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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
1章
114/162

7幕:リンベル冒険団と飛び込みライブ5

 物語が佳境に入った時だった。

 酒場の明かりが揺れながら、、、すーっと消失した。

 数秒にも満たない僅かばかりの間が場を支配するには十分だった。


 三部に渡ったライブショーも終盤、最後の演出に移る最高のタイミングでステージ中央に突如浮かんだ黒い闇の中から一人のフードを被った老人のような人間が這い出てきたのである。

 それは映画のワンシーンのような光景であり誰もが目を奪われた。

 まるでテレビの中から這い出てくるような狂気と恐怖に包まれたような、、、そんな空気が場を支配した。思わず背筋が凍りつくほどの空気である。


 黒幕の登場である。

 その様はいかにも最後の場面、最後の敵といっていいほどの存在だった。


 なんと素晴らしいのだろうか。

 演出、タイミングともに最高であり物語のラスボスとしてこれまでにないくらい味を出している。

 あまりの感動に小さな家からは恐怖を煽るような音で重音と低音を駆使しながら練り上がった。

 物語は終盤なのである。


 そして彼は高らかに宣言した。


「けっけけっけ、、、先日は世話になったの小童たちよ、それにこれだけの贄がおればのぉ。我の野望も叶うというものじゃ」


 流石は口の立つ同業者だ。

 お願いした以上の雰囲気と衣装を引っさげてノリノリで演技していただけるらしい。

 おまけに変なオブジェを辺りに四体も引き連れてくれている。

 薄気味悪いように光る透明な何かが大鎌を構えて威嚇する。

 まるで死神のようなゴーストのようなTVでよく見るやつである。

 きっとこの四体も彼が用意してくれたエキストラのスタッフさんなのだろう。


 まさか昼間に偶然捕まえてお願いした人がこんなにも自分たちのために動いてくれるとは。

 きっと彼は蒼葉と同じく奇術か何かを嗜んでるであろう芸術に愛ある人物である。

 間違いなく若人である自分の稚拙なライブ進行と奇術のやり方を哀れんできっとこの場を最高潮に盛り上げてくれるつもりなのだ。


 大鎌を振り回す死神が両脇の舞台道具を両断し人々を威嚇している。

 一方、不気味な老人は両手に青白い炎を灯しながら、、、けけけけっけと高笑いを浮かべている。


 これぞ役者魂。

 演出家、イベンター、そして芸術家の鏡である。


 目の前の遠慮のない光景が答えである。

 臨場感が半端無い。

 あまりのリアルさに酒場内の冒険者さんたちが懐の武器を構えながら飛び出そうとする者もいる始末。一方、最前列ではギルド長さんがラズさんたちを両手で押さえながら真剣な眼差しで老人を睨みつけている。


 凄い、凄すぎるこの人は、、、


 この真摯でまっすぐな想いに応えなければならない。

 きっと彼は自分のマジックライブショーを最高に演出するために本気で蒼葉たちの背中を押してくれているに違いないからだ。


 だから最後のラスボスと戦う時に流れるような曲へと瞬時に構成を切り替え奏でながら物語を進めた。


「おまえがくろまくか、、、なにものだー!?」(ダークシャドーここな)

「けっけけっけ、、、我こそは世紀の大死霊術師、、、この世の全てを収めんとする者じゃっ!!」

「この町の惨状も何もかもあんたが元凶だったのね!?そんなことは私たちが許さないわ!!」(陰陽士ココア)

「けっけけっけ、、、許さんならどうするつもりじゃ?」

「「あんたを倒す!!」」(二人のココ)


「二人ともあの技を使うんだ!!」(侍あおば)


【では予定通りに行きますよー】(こっそりと)


「ふぁっ!?」

「えいっ!!ブルーベ流止心の術!!」(侍蒼葉)

「「「「ぎゃあああああぁあっ!!」」」」


 瞬時に両手に出現させた投げナイフをふり投げた。

 流れるような所作で放たれた4本の凶器はそれぞれの心臓へと吸い込まれていく。

 打ち合わせ通りに変身したお手伝いさんたちとの息もバッチリだ。死霊術師さん役には伝えていた通り心臓付近に入れた何かで身を守ってくれたようだ。


 しかし内2本は逸れて額に突き刺さってしまう。


 !?


 どうやらちゃんと呪文で防御してくれたらしい、、、

 それも彼らが気遣って処理してくれたようだ。


 ナイフが刺さった箇所から輝くように消えていくのだから進行に問題はないということだろう。


「ば、ばかな、、、、、なんじゃその術は?」


 そして彼らは全身から光の粒子を撒き散らしながら消え去った。

 その所作は最後まで彼らはプロであることを忘れていない。

 演出家のイベンターの奇術師の鏡である。

 これが魔法なのか魔術なのかは分からないけど魔導の力とは偉大だ。


 そして次が最後である。

 ダークシャドー物語でメインの二人に一同の視線は釘付けとなった。


「行くわよダークシャドー!!陰陽符術、、、奥義」(ココア)

「とどめだよー!!ひっさつ」(ココナ)


 重ね合わせた二人の小さな手のひらから光が漏れ出した。

 蒼葉の見せ場の最中に仕込んだ手印と魔力を込めた護符による呪文が完成したのである。


『六行 光鎖結界陣』

『光遁 聖光憑依』


 地に投げ出された護符から光の鎖が飛び出し死霊術師に巻き付いていく。

 薄暗かった店内は迸る光で溢れ全てを照らした。


「待て小童ども!!一度ならず二度まで、、、己らよくもぉおぉおっ!!」

「ブルーベ流二人技究極奥義っ!!」

「げんまだんこうけぇーん!!」


 そしてさらに輝く光の剣を持ったダークシャドーが跳躍し死霊術師を真っ二つにした。


「ぎゃああぁぁぁぁっ!!」


 死神たちと同じく彼もまた光の粒子を撒き散らしながらこの世から消え去った。

 東国の人たちを亡き者にしようとした悪は滅び去ったのである。


「これでこの町は救われる、、、」(侍あおば)


「「すべては深淵なるままに」」(ダークシャドーと陰陽士)


 最後の締めの決めセリフを残し2人はその場からしゅっと闇の中に消えた。

 もちろん『蒼葉魔法』の奇術である。


 先ほどの闇と魔法の光を生かした魔法。

 つまり明暗差を生かした心理トリックを用いて二人をその場から消したのだ。


 その後、再び中央に足を進めたラズにより終わりの言葉が語られた。

 魔石灯に照らされた表情はとにかく凛々しく声は力強かった。

 二人の熱い魂が最前列にいたラズの心にも深く刻まれたのである。


 ダークシャドー物語という熱い物語が。


「これは後にダークシャドーと呼ばれることとなる少年とその仲間たちの物語です。この一件後、彼らは『深淵なる刃』と呼ばれ大陸中に名が伝わることになります。彼らの伝説の物語はこれから始まるのです!!」


 そして興奮を匂わせるラズによる語りで幕は落とされた。

 鳴り止まない大きな拍手と喝采は酒場内をこれでもかと賑やかにさせたのだった。


ココナの新しい舎弟(* ॑꒳ ॑* ):ココナオネエチャン♩

とある言葉に心が奮い立つココナとココア(๑• ̀д•́// (๑• ̀д•́ )//:ヒッサツワザ!! オウギ!! デンセツ!!



恐れ入りますが、、、ココナとココアたちの活躍を楽しみにしている方、もし良ければブックマークや評価、twitter等でシェアしていただけると嬉しいです。


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