3幕:魔法の練習と毎日の積み重ね2
宿に帰ってからは魔力の練り方や制御の練習をした。
魔法使えないけど、、、
その後、一段落すると『とある魔法』の練習に残りの時間を費やした。
いくら時間があっても1日の時間は有限である。
だからこそ入念なストレッチを行いながら昔の図書館で読んだ呼吸法を行い、そして魔力の制御や属性変換、その一つ一つの技術の基礎、応用と複合技術の練習などなどを一つずつ、また同時に扱えるように組み合わせながらメニューを組んだ。
他にもその日の反省はもちろんのこと。
その課題を浮き彫りにし明日に備えその解決策を視野に入れながら試行し思考することも忘れない。
もし都合良く優秀な師匠がいるならばそんなことをせずとも筋道を示してくれるだろう。しかしこの場には誰もいない。
あの魔導のシルクお婆ちゃんもペッパーやソルトたちもいない。
今この場には自分しかいないのだ。
だからこそ自身で考え実行し反省し次に活かす。
そしてそれを継続することを忘れない。
これは現世で働いていたお店『マジカルドロップ』で働いていた時によくオーナーが教えてくれたことである。成長するためには勉強している時も遊んでいる時も同じでやる気と集中力と経験とその判断などなどありとあらゆることが求められる。
魔力を纏い身体を強化しながら動き回り常に考えることができるように条件付けは必須だ。魔力が使えなくなっただとか、魔法禁止だとか、身体強化禁止だとか考えようによってはいくらでも思い浮かぶだろう。
やり方なんて漫画に似たような事例は数多くある。それを客観的に見て片っ端から組み込んでしまえばいい。
世界的犯罪者であり高額の賞金首であるという『十指』の一人、、、『怒り狂う中指』による計画的犯行で街はどん底に叩き落とされ蒼葉を死の淵へ追いやった。そしてその『中指』たちが封印を解いたという化物のせいもあり蒼葉の恩人たちや町の人たち、そして子供達までも犠牲になる寸前だったのである。
あの街からどうやってこのラクスラスク近郊に辿り着いたのかその後の記憶はほぼないのだが、、、とにかくあの一件で日々の努力のありがたさと大切さ、そして無力さ、自身が置かれた状況などなどが残酷に突きつけられた訳だ。
逃げられない状況というのは存在するしこれから先もあるのだろう。でもあんなことを二度と味合わないようにするためには今もできることで努力するしかない。
そのためには真剣になるしかないのだが、自分たちは素人同然で無知な自分に加え二人はまだ幼い子供達。
自分はともかく飽きっぽい子供の集中力を継続するためには、、、
どうすればいいのか。
答えは簡単だった。
決して手を抜かないように仕向けるにはオヤツをかければいいのだ。
一番成績が良い人にはオヤツの追加という名の餌をチラつかせばいい。
昨日は一番の人には別味のプリンが2個追加、次点で1個追加をする。
先日はパウンドケーキだったりと毎回の変化も忘れない。
そして実物を実際にチラッと見せてあげるか、たまに一口だけ味見をさせてあげる。
後は終わらない想像が妄想となり世界を構築していく。
オヤツというものは偉大なもので子供達と使い魔たちのやる気を最高潮にさせる。ゲームだったり試合だったり練習だったりその都度取り組む意識の向け幅を変えながら行う飴と鞭の極上の使い分け。
飴と鞭、、、なぜか直属の年下上司という次女のかわいいドヤ顔が浮かんだ。
あの惨劇の日から数週間以上経っている。
知らない世界で助けれくれた『亜麻猫亭』の三姉妹、そして馴染みのマークスさんたちは元気にしてるだろうか。
ふと思い出した恩人たちと出会った頃からの習慣は冒険者になった今でもほぼ毎日続けている。二度と会えないのだろうかという不安めいたことは考えないようにし今できることを背一杯やるだけだ。
ちなみに休んだのは最近だとあの『中指』にやられてから動けなくなって静養せざる得なかった時だけだろうか。
改めて休むことが重要であることを再認識させられたきっかけにもなった。
だから休む時は全力で休むし、何もしない時は何もしない。
世の中には何もしないということほど無駄であるがゆえに大切だということを蒼葉は知っている。
蒼くん大人には休養が必要だよ、という年上の美女の格言を思い出しながらグータラと過ごす日もあれば逆に忙しく励む日々もある。
そして今日ついに夜の町へと冒険に出かける算段がついた。
ついに新たな冒険の始まりである。
ラクスラスクの町もすごく良い町だ。
子供達をきっかけにラズさんやグミさんの紹介で良い食堂や呑屋さんも知ることができた。それに皆さんとても優しくて大変良く接してくれている。
しかしこの町のことはまだまだ知らないことばかり。
だから今宵は子供達が寝かしつけ、その後に調査に出かける予定なのだ。
『大人の冒険』という名の新しい冒険を、、、
『夜の冒険』という新たな冒険を、、、
蒼葉(๑• ̀д•́ )✧:大人の冒険




