表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/47

ダブルデート

「俺は構わないけど、誠と沙織ちゃんは?」


「沙織さん、どうする?」

「いいわよ」


 沙織は、初めから想定していたかのように、あっさりと答えた。


「決まりね。先にどちらにするかだけど――」


 沙織が突然、挙手をする。


「私と誠さんは後が良いです」


 楓は驚いた表情を見せるも、すぐに表情を戻した。


「私は大丈夫よ。御二人さんは?」

「石田、大丈夫だよな?」

「おう、大丈夫」


「それじゃ、最初は私と誠君。石田君と、沙織ちゃんね。ここに居ても良いけど、離れるなら、一時間後、ここに戻ってきて」

「分かった」


 沙織は石田に近づくと、右腕を握った。


「少し、散歩しましょ」


 二人だけの時間をわざと作るかのように沙織はそう言って、腕をグイッと引っ張る。

 

「あ、あぁ……」


 石田は驚いた表情を浮かべながら、返事をした。

 沙織は石田の腕を離さないまま歩き出す。

 石田は沙織に合わせて、照れ臭そうに自分の髪を触りながら、歩き出した。


 誠は自分と伯父さん以外で、親しげに男性と肩を並べて歩く沙織の姿をみるのは、初めての事だった。

 

 だからだろうか。

 誠は沙織を石田に取られたかのような複雑な表情を浮かべ、二人を見送っている。

 楓はそんな誠を黙ったまま見つめ、一生懸命に誠の気持ちを探ろうとしているかのようだった。


 少しして、これ以上、見ていられなくなったようで、楓は誠に近づき、右腕を掴む。

 誠は集中していて驚いたのか、ビクッと体を震わせた。


「そんな心配しなくても大丈夫よ。それとも私とじゃ、不満?」

「あ、すみません。そんなつもりじゃ」

 

 誠の慌てた様子をみて、楓はクスッと笑う。


「私達は、何をしようか?」

「椅子も片付けてしまったから、俺達も散歩をしましょうか?」

「うん、賛成」


 二人は川沿いを、肩を並べて歩きだす。

 川のせせらぎが聞こえ、穏やかな時間が流れる。


「水がキラキラと光っていて、綺麗ね」


 楓が川を眺めながら、呟いた。


「そうですね」

 

 心ここにあらずといった感じで、誠も川の方をボーっと眺める。

 二人はそのまま、黙って歩き続けた。


「――ねぇ、せっかくだから聞きい事があるんだけど」

「何ですか?」


「誠君の顔の好みは? 可愛い子が好き? それとも綺麗な子?」

「え、行き成りですか。そうですね――どちらかというと可愛い方ですね」


 誠は照れ臭そうに微笑む。


「へぇ……じゃあ、性格は積極的な方が良い? それとも、消極的な方がいい?」


 楓は自分の方に心を向けさせようと、目を輝かせ、グイグイと攻め始める。

 まるで、あなた色に染まるから教えて欲しい。

 そんな心が入り混じっているかのようにも感じる。


「それは難しい質問ですね。うーん……何て言ったら良いのか、分かりませんが、気持ちを伝えてくれる方が嬉しいです」


「そう……じゃあ、次の質問ね。誠君は、年上の女性でも大丈夫な人?」


 おそらくそれは自分の事を指していて、楓にとって一番知りたいところ。

 楓はそれが滲み出るぐらいに、真剣な眼差しで誠を見つめた。

 誠は誰かを思い浮かべるかのように躊躇いもせずに、直ぐに口を開く。


「大丈夫です」

「――分かった、最後の質問。ちょっと止まってくれる?」

「はい」


 誠は歩くのをやめ、楓と向き合う。


「どうしたんですか?」


 楓は誠の両手を手に取ると、上目遣いで見つめる。


「じゃあ、私なんてどうですか?」


 誠の伝えて欲しいという想いに感化されてか、楓は自然と、自分の想いを口にした。


※※※


 石田と沙織は川沿いをしばらく歩くと、コンクリートの階段を見つけて座っていた。

 石田は一番下に、沙織は二段上に座り、ボーっと川の方を見つめている。


「一時間も何をすればいいんだろ?」

「そうね」


 沙織は誘ったのは良いが、それから先は何も考えていないようだった。

 飽きた石田は落ち着かない様子で、小石を拾っては、ポイッと下に投げている。


「ねぇ、石田君。ちょっと質問して良いかな?」

 

 石田は石を投げるのをやめ、上を向く。


「あぁ、いいよ」

「男の人って、やっぱり若い子の方が好きなの?」


「それって、沙織ちゃんは年下に好きな子がいるって事?」

「う、うん。まぁ、そんな感じ」


 沙織はうつむき、照れ臭そうに答える。


「年下の方が好きとは、よく聞くけど、そんなの人それぞれじゃね」

「そうだよね……私、年上としか付き合ったことないから、良く分からなくなっちゃって」


「そうなんだ……大丈夫、俺が好きな人は年上だよ。女性が年下を好きになっても、おかしいなんて思わない」


 沙織は石田に勇気をもらったかのように、明るく微笑む。


「ありがとう」

「どう致しまして」

「誠さんの友達が、あなたで良かったです」

「そりゃ、どうも」


 二人は仲良く笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ