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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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46幕:人形師と舞台の幕開け2−3

 


 蒼葉お兄ちゃんとの『意思疎通魔法』の後、ココは近くの宿屋を訪れた。

 そして2階の窓を魔法で開けてこっそりと中に入る。


 まずやることはたくさんある。

 安全を確保してからギルドに侵入する準備をするのだ。

 その前にその前にまずは、、、


 途端に美味しそうな香りがお腹を刺激する。

 台所には緩くなったスープ、何かのサンドイッチ、そして美味しそうな串焼きが並んでいる。

 思わずお腹がぐーっと音が鳴る。


 舞台が終わった後に出店に突撃する予定だったので何も食べていないのだ。


 手の震えは最初よりも落ち着いた。

 お兄ちゃんの声を聞いたおかげだ。

 だから震えよりもお腹の主張が顕著に目立ってしまった。

 だがその訴えを聞く者はいない。


 魔石コンロの前には透き通る水色のお姉ちゃんが黙ったままだし、そこから隣の部屋では竜人のおっちゃんが装備の点検をしているようだった。


『探査魔法』で探した二人のうちおっちゃんに近づきペチペチと頭を叩いてみる。

 それから声をかけたし弱い雷の魔法をかけてみた。

 かぷっとしっぽを噛んでみたし杖でポコポコと叩いてみた。

 回復魔法もかけてみた。


 最後に『調査魔法』をかけてみたが結局わからないままである。

 シルクおばあちゃんから教えてもらった魔法なのだが、扱いづらい魔法の一つである。

 蒼葉お兄ちゃんはゲームみたいって関心していたが、おばあちゃんは驚いていた。

 普通、こういうことはわからないんだって。


 こういうことってなに?と思うココである。


 種族:りゅうじん

 レベル:ここよりたかい

 特殊スキル:りゅうじんか、りゅうか、ひとか

 技能:ほのおまじゅつ、りゅうじんか、りょうてけん

 装備:しふく

 生息分布:わからない

 状態:あやつりにんぎょう

 ほか:うごかない しっぽがくねくね 


 だから何なのかがわからないのだ。

 どうすればいいのかココにはわからないのだ。


 むぅーーーおっちゃんがうごかないもん、くねくねしっぽにとびつきたいもん!!


 どこかで最近嗅いだことがある花の香りがするような気がするがココには思い出せない。

 おっちゃんと同じようにアイスラお姉ちゃんにも魔法をかけてみたりしたのだが同じ反応だった。どちらも固まったままだ。


 これまですれ違った街中の人たちと同じように。


 少ない時間でココは頑張った。頑張ったのだが、、、

 お腹は空く一方である。


 ココは我慢できずに宙に描いた魔法陣の中から深皿を取り出した。

 途端にスパイシーな香りが部屋じゅうに広がる。

 机に置いてある料理には手を出さずに少し我慢したのだ。(でもちょっと味見した)

 だから後で一人で食べようと思って黙って隠していたのだ。


 続いて取り出した焼きたてのパンを少しずつちぎりながら暖かいお兄ちゃんのかれー?につけ口に運ぶ。

 何度食べても美味しい。

 ちょっとお口がチリチリするがほっぺが落ちるくらいに美味しい。

 一人で独占したいくらいに美味しいのだ。


「ナタデココちゃん?あれどうして?」

「ちびすけ?、、、これはどういうことだ」


 ココが食べ終わる頃、二人の視線は小さな女の子に向けられた。


 どうしてここで食事をしているのだろうか。

 なぜここにいるのだろうか。

 溢れ出てくる疑問を一旦飲み込みつつエルフの少女はそのまま優しく語りかけるのだった。







「「「「ぎゃーーーっ!!!」」」」


 室内に恐ろしいほどの悲鳴が響き渡る。

 惨劇だった。


 ココはびっくりして思わずおっちゃんのしっぽに飛びついたほどだ。

 それだけの悲鳴だった。


 近くにある警備隊の詰所では隊員たちが涙を流しながら激しく転がりまわっている。

 そんな様子に確信を持ちながら美少女はドヤ顔を浮かべつつ次の獲物へと向かった。


「「「ぎゃーーーつ!!!」」」


 そして詰所の全員が転げまわるという異常事態に陥った。


「やっぱりこれだわ。これなら解除できる」


 エルフの少女は自信たっぷりに宣言する。

 ココの話を一通り聞いた彼女はいくつかの方法を思いついたのだ。


 ・呪文破壊の魔術

 ・スパイスでの刺激を与える。つまり鼻腔への嗅覚刺激、口からの触覚刺激、そして粘膜摂取による直接刺激。

 ・ぶん殴ることによる直接的な刺激


 考察の結果、殴ることは論外。

 呪文破壊のような高度な呪文は不可能。習得していないしそんなのを扱えるレベルにもない。

 自分たちの例からほぼ確実にスパイスによる刺激で解除できることを確信した彼女たちは近い詰所を訪れ、そして地獄をもたらした。

 真っ赤なカレーまみれの隊員たちが床に転がる様を横目で確認しながら二人は意見を出し合う。



「相手の魔術の正体わかるかアイスラ?」

「たぶん香りだと思う。香りによる集団催眠作用を利用した魔術。五感に作用する催眠系統はとても効果が高いけど、この街中を罠にかけるとなると現実的に音か香りでカバーしないと人の魔力では足らないはず、、、何の花かまではわからないわ。ちょっとカレーが香ばしすぎて、、、」

「そうか。なぜさっきチリリを追加したのかわからんが、、、ちびすけお手柄だな」

「うん!!ココえらいもん」

「あとは各詰所の隊員たちや主戦力になりそうな候補を片っ端からやれば何とかなるかも」

「決まりだな。片っ端から激辛カレーを顔に塗れば何とかなるか、では行くぞ」

「バカかっ!!」

「ぐはっ!!」


 アイスラの拳がシドの頭に炸裂する。

 そして仰け反る竜人を上から目線で怒鳴りつけた。

 その拍子に大きくて太い尻尾が一直線に伸び縮んだ。


「そっちは隊員たちに任せるの。こっちは救出作戦でしょ役割分担」

「くっ!?だが、、、あいつがいるのだろう」

「人質取られてるから動けないでいるんでしょ、それにわざと陽動してるのよ!!だからナタデココちゃんが私たちに助けを求めにきたんでしょうがっ!!」

「いやだがっ」

「ギルドに行くわよ!!じゃああと何人か使えそうな人間捕まえてから救出作戦行くわよ」

「わ、わかった、、、」

「あおばおにいちゃんはだいじょうぶだから、、、ココはココはあまねこていにもどるもん、れーるなおねえちゃんたちがしんぱいだもん」

「ちびすけ、、、」

「じゃあ先に亜麻猫亭によって無事を確認してからにしましょう。ここからだと往復で20分もかからないし、、、まぁブルーベルなら大丈夫でしょ」

「おい、、、それは俺がちびすけを抱えてだろう?」

「あら素敵なアイデアじゃない?ナタデココちゃんおじちゃんにエスコートしてもらってね」

「うーんココはかたぐるまがいいもん」

「だそうよ?」

「くっ!?だが、、、」

「じゃあ、まずはここの隊員を正気に戻すところから、、、」


 強烈な辛味を帯びた残りのスープをアイスラが構えていると、、、


【えーっと状態回復(くりあ)とあとは呪文破壊(でぃすぺる)?】


 小さな両手から迸る光の本流が転がり回る隊員たちと動かない隊員たちとに降り注いだ。

 そして淡くだんだんと輝きを失うころ彼らは無事動き出したのである。


「あれ?これって、、、」

「おいアイスラ、、、激辛ソースまみれにする必要はあったのか?」

「な、なな、なんのことかしら、、、」

「おい、、、」


 ぺしぺしと小さな合図を送る。

 トカゲのような竜のようなカッコいい頭の後ろにしがみついて右手でお店の方を指差した。

 目指すは亜麻猫亭だ。


「ではいくぞー、、、、、、ぐはっ!!」

「作戦少しだけ変更よっ!!」


 再度の折檻に身を埋めたシドを放っておいてアイスラは復活した隊員たちと情報の共有を行う。

 夜はまだ始まったばかり、静寂が収まる気配は一向に訪れなかった。

激辛カレーまみれの隊員たち:ギャーーーッ!!!!。゜・(ノД`)(´Д`)人(Д` )ギャーーーッ!!!!・゜。ゴロゴロ。

シド:(ノдヽ*)南無三

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