その53、怪物のねぐら発見
サービスシーンをもっと濃厚にしたほうが良かったのかな、と考える反省会。
「では、いきます」
力士の魔法陣が展開して、わたしたちの上から下へと移動していく。
その結果。
「ええーー……」
わたしたちは半分ほど、いや、それ以上に縮んでいた。
三角帽子の粗末な服。靴。そして、とがったでかい耳。
どうやらわたしたちは妖精になってしまったらしい。
「いきますデス」
「おっと……」
リングの中に潜っていく力士についていくと、わたしもそこに入れた。
中は、チカチカ光る坑道みたいである。
あちこちに、光の筋がどこまでも続いていた。
「こっちデス」
力士の後を追って走っていくと、やがて出口らしきものが。
這い出ると、そこは岩山のような場所。
ろくに草木もなく、岩と石ばかりのところ。
「こっちへ、デス……」
わたしたちは身を屈めながら、岩屋を探っていく。
「あ、いましたデス」
不意に力士が立ち止まり、前方を指した。
「おおう……」
そこには、無数にざわめく妖精の群れ。
クルラホーンだな。
そして、中央にはあのワームがとぐろを巻いていた。
怪物のそばには、ドラコが転がっている。
「いたな」
「いたデス」
わたしたちはうなずき合い、どうする考えた。
「……ともかく、空中から気をそらすから、あんたがさらに気をそらして」
「うっす」
「あと、わたしにバリヤーを」
そして。
酒避けのバリヤーを張った後、行動を開始した。
ワームはでっかい石の……いや、岩の器に酒を注ぎ、飲んでいる。
クルラホーンたちも、同じ酒を飲んでざわざわしていた。
そこに。
「なんかきたぞ!?」
「鳥か!?」
「違う、コウモリだ!」
「いや、ドラゴン、飛龍だ!!」
わたしの放ったポポバワの挑発に、酒妖精たちは騒ぎ出す。
ワームも、鎌首を上げて動き出した。
空中に向かって酒しぶきを放つが、ポポバワは自ら翼で風を起こす。
厄介な酒しぶきも、なかなか効果を発揮しない。
さらに――
「どすこい!!」
横から力士が飛び出して、遠方から突っ張りを放った。
突き出された分厚い手のひらから、衝撃波が飛ぶ。
それを喰らって、妖精たちは蹴散らされていった。
さらに、ワームの胴体へも衝撃波が炸裂。
蛇龍は身悶えをして、岩の器をひっくり返した。
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