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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
1章
139/162

まじかるココナッツびたー2 『ラクスラスクの新たな町おこし1』

 



「これは、、、まさか、、、いや、、、でも、、、、やっぱり、、、、そうじゃないかも」


 長い長い己の中だけの尋問の後、ラズは一人納得した。


 頭の中で考え抜いたことを実践することができたら、、、

 もしこれをこの町の人たちが後押ししてくれたら、、、


 このラクスラスクはもっと繁栄するかもしれない。


 全ての余興が終了した後、ラズはパプリアの制止を振り切りとある人物の元へ走り出した。

 思いついたらすぐに実践するのがラズの良いところである。


 今日この日勝ち取った成果は彼に押し付けた。

 先日、両想いと分かり大切な恋人となった彼に。

 愛しの恋人となった王子様に。ブーケも花もキャンドルもお菓子も料理も何もかも。


 ラズを縛るものはもはや何もない。


 ステージ上から公園中を見渡し目的の人物を見つけ出すとラズは一目散に駆け出した。

 道中、顔なじみを一人強奪して。

 そしてその人物の前で最大限のおべっかとお色気と最高級の敬意を表するのである。


 主賓の真っ白なベールやドレスに包まれた先輩の衣装には流石に見劣りするもののこの日のラズの格好もまた中々素敵な衣装のはずである。

 成人したばかりで先輩のような大人の色気には程遠い。だがラズには若さがある。

 美少女の前では大抵の男どもはその若さと健気さの前にはひれ伏すのだ。

 あとは心から欲っしていた厚み、膨らみは女神さまに嫌われ手に入ることはなかったが、生憎、ラズの顔はその分だけ人よりも恵まれたらしい。


 例え厚みはなくとも、、、例え丸みがなくとも、、、

 きっとプラスマイナス、、、ぷらす?のはずである。


 心に微妙に引っかかるものを捨て置き自身のアドバンテージを最大限に活用する。

 そして愛嬌と愛敬を重ねたラズは最大限のお願いを敢行した。


「ダークシャ、、いえボス、、、じゃない、、、ブルーベルさんお願いします!!」

「ちょっと待って!?ラズさん誰のこと!?」


 狙い通りに直撃したであろう?彼を前にラズの攻撃の効果は抜群?だ。

 あとはチラリと胸元を見せればこちらへと簡単に転ぶだろうか。

 それとも腕に飛びついて肌を押しつければイチコロだろうか。

 例えまな板だろうとも美少女に触れられたら成人した男性など自分の敵ではない。


 彼は人に話せない秘密を抱えた人物で裏の世界で名を轟かせた伝説の一人だ。

 そして人生を通して報いるほどの恩人であり憧れの対象となった人物である。

 先日の大事件以降、ラズの中で彼に対する評価の全てが最大級に更新されたからだ。


 最大のピンチに駆けつけてくれたこと。

 不思議な術?魔法?で弟や先輩を救ってくれたこと。

 強敵を前に一歩も退かずに敵を撃退したこと。

 彼のおかげで王子様と両思いになれたこと。


 一歩間違えていたら、今頃ラズはムフフな言動を考えることもなかったしグフフな体験もなかっただろうしエヘヘな結果にはならなかっただろう。


 駆け出しの冒険者(ルーキー)は仮初めの姿。本当の彼は己の身分を隠しながら世界を旅する黒き闇の英雄(ダークシャドー)なのである。並々ならぬ事情を秘匿した素性の知れない青年男子。


 そうラズの中で一人確信している。


 しかし彼もまた男なのだ。

 一時はラズの胸をときめかせた男性の一人なのである。


 すでに彼が持つ赤みを帯びたショートカクテルは傾き熱い視線が自身に向いている。

 まるでこれからの自分の胸の中の想いを猛々しく燃え上がらせるかのように。


 そして今、ラズに言えることは、、、もはや勝負は決したも同然ということである。


「ラズさん?でも、、、これからチビたちの世話とそれから、、、」


「お願いしますダークシャ、、ブルーベルさん」


「ダーク?パプリアくんにお願いすれば、、、それにグミさんたちに新作の味を、、、」


「ボス、お願いいします!!」


「いや、ボスって何のボスなんですか?ラズさん聴いてます?ラズさん?」


 声に色気という最大限の補助呪文を添え攻め立てる。

 そして強奪してきた人物を前面に押し出した。

 ほぼラズの色気に負けたであろう彼への念のための追撃でもあり完全なトドメのためでもある。


「はーははっはははは。ブルーベルくん、すまんがウチのラズのワガママを聞いてくれないだろうか」

「ギルド長、、、」

「そうそう今宵はお祝いということだから朝までどうかね?いつものお店とはまた違った大人のお店なんだが」

「ほうほう、、、それは仕方ありませんね。ギルド長も人が悪い、、、」(にやり)

「はははっはははーこんな色気のない娘とは違った大人の、、、」(ぼそり)


【ああぁぁああぁぁん!?】


「「????」」


 心から生じる強烈な黒い靄をひた隠ししながらラズは行方を見守った。

 すでに勝負は終わっているのだ。完璧に終わっているのだ。

 それに前回の失敗を踏まえてラズは大人になると誓ったのである。

 毎回、心からの折檻と身から湧き出す衝動に負けていては先輩のような素敵な大人の女には届かない。


 《(パプリアくん)の隣に相応しい淑女》をキャッチフレーズにラズの心は一人荒々しく燃えていたのであった。


「では行きましょう。今日というおめでたい日が新たなラクスラスクの始まりです。全ては深淵なるままに!!」


 そう決意宣言をすると彼が持っていた赤いカクテルを一気飲みしたのだった。




妄想と幻想に生きる乙女ラズ( ゜д゜)ハッ!:ブルーベルさんが本物のダークシャドー?


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