜くんが教えてくれた。


「多分去年の中学生駅伝選手に選ばれてた蓮見先輩、だった気がする。」


「そうなんだ。」


そしてアンカーはやはり真央くんだった。

5走者目からバトンを受け取った真央くんは圧倒的1位でゴールした。


「1位は2年5組、白組です!2位は……」


そして真央くん達は私達の方にやって来た。


「真央くん。凄かったね!」


「ありがとう。でも匡哉(きょうや)のお陰だよ。」


「匡哉?」


「紹介するね。僕の友達の蓮見匡哉(はすみきょうや)。」


「初めまして、恋咲さんだよね。匡哉って呼んでね。」


「はい。分かりました。私の事も下の名前で呼んで下さい。匡哉先輩。」


「よろしく、美乃梨ちゃん。ねえ、美乃梨ちゃんって身長いくつ?」


「身長ですか?前の身体測定では163.5だったと思います。」


私がそう言うと匡哉先輩はガッツポーズを決めて

「よっしゃーー!!」と叫んだ。


「俺の勝ちだ。俺、164.8センチ。真央は高過ぎるから勝負すらしてないけど。そこのお前は?」


と言い匡哉先輩は爽夜くんを指さした。


「俺っスか?俺は172センチっスけど。」


いつもの真央くんに使う敬語とは違う話し方で爽夜くんは返事をした。


「んだよ。ちょっと俺に背分けてくんねぇか?」


「え、無理っス。」


「生意気だな。お前、名前は?」


「松岡爽夜っス。」


「松岡……まさかな。でも、もしかして。お前姉貴居るか?」


「はい。松岡茉夜って言いますよ。」


「茉夜さんだって!?爽夜くん、今までの態度を詫びます。ですので茉夜さんに会わせて頂けないでしょうか?」


爽夜くんは勝ち誇った顔でフフンと笑っている。


「今日俺の応援に来てるっスよ。1年の客席行ったら会えるんじゃないっスかね。」


「ありがとう。爽夜くん。」


そして3年の部も終わり退場すると匡哉先輩はすぐさま客席の方に向かった。


「茉夜さんの知り合いだったの?」


「ああ、姉貴に一目惚れして陸上部に入った人が居たって昔聞いて。名前はうろ覚えだったからカマかけて見たんだ。」


「茉夜さんって今何歳なの?」


「高1だ。因みに兄貴は高3だ。」


「そうだったんだ。特に朔夜さんは大人っぽいから大学生くらいだと思ってた。」


「よく間違われるらしい。」


と爽夜くんは苦笑いしていた。

いよいよ最後は唯一の演技である応援合戦が始まる。

私、千秋、真央くんは着替えに行った。


今回はチアではなく学ランに襷と長いハチマキなので体操服の上から着るだけだ。私は着替え終わってから千秋と真央くんにさっき聞いた話をした。


『千秋はさっき聞いたかもしれないけれど、真央くんのクラスメイトの早瀬先輩とお姉さんの環奈先輩、巫女だって聞いたんだけど。』


『俺もさっき聞いて初めて違和感に気付いた。』


『違和感?』


真央くんは分からないというように首を傾げた。


『真央くんは2人が巫女って知ってた?』


『いや、初耳だよ。で、違和感って?』


『ああ。2人とも、魔法の、というか魔力の気配はわかるよな?』


『うん。分かるよ。』

『もちろん。僕も。』


『俺も分かるけど今まで景、美乃梨、真央がいたから少し違和感のある気配がしても気付かなかったんだ。巫女の気配、今思えばあるんだよ。』


『どういう事?』


『だから神社の娘としての巫女じゃなくて、本当に神を呼ぶ事の、口寄せの出来る'本物'の巫女なんだよ。本物はどちらか片方かもしれないし、両方かもしれない。とにかく真央はこれから気を付けろ。同じクラスでしかも隣の席なんだろ?』


『うん。分かってるよ。けど、関わらないのは無理だからね。』


何故私達がここまで警戒しているかというのは神様や神社の力と私達魔法使いの力、つまり魔力は相性が悪いからだ。神社にお参りに行くとして、その神社にもよるけれど1時間も居ると私達魔法使いは体調を崩してしまう。他にも本物の巫女や神官と長期(数ヶ月〜数年)居ると生命力、魔力が削られる危険性がある。


幸い真央くんは治癒魔法が得意だからまだ大丈夫だろうけれど治癒魔法が苦手な千秋や私、景くんだったならもう何かしらの不調は出ていたかもしれない。


そしてもう一つの理由がある。それは代々反りが合わないという理由だ。神社の神主と魔法使いの家系の当主は1年に1度集まりを開いているがお父様は毎年文句をおっしゃっておられる。きっとそれは神主様の方も同じだと私は思っているけれど。


神主様側の意見としては魔法や魔力は邪悪な力であり、使ってはならない、らしい。こちら側の意見は魔力が無いとまず、使い魔がこの世から消えてしまう。それに私達にとって、魔力は体力のようなものだから無くなってしまっては体力の無い状態が続くようなものだ。それは断固として拒否する他ない。


その様な言い争いが年に1度、かれこれ2、300年程続けているらしくお母様はいつも呆れ顔をしていらっしゃる。


まあ、生命力が削られてしまうのは死活問題なので軽視してはならない。


「おーい、そこの御三方。そろそろお時間ですよー!おーい、聞こえてますかー?」


声が聞こえて振り返ると三笠先輩が腕を組んで仁王立ちしていた。


「時間です。準備しなさい!」


いつもニコニコしていて優しい先輩の厳しい顔は少し迫力が強かった。


「はい。急ぎます!」


私達の組は応援合戦で和太鼓を使うので運ばなければならない。


「美乃梨、持てる?」


「持てるよ。だって習ってた頃は持ち運びも自分でしてたもの。」


私、千秋、真央くんは習っていたので前列に3人で立ちパフォーマンスをしながら叩く事になっている。

グラウンドの中央に行って和太鼓を置く。

赤組が先なので私達はその場で待機だ。

三笠先輩は笛を持って朝礼台の方に向かった。


赤組は横笛を吹いている人が3人、後ろで旗を振っている人が2人居た。景くんは中心で横笛を吹いていた。景くんの出す音に惹きつけられていると他の2人も物凄く上手い事が分かった。景くんの優しい旋律をカバーするように演奏していた。旗のパフォーマンスもとても凄かった。演奏が終わると拍手喝采が起き、赤組の番が終わった。次は私達白組だ。


三笠先輩は朝礼台の上に立ち私達の方を見て笛を吹き始める。ドドンッという真央くんの太鼓の音も聞こえ始め、私達も演奏を始める。私、千秋、真央くんは経験者なので比較的速いスピードで演奏する。そして中盤に差し掛かりパフォーマンスを入れる。私と千秋がハチを上に投げ、回し、真央くんが単独パートに入りスピードが速くリズムも難しい演奏を成し遂げた。

後ろの2人は一定のスピードを保ったまま演奏を続ける。私達白組の演奏は終わりまた拍手喝采が起きた。


そして審査員が投票をしている間……


「先輩達の演奏凄くお上手でした!」


「ありがとう。恋咲さんも九条くんもパフォーマンス凄かったね。神崎くんのソロもコンサート開けるくらい上手だったね。」


「「「ありがとうございます!」」」


三笠先輩もやって来て、


「5人とも、息がピッタリで凄く上手かった。俺、感動で泣くかと思ったくらいだし。」


と褒めて下さった。


「三笠先輩、5人じゃなくて6人ですよ?」


と私が言うと真央くんも


「そうですよ。三笠先輩の聞き取りやすい笛の音のおかげで合わせる事が出来たんですから。」


と言った。

三笠先輩は「ありがとう。」と穏やかに笑った。

そして審査員の投票が終わり、結果は……なんと白組の勝利だった。やったー!と私達は皆んなでハイタッチをして退場した後は他の応援団の皆んなと、クラスの皆んなと、三日月先生までもハイタッチを求めて来た。三日月先生は私と千秋に向かって、


「やっぱり2人に頼んで良かった。これでもっとクラスに、この学校に、馴染めたか?」


と言って下さった。

私と千秋は顔を見合わせて


「「はい!」」


と返事をした。

そしてレイラちゃんや雅美ちゃん達もやって来て


「みのりん、九条、あのハチ回すやつ?凄くかっこよかったよ!」


「みのりん達がプロにしか見えなかった!2人とも絶対ファン増えたね。」


と言った。そして閉会式も滞りなく終わり結果は白組の勝利だった。私達は来ていた学ランを洗わなければならないのでそのまま着て帰る事にした。


観客席に行くと皆んな居た花央さん達や聡くん達と沢山写真を撮った。煌達はキラキラした眼差しで


「姉さん、凄くかっこよかったです!」

「流石、姉さんです!」

「変な虫がつかないと良いけれど……。」


最後に稔から謎の言葉が出て来たけれど気にしないようにした。そしてしばらくそこで喋ったり、感想を言い合ったりしていると、


「こ、恋咲さん!少し、お時間良いですか!?」


という少し焦った様な声が聞こえて来た。


「はい、大丈夫ですけど……誰でしょう?」


「あ、僕は波多日和(はたひより)と言います。」


「私に何か話かしら?ここでも良いですけれど場所を変えますか?」


「は、はい。そうして頂けると……」


という事なので私は千秋や真央くん達に断りを入れて波多さんについて行く事にした。

人気の少ない校舎裏に行くと波多さんは話し始めた。


「あの、恋咲さん。前からずっと好きでした。僕と付き合って下さい!」


「……えっと、本当に私で合ってる?他の子じゃなくて?」


私が混乱してそんな事を口走っていると波多さんは言い切った。


「合ってますよ。恋咲さんは覚えてないかもしれないけど僕1度助けて貰った事があるんです。」


「助けた?私が?」


身に覚えのない話に私はもっと混乱した。


「僕が陰口を言われていた時、恋咲さんはその人達に向かって、『何話してるの?不満がある時は本人に直接言わなきゃ伝わらないわよ?裏で言っても後で自分がモヤモヤするだけだと思うけれど?』と言ってくれました。覚えてませんか?」


「あー、思い出したわ。あの時言われていたのって貴方の事だったのね。私は人助けをしたつもりは無かったけれど助けになれたなら何よりです。」


「それで、あの、告白の答えは?」


「その事なんだけど……私、好きって気持ちが分からないの。あ、いや、普通の好きって気持ちは分かるんだけどね。……そう、恋愛の好きとの違いが分からない、かな?教えてくれる?」


「恋愛の好き、ですか。……その人の事ばかり考えてしまったり、つい目で追ってしまったり、近くにいると落ち着かない、ドキドキする、とかですかね。」


私は少し頭の中で考えてから波多さんに答えた。


「波多さん、ごめんなさい。私好きな人いるかもしれないです。」


「えっ、好きな人、いるんです、」


波多さんが言い掛けた時、後ろの方からざわざわと声が聞こえて来た。


「みのりんに好きな人!?」


「美乃梨、好きな人居たんだ……。」


「えっ!皆いつから見てたの!?」


そして反対側からも


「恋咲さんの好きな人……!?」


「ショック過ぎる……。」


という声が聞こえて振り返ると20人以上の人集りが出来ていた。(私達、この中で話していたの!?)


「恋咲さん、ちゃんと真面目に考えて答えて下さってありがとうございます。僕、応援してますね!」


「あ、うん。こちらこそありがとう。」


波多さんが居なくなってから私はレイラちゃん達の方に向かった。


「何でこんなに大勢集まってるの!?」


「それは、みのりんが呼び出されたとなるとファンはついて行くでしょ。私達は変な奴じゃないか見守ってただけだよ。ね、ユリ、雅美。」


「そうだよ。でも驚いたな〜。」


「私もだよ。ていうか全員でしょ?ね、爽夜。」


「まあな。でも誰かは予想がつくかもな。そこの固まってる5人、美乃梨が困惑してるぞ。」


5人というのは凪くん、景くん、千秋、真央くん、透くんだ。


「それよりどうしてレイラちゃん達が私が呼び出された事を知ってるの!?」


「それはね……、坂下が教えてくれたんだよ。」


私は、ん?と頭を捻った。和真くんはここに居ないのに。


「和真くん?でも和真くんは居ないよね?」


私がそう言うとユーリちゃんがチッチッチ、と言いながら教えてくれた。


「坂下くんね、みのりんの弟くんからメッセージが来て今自分は忙しいからって通り掛かった私達に頼んで来たんだよ。」


「弟……のうちの誰だろ?3人とも和真くんとそんなに仲良かったかしら?」


私が和真くんとメッセージをやり取りしているのは誰だろ?と気になって考えていると爽夜くんが教えてくれた。


「架だろ?因みに俺は煌と、凪は稔と連絡先交換してるぞ。」


「えっ!?そうなの?いつの間にそんなに仲良くなっていたの?」


「旅行に行った時だ。」


爽夜くんがそう言うとユーリちゃんとレイラちゃんが


「私行けなかった奴だ。」


「私も、あの時弓道の大会と重なってたから。」


と言った。

私が「今度は2人も透くんも行ける日にするね。」と言うと2人は早速「空いてる日教えるね!」と言ってくれた。そして煌達の居る観客席に向かった。


千秋、景くん、真央くん、凪くん、透くんはさっきから心ここに在らず、という感じだが観客席までは普通に歩いて来ていた。


観客席に戻ると花央さんと千夏さんが私に寄って来てさっきの事を聞いて来た。


「美乃梨さん、何があったんです?」

「今時、呼び出しって素敵ですわね。」


「生まれて初めて告白されました……。」


私がそう言うと2人は驚いた様子で


「美乃梨さんなら毎日ラブレターと言う漫画あるあるというのを実現してそうですのに!」

「高嶺の花過ぎるんですかね?」


と言って来た。

私がそんな事ないですよ、と言っていると隣に居た爽夜くんが「ファンクラブが靴箱や机の中に入っている手紙とかは回収してるんですよ。それに話しかけただけでも呼び出されたりしますよ。俺がそうだったんですから。」と説明した。


「そんな事あったの?」


私が聞くとユーリちゃんとレイラちゃんと雅美ちゃんも頷いて


「私は九条のファンに呼び出された事ある。」


「私は神崎先輩のファンの子に。」


「私は有栖川くんのファンクラブの子に呼ばれた。」


と言った。

私達の知らない所でそんな事があったなんて驚いた。


「それで、美乃梨さん。告白の返事はどうなさったのですか?」


「お断りさせて頂きました。」


私が花央さんの質問にそう答えると千夏さんが


「やはり婚約者候補が居るからですか?」


と聞いて来たので私は首を振って「違います。」と言った。


「私、好きな人というか好きかもしれない人が居るんです。なのでそんな気持ちで他の方とお付き合いは出来ないのでお断りさせて頂きました。」


「あら、好きな方が出来てしまっては仕方がありませんわね。」


「応援したいのは山々なのですがお相手によると応援しかねますわ。」


「相手については今度麗華さんも呼んでお茶会開きますのでその時にお話しますね。」


私がそう言うとレイラちゃん達が「私達も参加して良い?」と聞いて来たので「楽しみにしてるわね。」と答えた。


そして色々あった体育祭は無事終わり、それぞれ帰路に着く。私は煌達と聡くんと一緒に本堂さんの車で帰り、千秋と千夏さんと家の近い景くん、真央くんと花央さんは今日は迎えの車が来ているそうで別々に帰る。


「またね!」


美乃梨ちゃんの好きな人は果たして誰でしょうか!?

色々あった体育祭も無事終われて良かったです。

次はまさかの転入生が2人来ます。

お楽しみに!


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