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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
1章
119/162

8幕:魔法のカードと初心者の洞窟4

 


「三角形の面積?」

「「縦横かける2分の1!!」」


「煙は吸い込んだらダメ!!」

「「ダメ!!」」


「11の2乗は?」

「「121」」


「負けたら次勝てばいい!!」

「「勝てばいい!!」」


「漉しあんよりも粒あん派!!」

「「粒あん派!!」」


「好き嫌いはいけません!!」

「「いけません!!」」


「逃げるが勝ち!!」

「「かち!!」」


「おやつはいらない!!」

「「いらな、、、い、いる!!」」


「ちっ、、、釣れなかったか」


 むぅっ。


 お兄ちゃんはずるい。

 いきなり恐ろしい言葉を掛け声に混ぜてくるので油断も隙もないのである。

 さっきまで下を向いていたのが信じられないほどである。


「魔導具は使い手を選ぶんだから屈服させればいいじゃない?」


 そんなココナちゃんの一言でお兄ちゃんはすぐに顔を上げた。

 それから掛け声を掛けながら歩き出した束の間でお兄ちゃんは罠を張り巡らせるのである。


 なんと恐ろしいことだろうか。


 そんな中でも10分後に、大きな大きな洞口の入口に到着した。

 その大きさはココの何倍も何倍も大きな洞窟だった。

 そしてそのすぐ隣にはこれまた大きな湖が広がっている。

 こちらもココが飛び込んでも溢れないほどすごくすごーく大きな湖である。


 だからココはこの大きさを両手を広げながらくるくると回って表現することにしたのだ。

 でもココナちゃんが変な顔をしていたので手を取って一緒に回ることにした。

 一緒にくるくるして回ってぴょんと飛んで両手を広げる。


 結果、二人とも目と頭がくるくるとして気がつけば空も地面も真っ逆さまである。


 ふへっ。


 それから少し落ち着いてから入口周囲に魔物がいないかを索敵し警戒陣形で近づいた。

 この洞窟は入口は広いけど中に生息する魔物やトラップは初心者レベルでこの辺りでは一番安全な方なのだそうだ。駆け出しの初心者が冒険業を慣れるために挑戦する登竜門であるらしい、、、と受付のラズお姉ちゃんから聞いている。


 つまりココたちには楽勝で制覇できる場所なのである。


 だからココは早く挑戦したくて今だに警戒体制を解かないお兄ちゃんにぺしぺしと合図を送った。洞窟に早く入ろうとの合図である。


 ちゃんとゆだん?しないようにとマロンもヤキニクにも伝えてある。傍のココナちゃんもさっきからワクワクしっぱなしで目が輝いている。


 一同がまさにこれから一歩を踏みしめようとした時だった。


「お兄ちゃんはもう一度挑戦したいです、その前にやることがあります」

「「「!?」」」

「ココナとココアは水呪文の用意!!合図とともに詠唱開始、、、お兄ちゃんも続けて魔法を使います」

「ブルーベルさんどうしたんです?」(ぱぷりあ)

「こんな得体の知れない汚くて危なさそうなところは先に消毒するに限る!!」

「えっ?消毒ですか?師匠も何する、、、」(ぱぷりあ)


 しょうどく?

 何のことだかわからなかったけどココは隣にいるココナちゃんとともに水の魔術を唱えることにした。

 今、込めれるだけの魔力を込めて二人で水を生み出し洞窟内に押し込んだ。

 それは日頃、クラムたちと遊んだ時に使う呪文なんて目じゃないほどの魔力を込めている。


「師匠凄すぎます!!」(パプリア)

「そんなの当たり前じゃない!!」(ドヤ顔ココア)

「むうっ、、、ココはココは?」(ココナ)

「ココナ師匠もすごいですよ!!」(パプリア)

「えっへん!!」(ドヤ顔ココナ)


 一層と目を輝かせるパプリアの前で二人の呪文は勢いを増していった。

 そんな様子の二人にさらなる注文が飛び交った。


「二人とも同時に『浄化呪文(クリア)』をかけるんだよ!!」


 言う通りに洞窟内をこれでもかといわんばかりの水魔術を打ち込みながら浄化呪文を唱えた。

 隣のココアちゃんもなぜかニコニコしながら魔力を注ぎ込んでいるのは気のせいじゃないらしい。

 絶対、何か変なことを企んでいるのだとココは確信した。


「アリの巣に水をめいいっぱい入れたらどうなるか実験したみてかったからちょうど良かったわ!!」


 やっぱりである。アリさんがかわいそうである。

 その上お兄ちゃんがこう切り出した。


「じゃあお兄ちゃんもやるね」

「えっ?ブルーベルさんも!?」(パプリア)


 宙に帽子を取り出してから傾けると、、、その中からココたち以上の水が噴出した。


 ココにココナちゃんに蒼葉お兄ちゃん。

 その注がれた水の量がどのくらいなのかは誰にもわからない。

 しかし洞窟内に注ぎ込まれる水はとんでもないほどの勢いで濁流となり無理矢理奥へとぶち込まれている。

 それでお兄ちゃんが何に挑戦しようというのか、、、ココには余計に不思議である。


「今ならマジックカードも扱えそうなな気がする」


 さらにその宣言とともに急に飛び出し宙に等間隔で輝く魔法のカードからは暴風のような風の塊が飛び出した。その塊は洞窟の入口からさらに奥へと無理やり押し込めるかのように水の濁流を片っ端から押し込め周囲に大きなひび割れを引き起こす。


「ははっはあはっこれが魔法!!これが魔導具っ!!」(超ドヤ顔)


 結果、三人が送り出した大量の水とカードによる暴風の塊はとんでもない圧力とエネルギーを生み出したのだろう。突如、ドガーンと音が鳴り響き、そしてドゴゴゴと轟音が鳴り響いた。

 やがて地が割れるような轟音ととともに洞窟が崩壊したのである。

 目の前にあった入口もろとも綺麗に崩れ去り見るに耐えないものと変わってしまった。

 それに加え入口から先にあったのだろうと推測する洞窟の先、つまり沿線上は全て陥没したようだ。


「、、、、」(パプリア)


「、、、」(蒼葉)


「、、、、」(パプリア)


「さてパプリアくん、アンデッドたちはとんでもないことをしてくれたもんだ。僕たちはどうやらとんでもない大事件を目の当たりにしたらしい」(臭いものに蓋をすることにした蒼葉)


「そ、そうですね。ほ、ほんとにアンデッド許すまじですよ」(蒼葉に賛同するパプリア)


「さて今日の冒険はこれ以上は無理だね、そろそろ帰ろうか」(蒼葉)

「あおばおにいちゃんぼうけんはおわってないもん!!」(ココナ)

「蒼兄のばかーっ!!」(ココア)

「師匠、、、今日はそろそろ夕御飯の時間です」(パプリア)


「「ぶーぶー!!」」(ココたち)


 この日、初心者の洞窟と呼ばれたダンジョンは終わりを迎え、洞窟の傍に存在していた観光名所である湖も全て干上がるという事件が発生したのだった。





 何だろうか?

 大人二人組が夢から覚めないでいる間、ココアは何かを感じていた。

 少しずつ音と振動が大きく近づいてくるような感じである。


「ねぇココアちゃん?これって、、、」

「ココナも気づいてた?近づいてきてるわ。でも、、、」


 他に何か別の大きな力の存在をココアは感じ取った。

 それは以前にも接触したことがあるような雰囲気を放っており、またその存在感が飛び抜けて異常であることを物語っていた。

 そのため二人が謎の気配に警戒心を露わにしている時だった。


【ココア、あなたはまた力を乱用しましたね、、、】


「マ、ママ!?」


 突如、目の前に謎の霊体が出現した。

 それはまるで先ほどの死神やゴーストといった魔物たちと同じような透き通る霊体であった。

 ただし見た目はぼんやりとしていて一眼見ただけでこれが彼女の母だと判断できる者は彼女以外いないだろう。隠蔽の力が込められているからだ。

 母の魔力を知るココアでなかったらきっと誰だか分からないに違いない。


 たぶん自分以外にはゴーストのような謎の魔物に見えているはずだし魔力すら感知できないだろう。でもこのタイミングで自分の前に出てきたのはなぜだろうか?


【まさか封印術を受けてここまで魔力を扱えるなんて、、、あなたという子は、、、】


「ママ何しに来たの!?私の邪魔をしないで!!」


【やっぱり数ヶ月くらいじゃ私の言うことが解らなかったようね】


 霊体は周囲を見渡しながらココアに両手を向けた。

 その手は優しく温かくて、、、冷酷だった。


「マ、マ!?」


 謎の光に包まれたココアはそのまま大地に倒れ込んだ。

 息ができない。

 両手に力が入らない。

 だんだんと閉じていく瞼を開けることができない。


「ココアちゃん!!」

「師匠に何をする!?ぐはっ!!」


 そんなココアを見て傍で警戒していたココナは飛びついた。パプリアは何かの衝撃に弾き飛ばされたが、ココナは必死に食らいついた。

 両手に魔力を込め必死に謎の光を打ち払おうとしたのだ。

 でも、、、


【まさかこの子と一緒だなんて驚きだわ、、、血は争えないのね】


 謎の光は伝播しココナの小さな身体にも取り付いた。近づいてきたマロンもヤキニクもその光に取り憑かれ動けないでいる。

 広がる制約の封印術はまるで蛇のように纏わりつき少しずつ侵食域を拡大していく。

 やがてココアと同じくしてココナも眠るかのように崩れ落ちた。


【本当に大切にされているのね】


 気絶した二人の前に蒼葉は自然と立ち塞がっていた。

 謎の霊体が何をしたのか何を口にしたのかは解らない。

 しかし何かをしたのはわかった。

 だからこれ以上の攻めを負わせないようにダガーを持ちながら両手を広げ前方を睨みつけた。


 光が蒼葉までも飲み込みつつもその視線が外されることはない。


【何かしら、、、あなたと二人に何かの繋がりのようなものが見え、、、えっとこれは、、、】


 !?


【やだ、、、私ったら無粋ね。大切な娘たちのこととなると私もまだまだ子供だわ。これからも二人をよろしくお願いいたします】


 何を発言したのかは分からなかった。

 そのまま霊体は霧のようにすーっと消え去った。


 でも蒼葉にはその霊体はなぜか微笑んでいたような、、、そんな気がした。



 そして直後、大地が崩れ蒼葉たちは奈落の底へと誘われたのだった。





パプリア(((( ;゜Д゜))):何も見てない何も見てない



恐れ入りますが、、、ココナとココアの企みにほっこりされたい方、魔法に憧れる蒼葉に共感した方、もし良ければブックマークや評価、twitter等でシェアしていただけると嬉しいです。




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