恋バナ
「怒りを鎮めるにはどこかにぶつけるしか無いんだろうな。」
リクスお兄様は困ったような申し訳ないような表情をした。
「兎に角、美乃梨と煌の身が一番だ。自分を一番に考えて行動してくれ、と言っても美乃梨には意味がないだろうな。貴翠、京翠、京駕、美乃梨を頼んだ。」
「「「はい。」」」
そしてリクスお兄様は煌達へ挨拶に行くとこの場を後にした。
***
「みのりん!おはよっ!!」
ユーリちゃんがバッと飛びつきながら挨拶をしてくれた。
「おはよう、ユーリちゃん!土曜日のこと、聞かせてくれる?」
「良いよ〜!あっ、でも雅美とレイラも呼んでからでいい?」
「ええ、勿論!」
私とユーリちゃんは雅美ちゃんとレイラちゃんを呼びに、隣のクラスへ向かった。
「雅美〜!レイラ〜!」
ユーリちゃんは入り口から2人を呼んだ。
「ちょっと待ってー!」
レイラちゃんが大きな声で返事をした。
何やら教室から騒がしい声が聞こえて来たので私はユーリちゃんの後ろから教室を覗き込んだ。
見てみると綾ちゃんと凪くんが何か言い合いをしているらしい。
「だ〜か〜ら〜!南の好きなのにして良いって言ってるじゃん!」
「はあ!?柄灯くんもちゃんと考えてよ!」
2人の様子を見たユーリちゃんは「相変わらずだな〜、あの2人。」と生温かい目で見ている。
「みのりん、ユーリ、待たせてごめん。」
「……みのりん、どうしたの?」
私の顔を見たレイラちゃんがそう聞いてきた。
「あの2人は何をあんなに言い合ってるの?」
「あ〜、綾と柄灯?」
「うん。何か言い合ってるみたいなんだけど。」
「あの2人ね、人権委員でポスター作らないといけないらしいんだけど……何かそれ関連で言い合ってるっぽい。」
「ほら、凪って中々独創的?な絵してるじゃん?だからあんまり自分から進んで絵を書きたがらないんだよね。その点綾は絵って言うか美術センスが凄いからさ、凪的には全部綾に任せたいんだろうね。」
レイラちゃんの言葉に補充するように雅美ちゃんが教えてくれた。
「そうなんだ。」
「で、綾は結構真面目な性格してるから柄灯が自分に任せてるのはただ面倒臭さがってるだけだと思ってるのよね。」
レイラちゃんがそう言った。
「まあ、あの2人はほっといてもいつの間にか仲直りしてるよ。仲良いし。それよりユーリ、早く坂下との事教えてよ!」
レイラちゃんは少しでも早くユーリちゃんと和真くんの事を知りたいみたいだ。
私達は人気のない階段の踊り場へ向かった。
「で、デートはどうだった?」
「凄く楽しかったよ!」
「雅美、そんな周りくどい聞き方したらきりがないわよ。ユーリ、坂下とはどうなったの?」
ユーリちゃんは真剣な顔になった、と思えばすぐにニッと笑った。
「無事、付き合う事になりました!」
ピースをしながら笑顔でそう言った。
「おめでとう!ユーリ。これで皆んな彼氏持ちだね。惚気ても良いよね!あ、みのりんに関してはフィアンセだったっけ?」
レイラちゃんはからかうようにそう言ってきた。
「違うよ!私はまだ……婚約者候補だから。」
「まあ、来年にはフィアンセになるって事だね!」
レイラちゃんは私の反応を見て楽しんでるようだ。
私ははあ、と溜め息をついた。
「じゃあそろそろ教室戻ろ!和真くんにまだおはようって言ってないし!」
ユーリちゃんは楽しそうな表情で立ち上がった。
「流石付き合いたてって感じ。」
レイラちゃんがそう呟き、雅美ちゃんも同意している。
教室に戻ると予鈴ギリギリだったので殆ど皆が揃っていた。
「あ、和真くん!おはよう!」
「お、はよ、ゆ、優里。」
堂々としているユーリちゃんとは違い、和真くんは全然名前呼びに慣れていないようだった。見ていてつい、笑みが溢れてしまうほど微笑ましかった。
「和真くん、おめでとう。」
私は後ろの席の和真くんに小さな声で伝えた。
「あ、ああ。ありがと。」
和真くんは照れながらも嬉しそうだった。
そしてお昼休み、私はユーリちゃんとレイラちゃんと雅美ちゃんと一緒にお弁当を食べる。
「今日の体育の時の坂下めっちゃ面白かった〜」
「ああ〜、ユリに応援されて敵チームにパスしてたやつ?」
「そうそう!」
「可愛かったな〜」
2人の発言に対し、ユーリちゃんはそう言った。
「可愛いの?あれ」
「可愛いよ。和真くん、かっこいいだけじゃなくて可愛い時もあるから。」
「分かるかも。千秋も時々可愛いって思う。」
「流石みのりん!分かってる〜!そうだよね。」
私がそう言うとユーリちゃんは嬉しそうに同調した。
「えー、私はあんまり無いかも、爽夜を可愛いって思うの。」
雅美ちゃんはお弁当の卵焼きを掴みながらそう言った。
「私も雅美に同意。ビリー別に可愛くないもん。」
「まあ、タイプがあるからね。和真くんと九条くんは可愛いタイプで、松岡くんとウィリアムくんはかっこいいタイプって事だよね。」
「まあ、そうなるかな。」
レイラちゃんはそう言いながらお茶を飲んだ。
すると突然ユーリちゃんが言った。
「そういえば、雅美と松岡くん、付き合って半年経ってるじゃん!何かしたの?」
「あ〜、そういえばそのくらい経ってるね。全然気にしてなかった。付き合い始めた日は覚えてるし一年記念は何かしようかな〜」
「雅美ってそういうの無頓着そうだよね。まあ、それは松岡も一緒か。」
レイラちゃんは呆れたようにそう言った。
「でも外でデートとかはこれからあんまり出来なくなるかも。事務所の方針で。交際は大丈夫だけど外で2人きりになるのは出来るだけ避けなさいって言われたから。」
「それは言われるよね〜」
レイラちゃんは雅美ちゃんにそう返した。
すると、しばらく黙ってたユーリちゃんが雅美ちゃんに向かっておずおずと聞いた。
「あのさ……雅美と松岡くんって結構ラブラブじゃん?」
「えっ、!?まあ、うん。」
「キスってした事ある?」
「なっ、へ、は、」
ユーリちゃんの言葉に雅美ちゃんは真っ赤になった。
「何照れてんの?付き合ってるならキスくらいするでしょ?」
雅美ちゃんの様子を見てレイラちゃんがそう言った。
雅美ちゃんは真っ赤な顔で言い返した。
「レイラ、アメリカと日本では違うの!日本ではキスなんて恋人しかしないから!まあ赤ちゃんが親にされるとかはあるのはあるけど……」
「それもそうね。ごめんごめん、で?したの、キス?」
「だ、し、さ、」
「この反応はしてるね。意外とやるじゃん松岡。」
「〜〜っ、したけど……それはキスシーンの練習でって言うか、」
「えっ!?今度の映画キスシーンあるの!?」
「いやぁ、まだ、キスシーンある仕事は来てない。」
雅美ちゃんは目を逸らしながら言った。
「何それー?てか、練習じゃなくて本番じゃん!」
「も〜っ!てか何で急にそんな事聞いてきたの?」
雅美ちゃんは赤い顔のままユーリちゃんに聞き返した。
「いや、付き合うって何するのかなって考えてて、やっぱり手繋いだり、キスしたりだよね〜って思って。みのりんはまだ出来なさそうだし、レイラはほっぺにちゅーくらいならしてそうだったから。てか、みのりん雅美よりも顔真っ赤だよ!大丈夫?」
「だ、大丈夫!」
私が慌ててそう返すとレイラちゃんが聞いてきた。
「みのりんってドラマのキスシーンとか見た事ある?」
「ある、よ?多分……」
「多分って……もしかして目逸らしたり?」
「うん。でも少女漫画では見れるよ。」
私がそう言うとレイラちゃんは額に手を当てた。
「九条、将来苦労してそう。まあ、みのりんはそういう初心な所が可愛いとこでもあるんだけどね!」
レイラちゃんは私の両頬を軽く摘んだ。
「レイラちゃんってやっぱり大人っぽいよね。」
「そうかな?ありがと!」
レイラちゃんはニッと笑った。
次回もお楽しみに!
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