18幕:ココと蒼葉の未知との遭遇 2 『お兄ちゃんの上で』
どのくらい時間が経ったことだろうか。
ココがお兄ちゃんに抱きかかえられてすでに30分以上は経ったのではないだろうか。
お兄ちゃんはココがかけた魔法のおかげで少しも遅くなることなくトップスピードで走り抜けている。いや逃げ続けている。
時折、体力回復、疲労回復、身体強化の魔法をかけながらも背後から視線を逸らさない。そしてお兄ちゃんの胸元で抱きかかえられながらおとなしくしているのだ。
なにせスライムはものすごい速度で背後から迫っている。
あんな早く動けるスライムをココは見たことがなかった。そしてその異常性と不気味な何かを醸し出している魔力の流れのような体内でのおかしな流れも見たことがなかった。
異常な魔力のせいであのスライムはおかしくなったのかもしれない。そんなスライムが何をしてくるかはわからない。いつ魔法や魔術を使ってきてもおかしくないのだから。
だからこそ目を離せなかった。
彼は人のように走り出したかと思えば、球のようになり転がり、そして終いには猫のように4足となり獣のように駆け出した。
追いつかれるのはもう時間の問題だった。
今の状況だとお兄ちゃんに抱きかかえてもらい魔法を使って強化して逃げ出すことが今できる一番の最善策である。ココは短距離瞬間移動魔法も長距離瞬間移動魔法もすぐには使えない。空も飛べないし地面の中に潜ることもできない。できたことは途中、数度の火球くらいである。それもはるか上空に数度だけお兄ちゃんに言われて唱えただけ。
ただしその逃避行も時間の問題である。
もう少しでもう少しで街がある。
そこまで逃げ込めれば何とかなるに違いなかった。
なぜ街まで逃亡を続けているのかそこには当然のごとく理由がある。
さっきココは風の魔法【風球魔法】をスライムに放った。
でもその魔法はスライムに向けては飛ばずとんでもない方向へ飛ばされていった。
いや言い直せば干渉されたのだ。つまりココの魔法が何かの理由により弾かれた、もしくは防がれたのである。
理由は全くわからない。
現状、ココの魔法が効かないのである。こんな時ココにはどうすればいいのか全く分からなかった。
魔法反射使っているなら魔法破壊で魔法反射ごと除去すればいいのだろうし、でも反射したそそぶりはないし跳ね返されたらどうすればいいのだろうか、、むむむ、、、分かんない。
そんなことをお兄ちゃんに逃げながら相談したらとにかく街まで逃げよう、、、だって。
確かにココは門番さんがすごく強いということを聞いていたし、よくお菓子をくれる馴染みの冒険者たちはとてもすごい冒険話をしてココにいつも優しく教えてくれる。
魔術のお姉ちゃん、つるつるのお兄ちゃん、ぽっこりのおじちゃん、騎士のお兄ちゃん、つるぴかの教官、白い神官のお姉ちゃん達ならば、こんなときどうすればいいかを知っているに違いないのだから。
お兄ちゃんに抱っこされながら逃亡中、ふとその背中の方を見た。
質屋?で手に入れた丸っこくて持ち運びが良い軽くて小さな割にとても丈夫な盾である。中古の掘り出し物であるらしい。
その盾を彼は背中のあたりの何かに引っ掛けて持ち運んでいたのだが、その引っ掛けていた紐?の結び目が取れて盾が落ちようとしていたのだ。
蒼葉とココが一瞬軽くなってまた重さを感じたと同時にココの目の前を少し大きな窪みが通り過ぎていった。
その時に軽い衝撃と同時に大切な盾がストンと落ちていった。
コロコロと転がるその盾の行く先はココたちと変異スライムの直線上から外れた場所である。その動きに反応したのか変異スライムがその盾の方へ飛びついた。
自分たちを一瞬無視して盾の方へと動いたその姿を見て、、、
おーー!?あれ、、もしかして、、、
その時、ココはこの時少しだけ閃いた。
だから今から調べるのだ。
お兄ちゃんが全力で逃亡している今、抱きかかえられながらできることはこれしかないのだから。
だってココはココは一番頭力が必要とされている魔道士なのだから。
えっへん。




