23幕:ココと蒼葉の5のサイン2 『完全犯罪』
二段ベッドの下側に二人の小さな女の子が腰をかけている。
二人はとても柔らかい雰囲気でほくほくとした顔をしていた。
一人は亜麻色の髪がとても綺麗で光の当たり具合で明るく輝いており、もう一人は金色の髪がツヤツヤしてとてもピカピカした女の子である。
「ふぅー。おいしいね、ローロちゃん」
「ほんとです。この冷えたミルクは美味しいです。」
風呂から上がった後、二人は顔に白いおひげを付けてココと蒼葉の部屋でゆっくりとした時間を過ごしている。
クエスト帰宅後、偶然出くわしたルーリとローロと一緒にあと4、5人は入ることができる大きなお風呂でココは気持ちいいお風呂の時間を過ごした。
水資源が豊富なホルクスの街ではお風呂を常設しているところが多い。
亜麻猫亭でも宿泊客用の共同のお風呂がある。もちろん男女別々である。
そことは別にもう一つ小さなお風呂があるのだが、今日は大きなお風呂の方に3人はゆっくりと時間を過ごした。
ちなみに二人ともまだ体が小さな女の子のため一人で入ることは禁止されている。
もちろんココとローロ二人だけでも禁止である。
だからレールナか、ルーリ、もしくは蒼葉の誰かとお風呂に入ることになる。
今日はたまたまルーリが早い時間に帰宅していたのでタイミングよく帰宅したローロと一緒にココは気持ちいい時間を過ごしたのだ。
ローロもココも体はとても小さい。
お姉ちゃんたちに比べて胸はつるっぺただしおしりも大きくない。
下も、、、だし。
お姉ちゃんのはとても柔らかくて大きくてとても気持ちいい。
そーいえば蒼葉お兄ちゃんとは体の作りが違う。
筋肉がお姉ちゃんたちとは違うらしく大きくて硬い。
それから下からぶら下げている。
ココにはないものだ。
あるときおもいっきり掴もうとしたらとても叱られた。
あんな仰天としたお兄ちゃんは初めてである。
叱られた後も気にせずココは蒼葉の膝の上からそーっと触ろうとするとお兄ちゃんにほっぺをふぎゅーっとされた。だから今度はピーターのをやろうと思う。
お風呂中でもココは蒼葉の膝の上が大好きである。蒼葉の膝の上はココの領域であり譲ることができるのはローロちゃんだけである。
でももっと好きなところがある。
それはレールナお姉ちゃんとルーリお姉ちゃんの膝の上である。
お風呂の温かなお湯に浸かるときココは二人の柔らかな膝の上で時間を過ごすことになる。
ちょうど湯船の位置がココの肩よりも上に来るのでとてもいいのだ。それに頭の後ろには自分にはないものが、とても大きくて柔らかくてふわふわするけどもちもちとした自分にはないものがある。
そんな枕に頭を乗せながら過ごす時間はとても心地よいものである。
そしてお風呂上がりほくほくした体を冷ましながら飲む冷たいミルクはとても美味しい。
ルーリお姉ちゃんが食堂に先に行ったからココとローロは二人でミルクを飲みながら自分たちと変わらない二人の子供の寝顔を見る。
クエスト帰宅後、訳あって保護している子供である。
二人のその子供は今、ココのベッドの上でスヤスヤと息を立てている。
とても可愛らい顔をしている。
そしてとても可愛らしい耳をしている。
ココとローロにはない大きくて動物のような耳である。
たまにピョコピョコと動くのでとても飛びつきたいのだが今は我慢中なのだ。
そんなわけでミルクを飲みながら二人を眺めつつまったりとした時間を過ごしていた。
それからふと思い出したようにローロは呟いた。
「ココちゃん、あれどこ行ったです?」
「あれれさっきまでここにいたのに、、、」
「街のみんなに見つかったら怒られるです。早く探して先にソフィアお姉ちゃんに相談しないとです。」
「うん。でもそのまえにおなかすいたよー」
「なら先にいつものです」
「うん」
「いつもの、、、」
「いつもの、、、」
「「つまみぐい♬」」
二人の獣耳の幼子を残して二人は調理場に突貫した。
この時間帯なら誰かが夕食を作っていることだろう。
レールナお姉ちゃんか、もしくは蒼葉お兄ちゃんが、、、
だからそこにこっそりと潜り込むのである。
そして静かに速やかに目的を達成するのである。
抜き足差し足忍び足。
どうやら食堂にはすでに誰かがいるようだ。これでは完全犯罪がやりづらくなる。
だがそんなことでめげる二人ではない。
扉を静かに開けてからこっそりと中に忍び込もうとした二人はふと誰かの視線があった気がした。
ブロンドの長い髪に赤いメガネ越しの鋭い視線がこちらを見つめている。
彼女は怖い表情をしているのだが視線だけはこちらを補足しており、黙って忍び込もうとした二人を見た途端にその表情が柔らかくなった。
「ローロちゃん、ココちゃん、お邪魔してます、、、とりゃーーっ」
素敵なメガネ美人は二人の幼子を見つめると瞬時に捕獲に乗り出した。
それも全力で。
彼女の仕事は実に早く正確である。
あっという間に捕まりココもローロも膝の上である。
さすがは冒険者ギルドのお姫様。
その動きの一挙一動が素人でないことを物語っている。
そして今二人の柔らかな頬はソフィアのストレスの発散もとい頬ずりサンドイッチの餌食となるのだ。
すでに夕刻の時間は過ぎているようだ。
食堂の窓から差し込むお日様の赤い光がだんだんと弱くなり二人の顔を照らしている。
完全犯罪は、、、失敗した。




