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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
1章
110/162

7幕:リンベル冒険団と飛び込みライブ1

 


 ラクスラスク冒険者ギルド支部の席が置いてある行政管理棟。

 その大きな建物から歩いて僅か5分ほどに、この町で一番の歓楽街がある。


 表通りでは商店や行政施設といった見た目の少しお固いところばかりだが、裏通りに面するエリアは全く違う。その定められた一定のエリアの外側には様々な飲屋が立ち並んでおり、さらに小さな橋を超えたその先には『夜の街』が立ち並んでいる。


 蒼葉が心待ちにしている大人のお店が集まる地区である。


 なぜ5分ほどの距離にと言われると、もちろん稼ぎの良い冒険者や商人たちを酔わせて金を町に落とさせるためなのだが、実態はもっと複雑であり単純でもある。


 町が管理しやすくするために纏められているのだとか。

 飲んだ勢いでお金を落とさせるためだとか。

 歓楽街を誰しもが楽しめるようにするためだとか。

 治安をよくするためだとか。


 諸説あるのだが、本当の理由を知るものは若い人たちにはほとんどいない。


 ラクスラスクは犯罪件数が非常に少ない。

 実はこの町で定めている法令は他所より厳しい。


 通常、裏町はその町のマフィアなどが幅を利かせることが多い。

 金や女が集まるところには裏稼業の人間が集まるのは自然なことである。

 さらにその恩恵を利用しようとする、もしくは利用されるグレーな人間たちも含めると町の治安など簡単に崩れ去るものだ。

 狭い町の中の僅か1箇所に纏めたところで改善する訳でもない。


 かつてはラクスラスクもとある麻薬の取引地として黒い事件が横行していた時代があった。


 しかし今日のラクスラスクはとうの昔にほとんどが始末された。

 今もスリだとか泥棒だとか詐欺だとかが無いわけではないのだが、今日では町の人間が犯罪に関わることはない。大抵は外からの流れものだったりするのだ。


 その名残は現在も続いているし、その生ける象徴が存命なので町中で襲われることはほぼない。

 町の人間は彼のことをよく知っているのである。


 その裏稼業の人間たちを両腕で片っ端から更生させ真人間へと帰属させた男は両手に花を添えられて高笑いしていた。綺麗なお姉さん二人にお酌をしてもらい彼は今日も上機嫌である。若い二人の甘くて爽やかな香りは格別で彼の気分を盛り立てている。

 従業員が一時的とはいえ個人に二人も取られるのは痛いのだが仕方ない。

 彼はこの町の恩人であるからだ。


 図体が大きな女将さんが呆れた顔で遠巻きに眺めているが、少しも苦言を呈することはない。

 見渡す限り客がいっぱいなのだから、迷惑を起こされない限り多少のことなど問題ないのである。


 ここはラクスラスクで有名な酒場だ。

 町の中でも1、2位を争うほどの優良店でありとにかく人気がある。

 ギルドの解体場から直接卸される新鮮な肉と商業ギルドに集まる野菜や素材などを使った料理は好評で連日連夜飛ぶように注文が殺到した。店員もほとんどが若い女の子とあっては男たちが詰めかけるのは納得できるだろう。


 そのため店先では行列ができる。


 そのためこの店舗の隣のさらに裏手ではその皺寄せを最大限に被っていた。

 カウンターには一人、テーブルにも僅か数人。

 お店の床面積、テーブル数も負けないくらいの規模があるのだが押し寄せる人影は少なかった。

 料理もお酒も直営店には負けてはいない。

 しかしそれだけである。


 可愛い看板娘はいないし店主は非常にぶっきらぼうな男で愛想が悪い。

 どうせ梯子して歓楽街に遊びに行くにしても女っ気がないところなど選択肢としてはありえないのだ。

 つまり最初に飲み食いするには数えられない店である。

 ただ地元の人間が通う優良店ではある。


 それが『変幻自在の双宴』と呼ばれし男の評価だった。


 しかし男はふと疑問にかられた。


 今日は客の出入りが悪いこと。

 いつもより混まないこと。


 中から見える行列が今日だけはなぜか消えたことに。






 リンリンリンベル冒険団 我らは無敵の冒険団

 野原を越えて道を行く

 邪魔する魔物が出てくれば

 魔法の杖を振りかざし

 空の彼方に吹き飛ばす

 リンリンリンベル冒険団 我らは無敵の冒険団




 軽快でリズミカルな鍵盤の音色と子供たちの陽気な歌声、そして仔牛の鳴き声が響いた。

 調和した音色が歓楽街へと続く通り中に通り渡る。

 この通り沿いにラクスラスクのほとんどの飲み屋が集まっており普段から大変賑やかだ。

 当然のことながら人々の雑音や声などのためちょっとした会話では聞こえるはずはない。


 しかし音色や唄声は心に直接響いてくる。

 周りを見渡してもその姿を見たものは誰もいないらしい。


 突如の事態に人々は驚いたが、パニックになることはない。

 1曲が終わるころには慣れたのだろうか。

 再び歩き出そうとする人々。しかしふと意識をとある一点に向けたくなるような何かがあった。

 行列を作っていた人も通りを歩いていた人も遠ざかろうとした人も全てが耳にし目にし鼻に感じたのである。


 裏手から聞こえる愉快な音色と不思議な光景に。

 そして傍から見える両開きにした扉の前で撒き散らされる何かに。


 普段滅多に聴くことがない心地よい鍵盤のハーモニー

 お腹を刺激する香ばしい香りに喉を刺激する爽快な感触と弾ける麦種の音

 何かがあっていると確信し期待せずにはいられない子供たちの歌声


 なぜか小さな仔牛の鳴き声がセットである。


 そんな重音が一気に体を突き抜けたのである。

 どうしても気になった最後尾の一人がふらりとその場を離れた。

 それに続いて行列に並んでいた人たちが少しずつ続いていく。


 一人また一人と列から離れ、、、1時間後。

 気がつけば列が消え去っていた。

ココナとココア:(*'▽'*)(*'▽'*) りんりんりんべる

顔が赤いギルド長(๑• ̀д•́ ):はーっはっっは。酒と美人が最高!!



恐れ入りますが、、、ココナとココア二人のほっこり具合に期待したい方、もしよろしばブックマークや評価、twitter等でシェアしていただけると嬉しいです。




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