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王子様は1人じゃないっ!  作者: 華咲果恋
本編2年生
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遠い親戚

放課後、部活が休みなので皆んなで帰ろうと思った時、覚えの無い気配を感じた。


「京翠、これって……」


「魔法使いの気配ですね。禁忌の者達と関係があるか分かりませんが私から離れないようお願い致します。」


京翠は少し焦ったような表情でそう言った。

そしてすぐに三日月先生と七倉先生がやって来た。


「恋咲、京翠さんと一緒か。良かった。」


「多分、そんなにやばいやつじゃないと思うが、警戒するにこしたことはない。」


気配は校門の方からしている為、京翠と三日月先生と一緒に校門へと向かった。


校門前には見覚えのある人が2人立っていた。


「えっと、確か……ウィリアムさんとアルバートさん?」


「Hi.Are you “Minorin”?

l’m Billie. Nice to meet you. 」

《こんにちは。君がみのりん?僕はビリー。会えて嬉しいよ。》


「Nice to meet you too. I’m Minori. I've heard about you from Leila.」

《私も会えて嬉しいです。貴方の事はレイラちゃんから聞いています。》


私達が英語で挨拶を交わしているとレイラちゃんのお兄さんがウィリアムくんの頭を叩いた。


「こらビリー!日本語喋れるんだから態々英語で挨拶しなくても良いだろ?悪いね、美乃梨。こういう奴なんだ。初めまして、俺はアルバート・翔喜(しょうき)・姫野だ。日本名では姫野翔喜だが、あっち(アメリカ)ではアルと呼ばれていたから呼び易いように呼んでくれ。」


「アル、ちょっとふざけただけなのに痛いよ!レイラから英語に堪能と聞いていてどのくらいか気になったんだ。急にごめんね。改めて、これからよろしく、美乃梨!僕の事はビリーか芽依人(めいと)で良いよ。」


挨拶を終えると翔喜さんと芽依人くんはきょろきょろと周りを見まわした。


「美乃梨、レイラは?」


「もう直ぐ来ると思いますけど……」


私がそう言ったすぐ後、レイラちゃんと雅美ちゃんとユーリちゃんがやって来た。(特にレイラちゃんは物凄く走って。)


「ビリー!!」


レイラちゃんは走って来るなりガバっと芽依人くんに飛びついた。


「Layla! I missed you.」

《レイラ!君に会いたかった!》


「Me too! I'm happy to meet you.」

《私も!貴方に会えて嬉しいわ!》


レイラちゃんは私と雅美ちゃんとユーリちゃんを芽依人くんと翔喜さんに紹介してくれた。


「何だ、みのりんとは挨拶してたんだ。アル、ビリー、本当久しぶり!元気だった?」


「殆ど毎日電話してるだろう?俺もビリーも元気だ。」


レイラちゃんは翔喜さんと芽依人くんに色々学校の事を話したりもしていた。少しして千秋と真央くんと景くんと篤季が揃ってやって来た。


「美乃梨!……どういう事だ?」


「実はね……」


私は千秋の耳元でこっそり話した。


『魔力の気配を感じて来てみたら、まさかのレイラちゃんのお兄さんと彼氏さんが居たの!』


私の話を聞いた後、千秋は芽依人くんに話しかけた。


「すみません、少し良いですか?」


「You’re so good looking.」

《君、とてもかっこいいね。》


「Thank you. There's something I want to ask more than that.」

《ありがとうございます。それよりも聞きたいことがあります。》


英語で会話する2人を見てレイラちゃんが呆れたように溜息をついた。


「九条、ビリーは日本語分かるし話せるわよ?」


「そうなのか?」


千秋は首を傾げながらそう聞いた。


「姫野、ちょっと彼氏借りても良いか?」


「全然良いよ!じゃ、ビリー、先帰ってるね!」


取り敢えず一時的に京駕さんの運転してくれる車へと乗り込んだ。


「芽依人くん、今から私の家に向かっても良いかしら?帰りはちゃんと芽依人くんの家まで送り届けるから。」


私がそう言うと、芽依人くんは頷いてくれた。


「ああ、問題無いよ。」


「単刀直入に聞きます。貴方は魔法使いの一家ですか?」


篤季が皆んなを代表して聞いた。


「Am I a wizard? 」

《僕が魔法使い?》


芽依人くんはきょとんとした顔で聞いて来た。

気配の感じからすると純血の魔法使いでほぼ間違いない筈だ。


「魔法使いか、確かに言われてみればそうかもしれないな。父さんは何か物を作り出す事が出来るし、母さんは人の怪我や壊した物を治すことが出来るから。」


「ご両親の旧姓って分かりますか?」


「ああ。父さんはルーナで母さんはくらつき?だった気がするよ。父さんは養子縁組してリーに変わったそうだけどね。」


ルーナ、月を意味するこの名は知らずとも分かる。

魔法使いの家系にこの姓があっても何も驚かない。


そしてあっという間に家に着き、芽依人くんと千秋達をお茶会室へ案内した。


「芽依人さん、お母さんの名前を教えて頂けますか?」


篤季の質問に芽依人くんは頷いて答えた。


「くらつきあんなだよ。」


篤季は私を見て軽く頷くとすぐにその場を離れて倉津木家と連絡を取ってくれた。少しして、すぐに篤季は戻って来た。


倉津木杏奈(くらつきあんな)さんという方は倉津木家本家の方で、柊様の従兄妹だそうです。」


柊さんの従兄妹という事は、お母様の従兄弟の従兄妹という事になる。


「そして、倉津木杏奈さんは九条家当主、九条千歳様の従兄妹でもいらっしゃる為、芽依人さんは千秋の再従兄弟という事になりますね。」


篤季の報告に千秋と芽依人くんは顔を見合わせた。


「再従兄弟……」


「My second cousin !」

《僕の再従兄弟!》


そして2人は挨拶をした。


「初めまして、九条千秋です。よろしくお願いします。」


「僕はウィリアム・芽依人・リー。こちらこそよろしくね、千秋!」


そして芽依人くんは嬉しそうに千秋の隣の席に移動した。


「そういえば、どうして日本に来たの?」


私が芽依人くんにそう聞くと、芽依人くんは首を傾げて言った。


「さあ?父さんと母さんが日本に用があるとか言っていたような気がするけど、詳しくは分からないな。」


「なら帰国は一時的なものかしら?」


「いや、来週からレイラ達と同じ学校に転入する事になってるよ。クラスは確か……2年4組だったかな?」


「私達と同じクラスね!」


私がそう言うと芽依人くんは聞いて来た。


「私達?」


「ええ、ここに居る篤季と千秋と景くん、それに私も2年4組だよ。真央くんは一つ上何だけどね。」


すると芽依人くんは目を輝かせて言った。


「そうなんだ!篤季、景、千秋、美乃梨、改めてこれからよろしくね!真央は先輩っていうのだよね?真央先輩よろしくお願いします!」


「芽依人さん、部活はどうするんですか?」


篤季が芽依人くんにそう尋ねた。


「芽依人で良いよ。部活はやっぱりバスケかな?向こうでも毎日していたしね!」


「なら、部活も一緒ね!分からないことがあったら何でも聞いてね!」


「うん!」


そしてしばらく話していると扉をノックする音が聞こえて来た。


「美乃梨〜、入るよ〜?」


律ちゃんの声が聞こえて私は扉を開けた。


「律ちゃん、どうしたの?」


「もう6時何だけど、皆んなどうする?ご飯食べていく?聡兄が聞いて来てって。」


「俺はお願いしたいです。」


「僕もお願いします。」


「僕も久しぶりに聡さんの料理食べたいです。」


千秋と真央くんと景くんはそう答えた。


「えっと美乃梨の友達の……!君、魔法使いなの?」


「多分、そうだと思います。」


私は芽依人くんの言葉に補足するように言った。


「芽依人くんのお父さんがルーナ家出身で、お母さんは倉津木家出身で倉津木杏奈さんという方らしいわ。」


「えっ、杏姉(あんねえ)!?」


「律ちゃん知ってるの?」


「勿論知ってるわよ!杏姉は紫乃凛お義姉様ととても仲が良かったから。昔はよく遊びに来ていたのよ?美乃梨も赤ちゃんの頃に一度会ってる筈よ。まあ、流石に覚えてないと思うけど。」



 そして夕飯の準備が出来たそうで聡兄様が呼びに来てくれた。


今日の夕飯はサーモンのソテーときのこのマリネと玉ねぎのポタージュだった。


「凄く美味しいね!美乃梨の兄が作ったの?凄いな!羨ましい!」


「ありがとう。聡兄様は自慢の兄だから。」


今日は稔と架と響彼くん、それにお父様とお母様も居ない夕飯だけれど芽依人くんや千秋達と一緒だからとても賑やかだった。


夕飯が終わり、皆んなで書斎で本を読んで居たらお母様が入って来た。


「美乃梨、紹介したい人が居るのだけれど……あら?芽依人くんもこちらに居たのね。」


「紫乃凛、どうしたの?」


「母さん!」


お母様と一緒に書斎に入って来たのは芽依人くんのお母さんだった。


「芽依人、ちゃんと皆さんには挨拶したの?」


「したよ。皆んないい人達だよ!」


「そう。皆さん、芽依人の母の杏奈です。これから芽依人の事をよろしくお願いします。美乃梨ちゃん!紫乃凛に似た美人になったわね!紫乃凛、煌くん達は?」


「煌は部屋に居ますよ。稔と架はお仕事があるのでまだ帰ってませんが。」


「あら、何のお仕事?」


「俳優をしてるんです。」


「あら、そうなの?かっこいいわね〜!また今度会ったらサイン貰わなきゃね。」


杏奈さんはそう言った後、気付いたようにこちらを向いた。


「そう言えば、どうして芽依人がここに居るの?アルと一緒にレイラに会いに行ったんじゃ無いの?」


「うん、アルとレイラの学校に行ったんだよ。」


芽依人くんの言葉に杏奈さんは額に手を置き溜息をついた。


「美乃梨ちゃん、皆んな本当にごめんなさい!芽依人は本当に魔法使いに関しての知識が無くて……昔から教えようとしても面倒臭さがって逃げるから。」


芽依人くんは謝罪する杏奈さんを見て首を傾げた。


「本当驚かせたよね?急に知らない気配が自分達の学校の前に出て来るんだから。」


「いえ、直ぐに駆けつけましたし、特に何もありませんでしたから大丈夫です。」


そう言ったのは真央くんだった。

芽依人くんは1人状況が飲み込めていなかった為、杏奈さんが説明した。


「あのね、芽依人。魔法使いは他の魔法使いの気配を感じ取る事が出来るの。だから全く知らない気配の魔法使いが近づいて来たら警戒するものなの。ていうか、レイラに会うならアルと一緒に家に行くと思うじゃない!どうして校門前なのよ!」


「だってレイラを驚かしたかったから。」


「はあ……貴方、しばらく倉津木家に預けるわ。魔法使いについて一から学んで貰わないと。」


「えーっ!レイラの家に行ったらダメなの?」


芽依人くんは残念そうにそう言った。


「何言ってるの?貴方、最初からレイラの家に行く予定はなかったわよ?第一、思春期のカップルを同じ家に泊まらせるわけ無いじゃない。皆んなごめんね、こういう子なんだけど仲良くしてあげて。良かったら魔法も教えてあげて。基礎すら出来ないから。」


杏奈さんは申し訳なさそうにそう言った。


「なら、得意魔法も今は特に無いという事ですか?」


真央くんは杏奈さんにそう質問をした。


「ええ。夫は使い手の少ない創造魔法が得意で、私は神崎家出身の母の影響で治癒魔法が得意なのだけど……この子にはまず風、土、火、水の基礎をやらせないと。」


「母さん、魔法出来たらかっこいいよね!?」


「ええ、そうね。」


「使えるようになったらレイラとアルに見せても良い?」


「何言ってるの?ダメに決まってるでしょ!レイラの家は魔法使いの家系じゃないし、いきなり魔法使いだなんて言われても驚くわよ。」


「はあ〜、レイラに自慢出来ると思ったのに。」


芽依人くんは残念そうに肩を落とした。

すると杏奈さんは私達の方を向いて言った。


「少なくとも、美乃梨ちゃん達の在学中は話せないのよね?」


「はい。」


「試練だものね。芽依人、今後貴方にもいくつか試練が与えられると思うけれど美乃梨ちゃん達の邪魔はくれぐれもしないでね?分かったかしら?」


「ああ!僕を信じてよ!」


そして杏奈さんは芽依人くんを連れて倉津木家へ帰って行った。お母様も久しぶりに顔を出しに行くそうだ。


「騒がしくなりそうだね。」


真央くんがそう呟いた。


「確かに。それよりまさか、千秋の再従兄弟とは驚いたよ。」


「俺も驚いてる。再従兄弟なんて初めて会ったから。」


「そうなんだ。僕は結構再従兄弟多いからな〜。と言うより冬真さんの所、兄妹が多いから。」


「私も。聡兄様と志紀都くんと紗奈咲ちゃんと景くんだから4人かな?碧依くんと紅音くんは一応再従兄弟何だけど従兄妹でもあるから。」


私がそう言うと真央くんと千秋が驚いたように言った。


「景と美乃梨って再従兄弟だったの!?」


「初耳だな。」


「そうね、私も知ったのは最近だから。」

次回もお楽しみに!

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