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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
1章
132/162

10幕:嘆きの亡者とリンベル冒険団 4

更新期間が空いたのであらすじ、、、



洞窟を探索してたらラズお姉ちゃんたちが大ピンチの事態にばったり大遭遇。


そこには行方不明になった友達のストーロたちの姿が。


まさに今彼らを傷つけんと悪の親玉たちが刃を向けようとして、、、


そんな敵の前に立ちはだかるは小さな小さな冒険者たち。







ちなみにココはこの時、ふと思ったのである。


むぅっ、、、ココアちゃんはひらきなおりがはやすぎるもん




 

 堅牢な両腕に微かな傷が浮かんだ頃だった。


「良いのぉ実に良い。じゃがそろそろ終わろうかのぉ」

「うるさいジジイ!!」

「そうだもん!!」


 変わらない態度を続ける二人についに熱が冷めたのだろうか。

 漏れ出す瘴気の圧はこれまでに感じなかったほどだ。


 しかしココアは冷静に冷たく言い放った。


「あんたはもう負けたわ、、、敗因は私たちを子供だと見くびったこと」

「よいよい小童どもの言葉などこの老体には響かん」

「じゃあきこえるまでココたちのさいきょうわざをはなつもん!!」

「最強の呪文のぉ。じゃがわしの最高傑作には何も効かんじゃろうてのぉ」

「へぇ、、、そんな調子でいいのかしら?老体のおじいちゃんには辛い重い一撃なんだけど、、、それとも子供の我儘も聞けないほどボケたのかしら?」

「ほぉ、、、そこまで言うのなら掛かってこんかのぉ」


 好機だ。

 相手が相変わらず舐めた態度を取ってくれている。

 だから今こそ最大限に甘えよう。

 全ては計算通りなんだから。


 そう思いながらココアはニヤリと微笑んだ。


 大剣に体に魔力をさらに込め身体を強化する。

 体がミシミシとするが今は我慢する。


 絶対にこの一撃は絶対に成功させてみせるんだから。


「行くわよココナ!!」

「うん!!」


【光遁光球炸裂の術!!】(ココナ)


 奴の目の前で光球が炸裂した。

 ダメージを与える光球じゃない。

 これは目を潰す光球だ。


 その光を目くらましにしてココアは飛び上がった。

 奴には太陽の中から飛び込んでくる小さな自分が視認しづらいことだろう。

 死人だけに。


「陰陽術、、、幻魔断光剣!!」


 この日一番の力を込めた最強の一振りに聖属性の光の力を込めた必殺技。

 呪いの影響で二つ同時に扱う呪文はココアの小さな身体には負担が大きすぎた。

 その肩代わりを思いつきで作成した魔法陣に負担させることでギリギリのところで踏ん張れていたのだが、これ以上長くは持たないだろう。


 ズキズキと痛む全身を顧みないようにして体内で魔力を燃え上がらせた。

 強化呪文からの聖属性の呪文への流れるような兼用。


 ココアは呪文の制御を針に糸を通すレベルで操りながら、大剣をまっすぐに振り下ろした。


 しかし、、、


「残念じゃのぉ効かんのぉ!!所詮は小童の戯言!!何倍も何十倍も何百何千倍も生きたワシが負けるわけがなかろうて!!!!」

「くっ!?」


 老体は両手を組みその必殺技を見事に防いでみせたのだ。

 そして空に投げ出されたままの隙を見逃すはずがなかった。


 我謝髑髏の強靭な大顎を持つ老体はココアに食らいついた。

 華奢な子供の身体など簡単に引きちぎられたはずだろう。


 ただしそれが本物だったなら。


 ぱふんという音とともに少し離れた距離にココアは再度出現した。

 身代わり人形が作動したのだ。


「やっぱり引っかかった♪」


 得意げなココアの一言に老人は激怒した。


「この小童が!!身代わりかっ!?ぎょえっなんじゃっ!?」


 さらなる両手を叩きつけんと両手が前のめりになった老体の視界が天地が入れ替わるように突如として引っくり返ったのだ。


 一体何が起きたのだろうか。

 だが老体にはそんなことを考える余裕はなかった。


 続けて何かが纏わりつき身体の体の自由が制限されていく。

 まるで何かに囚われているかのようなそんな、、、、


 まさか、、、


「聖属性と光属性の多重結界。これだけ重ねれば動けない。そうでしょ?」

「こ、この小童めがっ!?」

「もうボケたのおじいちゃん?私が何個この場に魔石を投げたか覚えてる?」

「それに私はこう言ったわ」


「もう終わってるってね」


 短期ながらも継続する魔法陣を利用した結界に魔石を等間隔に並べ描いた五芒星と六芒星による結界。

 マロンがこっそりと微調整しながら並べてくれた魔石を利用した術だ。

 チリも積もれば邪魔になるって蒼兄が教えてくれたのである。

 魔術に陰陽術に忍術。

 利用できるものを全て注ぎ込んで描いたこの機会。

 待ちに待ったこの機会。

 いやココアとココナが狙って作ったこの機会。


 逃すわけがない。


 それでも無理にでも動き出そうとする奴の力が何と強いことだろうか。

 ココアはさらに風の塊を頭上から地面に抑えつけるように発動させた。

 そして見定める。


 地べたを這いずる者へと赤く燃え上がる瞳が向けられる。


「無様ね、、、おじいちゃん?」


 完全に奴の目は今、憎たらしいココアだけに釘付けされたままだ。

 手を少しずつ伸ばそうにも届くことはない。


 あの目は今だに人を舐め腐った目だ。

 だから気づかなかったのだろう。


 地属性の呪文を操り奴を物理法則で簡単に転ばせたココナが今、こっそりと後ろで何をしているのか。

 小さなスライムのマロンがなぜ姿を消したのか。

 そして小さな仔牛のヤキニクが今まで何をしていたのかを。


「これなーんだー?」(ココナ)

「!?」


 突如、光り輝く世界の中にココナの声が響いた。

 しかし答えを返す者はいない。

 その声の方角を確認したどす黒赤い瞳は明滅を繰り替えしながらも我を忘れたからだ。


 それは鱗に包まれたドラゴンだった。

 まさに老人が完全復活させようと企んでいたドラゴンの姿だ。


「そ、そんなバカなっ!?」


 そのドラゴンが物凄い勢いでこちらに突っ込んできているのだ。

 額に生えた二つの極太のツノにとんでもない魔力の塊を秘めて。


「「ぶちかませーーっ!!」」


 小さな二人の歓喜の声を遮る者は誰もいなかった。





 体の大部分を砕かれた老人はそれでも二人を特にココアを殺さんとばかりに睨みつけていた。

 残った右手だけで必死に這いつくばるが、それは絶望的な距離だ。


 ガーネットの瞳を燃え上がらせるココア。

 グリーンエメラルドの瞳を輝かせるココナ。


 手を繋いだ二人の全身の魔力が燃え上がるように練り上げられていく。


「これで終わりよ!!これがっ!!」

「ココたちのさいきょうさいこうのちょうひっさつわざだもん!!」


 込められた魔力に化物は恐怖した。

 尋常じゃないほどの現実を前に老人の顔はこの世のものとは思えない顔をしていた。


「じょ、じょ冗談ではないわ!!ワシの邪竜をよくもっ!?」

「何を言ってるのおじいちゃん?とっくの昔に私が契約した使い魔なんだから!!」

「ふ、ふざけるでないわっ!!ワシのじゃワシのドラゴンじゃぞっ!!!許さん許さん許さんぞっ!!」

「ちがうもん!!ココたちのつかいまだもん!!」


 それでも永生を極めたからだろうか。

 咄嗟に己の身を翻し防御に身を呈したようだ。


 化物が叫び魔力の障壁を骨の盾を構築するが、それは遅かった。そして足りなかった。

 強度も密度も数も魔力も時間も何もかもが、、、

 砕け散り行く体では何もかもが、、、


 二人の詠唱と同じくして空に突き上げた拳にさらなる魔力が注がれていく、、、、それは今までにないほど荒々しく同調していった。

 迸る火花が収束し、やがて一振りの長く細身の剣が構築された。


 その一振りを見た者は誰もが思ったことだろう。


 何て優美で綺麗な剣だろうか。


 刀身から放たれる光は温かく神々しい。

 その輝きは止まることを知らず、闇を世界を周囲を光の世界へと変えていく。


「ば、ばかな、、、こんなことがあって、、、」


「「ブルーベ流忍術奥義 ホーリイバースト、、、」」


「クラッシュ!!」

「スラッシュ!!」


「この小童めがぁぁぁあああっ!!!!!」


 広がる光の聖剣が解き放たれた。

 その軌跡は室内中を白い世界に変え、やがて消え去り全てを消失させた。

 骨も魔法陣も黒い闇も何もかもを。


 そしてひっそりと静寂が訪れた。


 ただ小さな幼子だけを除いて、、、そして小さな頬をぷーっと膨らませて。


 大変な偉業を成し遂げた小さな勇者たちはなぜだろうか、互いに寄り添うことがない言い合いをしていたのである。


「絶対ぜーったいスラッシュがいいんだから!!」

「むぅっ!!クラッシュがかっこいいもん!!」

「もうココナったら子供なんだから少しは黙って大人の言うことを聞くの!!」

「ココアちゃんこどもだもん!!きょうもおにいちゃんにおんぶしてもらってたもん!!」

「うっ!?それとこれとは話が別よ!!とにかく奥義はクラッシュがいいの!!」

「むうっ!?さっきはスラッシュがいいっていってたもん!!」

「もうココナなんて知らないんだから!!」

「それはこっちのせりふだもん!!」

「あっ!?セリフってココナが我儘言うから決めセリフ忘れてたじゃない!!」

「むむっ!!それはココアちゃんのせいだもん!!」


「「ブーブーブーブー!!」」


 あれだけ息が合っていた二人は何故か必殺技の一文字だけを理由に最後の最後で仲違いしたようだった。

 それでも最後の決めセリフだけは忘れないらしい。


「「全ては深遠なるままにっ!!!!」」


 そして二人はやり場のない複雑な表情を浮かべながら、、、互いに握りしめたままの小さな手を空に掲げたのだった。



活躍した使い魔たち(๑• ̀д•́ (๑• ̀д•́ (๑• ̀д•́ ):奥義!!


ブルーベ流:その場の思いつきでカッコいいことを取り入れる流派。




すみません、多忙なのと不幸ごとが立て続けにあったため更新が遅くなりました。

今後は定期的に?ぼちぼちやっていきます。


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