表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS of ハルピュイア  作者: 右左丸
第一章 天弓の舞姫の長い初日
13/26

俺の初日はまだもうちょっとだけ続くんじゃよ

「やっほー兄貴、元気ー?」

「…………」


 激動の誕生初日をやっと終えて眠りについたと思ったらこれである。

 俺の初日はまだもうちょっとだけ続くんじゃよ。


「アヤムちゃん? ん? これ夢の中か?」

「そうですわ、お兄様」

「クルムちゃん!?」


 夢の中にクルムちゃんとアヤムちゃんが出て来た。


「クルムちゃん! 無事だったの!?」

「はい、アヤムが庇ってくれたおかげで隠れる事が出来ました」

「そうだったんだ、良かった……」

「ウチはあんまり良くないけどねー。あの王様超絶倫だったから、こうやって夢繋ぐの明け方近くになっちゃったよ。変な首輪のせいで精気も吸えなかったし、やられ損って感じ?」

「…………」



 くそぉっ!

 あんの王様やっぱりアヤムちゃんに手出してやがった!

 俺のアヤムちゃんに! ぐおおおおおおお!


 脳 が 破 壊 さ れ る !!


 でもクルトに俺が選ばれなかったら手籠めにされたのはアヤムちゃんじゃなくて俺だったんだよな?


 そう思うとゾッとする。



「……ごめん、アヤムちゃん」


 手を出されたのが俺じゃなくてほっとしてしまった。

 その事に言いようの無い罪悪感を感じてしまう。


「ん? いーのいーの、うちらリリムだし? そう言う存在じゃん?」

「ん? リリム? サキュバスじゃないの?」


『は?』

「ピェェ!?」


 何だろう、今二人から今までに感じた事の無い圧が出ている。

 リリムって何だっけ?


「兄貴? ひょっとして今までウチらの事あんな低級淫魔と同じだと思ってた?」


 アヤムちゃんがめっちゃ良い笑顔で詰めて来る、怖い!


「お兄様? どうやらお兄様にサキュバスとリリムの違いをきっちりとご理解いただく必要があるみたいですね?」


 クルムちゃんがめっちゃ良い笑顔で詰めて来る、怖い!


 その後俺はクルムちゃんとアヤムちゃんにサキュバスとリリムの違いをきっちりと理解させられる事になった。



 二人によると、サキュバスとは男性の夢の中に現れて、夢の中で淫らな行いをして精気をすする下等な悪魔である。


 そしてリリムとは男性に淫夢や悪夢を見せて精気を奪う上級悪魔なのだそうだ。


 違いが分からないだって?

 俺も分からない。

 でもそんな事言える空気じゃない。

 

 あれだろ?

 アジア人って皆同じ顔に見えるんだよねーって言われた時のあの感じだろ?

 それは分かる

 分かる分かる分かるわーうんうん分かる分かる分かるねー分かる分かる。



「二人とも、そろそろ良いかね、時間が惜しい」


 俺がクルムちゃんとアヤムちゃんに分からせられていると違う声が聞こえた。

 サルガタナスである。


「てめー! よくもまぁのこのこ顔出せたなゴルァ! お前のおかげでこっちは捕まって過去の事も洗い浚い白状させられて行った事も無いソープ嬢の真似事させられて最終的に抱き枕にされたぞおおおおお゛お゛お゛ん゛!?」


「落ち着いてくれ、これには事情がある」


「いきなりあっさりと裏切っておいてどんな言い訳が通るか聞いてやろうじゃねーか、えー?」


「是非そうしてくれ」


 抗議の視線で睨むとサルガタナスはコホンと咳払いをして話し出した。


「まず私が、結果的に裏切ってしまった経緯だが、これには同僚の予言が関係している」


「予言?」


「……いや……話す前に一つ質問させてくれ、君は先程過去の事を洗い浚い白状させられたと言っていたな?」


「そうだよ! あの首輪のせいで俺は過去の事も、考えてる事も聞かれたら全部喋っちゃうよ、何あの首輪やばすぎでしょ」


「隷属の首輪の魔術的拘束力は隷属の首輪事態の品質とはめられた者の実力によって効果が異なる。私やアヤムは命令に逆らえない程度の拘束力だが、君の場合は考えた事まで命令されたら全て語ってしまう訳か。まぁ思考を塗り潰されて心まで完全に隷属してしまう事もある場合を考慮すればまだましな方だった訳だが、ハーピーの女王個体とは言え幼体の魔術抵抗ではその程度か」


 何か軽くディスられた気がする。


「ウチのヒュプノはレジれたのにね~」


「隷属の首輪の拘束力に抵抗するには通常の魔術抵抗とは違うロジックが働いているのかもしれんな。しかし、であるならば俺の事情は話せんな」


「はぁ!?」


「聞かれたら答えてしまう者に教える訳に行かないと言う事だ」


「よーし、ぶっ殺す♡ 握り潰す!」


「お待ちくださいお兄様」


鳥足をわきわきさせている俺をクルムちゃんが止めに入る。


「サルガタナス様は今もまだお兄様の味方です。もちろん私とアヤムも、ずっとお兄様の味方ですわ」


「クルムちゃん……」


「サルガタナス様には本当に今のお兄様には話せないご事情があるのです。どうか今は怒りを収めて下さいませ」


「俺は良いんだよ。でもアヤムちゃんが……」


「ウチは大丈夫だよ。消滅しないように人間の精気も貰えたし、奴隷のだけど」


「だけど……」


「いーからいーから、兄貴は気にしなくてオッケー? それより兄貴は兄貴のやるべき事があるじゃんね?」


「やるべき事?」


「そうですわお兄様。お兄様には、エゼル王を誘惑して貰います!」


「……oh...」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ