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やっぱ辞めておきます  作者: あんず
8/10

「男子の料理能力の差は甘く見てはいけない。みんなの胃袋の安全性と食への執着心により選ばれたクッキングメンバーだよ」

ベンさんはお茶目に5人の男性を紹介してくれた。

もちろんみなさんマッチョです。


「よろしくお願いします」

私は新参者としてメンバーにご挨拶する。

クッキングメンバーは黒髪の爽やか系が多い。爽やか系マッチョも最高です。


時間もないので、クッキングメンバーと私は早速作業に取り掛かった。

ここにいる隊員は全部で58名。その人数分のご飯を2時間ほどで作る必要があるらしい。

作業しながらの会話はいかにここにいない隊員の料理が下手かという点であった。


ある人は鍋を黒焦げにし、ある人は生の人参を素手で粉々に握りつぶし、ある人はお皿を50枚割ったらしい。

本当にセンスが大切なんだなと改めて思う。

クッキングメンバーには、調理員が増えるとして私の存在は大変有難がられる。

ちなみにベンさんは参加せず、食堂の椅子に座って待っていた。

・・・ベンさんも作れない人なんだ。


1週間後には進軍することが決まり、いままで食材を節約して使ってきたが、ここへきて栄養のあるものへとシフトチェンジしたそうだ。

いつもはスープとパンオンリーだが、今日からはもう一品メイン料理をプラスして作るらしい。

私は言われるままに、野菜を切り、肉を炒め、盛り付けをした。

・・・野菜炒めだね。

大鍋の方ではコーンスープが作られていた。


というわけで、パンと野菜炒めとコーンスープに完成です。

・・・パンは作ってないけど。 パンは3日に1回時間をもらってまとめて作っているらしい。

だいたい4、5人分が一皿に盛り付けられており、好きに取り合うようである。

私の分は特別に1人前の分を作ってもらった。


テーブルにお皿をセッティングしているところで他の隊員たちが続々と集まってきた。

席は決まっているらしく、それぞれ迷いなく座って行く。

ちなみにベンさんは一歩も動いていないので、ベンさんの指定席がそこだったのだろう。

私は自分の分のご飯を乗せた盆を持ち、空いてそうな席を探す。

全員が座らない限り空いてる席がわからないので、調理場の隅でぼーっと突っ立ているだけである。


「ここ空いてるよ」

クッキングメンバーの一人が私の方に手を振りながら教えてくれた。

私はその人の場所へ行こと調理場から食堂へ入ったところで、横からお盆が取られた。

「えっ?」

「君はこっち」

相手はベンさんで、私のお盆をベンさんの席の横へ置く。

私はびっくりしながらも、先ほどの人に会釈しながらベンさんの方へ行く。


「基本、俺と一緒に行動するようにってい言ったでしょ? 俺の隣にちゃんといないと」

「あっ、はい」

逆らってはいけない雰囲気を感じ、私は一つ返事する。


隊員の着席が終わったところで、レオンさんとルイスさんが到着し座る。

「食に感謝を」

ルイスさんがそう述べると、全員が繰り返し、一斉に食べ始めた。

いわゆるいただきますの挨拶なのだろう。

隊員たちはいつもより豪華なご飯を喜びながら掻き込んで行く。


無心で食べ続ける隊員たちに私も心がほっこりする。

人にご飯を作るっていいな。

食後はクッキングメンバーと洗い物をし、ベンさんに連れられて部屋に戻った。


「明日は朝食の準備からお願いするね。 朝呼びに来るから。・・・ちゃんと部屋にいるんだよ」

ベンさんは幼い子に言い聞かせるよに告げると、心配そうにしながら部屋からさって行く。

私のこと幼女とでも思っているのだろうか。

ちなみに部屋から出て管理室の前にトイレがあるので、トイレだけは部屋から出てもいいと許された。

囚人になったような気分である。


私は部屋に干してあった洗濯のうち、濡れているものを乾きやすいように高いところから吊るしベッドに横になる。

疲れもあり、一瞬で夢の中である。


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