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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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まじかるココナッツすうぃーと2−1 『ルーリの甘い思惑』

サイドストーリーです。

 

「1週間後に会議を開きます!!」


 少女の急な一言に場が硬直した。


 ただ普段から慣れているのだろうか大人組は普段と変わらずそのままの顔を、また子供達はきょとんとしたまま口を開けたり不思議そうな顔をしたり、、、とにかく言い出しっぺの彼女を見つめている。

 なお部下Aだけは露骨に嫌そうな顔をしており調理場に逃げようとしたところ、、、その後ろの襟首をむんずと鷲掴みにされ少女に連行されていった。


 忙しかった昼のランチタイム、そして楽しみのおやつタイムが始まろうかというときである。

 今日も亜麻猫亭前の通りには猫たちがたむろし日向ぼっこしながらまったりと過ごしている。

 ちょうど外の子供達がニャンコ達に気づくとお菓子を一つずつ与えている時だった。


 彼女はそんな様子を視界の隅に収めながら一枚の大きな用紙を従業員用の連絡ボードに貼り付け、そしてスタッフ一同を見渡した。


「議題はここに書いてあるからみんな考えて来てね。では解散。」


 皆がバラバラになる前に少女は声を大きく張り上げる。そして家事のため帰宅する大人組の二人に軽く抱き、そして小さな紙袋を手渡す。


「ミナさんリナさん今日もありがとうございました。夕方も宜しくお願いしますね。蒼葉くんに子供たちのために何か甘いもの作って貰ってたんだ。これ持っていって」


「あら、ありがとうね。ルーリちゃんまた夕方に顔出すから蒼葉くんにもね。こっちこそよろしくね」

「蒼葉くんのお菓子すごく喜ぶのよね。ルーリちゃんありがと、また夕方。蒼葉くんにも伝えておいて」


 二人とも付き合いの長いご近所さんであり亜麻猫亭にとってとても大切な方々だ。また小さい頃からの付き合いであり二人に大変よくして貰っている。

 他にパートやアルバイトを含めれば他含めて合計10人ほどだが、皆ご近所さんが多い。子持ちの主婦の方や新婚の方、ほかにも独身の方が多く、忙しい時にはルーリの友人たちも応援に駆けつけてくれたりもする。

 なぜこうなったのかは分からないが全員が女性ばかりである。そのため男性は部下Aだけなため、たまに居心地の悪い顔をしているときがある。女性特有の話しになることも多く仕方ないのだが、、、ご愁傷様である。


 ルーリが小さい頃からお店を手伝い始めてから10年くらいになるだろうか。

 本当に色々なことがあった。

 家族が増えお店が大きくなり従業員も増え、そして家族が減り、、、

 一時はお店を畳まなければいけなくなるかというほど危ない時期もあった。

 だけど3姉妹でお店を続けることができたのは一重に彼女たちの助力があったからだろう。

 とても大切なご近所さんであり人生の先輩である。


 そんな中でも彼女たちはお店を3人を見捨てたりしないで支えてくれてきた。


 ルーリは感謝を忘れない。

 それは言葉や対応で直接伝えるときもあるちょっとした贈り物をするときもあるし、用は色々である。



 スタッフ数の都合や3姉妹にかかる過度な負担、そして少し前から姉がホルクス商業ギルドの臨時の副会長になったため日常の宿泊業などはしばらく中止せざるえなくなった。だから今では中長期宿泊者向けの宿へと切り替えている。夜の時間も縮小の方向で舵取りを行なわざるえなかった。


 これだけでもそれなりの収益はあるし新規短期向けへの業務が大幅に減らせただけでもメリットがある。そして今や売上のメインはお昼のランチタイムである。そしてその後のアフタータイムも負けじととてもいい収益が見込める。

 中でも持ち帰り用のスウィーツが飛ぶ様に売れており、夕方夜の営業時間を短縮しても全体の収益には全く問題がない。


 その要因となったのがある二人の存在である。

 新しくやってきた年上の冴えない青年と小さく可愛らしい元気いっぱいの女の子。

 狙ったかのように一番最悪の時期にやってきた異国からの二人。

 知らない連中に無理やり拉致されてこの街の近くの森か林でマークス兄さんたちに救出されたのだという。

 そんな二人のおかげでお店のピンチ、そして大切な幼い妹を救うことができた。

 特に彼には本当に頭が上がらない。

 上がらないはずなのだが、、、、



 さてさてボードに貼り付けた紙を眺めながら今回の案件の整理を始める。



 ・来月の期間限定メニュー及びスイーツについて

 ・お祭りの出店について

 ・業務改善案

 ・誰がケモミミっ子たちと一緒に添い寝するか

 ・給料について

 ・子供達のつまみ食いについて



 まず解決できることはケモミミっ子達のことか、、、可愛らしい子供たちと年下の美少女、、、まずは私が一番である。それから順番にモフモフすればいい。上司として順番が早い方がいい。これぞ上司の特権である。

 それにしてもあんな姉のとろけた顔を見たのは初めてだった。どうせならマークス兄さんの前であの顔をすればいいのに、、、


 業務改善案はまずはスタッフ全員の意見が聞きたいところだ。

 違う角度からの視点はとても貴重な情報でありとても大切なものである。


 給料については今回は全員少しだけ多く手渡せすことができる。

 それから彼らには今までの分をやっと支給することができる。

 結局、冒険者ギルドの正式な登録は予定よりも遅れることになった。代わりに商業ギルドでの登録が早く進んだことで二人はやっとホルクスの街の住民として迎えられた。

 歓迎されているのはココだけなのだが、、、だからやっとお給金を渡すことができる。

 それでもいったいどんだけ時間が掛かったのやら、、、、事前の街からの見舞金がなければすでに彼は破産してただろうに。


 ともかく蒼葉くんの雇用形態がバイトじゃなかったため、それから経理の都合上と街のルールやそのほかいろいろあってすぐに渡すことができなかったのだ。


 だから考えるだけで楽しみである。

 ルーリはこのイベントをとても心待ちにしている。


 彼がいったいどんな顔をするのかが楽しみなのだ。

 それからその隙をついてどんな新作メニューを出してもらうか期待せずにはいられない。

 季節限定メニューを3品くらいは押し付けることはできるかもしれない。


 それにもうすぐ猫通りの縁日、そして近隣周辺の町村とのお祭りが控えている。お祭り用の料理は一体どんなものを作ってくれるのだろうか。


 だからルーリは今後のことをイメージしてみた。





レールナ:もふもふ(^ω^)♪デレデレ

ルーリ:お、お姉ちゃん?(´・ω・)


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