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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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49幕:大罪人と新たな英雄1

 ステッキを宙に放り出しながら帽子の角度を定位置に納め白い手袋をいつものようにセットする。

 踊らせたステッキを再び手に取るとそのままバケモノ相手に鋭く差し向けた。


「お兄ちゃんが!?」(オレン)

「変身した!?」(ピピル)

「「ふぎゃーーー♩」」(トミミ、アミミ)


 後ろから聞こえてきた驚愕の声に蒼葉は一瞬、口元がほころんだ。


 だがそんな彼に向け夜空に彷徨う無数の手が飛び掛かった。

 先ほどよりも歪な雰囲気を纏い蒼葉を跡形もなく蹂躙した。


 ーーはずだった。


「おぉっと危ない危ない」


 だが蒼葉は無傷のままである。

 魔法で己の体を消したのだ。


 ただもちろんのごとく心だけは大ダメージだった。

 目の前をとんでもないモノが次々と迫りくるのだから。

 一発一発が致命傷以上の衝撃なのだから。

 目の前で繰り出されるチキンレースなど平和な世界に生まれた蒼葉の心には恐ろしいほどのものなのだ。


 ひぇぇっ超怖い。

 こんなバケモノなんで封印だけで済ますかなぁ、倒しといてくれたら楽だったのに。こんなんじゃ封印し直しても危ないし。って封印方法知らないしどうすんのさ。

 もし英雄という人にあったら絶対クレームだよ。ほんとクレーム案件だよ。

 とりあえずあいつをどうにかするなら魔法か。

 えーっと魔導?やっぱ魔法のが格好いいよね。えっと魔法といえば、、、お菓子。そうお菓子だからお菓子の家、、、ダメだ糖尿病一直線だから却下。そうだ!?飴玉にすればいいんだ。アニメでも誰かが飴玉に変身させて食べてたから大丈夫?


 次々と迫り来る軌跡に蒼葉は身を傾け体を捻りながら躱していく。

 流暢に舞い踊るように動きながら、、、だけど頭の中はいっぱいいっぱいだった。

 冷静になるために思い出す。


 おっと大魔法使いとしたことが錯乱した。

 魔法使いは常に冷静にと漫画に書いてあったんだった。

 さてとあんな化け物を纏めて飴玉にするならまずは小さい方が良いかな。

 ならば捕まえて小さくした飴玉を仕舞えば終わりじゃ、、、ないな。

 それにしても我ながらなんと頭が回ることか。

 味はマスカット味決定。

 とりあえず邪魔な触手をどうにかしないと、、、


「さぁこの帽子の中は摩訶不思議異次元世界。どんなものも食べちゃいます」


 湧き出てくる思考を巡らせながら蒼葉は狙いを絞ると次々と迫り来る手たちをシルクハットの中に吸い込ませていった。

 出来るだろうと思っていた通り厄介な手たちは掃除機のようにどんどん消えていく。

 どんなに吸い込んでも吸引力は変わらない。

 空に浮かんだ黒い手たちは言葉通りに次々と帽子の中に取り込まれて行った。

 それに帽子から出現することもないようだ。


 あとは残りの黒い部分だけ。

 よくわからないがあれを放置してはまずいと直感が叫んでいる。


 だから蒼葉は手のひらにもう一度白い布を取り出した。

 小さな正方形のシルクの布である。


「さぁ次はあの残りの大きな黒まんじゅうを回収していれましょう、、、それ!!」


 言葉とともにものすごく大きくしたハンカチを化け物に勢い良く被せ片手でむんずと捕まえる。

 ココたちのつまみ食いの早さにも負けないほどの早業である。

 それから手元にたぐり寄せ見事に普通のハンカチのサイズに変化させる。


「ブルーベルマジーーック!!あら何と、、、小さくなっちゃった!!」


 しかし何と活きの良いことか。

 あいつはハンカチの中で暴れまわっているのだ。

 ならば仕方ない。


 もっと魔法を試してみたかったのだが仕方ない。

 ハンカチが破れたらまた飛び出してくるし次も成功するかは分からない。

 こんな得体の知れない危ないものはさっさと処理するに限るのである。


 蒼葉はハンカチごと帽子の中に入れすぐに消失させた。

 そして帽子の中身が見えるように差し出した。


「「「「「おぉーーっ!?」」」」」


 とりあえず何もないことを後ろの子供たちにヒラヒラさせアピールしたのだ。


 みんなの驚嘆の声を確認してから集団の方に身体を向ける。

 続いて唖然としながらこちらを見ている人々に上空から確認させるつもりだ。


「「「「「、、、、、」」」」」


 大人たちがついていけてない。子供達が大歓声を上げているんだが、、、大人たち、特になぜかこちらに変な視線を送る人物たちがいるようだ。それに後で合流した大人たちは現状を理解できていないようだ。


 それにオーガ姫と竜人にエルフ?っ娘、、、夢を無くした可哀想な人たちである。

 彼らが見せるのは至極真っ当な疑いの瞳。


 なんか失敬な。

 大魔法といったじゃないか。

 なんでそんな変人のような目で見られるのか。


 だから気にせず続けることにした。


「さぁこんな危ないものは大魔法使いであるブルーベル・ショコラが飴玉にして食べちゃいましょう」


「ではアイン、ツヴァイ、ドラーイ!!」


 言葉とともに帽子から取り出したのは丸っこい小さな丸い緑色のものだった。

 それをそのまま勢い良く弾いて口の中に放り込んだ。


「うまい!!マスカット味は最高♩」


「「あー!?おにいちゃずるーーーっ!!!!」」(トミミ、アミミ)


「ははっはは。お兄ちゃんはずるいのです。さぁこれでバケモノはこの世界からいなくなりました!!」


「「「「はぁぁぁぁぁぁあっ!?!?!?!?」」」」(街の大人たち)


「次はさらなる大魔術を使って見せましょう。」


 躍り出た先はソフィアの前。

 そして彼女に抱きかかえられた恩人に歩み寄った。

 ソフィアは亡き親友の遺体を庇うように蒼葉から隠そうとしながら彼を睨みつけた。

 その目は未知のものを目にした恐怖と疑念と怒りが混ざったもの。

 そんな視線が蒼葉にこれでもかと突き刺さる。


 だが今は時間が惜しい。

 失敗は許されない。

 だから次も全力で集中する。

 魔法はイメージ。魔術は音楽であり料理。


 自分の中の音の流れと甘い香りが渦巻きながら彼女に集中した。


「さぁそろそろお姫様のお目覚めの時間ですよ」


 ステッキを彼女に向け目を閉じる。

 そして精神を整えると、、、


「eins zwei drei !!」


 誰もが奇異な視線を送る中、気にせず呪文を唱えた。


「さぁレールナさん起きてください。目の前にもふもふの世界が広がってますよ」


 帽子を被り直しステッキを踊らせ親指と中指を弾かせる。


「えいっと!!」


 さらなるフィンガースナップを響かせたその周りには猫耳、犬耳、馬耳、ありとあらゆるかわいい動物たちの耳と尻尾付きの世界が広がっていた。


「「「「!?!?!??!?!」」」」


「きゃーーーっ♩♩」


 目の前の桃源郷に目が覚めないはずがない。

 大切な蒼葉の恩人が急に飛び上がり目の前のネコミミのソフィアに飛びついたのだ。


「ちょっとソフィアいつからそんな耳をして!?きゃっ可愛らしい!!尻尾もいいわぁ♩」

「えっ!?レールナ!?!?!?」

「ソフィア可愛いわ!!」

「レールナ、レールナなの!?」

「ソフィア頭打ったの?私意外にいるわけないじゃない。それよりその耳を触らせなさい!!」

「ちょっ!?こらレールナ落ち着いて!!怪我は痛いところは身体は大丈夫?」

「大丈夫に決まってるじゃない!!この世界最高だわ!!まずはあなたからふもふさせなさい!!」

「ちょっ!?レールナ落ち着いて!!」

「「「「おねえちゃあんんっ!!!!」」」」


 美女同士の組んず解れつ。

 男に生まれて何と良かったことだろうか。

 さらにそこにアミやトミにオレンたちといった子供達も抱きついたもんだからお姫様はそれはそれは幸せそうな顔をしている。


 蒼葉が美女の絡みと子供達とをこれでもかと堪能していると近くの顔見知りから声がかかった。


「おい!?貴様何なんだこれは?魔喰いを、、、、倒したのか?」

「ブルーベル、説明してこれはどういうこと?」


 竜人のシドとハーフエルフのアイスラの二人だった。

 蒼葉は静かに視線を逸らしながらそっぽを向いた。

 疑いの視線には耐えられないのだ。


「見たまんまだよ」

「だから説明してって言ってるでしょ!?死んだ人間が生き返るわけないでしょうが!!」

「貴様、わかるように言わんか!!化物はどうしたんだ!?」


 疑いや戸惑いを持った瞳は目の前の現実を懐疑的に見ることしかできない。

 蒼葉に突き刺ささるのはそんな視線だった。


「もぉさっきから人を変な目で見て、、、ただの魔法でしょ」

「「んなわけあるかぁぁっ!!!」」


 素っ気無く答えた蒼葉に二人の絶叫が突き返された。

 何が違うというのだろうか。


 これは魔法である。

 これが蒼葉が唱える魔法なのだ。


 魔導?

 魔法の方が響きがいいじゃないか。

 知らないし魔法だろうが魔術だろうがどうでもいいし、、、

 それに全く二人ともカルシウムが足りてないよ。

 間食いが何だって?おやつにしてさっき食べたから終わっちゃったでしょ。

 はぁー何でか聞く耳を持たないし、、、これは今度、魚料理をご馳走してやらなきゃかな。

 それにしてもシドそれはない!!最高、、、ちょ腹がひきつりそう。でも怒られるから笑えない。やばいホントツボに入りそう。これは美少女の方を見ないと、、、アイスラさんは、、、正直やばいめちゃくちゃ抱きしめたい。うさ耳が殺人的なほど似合ってるよ。


 蒼葉がかけた魔法によりシドの方は大惨事である。

 竜人をベースに狐耳が生え尻尾がもふもふになりキメラとなっている。

 イカツイ顔に可愛らしい装備品、言葉では表現できない。

 一方のアイスラには細いうさ耳とモフっとした尻尾が生えておりその可憐な美少女っぽさを十二分に引き上げている。

 彼女がまだ15歳じゃなかったら蒼葉はこの場で求婚していただろうくらいの魅力があった。

 だってロリコンじゃないのだ。


 そしてソフィアに生えた猫耳と細長い尻尾。

 これはもはや犯罪である。

 蒼葉の心は限界であり致命傷をもたらした。

 二人の絡みもあって今にも鼻から血が出、、、。

 そしてその間に挟まりたいである。


 これ以上は耐えきれないので蒼葉は後ろを振り向き鼻を抑えながら小さくフィンガースナップを奏でた。


 その瞬間、蒼葉の前にココが出現し、それからレールナの胸にはローロが出現した。


「ローロ!?」

「レールナお姉ちゃん!!!!大丈夫です!?痛くないです!?もう黙らないです!?」


 泣き叫ぶ女の子を後ろに蒼葉は優しく声をかけた。


「お兄ちゃんの大魔法どうだった?」


 腰を下げ目の前に視線を合わせる。

 大きな瞳に溢れんばかりの涙を抱えた彼女はすぐに胸に飛び込んできた。

 言葉はいらないようだ。

 そのまま小さな小さな女の子を抱きしめ二人に預けるとそのまま背中越しに語りかける。


「シド!!アイスラさん!!説明は後で」

「ああ」

「えぇ」


 シドも彼女も忘れていないようだ。

 さすがは冒険者。

 新人たちの中でもずば抜けて飛び抜けていた二人である。

 それぞれの獲物を掲げ周囲を最大限に警戒している。


 そんな二人に蒼葉は静かに声をかけた。


「後ろは任せるよ」


「無論だ!!」

「わかったわ!!」


 二人なら説明しなくても理解したはずだ。

 まだ終わっちゃいない。

 まだ。


「いい加減出てきたら?怒り狂う中指さん」


 そのまま空を見渡し鋭く冷たい声を放ったのだった。





調子に乗る蒼葉o(`・ω´・+o) :お兄ちゃんは大魔術師!!


聞き分ける子供たち(o゜▽゜)o゜▽゜)o゜▽゜)o:大魔導士!!大魔法使い!!大魔術師!!暗殺者!!大先生!!



いつでもどこでもマイペース、安定のブルーベル。



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