まじかるココナッツすうぃーと5−1 『ルーリの苦い思惑』
誰かさんとの激戦が終わりルーリが大逆転勝ちしてから数刻、調理場から漏れ出す香りはより一層強くなり食堂にいる者たちのお腹を刺激した。そこからさらに外に漏れ出す香りに釣られて、普段ならば外の行列ができているのだが今日は誰もいない。
今日は休日でありお店が開くことはないのだが、その代わりとあるイベントが開かれる予定であった。
ルーリは子供達や調理組以外のスタッフとともに会場作りとその最終チェックに目を光らせている。
緩い場とはいえ最低限の質を維持しないことは絶対にありえない。
カップの置き方しかりナイフの角度しかり手入れの届いたナプキンしかり、、、軽い冗談である。
「こんにちは邪魔するよー」「こんにちはー」
「こんにちはー、レールナさん、ルーリお邪魔するね」
「こんにちは、ルーリ、レールナさんお邪魔。」
冷たいまま出す料理を並べていると先に4人が集まった。
Bar黒猫の美人オーナーピルファナとその弟ピピル。神官ペッパー、魔術師ソルトの3人である。
また少し時間を置いてからも続々と人が集まった。
この街で『聖女』と呼ばれるシスターのアルス、八百屋の末っ娘オレン、そして最近知り合ったエルフの少女アイスラ。
ちなみに猫通り下町3人娘の残り二人シェリとリルリは誰よりも早く駆け付けている。
ルーリは食堂に集まった面々を見渡し一人一人確認する。
スタッフに子供達はオッケー。今回の参加者はほぼ揃ってるみたい。あとは、、、八百屋のお兄ちゃんがまだだけどオレンは子供同士仲が良いのは相変わらずかなぁ。
おっとそれから後は誰だったっけ?
ルーリは事前に聞いていた参加メンバーについては一旦保留にしてから先に進めることにした。
これから亜麻猫亭の試作メニュー味見会議が開かれる。
調理場の中ではすでに事前に試作されたメニューが並んでおり魅惑の香りを発していた。
子供達はテーブルの席から離れることなく瞳を輝かせながら開始の刻を待っており今我慢できていることが信じられないくらいだ。
ちなみに参加者たちも同じようなものだった。
「お集まり頂きありがとうございます。試食会ですが、今回の出品者は、、、お姉ちゃん、シェリ、ミナさん、リナさん、ケモモモちゃん、そして蒼葉くんです」
「「「「おおおぉぉ!?」」」」
「それから私も何か作ろかなと思いますが、、、」
「「「「ダメです」」」」(一同声を揃えて)
「ルーリは作ったらダメ。メインの司会進行があるだろ」
「ルーリちゃんお仕事は放り出しちゃダメよ」
「うぅーわかったよピルファナ姉にアルス姉、、、では仕切り直して」
さすが大人組だ。
年下の女の子の扱いなど慣れたものであった。
ルーリは気を取り直して残りの1名を紹介する。
「あと飛び入りで駆出し冒険者のアイスラがエルフ料理を作ってくれるそうです、さぁ拍手」
「「「「パチパチパチ」」」
大きな拍手を手で止めさせルーリは続けた。
「誰が作ったかは分からないようにしてるので良かった料理の前に取り皿を置いてください。一人5点までです。それから各料理の良いとこ悪いところをこっちのリストに書き込んでください。ではよろしくお願いしますね。ではこちらの品からいきましょうか」
ルーリは右手の小さな小鉢を指差し掲げるのであった。
それからチラシを各自に渡していく。
第3王女の情報募集中と書いてあるがこれもちゃんと再利用している。
ずいぶん前に配布されたチラシでありすでに捜索済みのため必要なくなったものだ。
そして試食会は順調に行われた。
途中、遅れて八百屋のお兄ちゃんとピーターが入ってきた。
二人とも何故だか傷だらけだったので応急処置してから参加してもらった。
偶然なことにこの場には神職に関わる者が3人もいて3人とも回復呪文を唱えることができる。
当然のことながら甘えることにした。
さて出された品々はサラダ系、汁物系、魚系、お肉系、おつまみ系、主食系、飲み物系、デザート系などなど大まかな種別ごとに分けてある。最初の前菜であるサラダ系から順序良く始まりどんどん次へと進めていった。
出される品々はとても美味でどれも甲乙つけがたい品ばかりである。
これらの得点の多かった料理からデメリットメリットを把握し現実的問題とすり合わせお店のメニューとして加える予定だ。もちろんその吟味している段階でレギュラーか、季節限定等の期間限定かなども考慮していく。
普段から料理している人間ばかりなのかどの品もレベルが高い品がかりだ。
ふとルーリは何かが足りないことに気づいた。
なんだろう。何かが足りないような、、、でも分からない。
調理場では今日の調理人たちが順番に入れ替わり出入りしていく。
出された料理をスタッフで各テーブルに取り分けたり並べたりする。
ついにデザートと飲み物の番になる。
「みなさん最後のデザートと飲み物です。甘いものは別腹です、、、いいですか甘いものは別腹なのです。各自お腹の用意はいいですか?」
煽るように抑揚をつけて声を出す。
そして態とらしく耳を傾ける。
もちろん返事はこうだ。
「「「「おおおおおお!!!!」」」」
素晴らしい返事にルーリは思わず胸を反らせドヤ顔を展開させる。
場は暑く燃え上がり興奮が尽きることはない。
放たれる声援は全てを物語り一点に注がれる。
これぞ主催者のいやいや司会の醍醐味である。
ルーリは手で声援を静止ささせてからパンパンと両手を打ち合図を送る。寸分違わずスタッフ一同が新たな品を全員の前に差し出した。
なんて素敵なスィーツたちだろうか。
色とりどりの果物が飾られ金銀宝石のような輝きに満ちている。
漂う香りは甘く上品であり誰もが幸せと笑顔の虜になるだろう、、、そんな香りを放つ宝石たちだ。
この中からこの原石たちの中からさらなる宝石が算出されるのだ。
でも今はその原石たちを一つずつ味わう時間である。
当然、ルーリも一同に負けじと出された全てのスィーツを口に運び吟味したのだった。
ピルファナ、アルス:ファインプレー (`・ω´・)+・ω´・)+ ドヤツ!!




