旅行〜2日目〜
今回は2日目です。
夜の影が3割程になった朝6時前、私は駐輪場前にあるベンチに向かった。
1番だと思ったけど景くんが来ていた。
「おはよう、景くん。早いね。」
「おはよう美乃梨ちゃん。そんな事ないよ。僕さっき来たばかりだし。」
そして5分も経たない内に和真くんと真央くんもやって来た。
「おはよ、美乃梨、景。」
「ーぁ、はよ、美乃梨。」
「おはよう。真央くん、和真くん。」
「じゃあそろそろ行こうか。」
私たちはそれぞれ好きな色のロードバイクを選んだ。
今回は少し距離が長めなのでロードバイクにした。
私がパステルの白色、真央くんがシンプルな黒、和真くんが秋の空色、景くんが紅葉に似た紅。
1列になってロードバイクで進んで行く。
色とりどりな紅葉のトンネルを潜りながら湖へ向かう。
「凄い綺麗だね!」
「うん。昨日は少し風があったからもっと葉が散っていて綺麗だった。」
「ああ、そうだな。真央先輩、写真撮ってませんでした?」
「撮ってるよ。美乃梨、後で美乃梨にも送るよ。」
「ありがとう、真央くん。」
湖に着くと1度休憩をした。
透き通った水面に写った高い秋の空は輝いていて凄く綺麗だった。私たちはついため息をこぼした。
「凄い……」
「ああ、凄え意外の言葉が見つからねえ。」
「神秘的な光景だね。」
「こんなに綺麗に写るんだ……」
湖を堪能した後私たちは別荘へと戻った。
往復約25キロなので休憩を挟んでも2時間掛からないくらいだった。
別荘に戻ると花央さん、麗華さん、千夏さん、煌、聡くん、千秋くんが起きていた。
他の起きてない人達もそろそろ起こしに行こう、という事になり私は部屋に戻って雅美ちゃんを起こしに行った。
「おはよう、雅美ちゃん。」
「ーん?おはよ、みのりん。」
雅美ちゃんは目を擦りながら眠たそうに起き上がる。
「あ、そうだ。雅美ちゃん、私今からお風呂に入るんだけど一緒にどう?」
「いいね!準備するからちょっと待ってて!」
お風呂場の前に向かうと景くん達も来ていた。
「あ、美乃梨ちゃん達も来たんだ。」
「うん、汗流したかったしね。」
「俺も、大した距離走ってないのに汗が凄いから。」
「僕は景達に誘われたから。」
「そっか。じゃあまた後でね!」
私と雅美ちゃんはお風呂に向かうと昨日同様露天風呂に入った。
「やっぱこの露天風呂は何回入っても飽きないね。」
「そうだね。朝から入れるのは嬉しいかな。」
「目も覚めるしね。」
ゆっくりお風呂に浸かった後は髪の毛を乾かし合ったり、化粧水やヘアオイルの貸し合いをした。
「私、お友達とお泊まり会とかした事が無かったから凄く楽しい。」
「私もみのりんと一緒に泊まれるの楽しいよ。」
リビングに行くともう皆起きて来ていた。
煌達が駆け寄って来たので先に挨拶した。
「おはよう。煌、稔、架。」
「「「おはようございます。姉さん。」」」
「朝から元気だね。おはよう。煌くん、稔くん、架くん。」
「「「おはようございます。雅美さん。」」」
「姉さん、雅美さん。今日の朝食は聡兄さんがエッグベネディクトを作ってくれてます。」
「そうなんだ。行こっ!みのりん。」
「うん!」
朝食は聡くんが作ってくれたエッグベネディクトと他のサラダやスープは自分で好きなだけよそうバイキング形式だった。
スープはコンソメスープとポタージュ、サラダはポテトサラダ、レタス、キュウリ、トマト、コーン、サラダチキン、オニオンスライスがあり好きによそっていった。
ドレッシングもいくつか種類があった。
全て聡くんの手作りだそうだ。
私はコンソメスープにレタスとトマトとサラダチキンとコーンのサラダ。
雅美ちゃんはポタージュにポテトサラダとレタス、キュウリにしていた。
「んー!ポタージュ美味しい!」
「流石聡くんだね。作り方教えて貰おうかしら?」
「私エッグベネディクト初めて食べるんだよね。」
「そうなの?凄く美味しいわよ。」
雅美ちゃんは確かに凄く美味しそうな匂いがする、と言い一口食べる。
「!この黄色いソースとトロトロの卵が凄く合う。」
「オランデーズソースの事ね。確かに好き嫌い別れる味なのにスッキリした後味で食べやすいわね。」
私がそう言うと食洗機をかけ終わった聡くんがこっちにやって来た。
「あ、気づいた?このオランデーズソースにはヨーグルトが入ってるんだ。だからバターがキツくなくて食べやすい味なんだよ。」
「そうなの!?そんな裏技があるとは知らなかったわ。」
「あの、木野さん。」
と雅美ちゃんが聡くんを呼んだ。
「どの料理も凄く美味しいです。良ければ料理を教えて貰えないでしょうか?」
「構いませんよ。美乃梨は?」
「私も知りたいわ!」
じゃあ10時頃にキッチンでいい?と聡くんが聞いたので私達は頷いた。
私達が朝食を食べ終わった頃インターホンが鳴った。
私はインターホンに出て玄関までお出迎えをした。
「いらっしゃいませ。お父様、お母様。」
「ええ。お出迎えありがとうございますね。」
「私はもっと早く来たかったのだがな。」
「お父様、お仕事があったのでは仕方がないですわ。あ、ですが写真は撮りましたよ。」
そうか、楽しそうでなによりだ、とお父様は頭を撫でてくる。
いつまでも玄関で立っておくのは、とリビングに向かった。リビングにはソファに座ってテレビを観ていた雅美ちゃん、爽夜くん、凪くん、千秋くんが居た。
千秋くんはお父様に気付いてすぐに挨拶をしに来た。
「ご無沙汰しております。恋咲家当主、当主夫人。」
「公式の場ではない為そこまで畏まった挨拶は必要ない。」
千秋くんの挨拶が終わり雅美ちゃん達を紹介する。
「お父様、お母様。こちらの方達は私の友人の鳳雅美さんと松岡爽夜さんと柄灯凪さんです。」
私の紹介につられて3人はそれぞれ初めまして、とお父様達に挨拶する。お父様とお母様は3人に挨拶を返す。
「初めまして。美乃梨の母の恋咲紫乃凛です。美乃梨がいつもお世話になっています。この子は少々抜けている所がありますが今後とも仲良くしてあげてくださいな。」
「恋咲薫だ。美乃梨から話は聞いている。良くしてくださってるようで安心した。美乃梨は抜けている所があるから父親として心配だったが……3人ともこれからも美乃梨をよろしく頼む。」
「「「はい!任せてください!」」」
流石幼馴染なだけあってピッタリ揃う返事だ。
ってそんな事より
「どうして3人とも抜けているという事に否定しないのよ?」
「何でって」
「だってみのりん」
「おっちょこちょいだよね?」
私は助けを求めるように千秋くんの方を見た。
千秋くんは頷きながら
「確かに少々と言うより大分抜けているな」
「……そんな事ない、わよ?」
私が千秋くんにそう言うとお母様が言った。
「美乃梨、そこまでになさい。貴女はもっと自覚すべきなのですよ。親の目からして見ると危なっかしいですもの。」
「分かりました。以後気をつけます。」
跡取りとしてある程度しっかりしている方だと思っていたけれどまだまだ足りないみたいだ。
お父様達が来たのを聞いて煌達や花央さん達、聡くんも挨拶をしにやって来たので私達は少し移動してソファで映画を見る事にした。
私達が見る映画は淡い恋を描いたラブストーリーだ。
「恋」はまだ良く分からないけれどやっぱり興味はある。一緒に居た凪くん、爽夜くん、千秋くん、雅美ちゃんも一緒に見る事になった。
―出会いは満開だった桜の木の下。被っていた帽子が木に乗ってしまい困っていたヒロイン。その帽子をヒーローは木に登って取ってくれた。
数日後、2人は高校の入学式で再会した。ヒロインはあの時の事を物凄く感謝した。実はあの帽子は亡くなった兄から貰ったものだったからだ。
そこから2人は高校でも良く喋るようになった。
少しずつ距離が近づいていく2人。
次第に2人は惹かれあっていった。
ある時ヒーローは告白を決意し、ヒロインをあの2人の出会いの木である桜の木の下に呼び出した。
だが、ヒロインはその場所向かっている途中に交通事故に遭ってしまう。意識不明の重体だった。
ヒーローは自分のせいだと追い詰めてしまう。
でもヒロインは意識を失う直前ヒーローの名前を呼んだ。その事を聞いたヒーローは急いで病院に駆けつけた。ガラス越しの弱ったヒロインの姿を見たヒーローは泣きながらヒロインの名前を何度も何度も呼んだ。
すると数週間目が覚めなかったヒロインが僅かに反応を返した。ヒーローは直様医師を呼びに行った。
そこからヒロインはみるみるうちに回復していった。
医師達が言うには「これほど回復が早いなんて……」「普通は後遺症が残る筈だ」と驚いた。
そしてラスト2人は想いを伝え合い結ばれる。
亡くなった兄に貰った帽子から始まった出会いに2人は兄が導いてくれた運命の相手だとそう信じた―
映画が終わり私は気づくと涙を流していた。
周りを見ると雅美ちゃんと凪くんも泣いていた。
「凄く、良い、話しだったね。」
「そ、うだね。」
「みのりも、みやび、も泣きすぎ。」
私達3人は泣きながら言い合う。
「そう言う凪だって泣いてるだろ。」
爽夜くんが呆れたようにと言う。
「何で爽夜と千秋は大丈夫なの?」
「大丈夫っていうか。俺、感動系に強いから。感動はしたけど涙は出ない。」
「俺も。映画を見る時はあまり泣かない。」
そう千秋くんが言った時私は気付いてしまった。
「でも、千秋くん、目が少し赤くなってるよ?」
「本当だ。さては泣くのを我慢したんだな。」
爽夜くんがニヤニヤとしながら千秋くんをからかう。
「……違う。」
千秋くんは耳を少し赤くしながら言った。
爽夜くんは納得していないように「ふーん?」と言いながら千秋くんを見た。
そんな事をしていると大事な事を思い出した。
「雅美ちゃん、今何時!?」
「えっと、10時半。……って10時半!?」
聡くんと約束した時間が過ぎていた。
「やばいよみのりん。早く行こ!」
「うん!」
キッチンの方に行くと聡くんは材料を準備して待っていてくれた。
「聡くんごめんなさい。映画を見ていて時間を忘れてしまっていたわ。」
「私もごめんなさい。私からお願いしたのに……」
すると聡くんはニコニコしながら
「全然良いよ。僕は10時頃と言ったけれど正確な時間は指定してないしね。それに時間が過ぎるのは分かっていたから。」
と言ってくれた。
「どうしてそんな事分かっていたの?」
「僕もあの映画見た事があったんだ。あれは感動するから最後まで見て欲しいなと思って。どうだった?」
「凄く感動したわ。」
「凄く感動しました。」
「そっか、それはなにより。じゃあそろそろ始めようか。」
今日作り方を教えてくれるのは初心者向けだという生姜焼きだ。
まずは調味料を混ぜてタレを作る。
次に一緒に入れる玉ねぎを切る。
その次に豚肉の脂身と赤身の間に包丁で軽く線を入れていく。これをする事でお肉が丸まらず、焼き加減が均一になる。
そして油を引いたフライパンに玉ねぎと豚肉を入れ強火で炒める。
焼き目が付いたらタレを回し入れ炒めて盛り付ければ完成だ。
「凄い!私でも作れました。」
「生姜焼きは作った事が無かったけどこんなに簡単に作れるんだね。」
「そうだよ。でも作り方過ぎちゃったね。どうする?昼食に回す?」
どうしようかと迷っている時、
「凄え旨そうな匂いがする!」
と和真くんがやって来た。
さっきまでスポーツルームで遊んでいたらしい。
景くんと真央くんも一緒に居る。
「じゃあ和真くん達食べる?」
私が聞くと和真くんは目を輝かせながら
「良いのか!?実は昼前なのにお腹が空き過ぎて。」
と言った。
「私が作ったのだけどそれで良いならどうぞ。」
すると映画を見終わって感動に浸っていた凪くんと千秋くん、千秋くんをずっとからかい続けていた爽夜くんがやって来た。
「僕も食べたい。」
「俺も。実は結構お腹空いてたんだよな。」
「俺も。朝食余り食べてないから。」
意外と大人数が集まってしまった。
聡くんは「皆んな育ち盛りだからね。」と言いながら取り皿を用意している。
私は雅美ちゃんと顔を見合わせて少し笑みをこぼす。
「じゃあ、皆で食べよう!」
するとさらに煌達がやって来た。
3人もお腹が空いていたらしい。
「「「「「いただきます!」」」」」
全員一斉に言った。
自分で作ったのを食べてみると案外上手に作れている気がした。雅美ちゃんも上手くいった!と笑っている。
私は昼食前なので一口しか食べていなかったけど皆はパクパクと食べていく。
『これは俺が食べる。』
『いや、僕が食べるよ。』
『何言ってるんですか?僕が食べます。』
『いや、僕が』
『姉さんが作ったものは僕が』
『何言ってるんだ。俺が』
『僕が食べたい。』
煌達と景くん、千秋くん、真央くん、凪くんが何かコソコソと言い合ってる。
「皆、何を言い合ってるの?早くしないと冷めて美味しくなくなってしまうわよ?」
7人共何でもない、と教えてくれないけど言い合いは終わったみたいだ。
そしてペロッと食べ終わってしまった。
「皆凄いね。でも昼食食べられるの?」
私が聞くと皆は頷いた。
「もちろん!」
「ああ、全然余裕だ。」
「まだまだ食べれます。」
聡くんの言った通り育ち盛りは凄いな、と思う。
昼食はお父様達が買って来てくださったお寿司と手巻き寿司の具材、他にも付け合わせとして聡くんがお吸い物を作ってくれた。
「んー!美味しい!私、大トロ初めて食べた。」
「確かに。帰ったら家族に自慢しよ!」
「俺も初めてだと思う。」
「聡くん、このお吸い物凄く美味しいわ!」
聡くんはニッコリと笑って
「ありがとう美乃梨。おかわりもあるからね。」
と言ってくれた。
「聡は相変わらず料理が上手いな。」
とお父様もお吸い物を褒めていた。
「ありがとうございます。叔父様も料理は得意だったと記憶していますが?」
「まあな、最近は作ってないから腕はなまってると思うがな。」
花央さん達は手巻き寿司を作っている。
千秋くんと真央くんも一緒に作っていた。
「2人とも何を入れたの?」
「俺はマグロときゅうりとしそだ。」
「僕はサーモンとアボカドと卵焼きだよ。」
「そうなんだ。2人とも美味しそうだね!」
私も作ってみる事にした。
私はサーモンとエビとイクラを入れた。
脂ののったサーモンとプリプリのエビにプチッと弾けるイクラは凄く美味しかった。
他にも何通りかやってみた。
魔法で時間を止めていたから全部買った時のように新鮮で凄く美味しかった。
昼食が終わり夕食までそれぞれ自由行動だ。
景くんは花央さん達のお茶会に誘われたらしく、和真くんが暇だと言っていたので一緒に遊ぶ事にした。
「ねえ、和真くん。実は私も今する事がなくて暇なんだよね。一緒に遊ばない?」
「良いな!爽夜達も誘うか?」
「うん!」
結局、私、和真くん、爽夜くん、雅美ちゃんの4人で遊ぶ事になった。
千秋くんと真央くんと凪くんは煌達と遊ぶらしい。
(いつの間にか仲良くなってたんだよね。)
「じゃあ、皆は何して遊びたい?」
「俺動く系!」
「それなら俺も。体動かす系が良い。」
「私は何でも。」
「それならスポーツルームにしよう!」
皆んなでスポーツルームに向かった。
煌達や千秋くん達の姿はなかった。
(どこで遊んでるんだろ?)
私達は初めにサッカーをする事にした。
サッカーと言っても後ろはシートでAIのゴールキーパーに塞がらなければシュートが出来る、と言ったようなものだ。私達は勝負する事にした。
和真くんは腕がなると言い張り切っている。
雅美ちゃんは「えー、サッカーか、」と言っていた。そういえば球技が苦手って言ってたっけ?
「雅美ちゃん、じゃあペア組もうよ。」
「本当に!やったー!みのりんと同じチーム!」
爽夜くんは「まあ、ペアを組んでも雅美に球技は無理だろうな」と言った。
雅美ちゃんはそれを聞いて
「みのりん、爽夜だけには絶対に勝とうね!」
と言った。
「う、うん!」
和真くんから順番に打っていく。
爽夜くん、雅美ちゃん、も順に打っていき私の番が来た。AIに読まれないように前部活体験で打った無回転シュートのフォームを意識しながら打った。
結果は和真くんの勝利だった。
「美乃梨、凄いな!さっきのシュートはまぐれじゃないだろ?」
「うん、頑張ってあの時の感覚で打ってみたんだ。」
「やっぱり美乃梨は才能あると思う。サッカー部に入らないか?」
「うーん、まだ部活に入って1ヶ月も経って無いからまだ余裕無いと思う。」
私がそう断ると爽夜くんが
「美乃梨はバスケ部で兼部していない唯一の女子部員なんだ。これ以上兼部を増やさせないからな!」
と言った。雅美ちゃんも
「サッカー部に行くくらいなら演劇部に来てね!みのりん!」
と言ってくれた。
「ありがとう。助っ人で良いなら機会があれば是非。」
他にもダーツやビリヤードをして楽しんだ。
3時になり聡くんがケーキを作ったそうなので皆んなでリビングに行って食べる事にした。
「ザッハトルテだわ。聡くん、手作りしたの?」
「はい。そうですよ。」
「凄いですね。」
「俺、早く食べたいです!」
「俺も。見てるだけでよだれ垂れてきそう。」
「じゃあ切り分けますね。」
と言い聡くんは8等分に切り分けた。
やっぱり聡くんの料理は凄い。
「聡くん、パティシエになれるんじゃないかしら?」
「俺もそう思います!」
「私も!」
「俺も!」
「4人共ありがとうございます。」
夕食の時間は6時半だ。
今はまだ3時過ぎなのでこれからどうしよう、という事になった。
「また、映画でも見る?」
そんな事を話している時、景くんと真央くんと千秋くんがリビングに入って来た。
「あれ?景くん、お茶会は終わったの?」
「う、うん。終わったよ。」
少し景くんの様子がいつもと違っていたけれど気にしすぎかな?と思い話しを続ける。
「そうなんだ。ねえ、3人共、これからどうしようって話していたのだけれど一緒に遊ばない?」
「良いね。僕は賛成だよ。」
「僕も。美乃梨ちゃん達と遊ぶのは楽しそうだし。」
「俺も丁度暇だった。」
でも問題は何をして遊ぶかだ。
「皆、何かしたい事とかある?」
「あ!そうだ!」
和真くんが思いついたと声を上げた。
「文化祭クラスTシャツ見たいに皆んなで白いTシャツに絵を描いたりしてオリジナルのTシャツ作るのとかは?絶対に思い出に残ると思うし。」
「良いね!私は大賛成!」
「私も。そういうのした事ないから。」
皆んな賛成だったので折角ならと凪くんと煌達も呼んだ。花央さん達にはお断りされてしまったけれど。
早速Tシャツを買いに行く。買い出し係はジャンケンで負けた私と真央くんと爽夜くん。
「私、買い出しとか憧れてたんだよね。」
「僕もだよ。」
「俺はしょっちゅうさせられてる、罰ゲームでな。凪と雅美に。」
「そうなんだ。仲良しなんだね。」
「まあな。それより買い出しって車出して貰えるものだっけ?」
そう、私達は今、本堂さんの運転する車に揺られながらお店に向かっている。
「私自分で歩いてお店に行った事がない気がする。」
「僕も多分ないかな。基本的に送り迎えは付いていると思う。」
「2人ともセレブだな。俺はよく兄貴と姉貴にコンビニまで走らされるな。」
「お兄さんとお姉さんがいるんだ?」
「はい。兄が朔夜で姉が茉夜です。」
「そうなんだ。でも凄いよ!私だったらいつも行っているお店の場所も自分で歩いて行ったら辿り着けるか分からないもの。」
「僕はよく行くお店ならまだ分かると思うけど電車とかバスは全く分からないかな。」
「そうなんですね。真央先輩に関しては意外です。しっかりしてそうなのに。」
「私は?」
「美乃梨はお嬢様って感じのオーラと言うか雰囲気があるからな。」
お店に着いたので私達は白いTシャツを探す。
「白いTシャツってどこに売ってるの?」
「普通に服屋だと思う。」
服屋さんに入ると3850円のTシャツと450円のTシャツがあった。
「どっちの方がいいのかな?」
「僕はどっちでもいいと思うけど……」
「いや、安い方だろ。白いTシャツ、しかも無地で3850円は高いだろ!それに絵を描いたりするだろ。だから安いので良いんだよ。」
「分かった。じゃあ買ってくるね。」
「ちょっと待て。サイズを確認しないと。」
「皆Lサイズじゃダメ?」
爽夜くんはしばらく考えるそぶりをして
「まあ、それで良いか。」
と言った。
Tシャツを買って次はペンキを買いに行く。
「ペンキはどこに売ってるの?画材屋さん?」
「いや、100均でいいと思う。」
「ひゃっきん?」
「100円均一ショップって言ってそこで売っているものは100円で買えるんだ。」
「そうなんだ。」
初めて入った100円均一ショップは凄かった。
そこでスプレーとペンキと筆と厚紙を何個か買った。
「これ全部買って1000円かからないんだ。」
「えっ!そうなの!?」
「僕、100均っていう名前は聞いた事があったけど本当に来たのは初めて。全部100円のお店なんて実在したんだね。」
買い物を済ませて別荘に帰った。
皆んなはペイントをする為にバルコニーが汚れないようにクリアシートをひいていた。
「Tシャツ買って来たぞー!」
「ペンキも買って来たよ。」
こっちも準備オッケーだよ、と言って皆んな着替えている。私と爽夜くんと真央くんも汚れていいようにつなぎの作業着に着替えた。
何故そんな物があるのかと言うとこんな事もあろうかと使い魔達が用意していたらしい。
(こんな事もあろうかとなんて考える?)
丁度着替え終わったらしい真央くんと爽夜くんも一緒にバルコニーに向かった。
「2人とも凄く似合ってるね!」
「美乃梨も似合うね。」
「美乃梨も真央先輩も流石は美形だな。」
「ありがとう。」
広めのバルコニーだけれど11人も集まると少し狭く感じる。
買って来たペンキの種類は赤、青、黄、白だ。
どんな風にしようかなと考えていたら雅美ちゃんが提案して来た。
「ねえ、厚紙で型紙を作ってイニシャルを入れない?」
「あ、それ楽しそう!」
という事でイニシャルの型紙を作る事になった。
私にも雅美ちゃんにもMが入ってるので先に雅美ちゃんはOを私はKを作る事にした。
それを見ていた皆んなもイニシャルを入れる事にしたらしい。アルファベットが被っている場合は作らなくて良かったので意外と早く終わった。
出来上がったアルファベットはA、E、H、K、M、N、O、S、Tの9つだった。因みにK・Mは私を含めて3人も居た。それにKとMが入っている人が多かった。
「私、稔と真央くんとイニシャルお揃いだね!」
「はい!姉さん!」
「そうだね。美乃梨。」
私達は作った型とスプレーを使ってイニシャルをTシャツに刻む。全員がイニシャルを入れ終わるとそこからは絵を描いたり色を塗ったり自由だ。
「みのりん、絵も描き合わない?」
「うん!どの辺りに描けばいい?」
「うーん、真ん中!」
「えっ!真ん中!?じゃあ私のも背中の真ん中に描いてね。」
「了解!」
私は雅美ちゃんの服の真ん中辺りに舞台に立っている雅美ちゃんのシルエットと梅の花を描いた。
「出来たよ、雅美ちゃん!」
「ありがとう。……凄い。みのりん!凄いよ!この梅の花だって凄く上手!」
「ありがとう。」
「でもどうして梅の花なの?」
「白い梅の花にはね、上品って言う意味があって雅美ちゃんの名前にもよく合うと思ってね。」
「私の名前?」
「うん。雅美ちゃんの名前はみやびやか、上品って言う意味があると思って。」
「そうなんだ。今度親に名前の由来を聞いてみる。」
もし聞いたら教えてね!、と言うと雅美ちゃんは快く請け負ってくれた。
他にも煌達とも絵の描き合いをしていたら結局全員のTシャツにかくことになった。
なので私も全員に描いてもらう事にした。
そこから黙々と作業をしていった。
全員最後に日付とメンバーの名前を入れて完成だ。
「完成!」
「後は乾かしたら良いんだよな?」
「うん!」
ベランダの柵に洗濯挟みで挟んで乾かして後は乾くのを待つだけだ。
一旦着替える事にしたのだけれどペンキの匂いが付いてしまっていたので私達は取り敢えずシャワーを浴びる事にした。
今日2度目のお風呂だ。
雅美ちゃんと一緒に入って「今度は絶対レイラちゃん達も来れる日にしようね!」と言った。
お風呂を出ると聡くんが
「皆さーん、夕食の準備出来ましたよ。」
と言っている声が聞こえたので雅美ちゃんと一緒に向かう事にした。
夕食は長野名物の信州蕎麦とおしぼりうどんだ。
ひと口サイズに纏められた麺が蕎麦とうどんで別のざるに乗せられている。私は蕎麦から食べる事にした。
「美味しい!聡くん、これどこで買って来たの?」
「いえ、僕が打ちましたよ。」
「えっ!凄い!蕎麦も打てるんだね!」
「ネットに載ってたからレシピを見ながら作ったんだけどね。」
「そうなんだ。凄く上手だね!」
「ありがとう。」
その時、爽夜くんが「辛っ!」と声をあげた。
どうやらおしぼりうどんを食べていたらしい。
おしぼりうどんは辛みが強い大根をおろした付け汁に味噌を溶かしながら食べる料理だそうだ。その大根の辛みは普通の大根の2倍の辛さがあるそうだ。
和真くんと凪くんは笑いながら爽夜くんを見ている。
千秋くんも食べていたらしく水をゴクゴクと飲んでいた。
「千秋くんも辛かった?」
「……いや、全然。」
「嘘つけ!千秋!さっき凄え水飲んでただろ!」
「……あれは、喉が渇いてただけだ。」
そんなに辛いの?と思い私も食べてみる事にした。
「うーん、辛さもあるけど凄く美味しいよ?」
私が言うと千秋くんと爽夜くんは驚いた顔で
「「辛くないのか!?」」
と聞いて来た。
「ううん、辛くない訳じゃないけど美味しい程度の辛さだなって思っただけだよ。」
2人は「美味しい辛さ?」と頭を捻っていたけど雅美ちゃんも「確かに辛いけど食べれる程度だね」と言っていた。
すると凪くんと爽夜くんは、
「「雅美は激辛カレーでも平然と食べてるだろ!」」
と言った。
なんと雅美ちゃんは辛い食べ物が好きだそうだ。
私も辛い物は昔から結構得意な方だった気がする。
麗華さんと千夏さんもおしぼりうどんばかりを食べていた。花央さんは苦手らしく蕎麦の方を食べていた。
夕食が終わり私と爽夜くんと真央くんで皆んなにサプライズをした。
「皆さん、実はデザートがあります。」
「何なにー?」
「聞いて驚け、雅美。」
爽夜くんは「じゃじゃーん!」と口で効果音の真似をしながら見せた。
「これは牛乳パンだよ。」
「やるわね、真央。私牛乳パン食べて見たいと思っていたの!」
「姉さんもなんだ。実は僕が食べたいって言って買ったんだよね。」
2人の会話を聞いていると麗華さんが言った。
「2人は本当似た者姉弟ね。」
「まあ、好みは結構似てるわね。そうだわ、那央にもお土産として買って帰らないと。」
最後は皆んなで牛乳パンを食べた。
煌達も菓子パンを初めて食べたので新鮮だったみたいだけど気に入っていた。
今日は早いので部屋に戻った後夜がふけるまで雅美ちゃんと沢山お喋りをした。
美乃梨ちゃん、凪くん、雅美ちゃんは結構涙脆い方です。
因みに聡くんと美乃梨ちゃん達は再従兄弟なので聡くんからとって美乃梨ちゃん達のお父様は伯従父です。
そして、景くんの様子がおかしかったのはお茶会で散々聞き出された恋バナのおかげ?で美乃梨ちゃんへの恋心を自覚し始めたからです!
そろそろ恋愛関係が動き出す予感!?
次回で旅行は終わりなのでお楽しみに!




