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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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まじかるココナッツすうぃーと3−1 『ルーリの渋い思惑』

 

 待ちに待った会議の日。

 調理場では朝から姉と蒼葉くんが何かを拵えている。

 出来立ての香ばしく甘い香りと、外から入り込む清涼感のある涼しげな風とが混ざり合い部屋中に届けられたことだろう。

 亜麻猫亭で過ごすちびっこたちはきっと目を宝石のように輝かせて今か今かと期待を胸に時を過ごしているに違いない。

 もちろんこの香りは外にも漏れ出しているので表通りを通る商人や冒険者、近隣住民であるお隣さんたちにも届いていることだろう。

 だが今日は誰一人としてお店の中に入ってくることはない。

 すでに外の入り口と看板には閉店中の木札をかけている。


 食堂のテーブルを整え食器とチラシの束を各席に並べる。

 そして議題の案件を一枚のチラシの裏に改めて書き直し皆に見えるようにボードの前に貼り出す。

 朝の新聞に入れられた魔道学校の生徒募集と書かれたチラシだが、そのまま捨てるのはもったいない。裏に議題を描けばそのまま利用できるし、会議後の試作メニュー会用のアンケートや投票にも使えるので裏に記載がないチラシは特にありがたい。


 軽食や手軽に摘めるスウィーツなどなど姉たちが準備をしてくれるのであとは開始時刻を待つだけである。



 週末の休日の土の日に亜麻猫亭の定例会議は始まった。

 以前から出されていた議題を中心に話しは進んで行く。

 1週間も考える余裕が良かったのだろう。案件によってはもっと前に伝えたりしている。

 その甲斐もあってかスタッフ一同からとても良い意見が上がっていく。

 その一つ一つをボードに書き込み現実に可能かどうか判断しつつ一つずつ優先順位を決め今後の方針を決定して行く。


 議題の一つである業務改善案はとても盛り上がった。

 ミナさん、リナさんから角度の違ったアドバイスはとても参考になるし、ローロやココ二人の子供独自の視点からは自分たちが失ったものを改めて認識させられる。

 姉からはオーナーとして料理人としての理念を再認識させられたし蒼葉くんの独自の視点からはまた違った切り口がありとても面白い。トミミとアミミはお姉ちゃんに引っ付いたままだが不思議そうな顔をしてキョロキョロと皆をみておりとても可愛らしい。


 ざっくりとまとめると、、、

 ・お土産物、お持帰り品の強化

 ・季節限定メニューの強化

 ・メニュー数の限定化

 ・お昼のセットメニューの強化(特にスウィーツ面やドリンクなど)

 ・営業時間の短縮化と夕方のちょい飲みメニューの強化

 ・臨時スタッフの増員の件(ケモモモちゃんや新スタッフのこと)

 ・ローロが書いた猫ちゃんのキャラグッズのマスコット正式化

 ・亜麻猫亭ファンクラブの設立

 ・新しい制服やエプロンのデザイン


 などなどこんなところだろうか。

 充実したものである。

 誰がケモミミっこたちと添い寝するかなどふざけた議題などとは比べものにならない。

 本人たちの意向によりローテーション化は廃止、好きなようにしていただくことになった。

 だから後で3人にお菓子をこっそりと渡さなければならない。

 特に二人の幼子は姉にとても懐いており今後のもふもふの日々を奪われられないからだ。

 人はそれを賄賂とか言ったりするがそれは違う。

 これは仕事のできるルーリお姉ちゃんからの報酬でありおやつである。

 そう、おやつだ。


 それから期間限定メニューやスウィーツは会議後の試作会後に決定するつもりだ。ただし皆からこういったものが欲しいといった希望メニューがあるかもしれないので意見を聞く機会をもったわけだ。これもこの後の試作会に反映される。

 考えただけで思わずゴクリと喉を鳴らしそうになるが我慢である。


 そうそうあれだけ頭を悩ませたちびっ子たちの摘み食いについては簡単に解決することになった。1週間悩むに悩んだのだがミナさんとリナさんの意見に解決の兆しを見つけたのである。


 瞳をじんわりと濡らすちびっ子たちを前にルーリは非常な決断を強いられるかもしれなかった。あんなうるうるした瞳で見つめられれば胸が締め付けられるかのような思いになるがそんな思いをせずにすんだ。


 二人からのアドバイスにルーリは閃いた。

 固唾を飲んでルーリを見守るちびっ子たちはとてもハラハラしており特に二人は特にしっぽがぴーんと立っていて思わず飛びつきたい衝動にかられてしまう。ローロとココはさっきから手が震えておりお互いに手を繋いだままである。思わず抱きしめたくなるが我慢だ。


「今後、ローロ、ココ、トミミ、アミミの摘み食いを禁止にします」


「無慈悲です、、、」

「るーりおねえちゃん!!」

「「!!??」」


 4人の瞳がすでに決壊しそうなほど涙を浮かべている。

 そんな4人を見てルーリはにこっとほほ笑んだ。


「そして4人には新たな仕事をしてもらいます。それは味見係です」


「「「「!!!!」」」」


 信じられないような顔をした後、4人はほぼ同時にお互いを見合った。

 そしてとびきりの笑顔を見せるちびっ子たちに和みながらルーリは続ける。


「出来た料理の最後の味見を4人にやってもらいます。タイミングは調理係に一任ね」


「おー!?ルーリさん考えたね、さすができる上司は違うよね」


「蒼葉くんまだ褒めちゃダメよ、会議が進まなくなるから」

「そうです、お姉ちゃんを褒めるのはまだです。それにしても味見係♫♫」


 すぐに諌める姉妹に言われずともこの程度でルーリは調子に乗ることはない。ちょっと鼻が高くなるだけである。


「ローロ、ココ、ちゃんとお仕事するのよ」

「うん真面目にやるです♩」

「るーりおねえちゃん、ココあじみがんばるもん」


「トミミ、アミミ大切な仕事だから二人の言うことを聞いてお手伝いしてね」

「うん、るーりねぇしゃん」

「あい、るーりねぇしゃん」


「ローロ、ココはお姉ちゃんとして二人を任せるからね」

「はいです」

「うん」


 本当に可愛らしい笑顔である。

 思わず全員抱きしめたくなるほどだ。

 摘み食い禁止は言葉を変え味見係とした。要は4人の行動を制限し大人たちの管理化に置き、そして同時に二人に責任感を自覚させること、お姉さんとして行動させることで自制させるのである。全ては計算通り。

 これは我ながらいい手である。


 ルーリは自身の考えに改めて賞賛を送るのであった。



ちびっ子たち:あじみー♫(o゜▽゜)o゜▽゜)o゜▽゜)oo゜▽゜)o


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