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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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7幕:ココと不思議な出会い7

「おにいちゃんのおなまえは?」


 小さな瞳の女の子が尋ねてきた。その宝石のように綺麗な瞳が自分を覗き込んでいる。


「鈴宮蒼葉だよ。すずみやあおば。好きによんでね。」


 ベッドにちょこんと座る彼女に優しく囁いた。

 少し前と比べたら彼女の雰囲気がガラリと違う。

 その表情はとても柔らかい。


 さっきまでほんとめちゃくちゃ警戒されていたのにね。


「あおばおにいちゃん?またまほうをみせて。」

「んーどうしょうかな、、、。明日も朝早いしなー。もう寝たいんだけどなー。」


 そう言いながら彼女の頭を撫でるついでに髪の中から赤い花が飛び出した。


「!?」


「あららココのここに何にか隠れてるよー。」


 ココの綺麗な金色の髪の右後ろから小さなスプーンが飛び出てきた。


「おっとこっちにも隠れてるねー。」


 今度はフォークが左後ろから飛び出してきた。

 ココは理解が追いついてないみたいだ。


「おっとこんなところに!?」


 ココの目の前になんと小さな歯ブラシが出現しました。

 さっき彼女が歯磨きみ使った歯ブラシです。


「なんで?どうして?あおばおにいちゃんなんで?なんでそんなことできるの?」

「それは秘密です。」

「むー。あおばおにいちゃん!!」

「お兄ちゃんは口が固いので話せません。」

「むーー。ココにココにひみつをおしえて。」

「お兄ちゃはココがいい子にしてくれたらそのうち話すかもしれません。」

「むーーー。だめだもん。ココはいまひみつがしりたいもん。」


 だんだんと前に乗り出してくるココ。

 目がキラキラと輝きだしてきたかと思ったら、つぎは不満な顔を見せた。

 でもそんなはじめて見せる表情にほっとした。


「ココがちゃんとベッドで横になったら教えるかもしれません。」

「ほんと?じゃあベッドでよこになるからおしえてね。」


 子供は純粋だよね。

 ココは思惑通り自分のベッドに横になった。

 そしてあかりを消してカーテンを閉じて上のベッドに寝そべった。


「あおばおにいちゃん、おしえてー。」

「、、、。」

「おにいちゃん?」

「、、、。」

「、、、。」

「むーーーーー。おにいちゃん?」

「もういいもん!!」


 やっと諦めたようだ。

 こどもっぽくて可愛らしい、子供だけど。

 だけど種明かしはダメなんだよね。

 マジックのネタばらしはタブーだもんね。

 ココの無邪気な笑顔や不思議そうな顔、鳩が鉄砲をくらったような顔、不満顔。

 今まで見せてくれなかった彼女の素顔がとても嬉しかった。

 明日も仕事だしこのまま寝よっ、、、


 もぞもぞとベッドの横から何かが侵入してきた。

 さっき下で寝たはずの小動物のようです。

 掛け布団の中からエメラルドグリーンの瞳が自分を見つめている。


「おにいちゃん?」

「どうしたの?」

「あのね、おにいちゃん。ひみつはもういいもん。」

「、、、。」

「あのねわたしに、、、。わたしにその魔法(マジック)をおしえてください。」


 時間にして数秒かもしれないけどとても長い時間だった。

 彼女は目を一度も逸らさない。

 小さな両手が自分の右手を力強く掴んだ。

 答えなきゃいけない。

 これにはまっすぐに。


「じゃあ明日からね。」

「!?」


 綺麗な瞳がよりいっそう輝いている。

 そんな姿にほっこりして思わず掛け布団からちょこんと出た頭を優しく撫でた。


「じゃあココ、自分のベッドに戻ろうね。」


 彼女が左右に顔を振った。

 右手も左手も相変わらず掴んだままだ。

 その両手に込める力はより一層力強くなった。


 こんなに懐いてくれるとは思わなかった。

 こんなにまっすぐぶつけられるとは思わなかった。

 あんなにボロボロになって泣いていた女の子が、怖がって顔も出さなかった女の子が真っ直ぐ自分を見て、そして笑ってくれた。

 こんなに嬉しいことはなかった。


「ココ、おやすみ。」

「おやすみなさい、おにいちゃん。」


 そう呟くとゆっくり瞼を閉じた。

 今日はとても気持ちよく眠れそうだ。


ココ:あおばおにいちゃーんo(゜▽゜o)

蒼葉:Σ>―(´・ω・`)→ ドスッ

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