英雄お役立ち戦隊ゴキンジョファイターズ
ヒーロー戦隊モドキを書いてみました
つい先日の事だった。宇宙よりいきなり星群が地球の各地に落下してきた。
予告もない突然の出来事に、世界各地は臨戦態勢に入ろうとした。
だが、NASAの調査により流星群は無害なものと判断される。
その報告により、臨戦態勢からお祭りムードと化し、未だ降ってくる流星群に注意勧告が出るのみであった。
だが、その流星群は恐怖の予兆だということを、世界中の誰しも知る由もなかった。
【南米 アマゾン川流域】
流星群が落ちた地域に、原住民の村があった。
流星群落下後、村人たちは消えてしまったのだ。異変を察知した国連は、村に部隊を送り込んだのだが。
『正体不明の敵と交戦中!! 敵は、我々の攻撃では歯が立たない!! 応援を請う!! 至急応援を!!』
通信を受けて応援が駆けつけてきたときには、全てが終わっていた。
彼らがいたらしき場所は草や木がなぎ倒され、周りにおびただしい血が溢れていた。
しかし、誰も見かけることはなかった。
ジャングルが存在する以外がらんどうだった。
世界の至るところで不可解な異変が起こっている頃、邦江田町でも恐ろしい事が次々と行われていた。
【アミューズメントプラザ】
あくのそしき の怪人は、前回の失態を奪回すべく、多くの人が集まるアミューズメントプラザへやって来ていた。またもや、そこにいる人達にモコモコの着ぐるみを着せようとしていたのだ。
リベンジである。
前回とは違い、戦闘員の方々プラス新たに相棒を連れての襲撃である。
相棒の名は《慈愛の天使》。白く綺麗な天使の翼を背負った穏やかな笑顔の青年だ。
前回の作戦時、熱中症を起こした《あるパーカ》を心配して、 あくのそしき まで付き添いそのまま あくのそしき に就職し、幹部になったのだ。
そんな彼らに声をかけてくる者がいた。見ると妙齢なご婦人がにこやかな笑顔を向けてくる。
「あんた、熱中症は大丈夫ね? また厚着とかしとらんね? 人を心配させたらいかんばい」
人情味溢れた博多のおばちゃんである。ついついおばちゃんの心意気に心を打たれて頭を垂れる怪人。
「ご心配ありがとうございます。きもに銘じます。ただ、今は」《あるパーカ》はちらっとおばちゃんを見「怖がってもらえるとありがたいんですが」
しかし、おばちゃんの言葉は止まらない。《慈愛の天使》の方にも視線を向け
「あれ、あんたこの間ここにおった子やないね」
「はい」おばちゃんに言われ《慈愛の天使》は笑顔を浮かべお辞儀する。「あるパーカさんと一緒に働きたいので、あくのそしきに入りました。これからよろしくお願いします。」
「そうね、そうね。そりゃ気合いば入れて逃げんといかんね」
とても恐怖を感じてるようにはみえず、むしろ仕事を頑張る近所の子どもを見守っている純な眼差しを向けてくるおばちゃん。
正直やりにくいと思いつつも仕事を始める怪人と《慈愛の天使》。
仕事とは、前回中断した『道行く人達に着ぐるみ着せて暑がらせちゃおう』ただし、お年寄りと子どもには保冷剤付きの着ぐるみを着せて、熱中症を回避という優しいんだか、怖いんだか良く解らない攻撃をかけてきた。事情を察知して逃げ惑う人々。と、いうより端から見ると、鬼ごっこをしてるように見えてかなり平和的光景だ。
ただあまりの騒々しさに乳児や幼児がぐずりだし、それをあやすお母さんの姿がちらほら映る。そこへ家庭持ちで家に帰ればお父さんな戦闘員の方々が、お母さん達の補助にまわったりしていた。
のんびり和やかな攻撃状況を突如、それを砕くような爆音が空中に鳴り響く。
爆音に驚き、その場にいた全員、何事かと空を見上げる。
すると、空から巨大な足が降りて来たかと思った瞬間、瞬く間に天をつく巨人が地上に降り立ったのだ。
人々はざわめき混乱する。今までとはまるで違う悪意に満ちた邪悪なものを感じ取れた。
気持ち悪い程のどす黒い臭気が辺りに漂い、人々の機能を麻痺させる。
「みなさん、正気になってください」
《慈愛の天使》の能力で辺りの臭気をはらい、人々の遠のきかけた意識を引き戻す。
「な、なんだアレは」
《あるパーカ》は驚きの声をあげる。
巨人はあくのそしきには無いモノだ。
ただ、ただ、無造作に町を歩きながら破壊するなどという行為は、 あくのそしき を取りまとめてる、一応ボスの立場にある彼が許すはずがない。
「なんしょーとね、はよ逃げんね!!」
おばちゃんの怒号に押されるように、今は敵味方無く互いに手をとりあい逃げ出した。