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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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41幕:バレた魔道使いと東の国の殺し屋4−3

 

「マロン、予定通りね」


 コクリと頷きマロンは景色に溶け込んだ。

 観客席からはもちろんのことマークスからでも視認することはできない。

 物音一つ立てず移動しているらしいがどこにいるかまでは分からない。


 次の瞬間、ざっとマークスの足の側から音がしたのだがそこにはすでに彼はいない。

 だが確実に彼の隙を伺っているようだ。

 マークスの意識から少しだけだが少しだけ彼の意識を確実に削いでいる。


 そんな彼に微笑しながら蒼葉は語りかけた。


「マークスさん結構気を取られるでしょ?」

「まさかこのタイミングでマロンを召喚するとは、、、それにあの術はどこかで聞いたことがあったような」

「まぁ秘密です、そうそうさっきので魔力を使い果たしたのでそろそろ最後にしましょうか」

「いつでもこい青年」


「じゃあ最後の攻撃ですからね」


 蒼葉はそう語りかけ3つのボールを彼に投げた。

 一つはゆっくりともう一つは彼に当らないようにまっすぐに、そして最後の一つは大きく山なりに。


 蒼葉が投げたボールはただのボールである。

 鍛えていなくても誰もが避けれることだろう。


 彼に当たるタイミングで強烈な地面を蹴る音が響きマロンが本来の色に戻り飛び出した。

 意識が無理やり奪われる。


「な、、バカな、、、」


 マークスは驚嘆していた。

 目の前のボールにではない。

 後ろから隙を突いてきたマロンにでもない。


 いきなり目の前に出現した飛びナイフにだ。


 6振りの飛びナイフが目の前に急に現れたのである。

 だがマークスは二つを木剣で叩き落とし残りを全てかわす。

 同時に遅れてくる残りのボールを叩き落とし、、、だが強烈な光とともに破裂した。


 くっ目潰しか、、、


 前方からはさらに追加のナイフが飛んでくる。

 後ろからはマロンから触手が生え枝のように分裂しこちらに向かってくる。

 絶妙なタイミングでの攻撃だった。


 時間差で、マロンから触手と同時多角攻撃!?それも死角を、、、

 ぐっ、、、やるな青年。


 マークスはその全てを驚異的な速さで身を交わし避けてみせた。

 その最中に地面が爆破し周囲の視界をさらに悪化させる。


 爆破?あの位置は確か青年が盛大に転倒した場所、、、


 マークスは目を凝らし前を見つめるが蒼葉はすでにその場にはいない。


「ブルーベル流忍術、、、炎の小太刀脳天オーガ落とし!!」


 上空から蒼葉は炎のダガーを力いっぱい叩きつける。

 むろん受太刀されることを覚悟の上である。


「炎剣、魔法剣か?、、、まさかここまでやるとは青年だが、、、なに!?」

「マロン!!」


 受太刀し反撃しょうとした途端、彼の右足が地面に捕られた。

 膝下までずっぽりと。


 んな?バカな!?


 マークスは一瞬の出来事に驚嘆した。

 彼は落ち着いて足を、、、


 だがそんな隙を見逃す蒼葉ではない。

 これがたぶん最初で最後の戦機一隅のチャンスなのは間違いないからだ。


 蒼葉は着地後間合いを測りながら仕込んだ全てのナイフを投げつけた。

 マークスにではない、彼の周囲に均等に。


 8振りの投げナイフの尻には一組ずつ糸が付いていた。

 とある魔物が生み出すというその糸はとてもしなやかであり、そしてとても丈夫だった。

 通常糸は編めば編むほど丈夫になるし太くなる。

 逆に細くなればなるほどその分強度は低くなる。


 だが視認性は悪くなる。


 !?


 しかし気づいた時にはもう遅い。

 最後まで気付かせないようにするために蒼葉は数々の手を打ったのだ。


 中途半端にぐるぐる巻きにされたマークスがさらに左足を地面に取られ両足が埋まってしまった。


「それよく燃えるんですよ。これが本当の最後ですよ」

「な!?まさか?」


「忍法火遁、、、操糸火炎爆殺の術」


 燃えるダガーを蒼葉からマークスまでに至る細糸に燃え移らせる。

 そして残りの仕込み玉を投げつける。


 火炎は勢い良く燃え広がり仕込み玉のせいで爆発を起こした。

 その勢いは凄まじく一向に消える気配はない。


 どうやら配合した分量が間違っていたようだ。

 もしくは買い付けた材料がいけなかったのかもしれない。


 これはたぶん後であの人に大目玉を食らうだろうなと自覚しながら蒼葉はその炎を見つ続けるのだった。





 爆発とともに亜麻色の小さな女の子は勢い良く席を立って目を輝かせた。

 あそこに立っている男の正体に気づいたのだ。


「あれが東の国で名を馳せたというシャドー、、、違うですダークシャドー本人です!!あのお話はお兄ちゃんのことだったですか!?」

「「「!?」」」


 ぼそっと口から出た小さな声に隣の子供たちも反応し絶句した。そして周りの人間たちは耳を疑った。

 だが現実は目の前に広がっている。


「どこかで聞いたことあるわ、、、シャドーと言えば東の国で暗躍する凄腕のスパイ、それから、、、」


「それから?」


 エルフの少女は誰に聞かせることなくその記憶を口にした。

 応対する竜人もその先が気になるようで彼女に顔を向けている。

 その一言で彼だけでなく近くの人間全てに注目された彼女は臆することなく答えた。

 ただしその声はとても静かで小さい。


「、、、殺し屋」


「なんだと!?」


 隣の竜人だけが聞こえたのだろうか、彼はそのまま正面を見つめ直した。

 その表情はより一層固く、そして鋭くなった。


「しまったです。これは絶対秘密です。お兄ちゃんのことがバレたらこの街にいれなくなるです」

「だめーいっしょにいたいもん」

「「やぁだぁーー」」

「じゃあ4人の秘密です」



 子供達は静かにコクリと頷き大人しくなった。

 今のやり取りがどこまで聞こえていたかは分からない。

 ただ席に座り静かに前を見つめる。


 その視線の先には憧れたお話の主人公がまっすぐ瞳に写っていたのだった。



●補足説明


・ココ:魔法と魔術を使う魔導使いの小さな女の子。素直で優しい子。摘み食いだけは誰にも譲れない。


・鈴宮蒼葉:いきなり知らない世界に迷い込んだ苦学生。恩人の亜麻猫亭一家には頭が上がらない。


・マロン:ココと蒼葉の使い魔。黒くて小さくて可愛いやつ。形を変えたり色を変えたり触手を生やしたり便利な能力を持ち何にでも好奇心旺盛なお年頃。人語を理解するほど頭がいい。


・マークス:蒼葉とココを助けた恩人。レールナの料理が好物の大の酒好き。今回、凄腕の剣の使い手で有名なことが発覚。


・聖女:名前だけ登場。癒しの神官とのこと。


・エルフ:試験管にボコられた。

・竜人:試験管に氷漬けにされた。




・ブルーベル流忍術:蒼葉の厨二病爆発の結果、生み出されたらしい。触れずに黙ってそっと見守ってあげましょう。

  口寄せの術

  炎の小太刀脳天オーガ落とし

  火遁 操糸火炎の術



恐れ入りますが、、、、ココに癒されたい方、蒼葉の厨二病に同情していただける方、もしよろしければ評価やブックマーク等いただけると嬉しいです。


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