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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

コメディー

尻拭い係

作者: 山目 広介

R15 残酷な描写あり 下ネタ注意


 とある募集に尻拭い係というものが出ていた。

 近所だし次の仕事が決まっていなかった私はそれに応募する。

 意外なことにすぐに決まった。結構給料も良い。

 すぐに来て欲しいと言われて行くことになった。

 そこはお屋敷だった。こんな近くにこんな屋敷があるとは思いもしなかった。

 普段と買い物や仕事に使う駅と違う場所に足をあまり伸ばさなかったからだろうか。

 物珍しいため、ついきょろきょろと見回してしまう。

 門に使われていた柱が家の爺さんが誇っていた大黒柱と同じ赤目のなんたら言っていた物だった。

 カメラが回っている。金持ちか。変な仕事が必要なのかも知れないと考える。


 尻拭い係。

 御館様のご子息のお尻を拭き拭き。

 ご子息と言っても赤ん坊。簡単なお仕事だった。

 これだけだったら……


 その後、また仕事と言われて御館様に面会した。

 小切手の入った封筒を渡された。

 次に住所と写真。

 その者に説得して欲しいと言われる。

 不倫相手だそうな。で手切れ金でなんとかしてくれ、と。

 しつこくなってきて、浮気がバレそうだから早く何とかしたいらしい。

 御館様の尻拭いもするんだね、さすが尻拭い係。

 こんな弱みを得て私は大丈夫なんだろうか……

 あ、なんかあったら私が消えるんですね、そうですよね……、ははは。

 ヤバいのに関わってしまった。給料がいいわけだ。

 とりあえずはこの女性を何とかしないといけない。

 早速女性に会いに出かけた。


 私は驚愕した。

 最近の写真の加工技術、メイク技術の進歩は素晴らしい。

 写真を見てちょっとドキドキしていたが本物は想像よりも普通であった。

 彼女は最初は落ち着いていたが、話が進むにつれて苛立ちが募っていったらしく、物を投げてきた。

 両手を塞ぐと、騒ぎ始める。

 仕方なく口も塞ぐ。もちろん両手が塞がっているので口で。

 役得だと思ってはいない。

 その後一晩説得して応じてもらうことになった。

 ただ帰る前に説得で使用したベッドがギシギシ軋むため、ネジを締め直した。


 翌日、屋敷に戻ると奥様に呼ばれる。

 ヤバい、御館様の浮気がバレたのか!? と内心焦っていたが平静とする。

 迂闊なことを言って実は鎌を掛けられたなどと分かったら大変だ。

 しかし話は違っていた。

 この奥様は後妻で今のご子息とは関係ないらしい。

 ご子息の母親は出産時に亡くなられたとか。

 なのにもう後妻を迎えているとか……、金持ちすごい。

 それで奥様は早く子供が欲しいけど旦那さんが淡泊だとか。

 まあ、他にも浮気相手がいそうだし、奥様にだけ与えられないんでしょう。

 それで御館様の尻拭いに私、尻拭い係が呼び出された、と。

 夜、御館様との事が済んだ後、満足させろ、と。お前もかブル……、何でもありません。


 そして後日。

 奥様は無事にご懐妊なされた。

 御館様の代わりに子宝もついでに仕込んでおく、出来た尻拭い。

 実際はどちらの子か調べていないから分からないけど。


 それからは平和だった。

 私は汚れたご子息のお尻を拭き拭き。

 これ、ホントに必要なの? とかは言ってはならない。

 私の仕事が無くなってしまう。


 そんな時に悲鳴が屋敷に響き渡る。

 慌てて様子を見に行く。

 そこでは半裸の女性がお腹から包丁を生やしていた。

 包丁は奥様が持っている。

 これが修羅場ってやつか。

 御館様も半裸だ。

 浮気現場を奥様が乗り込んだ、という状況のようだ。

 そりゃあ奥様が妊娠したからって家で浮気してたらバレるでしょ、御館様。

 奥様が包丁を抜いて、女性が倒れる。

 横に近づいて傷を見る。

 傷口を塞がなければ、奥様が殺人になってしまう。

 周りを見る。

 机の上にホッチキスがあった。昔であれば縫い留められたが今のでは無理だった。

 テープとタオルがあった。これで押さえながら、テープでぐるぐる巻きに。

 次に消防と警察に連絡だ。

 救急車を一応二台。このままだと御館様も倒れるだろう。

 包丁を抜いた時に飛び散った血が奥様に掛かっている。

 ホラー映画のようだ。

 何か異臭がする。

 御館様が恐怖で座り込んで漏らしたらしい。

 しかもおっきい方もだ。

 これは尻拭い係の出番だ。

 ゴミ袋を持ってくる。

 机の上に何故かロープがある。

 更に何故あるのか部屋の中にクレーンがあった。

 机の上にある雑誌に人の縛り方が載っている。

 それを参考に御館様を縛りクレーンで持ち上げた。

 何故か六角形の形が現れている。

 とりあえずそれは気にせずに、御館様の下にゴミ袋を敷き、ズボンを下ろす。

 ぷ~んと鼻を衝く匂いが拡がった。

 ゴミ袋と一緒に持ってきた布巾でお尻を拭き拭き。

 その間に奥様は机の上の鞭を取り、御館様をシバく。

 何故か御館様は元気になり、それを見た奥様は包丁を振り下ろす。

 器用にも御館様、すぐに俯き、見事に回避。

 それを幾度も繰り返す。まるでコント!

 私は机の上のハサミをハンカチで(くる)んで奥様へとそっと手渡す。

 その間にもサイレンが近づき、足音が木霊する。

 奥様は鞭を振るって御館様が元気になられて、それを左手で掴んで右手の鞭をハサミに持ち替え、それが大きく口を開いた時。

 救急隊員と警察が漸く現れた。

 そして決定的な瞬間に立ち会った。立ち会ってしまった。


――チョキンっ!


 鮮血の後、静寂に包まれる。それを見た男性陣は恐怖とともに股間を押さえている。私もだ。

 呆然としていたが少し経ってから意識が戻ったのか、救急隊員が倒れた女性と御館様を、奥様を警察が連れていく。

 残った私に警察の若い方が事情を聞こうとする。

 私は尻拭い係であると言ってもなかなか聞いてもらえない。

 先ほどのゴミ袋を広げると、異臭が拡がる。

 それで私の言うことを納得させた。


 あの後、御館様は無事だった。

 コントのような神回避で割礼と同じ状態だったらしく、そういった手術と同じ処置で済み、逆に喜んでいた。

 倒れた女性も確認の検査で腫瘍が発見されて丁度穴があったため、そこから手術。無事に成功したらしい。発見が早く、奥様に感謝していたぐらいだった。

 奥様も警官が取り調べしようと最初したらしいが、あの光景を見た人物たちは奥様を見ると股間を押さえて恐怖に震えるため、ちゃんとした女性に担当を代わってもらい、浮気現場であったこと修羅場だったことなどが分かってもらえて、更に御館様たちが訴えないことから無事に釈放された。

 警察に目撃させた私の計画通り。まあ、そんなことはなくただの偶然ではあるけど。


 そして何事もなかったような日常が戻ってきた。

 私は今日も、ご子息のお尻を拭き拭きしながら尻拭い係を熟していく。




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― 新着の感想 ―
[一言] よく動きますね。 フットワークが軽い! 正社員の道も遠くない!
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