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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
1章
118/162

8幕:魔法のカードと初心者の洞窟3

 

「じゃあみんなにはこれをプレゼントするね。うーん財布にでも入れとこっか」


 そう宣言すると蒼兄は一枚のカードをそれぞれに手渡した。

 だから私は魔法陣からワンコの財布を取り出した。

 中には蒼兄が入れてくれたお金の他、貴重な魔石や宝物が詰めてある。その中にこのカードも仕舞うことにした。


 そのままココアが財布も仕舞った時、ココナが大きな声をあげた。


「むぅっ!!ココのココのさいふがないー!!」


 ポッケに入れておいた財布がないらしい。

 あれだけお兄から魔法陣の中に入れておきなさいって言われてたのに。確か可愛い猫の財布だったはずである。かなり大事にしていたらしく少し破れても蒼兄に元どおりにしてもらっていたはずだ。


 どう声を掛けてあげるべきか、躊躇していると蒼兄が帽子を出現させた。

 いつもショーの時に使う愛用の帽子とは違うタイプである。

 ツバが小さく狭く深さもあまりない。


「ココナもう無くしちゃダメだからね」

「うぅーっなくしてないのにー」


 そして蒼兄がその帽子の中からココナの財布を取り出したのである。

 ???

 どういうことだろうか?

 何が起きたのかは分からない。

 けど蒼兄の魔法は今だに理解できないのである。


 だから深く考えることを止めて今は目の前の些細な出来事を片付けることに目を向けた。

 今は大事な冒険の最中だからだ。

 せっかく二人で色々と裏工作して蒼兄を連れ出したのだからクエスト中止は困るのである。

 それともう一つ大事なことがある。


「それよりココナったらちゃんと中身を確認するのよ!!ネコババされてたら明日買い食いにいけないじゃない」

「はっ!!それはもんだいだもん!!えーっとえーっと、、、あれ?ませき、、えいぞうませきがない、、、うぅーっ、、、」

「この前のやつね、、、ココナ、後で一緒に探してあげるから大丈夫よ!!」

「ほんと?」

「ほんとよ!!だって私が大丈夫って言ったら大丈夫なの!!」

「うん、、、ココナちゃんありがとー」

「そんなの当たり前のことよ!!それより、、、」


 ココナは小さな魔法陣から愛用の杖を取り出すと瞬時に身構え目配せをした。

 その様子に蒼葉もパプリアも臨戦体制に移る。


 何かが近づいている。

 周囲に佇んでいる魔素の流れが急に変わった。

 そして緩んでいた空気がナイフのように鋭く張り詰めたような気がする。

 周囲の魔素の流れ具合からそう判断した。

 魔術は使っていない。

 このくらいなら造作もないことだからだ。


 そして数分ほどの後に近づいてきたのは何かのアンデッド系のようだった。

 以前見た図鑑の例と目の前の魔物の特徴から対象が何であるのか把握できた。

 魔法陣による詠唱破棄で瞬時に葬ろうとした時だった。


 そんなココナの前に大きな背中の男性が立ちふさがった。


「ふふふ、、、お兄ちゃんの秘蔵の魔導具を見せてあげよう」


 そう宣言すると何らかのレリーフと刻印が刻まれた黒色のカードが宙を舞ったのだった。





 魔導具マジックアイテム

 魔術や魔法と呼ばれるものが千差万別であるようにその力を宿した道具、いわゆる魔導具と呼ばれるものも同じように数え切れないほどこの世には存在する。

 魔導具、もしくは魔道具と一般的には呼ばれているが国が違えば呼び方も変わるらしく東の皇国では『宝具』、そして『神具』と呼ばれるそうである。

 魔法や魔術を合わせて学問上は『魔導』と呼んだり、実際は『呪文』とまとめて呼んだりすることと似通っているのかもしれないが、その本質に違いはない。


 その魔導具の価値は1日の稼ぎで購入できるくらいのものから計り知れないものまでととにかく幅は広い。そしてその性能や特殊性、希少性などから初級、中級、上級と大まかに分類され上級ともなると天文学的な金銭の価値があると言われている。ちなみに私たちが買える属性石などの魔石や魔石灯に使われるやつも分類上は魔導具に含まれる。そんな自然が産み出した魔導具もあれば魔導師により手がけられた人工的なもの、魔物や大自然が自然が創り出したものなどなど。多種多様過ぎてキリがないほどだ。


 パプリアの剣もそうだしココナとお揃いの魔導布の装備品も魔道具である。ざっと判断してどちらも初級といったところだろうか。それでも簡単に買える金額ではないはずである。きっと蒼兄は購入する時、手が震えたに違いない。


 そして様々なランク、種別で分けられる魔導具の中でも使途不明、未知の存在、得体の知れないものといった意味で強引に分けられたものが存在する。それは一般的に『未知の魔導具』(レギック)と呼ばれていた。


「まさか『未知の魔導具』(レギック)!?」(ココア)


 見たことがないレリーフ紋様、刻印と文字は光沢のある銀色で記されている。そしてカード自体は黒色で統一されておりその鮮やかなデザインとの差異が異常なまでの不思議さと魅了さを解き放っているような気がした。


 一体どこで手に入れたのだろうか。


 蒼兄が解き放ったカードは一直線に回転しながらそのアンデッドへと飛び交い、そしてそのまま通過した。何の現象も起こすことなくすり抜けたのである。


「そんなバカな、、、、魔導具ですら使えないのか、、、」


 地面に肩を落としその場で絶望した表情を浮かべる蒼兄。

 今まで見たことがないような姿からどうやら本当に落ち込んでいるらしい。


 でも今はそれどころじゃない。

 完全な無防備状態となったところに大きな死神の大鎌が迫っているのだ。

 まさに処刑寸前である。


「マロン!!パプリア!!」

「!!」

「火の精霊よ我が願いに答えその力を預けたまえ、、、『エンチャントファイア』」


 ココアの掛け声とともにマロンの小さな身体から数本の触手が大鎌を絡め取り動きを大幅に限定させた。もちろんその隙を逃すはずがない。

 一閃二閃。

 上斜めから振り下ろし返す剣をさらに逆から振り抜く。


 炎の魔術を纏った剣でパプリアが死神を切り裂いたのだ。

 そして切られた箇所から霧散し同時に地面に魔石が落下した。


 熱を帯びている魔石の核を拾い上げるとココアは振り返った。


 魔導具のデメリット。

 それは使う人を選ぶということであった。


 製作者のせいなのか意図であるのかは分からないが魔導具は使用する人を選ぶ。

 本来、この世の全ての生物には魔力を持っている。

 魔導具には燃料となる魔力が必須であると同時に魔導具に受け入れられること。

 それが魔導具を扱う上での最低条件だ。

 誰しもが扱える訳じゃない。

 魔力の相性なのか、それとも魔導具が人を選んでいるのか今だに解明はされていない。


 でも魔導具はその使用者である主人を選ぶ。


 あのカードは、、、見た感じかなり癖が強そうな気がする。

 本来、『未知の魔導具』(レギック)は危険な上、解明されていないものが多いのだという。

 それに気になることがある。

 地に落ちたカードをちょんと掴み取ると少しだけ魔力を込め刻印を見定めた。

 ぼんやりとだが銀色に発光する刻印や紋様は自分の時とは随分と違いがあるらしい。


 やっぱり思った通り、、、


 手に取り確信したココアは落ち込んだ兄の手を取りカードの束を掴み取った。

 そしてこっそりとその束に魔力を注ぎ込みまた元の位置に突き返す。


 次にこのカードを使った時に驚く兄の顔を想像しながら、、、ココアは一人微笑むのだった。


急に不安になるココア|ョ゜Д゜;)))) :魔導具って蒼兄、まさか借金したんじゃ、、、、



恐れ入りますが、、、ココナとココアの日常っぷりにほっこりされたい方、魔法に憧れる蒼葉に共感した方、もし良ければブックマークや評価、twitter等でシェアしていただけると嬉しいです。




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