2話 テスト
初めましての方はこんにちは。既知の方は忘れましょう。
みーくんです。1作目になります。(3回目)
”前書き”、てっきり作品全体のそれになると思っていたから、0話でほとんど全てを書いてしまいました。なので、正直書くことが思い浮かびません。非常に困っています。なんなら本文を考えるよりも難しい。1話のときはズルをして省略したけれど、流石に今回も同じ手は使えないので何か別の手段を探さなければならない文字数。
よろしくお願いします。
翌日、僕たちはテストの初日を迎えた。
結論から言えば、とても簡単だった。当然だ、予めどんな問題が出るのかを知っていたんだから。強いて言うなら、ノート類の持ち込みが禁止されていたことが一番の難点だった。問題も答えも書いてある”台本”を持ち込めないというのには、若干の不安を覚えた。
元々持ち込みは許されていなかったので、一応勉強もしておいた。けれど、”台本”に書いてあった問題をベースに勉強をしたのでヤマを外すことはなく、何なら満点だって取れるような気もしたけれど、それは流石にやめておいた。
……それにしても、やはり”台本”は僕のことを完全に理解している。満点を取ってしまうと怪しまれてしまうと考えることや、対策として何問か間違えておこうと考えることまで、僕の思考がそのまま書かれている。だからこそ、”台本”は僕の行動の指針となってくれた。僕の行動が間違っていないことの証明になってくれた。……というよりも、結果的に僕は”台本”に書かれていたことを忠実に行っているだけになってしまっているんだけれど。
また、”台本”にはテストの結果も書いてあった。そこには、先生に褒められている僕の姿があった。普段よりも多少良い点数を取ったからだそうだ。
その日のテストを全て終わらせて、帰りのホームルームも終わらせて、さっさと家に帰ろうとした矢先、クラスメイトから話し掛けられた。……分かっていたことだけれど、本当に正確だな。
「おっす」
声の主は僕のクラスメイトで、それなりに話す奴だった。特別仲が良い訳でもないが、悪くもない。それなりに話して、それなりに遊んで、それなりに離れて……そんな奴。
「『おっす。どうかした?』」
僕は”台本”通りの受け答えをする。ゲームのコマンド入力みたいで少し面白いと思った。その場に合った正しい回答をする、みたいな。求められている言葉を正しく返す、みたいな。
「『どうかした?』って、お前な。……何かさ、今日お前変じゃね?」
来た。
そう言われることも、”台本”にはちゃんと書いてあった。余計なことを言う必要もないので、”台本”に書いてある通りの台詞を返す。
「『変? 変って何だよ』」
「いや、いつもならテストの前とか文句ばっか言ってるじゃんか。なのに、今日はやたらと静かだったなって思ってさ」
「『そうかな? そんなことないでしょ』」
「どうだかな。……まあ、別に良いんだけどな? それよりさ、テストどうだった?」
「『ん……まあまあかな? 多分、いつも通りの結果になるだろうとは思うけど。 良くもなく悪くもなく、平均点くらい。いつも通り』」
「マジか」
「『マジだ』」
「はぁ。お前っていつもそうなんだよな。多分だけどさ、俺と同じくらい勉強してないだろ? ……いや、多分だからな? 多分。そのくせ、毎回平均点のちょっと上くらいを取るんだもんな。……実は隠れて勉強とかしてるんだろ? なあ、どうなんだ?」
勉強してないだって? 僕をお前なんかと一緒にするなよ。
「『してないしてない』」
「本当か?」
「『本当だって。私、特別なことなんてなにもしてないんですよ』」
「……何だ? その化粧品のCMみたいな」
「『分かった?』」
「分かるわ」
「『まあ、でも、今回は難しかったからね。正直、微妙な感じかな?』」
嘘だけど。
僕は間違いなく平均点の少し上を取る。それは”台本”でも確認済みだし、僕自身、問題を解きながらそのくらいの点数を取れるように計算していた。難しいは難しいでも、僕のそれは台本通りに回答用紙に記入をし、当たり障りのない点数を意図的に取ることだ。
「この後はどうするんだ? 暇だったら、カラオケでも行くか?」
「『暇って訳じゃないんだけど』」
「ん?」
「『それに、カラオケ? 昨日も行ってなかったっけ? テスト勉強は良いんですか?』」
「ああ、良いの良いの。どうせ赤点なんて取らないんだからさ」机に座り、足を宙で振りながら続ける。「元々満点なんて取れる見込みはないだろ? だったら、赤点を回避出来さえすればそれで良いんだよ、俺は」
極端な奴だ。まあ、その考えは分からないでもないけれど。
「『そんなもんかな』」
「そんなもんだよ」
「『赤点、取っても知らないからな?』」
「しつこいぞ。そんときはそんときだって。勉強しないって決めたのは俺だからな、自己責任ってやつだよ」
「『お前の口からそんな言葉が出るなんて』」
「そのくらい知ってるって」
「『そうだよな、高校生だもんな』」
「そうそう」
…………。
僕は知っている。もし、このまま勉強をしなければ、こいつは明日のテストで赤点を取ることになる。それは、”台本”に書かれている未来だ。でも、こいつはそれを知らない。知らないから、勉強をしようと思わない。
もし、そのことを教えたら、こいつは勉強をするだろうか。赤点を取ることになると教えたら、その未来を変えさせることが出来るだろうか。……まあ、こいつの言う通り自己責任だから僕には関係のないことだけれど。だから、教えるつもりもさらさらない。
未来を知らない奴は、可哀想だ。
「で、どうするんだ? 行く? 行かない?」
……まあ、”台本”通りにしておくのが一番か。
「『なら、今日は僕も付き合おうかな。昨日も断っちゃったからね、たまにはお供させて貰いましょうか』」
「おお、そう来なくっちゃな!」
「『あ、でも先に出てて。僕は一度図書室に行かなくちゃいけないから』」
「委員会?」
「『いや、本を返しに行くだけ』」
「おう、分かった。じゃあ校門で待ってるわ」
「『うん』」
数日後、テストの答案用紙が返却されて来た。案の定、僕は全ての教科で平均点の少し上の点数を取ることが出来た。当たり障りのない、退屈な点数だ。でも、僕はそれで良い。それが、僕にとっての普通だから。
対して、こちらも案の定だが、あいつは赤点をとり補習を受ける羽目になった。全部”台本”通りだ。
全てが、”台本”に書かれている通りに進んで行く。
全てが、定められた道を歩んで行く。
僕は呟いた。
「未来を知らない奴は、可哀想だ」
それから、僕はより一層”台本”に浸かることになる。
なぜなら、そこには僕にとって都合の良いことばかりが書かれていたから。
偶然か必然か、”台本”を手にしたことによって未来が見えるようになったからなのか、僕の人生はこれまでとは違い、素晴らしいものになっていった。学校も家も、何もかもが上手くいった。
例えば、遊び。これまでは自分から誰かを誘うことなんてしなかった。面倒臭いというのもあったけれど、理由は単純で、断られるのが怖かったからだ。だから、遊びに行くとしてもあいつに誘われたときくらいでしかなかった。だけど、今では違う。誰を誘えば良いのか、それは全て”台本”に書かれている。
これまでとは明らかに違う、積極的な僕に友だちは皆驚いていた。実際、そういったことを直接言って来る奴も居た。「変わったね」と。確かにそうだ、僕は変わった。けれど、それは当然のことだ。
未来を知っている僕からすれば、誰を遊びに誘えば乗ってるれるのか、それを知っている訳だから、何の驚きも、何の不安もなく、遊びに誘うことが出来る。次第に面倒臭いと感じることはなくなった。それよりも、思い通りに事が運ぶことの方が大きかったからだ。
それに、彼女も出来た。これは僕にとっても意外だったんだけれど、僕なんかでは到底釣り合わないと思っていた子が、OKしてくれた。彼女曰く、「気になってはいたけれど自分からは話し掛けられなかった。話し掛けて来てくれて嬉しかった」らしい。
もし”台本”がなかったら、時々そんなことを考える。
きっと今でも、一人で教室の隅で本を読んでいるような、クラスメイト全員にとってそれなりな人間のままだっただろう。
でも、今は違う。僕には大勢の友だちが居るし、未来だって明るい。僕の望むまま、全てが上手くいく。
これも全て、”台本”のお陰だ。
……未来で何が起こるのか、知ることが出来る力。僕は、いつの間にかそれに心酔しきっていた。今では常に手元にないと不安になってしまう程に。でも、それは恩恵に比べたら些末な問題だ。
ただ、一つだけ気になることがあった。
時々、僕の言葉が聞こえていないんじゃないかと感じることがある。僕の言葉に反応しないのだ。
原因には心当たりがある。恐らく、”台本”通りじゃないから。しばらく前、母さんに話し掛けたとき。あのときも、僕は”台本”にない言葉を母さんに投げかけた。でも、返事はなかった。それと同じ。
少し、嫌な予感がする。
”前書き”は何とか乗り切ったけれど、”後書き”のことをすっかり忘れていた……。”前書き”で既に【難癖を付けて文字数を稼ごう作戦】を使ってしまったので、また別の手段を見付けなければならなくなってしまったみーくん。果たして、今後も継続して使えるような手段を見付けることが出来るのだろうか。次回! 『見付か文字数。
有難うございました。
みーくん




