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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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3幕:ココと不思議な出会い3

 

 目が覚めたら知らないベッドの中だった。

 久しぶりの柔らかい寝床。お日様の匂いが香るとても寝心地のいいところ。

 でも彼女にはそんなことを楽しむ余裕はなかった。

 すぐに体を動かそうとしたのだが微動だにしない。右手を上げようとしてもあがらない。左手は少しだけ動かすことができた。

 右足はどうだろうか、、、何とか動かすことができた。左足も同じだ。

 どうやら思ってる以上に身体が言うことを聞かないらしい。それに全身がズキズキする。


 でもこれはおかしなことだ。だから寝ぼけているのかもしれない。

 彼女はそう判断して起き上がろうとしたのだがベッドの中にいるのは変わらなかった。


 朦朧とした意識の中で少しずつ状況を整理していった。


 魔法陣を描いたはず、、、


 そして使い魔を召喚したはず、、、


 林の中で宙に魔法陣を展開させて呼びよせた、、、と思う。


 それから、、、


 いきなり怖そうな男のひとに肩を掴まれた。怖い顔をした男のひとだ。


「お前、それは何だ?魔法か?」


 静寂した林の中で明らかに似つかわしいその男は、彼女の腕を荒々しく掴むと、、、いきなり右手を振りかぶった。


「おい魔法だよな。こりゃついてるぜ。」

「ちが、、」

「あーだまれや!!魔法だろうが!!!おらぁ!!嘘つくなや!!!!!」


 口にする前にいきなり拳を振りかざした。それからまた何度もぶたれた。

 何もしてないのに。悪いことしてないのに。何度も何度も。

 違うって言ってるのにやめてくれなかった。


 彼女は少しずつクリアになる意識の中で思い出した。

 あの時の理不尽と、そして恐怖を。高慢な暴力を。

 それは彼女自身にはなんの原因もないただの男の欲望ゆえのただ呼吸をするかのような行動の結果だったのだが、そんなこと小さい彼女には少しも分からなかった。


 魔法が、魔術が使える、、、、そんなの関係なかった。

 何を言っても聞いてくれなかった。

 嘘がバレたのか?

 言おうとしたらとにかく殴られた。蹴られた。

 魔法で何とかしようとしても怖くて身体が動かなかった。

 全身が震えて言うことをきかなかった。何もできなかった。


 思い出せば思い出すほどあの時のことが彼女を恐怖に縛り付けるのだ。

 全身が震えた。

 涙が止まらなかった。

 声が出なかった。

 身体は動かない。今も何もできない。


 (とお)様、祖父(じじ)様、祖母(ばば)さま、、、、、、(かあ)様。

 分からない何かが彼女を彼女の心を締め付けた。


 目からこぼれ落ちるものが止まらなかった。

 声が出なかった。

 苦しかった。

 だから我慢しようとした。


 でも身体の震えは止まらなかった。







 食後、宿の空部屋に向かった。

 これからお世話になる宿場兼食堂『亜麻猫亭』は宿場町『ホルクス』では小規模の宿なのだそうだ。立地も町の端の方で、正直かなり悪い方だと思う。でも行商人や冒険者にはとても人気があるらしい。


 それはもちろんレールナさんがいるからだと思うが、、、。


 顔を赤くしたマークスさんが親切に教えてくれた。


 曰く、、、


 レールナさんは三姉妹の長女で、今は3人でこの『亜麻猫亭』を取り仕切っている。実によくできた娘さんだ。

 最近までメインのスタッフがいたのだが、事情があり辞めてしまったそうだ。他にもお手伝いさんはいるのだが、ちょうど人手が欲しかったらしい。

 レールナさんの料理がとても美味しくてお酒がとにかく進む。

 次女は料理はからっきしだが、料理以外のことは何でもこなせる。将来は優秀な経営者になるに違いない。

 三女はまだ小さいが、何でも手伝いをしてくれてとても助かっているらしい。その姿を見てみんなほっこりするそうだ。

 二人ともレールナさんに似て将来、いい女になるに違いない。すでに冒険者等の間で隠れファンがいるらしい。


 、、、などなど。


 そんなことを思い出しながら、空部屋の前に立った。


 ノックをして部屋の中に入った。


 中は静寂に包まれているが明るかった。窓から月の明かりが差し込んでいた。

 彼女は二段ベッドの下に寝かせている。


 ちょうどそこへ月の淡い光があの子の顔を照らしていた。


 その頰は、、、濡れていた。


 その頰を手持ちの布で拭いてあげる。


 次の瞬間、左手で布を払いのけた。


 無意識の行動だったのだと思う。


 今はまだ意識があるようには見えなかった。


「もう大丈夫だよ。」


 彼女の小さな左手を優しく包み込みながら頭を優しく撫でてあげる。


 この子を見ていると月華(ムーン)ちゃんを思い出す。


 とても懐いてくれた女の子だ。


 子供には笑っていてほしいな、、、。


 そう思いながら小さい頭を撫で続けた。




マークス:これが亜麻猫亭の味(`・ω´・)ドヤッ

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