部活体験2!
初めは全部の部活を回ろうとしていた美乃梨ちゃんですが、部活動の多さから諦めることにして、友達に紹介された部活を回ることにしました。
ホイッスルの音でPK戦の始まりだ。
10回勝負キーパーの止めた数が多ければキーパーの勝ち。私がシュートを決めた数が多ければ私の勝ち。
真央くんも景くんも9:1で勝ったそうだ。
なら私も同じかそれ以上で勝ちたいと思った。
1本目のシュート。
シュパッという音と共にゴールが決まった。
2本目、3番目……と無事に決まりいよいよ最後の1本だ。いつの間にか観客も増えていて応援の声も聞こえる。景くん、真央くん、和真くんも応援してくれる。
気合いを入れてシュートを打つ。
するとキーパーは少し遅れたように反応した。
何があったかはよく分からなかったけど、10:0で私の勝ちだ。
「やった、勝った……」
私がその場に座り込むと和真くんが駆け寄って来てくれた。
「凄え上手かったぞ、美乃梨。特に、最後の無回転シュート。まぐれだとしても初心者で打てるなんて凄え!」
「和真くん、えっと、無回転シュートって何?」
「ああ、無回転シュートってのはな、回転がかからないからキーパーがボールの動きを予測をしづらくなるんだ。」
そしてキーパーをしていた3年生もこっちに来て、
「恋咲さん。初めてで無回転シュートが打てるなんて才能あると思うよ、是非我がサッカー部に入らないかい?」
「すみません。私いくつか回ってから決めようと思っていますので……」
「そうか、もしサッカー部以外に入部しても兼部もあるし、たまに練習試合とか応援に来てくれると多分部の士気も上がると思うし。」
「それでも良いなら。もし応援に行く事があれば差し入れ持って行きますね!」
そして景くんと真央くんと私は制服に着替えに行き借りていたウェアを返した。
「2人とも、次回る所は決めてる?」
「うん、千秋くんを探そうと思ってたよ。」
「でも肝心の千秋がどこにいるか分からないんだよね。」
「それなら僕知ってるよ。千秋確かバスケのとき同じチームにいた子と一緒に体育館の方に行ってるのを見かけたよ。」
「あ、爽夜くんか。じゃあバスケ部だね。」
私たちはバスケ部のいる体育館へ向かった。
ダンダンというドリブルをつく音が聞こえて来た。
体育館に入ると千秋くんはちょうど
スリーポイントシュートを打っていた。千秋くんの手から離れたボールはアーチを描いてスパッとゴールに入った。
「千秋、上手だね。」
と景くんが言った。すると千秋くんは私たちに気づき
「入ってこいよ」と言った。
「お邪魔します。」
と言い私たちは体育館に入った。
すると私たちに気づいた爽夜くんと透くんも来てくれた。
「よう!美乃梨。さっきぶりだな。」
「うん。爽夜くんってバスケ部の中でも背が高い方なんだね!」
「まあな、でも1番高いのは副キャプテンの3年生だけどな。」
「そうなんだ、」
「あ、美乃梨も体験して行かないか?」
「いいの!ありがとう透くん。私球技得意なんだよね!」
「真央先輩も、えっと有栖川、だよな?2人とも体験して行って下さい。」
すると景くんは慌てたように
「自己紹介が遅くなってしまい申し訳ありません。
1年2組の有栖川景です。景でいいです。」
「笹木透だ。景、俺は透でいい。後同い年だから敬語じゃなくていい。」
「あ、ごめんつい癖で。よろしく、透。」
つられて爽夜くんも自己紹介をした。
「俺は松岡爽夜。神崎先輩も景も爽夜って呼んでくれ。俺も景って呼ぶから。」
「うん。よろしく爽夜。」
「僕も自己紹介するね。神崎真央です。僕も真央って呼んでね。よろしくね、爽夜。」
「はい、真央先輩。」
挨拶が終わると私たちは爽夜くんと透くんにゴール下まで連れて行かれた。爽夜くんと透くんは分かりやすくシュートのコツなどを教えてくれた。
初めに見本として爽夜くんと透くんの1on1を見せてくれた。爽夜くんがオフェンスで見事なドライブとロールでディフェンスの透くんを巻いてレイアップシュートを決めた。
「凄い!爽夜くん。」
「じゃあ美乃梨もやってみるか?」
「うん!」
私は軽く準備体操だけして制服の袖を捲った。
爽夜くんが開始の合図をくれたのでドリブルをつき始める。
最初はドライブで切り抜こうと思ったけれど、ディフェンスの透くんが中々通してくれない。
私は一歩後ろに下がってシュートを打った。
スリーポイントシュートだ。
シュートを打つとき少しフォームが歪んでしまったけれどバックボードにあたりスリーポイントシュートはきまった。
するとバスケ部の部員が盛大な拍手をくれた。
「美乃梨、スリーポイントからゴールまで届くんだな。しかもワンハンドで。」
と透くんが驚いた様子で言ってきた。
「うん、でも一か八かって感じだったけれどね。
透くんのディフェンスが上手すぎてドライブもロールターンも出来なかったから……」
「ありがとう、俺体幹が強いからディフェンスの方が得意なんだよ。」
爽夜くんと千秋くん、景くん、真央くんも凄かったと言ってくれた。
「皆ありがとう!」
次は景くん対真央くんで1on1をすることになった。
景くんがオフェンスで真央くんがディフェンスをしている。
景くんがドライブで切り抜く。でもシュートを打とうとした景くんの前に真央くんが立ちはだかる。
そして一歩下がり距離をあけシュートを放った景くんのボールを真央くんはバシッとカットした。
またしても歓声が起きた。
「負けちゃった、」
と景くんが少し悔しそうな顔で言った。
「確かに真央くんは強かったけど景くんのドライブも凄かったよ!」
「ありがとう、美乃梨ちゃん。」
そして全員体験が終わったのでお礼を言い帰ろうとしたとき、爽夜くんに、
「3x3やってみないか?」
と誘われた。私はどうしようかと迷ってていると千秋くんが「楽しそうだな」と言って乗ったので皆参加することにした。
チームは私、千秋くん、爽夜くんのAチーム。
景くん、真央くん、透くんのBチームに決まった。
6点先取の勝負。
私たちはAチームは爽夜くんの掛け声に合わせて
「おー!」と声を揃えた。
そして先攻はBチームに決まった。
ドリブルをついて周りを見る真央くん。
私は透くんにつくことになった。
「絶対通さないからね、透くん。」
「こっちこそ。負けないからな美乃梨。」
真央くんは景くんのいる方へパスを飛ばした。
するとゴール下に居た透くんはセンターラインまで下がって行き景くんと真央くんに指示を出した。
「いつの間に、サインなんか決めたの?」
「秘密!」
と言い透くんは私を撒いて景くんからパスを受け取った。しまったと思ったとき爽夜くんがカバーに入ってくれた。
爽夜くんのついていた真央くんがフリーになってしまったので私は真央くんの方に行った。
でも透くんの素速いパスで真央くんは既にボールを持っていた。真央くんがシュートをしようとジャンプしボールを上げたので
私は次こそは、と思い私は精一杯ジャンプした。
真央くんは少し驚いた顔をしていたけどボールをクルッと後ろへ回し誰もいない所にパスをした。
するとその瞬間に透くんが走って来てシュートを決めた。
「何?今の……」
と私が口にすると透くんが
「フェイントをかけたんだよ。」
と言った。
「なんで今日会ったばかりなのにこんなに連携プレイが出来てるの?」
「勝つ目的が同じだからかな。」
と真央くんがヒョコッと顔を出して言ってきた。
ピーッとホイッスルの音がしたので私たちは攻守交代をした。次は私たちが攻めだ。
最初は千秋くんがボールを持つ。私はディフェンスの透くんを撒こうとするけど得意と言うだけあって中々撒くことができない。
爽夜くんの方には真央くんが、千秋くんの方には景くんが付いていた。予想通りだったので作戦開始だ。
私たちの作戦はスリーポイントシュートを打ちやすいようにディフェンスを前に引き付けることだ。
私、千秋くん、爽夜くんは皆スリーポイントが得意なシュートだからだ。
私は作戦通り透くんを前に引きつけている。
爽夜くんも真央くんを千秋くんの所からできるだけ遠ざけている。
そして攻め込もうとした千秋くんを追い景くんもゴール下に来た。そして体制が整ったことを確認した千秋くんはスリーポイントラインまで下がりしっかり踏み込みシュート打った。
リングにも当たらずスパッと入ったシュートはとても綺麗だった。
私が感動していると爽夜くんがちょっと興奮した声で「凄え!」と言ったのが聞こえた。
そしてBチーム2回目の攻撃。
結果はなんと真央くんのダンク!で4-3に、
私たちAチームは次にスリーポイントを取れば勝ち!もう一度気合いを入れ直した。
さっきと同じように最初は千秋くんから。
私のディフェンスは真央くんに変わった。
千秋くんのディフェンスも透くんに変わり苦戦しているみたい。隙を見て千秋くんは爽夜くんにパスをした爽夜くんはボールをキャッチした瞬間に俊敏な動きでディフェンスの景くんを撒きスリーポイントシュートを決めた。私たちAチームの勝ちだ。
最後に握手で終わる。
そして皆水分補給をする為ベンチに向かった。
私と千秋くんと真央くんはリレーの練習の時にお茶を買っていたし、爽夜くんと透くんは部活があるので水筒を持って来ていたけど景くんは無かったみたい。
「景くん、良かったら私のお茶飲む?」
と言うと景くんは少し固まった後慌てたように
「っいいよ、買ってくる。」
と言った。千秋くんが「俺のを分ける」と言うと
景くんはホッとしたように「ありがとう」と言っていた。
「どうして私のは断ったの?」
と私が聞くと景くんは少し黙って
「美乃梨ちゃんのは、その、か、間接キスになるって意識しちゃって……」
と言った。
景くんが照れながら言うので私まで照れてしまう。
「ごめんねっ!私気付かなくて、」
「いや、勝手に意識してた僕が悪いんだよ……」
ちょっと気まずい雰囲気を爽夜くんが和げてくれる。
「そういえばさ、さっきの真央先輩のダンク凄かったよな。」
「うん!凄く飛んでた。真央くん、やったことあったの?」
「いや、無いよ。でも美乃梨が僕のフェイントに引っかかって飛んだ時にダンクできそうな高さだな、て思ったんだ。」
「えっ!私そんなに飛んでた?」
と聞くと他の4人はうんうんと頷く。
「俺も美乃梨が飛んだとき美乃梨ならダンクも出来そうだと思った。」
「うん、まじで凄かった。」
「俺、美乃梨に跳躍力負けそう、」
「美乃梨ちゃん、ダンク挑戦してみたら?」
と景くんが無茶振りをしてくる。
他の3人も乗ってきて
「美乃梨ちゃんなら出来るよ!」
「そんなこと言うなら景くんもやってみたら?」
「おい美乃梨。無茶言うなよ。」
「私は今その無茶を言われてるんだけど……
爽夜くんこそ背が高いんだしダンクできそうじゃん」
「まあ、俺なら出来るだろうけどモテすぎちゃうじゃん?」
爽夜くんが自慢げに言うと透くんが
「爽夜ってそういう所あるよな、」
と言った。すると爽夜くんは
「そういう透だって、美乃梨と仲良くな、っ離せよ、透。」
爽夜くんが何か言おうとした時透くんが慌てて爽夜くんの口を塞いだ。私が首を傾げていると千秋くんが、
「どうしたんだ?透。」
と言った。
「何でも無い。千秋もダンクやってみたら?」
「それがいいよ!千秋くんのダンク、かっこ良さそう!」
「いいぞ、ただし美乃梨も強制参加だからな。」
ニヤッと千秋くんが不敵な笑みを見せる。
「それ、絶対カラオケの時の仕返しよね?
いいよ、じゃあ勝負だからね!」
「ああ、受けて立とう。」
ダンクの基本的なやり方は爽夜くんと透くんが説明してくれた。
よし準備は万全!
最初は千秋くんからハーフラインからドリブルをつきながら助走をつけて勢いをころさないよう踏み込む。
見事に綺麗なダンクが決まった。
「凄えな、千秋!」
「ありがとう。」
千秋くんは爽夜くんに褒められて少し照れた顔でお礼を言っていた。
(何その顔、ファンクラブの子が見たら倒れるよ。)
普段のクールな千秋くんとは違い、見たことない千秋くんの表情が見れて嬉しいのとそのかっこ良さ?可愛さ?で顔が赤くなってしまう。
でも動揺を悟られないように笑顔を貼り付けて、
「凄いね、千秋くん。でも私も絶対成功させるから」
と言いボールを持った。私は透くんにパスしてもらってダンクをすることにした。
パスのタイミングだけ練習しることにした。
私はふぅ、と息を吐き、一度落ち着くそしてゴール前まで走って行った。
「透くん!」
と呼ぶとパスをくれた。タイミングはバッチリだったので私はボールをキャッチし踏み込みしっかりジャンプすることができた。
ダンクは綺麗に決まった。
「凄いね美乃梨!」
「ありがとう真央くん。でも真央くんが最初にしたんだけどね。」
「いや、美乃梨の身長でそれは凄いなと思っただけだよ。」
「私が小さいってこと?これでも私162センチだから結構大きい方だと思うけど。」
「でも僕よりは小さいでしょ?」
「それはそうだけど……そういえば真央くんって身長何センチなの?」
「最近測ってないから分からない。」
私と真央くんで話していると爽夜くんが
「確か明後日に身体測定があったはずだけど……」
と言った。
「じゃあ身長分かったら教えて、何かちょっと気になって来た。」
私がそう言ったら爽夜くんが思い付いたようにポンッと手を叩いた。
「透と千秋と美乃梨ってあんまり身長変わらないよな、背比べしてみないか?」
「別にどっちでもいいけど……」
私がそういうと爽夜くんが
「じゃあ、背中合わせで並んで〜」
と言ったので私たちは背中合わせで並んだ。
「あー、1番高いのは千秋か?でも透と美乃梨も大差無いんだよな、どう思います?真央先輩。」
「うーん、透じゃない?千秋と美乃梨は同じじゃないかな?景はどう思う?」
「でもここから見ると美乃梨ちゃんが1番高いようにも見えるね。」
3人の意見を聞いて千秋くんは
「バラバラだな。」
と言った。すると真央くんが
「明後日身体測定なんだよね?じゃあ誰が合ってるか賭けてみない?」
「俺はいいですよ!」
「僕もいいよ。」
と何故か私たちの身長で賭け始めた。
「何を賭ける?」
「俺はコンビニのピザまんで。」
「僕はハンバーガー食べてみたい。」
「じゃあ僕はファミリーレストランに行ってみたいな。」
と言った。爽夜くんは驚いたように
「2人ともファミレス行ったりジャンクフード食べたりした事無いのか?」
「うん、憧れてたんだ。」
「僕も帰りに買い食いしてみたかったんだよね。」
と3人で盛り上がっているので私も混ざる。
「ねえ、それ私たちはどうなるの?」
「そうだな、賭け事に使われる駒ってのは嫌だ。」
「俺も。あ、俺たちは無償で奢りってのはどう?」
と透くんが言った。
「私はお金は出すから誰かと寄り道してみたい!」
「俺は牛丼屋行ってみたいと思ってた。」
私たちがそう言うと爽夜くん達は
「3人の意見は叶えるよ。ただし、透。お前は奢りとは言ったが500円以下だからな。」
「やったー!ありがとう爽夜くん。」
「ありがとう爽夜。」
「500円もあれば十分だよ。ありがとな、爽夜。」
そしてまだ6時前なので他の部活を回ることにした。
次は真央くんのクラスメイトが居るという合唱部を回ることになった。
コーラス部に着くとちょうど練習の合間の休憩時間だった。部長の早瀬先輩が迎えてくれた。早瀬先輩は私より少し背が高く大人っぽい方だった。
「神崎くん以外は初めまして。コーラス部部長の早瀬瑠奈です。前に姉が失礼をしたそうで、迷惑だったでしょう?ごめんなさい。」
「いえ、失礼なんて。とても明るい方でした。」
「そう?なら良かったです。皆さん是非体験して行ってください。」
早瀬先輩はどうぞ、と部室の中に案内してくれた。
「恋咲さんの声の高さならソプラノね。綾、ちょっとこっちに来て。」
「はい!何ですか?瑠奈先輩、って。あ、か、神崎先輩来てくれたんですか!?」
「久しぶりだね。南さん。」
「名前、覚えていて下さったんですね!感動で涙が出て来そうです!」
「綾、今はちょっと落ち着いてね。恋咲さんにソプラノパートを教えてあげて。」
「分かりました瑠奈先輩!恋咲さん、ついて来てください。」
これが楽譜です、と南さん?は教えてくれた。
「えっと南さんは真央くんのファンの方ですか?」
「はい!あ、すみません。恋咲さんの前で……」
「え?別に良いけれど?」
「そうなんですか?恋咲さんは優しいですね、」
と申し訳そうな顔で言ってくる。
「優しいも何も真央くんにファンの方がいるのは知っているわよ?何でそんな態度なの?」
「それは恋咲さんが神崎先輩の恋人だからですよ!」
「……へ!?恋人じゃないよ!えっとその、幼馴染だよ。景くんと千秋くんと同じ幼馴染。」
すると南さんは驚いた顔で
「そうだったんですか!?不快な気持ちをさせてしまったと思っていましたが違ったんですね。」
と言った。
「ええ。それより敬語じゃなくていいわ。同い年なんだし。私は恋咲美乃梨です。美乃梨でいいよ。よろしく。」
「分かった。私は南綾です。友達には綾って呼ばれてるよ。よろしくね。美乃梨ちゃん。」
「よろしく、綾ちゃん。」
そしてソプラノパートを覚えたらアルトパートの子と合わせるということになった。
「アルトはあっちで練習してるんだよ。」
「あ、美乃梨さん!」
元気のある明るい声が聞こえて来た。
「お、音さん。コーラス部だったのね。」
「はい!美乃梨さんが体験に来てくれるなんて嬉しすぎます!」
「美乃梨ちゃん、星川ちゃんと面識あったんだね。」
「ええ、前に握手を求められて……」
と言うと綾ちゃんは
「さっすが星川ちゃんだね!」
と笑顔で返している。
「あ、そうだ。美乃梨ちゃんのソプラノと合わせてくれる子探してたんだよ。星川ちゃんがやる?」
「っ!!是非やらせて頂きたいです!」
「じゃあ星川ちゃん。よろしくね。私たちは観客だから。」
「よろしくね!音さん。」
「よろしくお願いします!美乃梨さん!」
指揮は綾ちゃんが、してくれることになった。
指揮に合わせて歌い出す。
最初は一緒に歌い、後半からソプラノとアルトのハーモニーが始まる。
音さんの元気のある声は歌い始めるとよく響く美しい声に変わった。
私はカラオケとは違う声の出し方に少し苦労したけど歌う事は好きなので旋律にそうように歌った。
歌い終わるとアルト、ソプラノの人達は拍手をしてくれた。
「凄かったです!恋咲さん!」
音さんも褒めてくれた。
「音さんこそ、素敵な歌声だったわ。」
「ありがとうございます!実は3歳の頃からコーラスを習っていたんです。」
「そうだったのね、だからあんなによく響いた声を出せたのね。」
と私がしみじみ言うと音さんは涙目で
「美乃梨さんにそこまで褒めて貰えるなんて……今までコーラスをやって来て本っっ当に良かったです!」
と言った。
他の子達も口々に褒めてくれた。
そして私たちはまだ回るところがあったので10分程で失礼した。
「美乃梨ちゃん行ってみたい所後何ヶ所ある?」
「2ヶ所だよ。ちょうど6時ピッタリだから急いだら間に合うよね?」
「そうだね。見学だけなら間に合うと思うよ。」
「じゃあ、時間もないしそろそろ行くぞ。」
「うん!」
次に来たのはユーリちゃんのいる放送部だ。
丁度練習風景が見えた。今は保護者向けの体育祭の説明動画を撮っているみたい。
副部長の2年生が見学しやすい場所に案内してくれた。ユーリちゃんは耳にかけられるタイプのイヤホンマイクでカメラに向かって笑顔で説明している。
景くんが、
「放送部って凄いね。」
と言うと千秋くんは
「他にも地域のイベントの司会とかもするらしい。」
と言った。真央くんは
「皆原稿覚えて言ってるのか、凄く聞き取りやすい声だね。」
と言った。
そしてしばらく見学した後演劇部のいるホールに向かった。ホールは音楽ホールで声が響きやすい。
私たちは邪魔をしないように後ろの方から入った。
すると部長の3年生が「ようこそ、演劇部へ」と言って出迎えてくれた。
中へ案内され練習風景を見学する。
今やってる劇は脚本担当の人が書いた劇だそうだ。
雅美ちゃんは主人公の少女役。
大きくハキハキした声は体育館の後ろでも聞こえやすい。雅美ちゃんの演技もとても上手で完全に雅美ちゃんとは別の人格が存在するようだ。
雅美ちゃんの演技に食い入って見ているとそろそろ片付けが始まると言うので私たちは帰ることにした。
「凄かったね。特に雅美ちゃん!」
「少女役の子?僕子役かと思ったよ。」
「鳳さんの演技、俺も見入った。」
「プロの女優さんと一緒に演技をしても違和感がなさそうだよね。」
そんなことを話しながら私たちは昇降口へ向かい校門を出ると迎えの車はもう来ていた。
「今日もお迎えありがとうございます。本堂さん。」
いつものように仕事だから、と言い本堂さんは車を運転し始めた。
今回はどうでしたか?
ちなみに爽夜くんの「そういう透だって、美乃梨と仲良くな、」の続きは
「そう言う透だって美乃梨と仲良くなるために色別対抗リレーに出たんだろ?」
です。




