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第5話 卒業試験②

シンとシズクを交えた3人でパーティーを組むことになった放課後、それぞれの得意分野より戦闘スタイルを相談していた。

「俺は魔法攻撃を主に行えるけど、前線で戦えるほどの腕はないからできれば、中衛で戦わせてもらえると助かる」

「私は回復魔法などの補助魔法を主に使うから後衛が一番しっくりくるかな」

「アキラとシズクの立ち位置が決まってるなら、俺は前衛として戦わせてもらう」

アキラは魔法攻撃をメインで戦ってきたから、前衛は厳しいことをシンとシズクに話すと、私も補助系魔法が得意だからと後衛をする意思を告げるシズク。魔法も剣術も使いこなせるシンが前衛を務めることで内容は決定した。

まぁ、正直なところ話し合う必要性は無いんじゃないかと思ったが言わないでおこう。

あとは、食料調達などを済ませ、試験日まで訓練を行った。



試験当日の朝。9年生の生徒がそれぞれ中庭に集まっていた。生徒全員が今回の試験に対し、気合十分というように生徒同士で話し合っていると、学長が壇上に立った。それを確認した生徒たちは先ほどまでにぎわっていたことが嘘であったかのように静寂が訪れた。

「これから、生徒諸君には指定した場所まで向かってもらい、そこでゴブリン討伐を行ってもらう。既に知っている者もいるかもしれないが、この試験は卒業試験であるとともに実戦である。よほどのことがない限り死ぬことは無いが、毎年数人の生徒がなくなっていることを忘れないように行動してほしい。」

話し終わった学長は「話は以上だ。」と述べ、壇上を降りた。

過去の試験内容を予め担当の先生から聞かせれていたため、死ぬことがあると聞かされても動揺するものはこの場にいなかった。

それでも以前起こった遠足の事件があるため、生徒全員かなり緊張していた。

学長の話が終わると、先生方により試験場所の地図が渡され、各々目的地に向かって出発を始めた。



現在、試験場所に到着したアキラ達は、先生方との通信を行うために森の中で休息をとっていた。試験は現地到着後に先生方に連絡を入れることにより開始されるためだ。

「シン、アキラ、シズク以上3名、目的地に到着しました。これより卒業試験を開始します。」

「了解した。これから10日後に連絡らつかなかった場合は捜索隊を出す。気をつけてな」

このグループのリーダーとなったシンが先生と連絡を取っている。



シンが連絡を取っている間にアキラとシズクは周りの警戒を行っている。

出てくるものはモンスターではなく動物ぐらいが出てくることはあったが特に何も起こることは無かった。

「よし、準備は整った。これから出発する。」

通話を終了したシンがアキラ、シズクに対し出発の宣言を行った。



「暇だ~」

アキラがあまりの平和的空間に腕を伸ばして伸びの態勢になって言葉を漏らした。

「アキラ、確かにモンスターは出現しないが気を緩めていいわけじゃないぞ」

「まぁまぁ、シン君。いったん休憩を挟んでもいいんじゃないかな?これまで何時間も歩き続けてるし、そろそろ集中力が切れるよ。」

アキラに注意を促すシンに対し、シズクは休憩を取った方がいいことを提案する。

確かに数時間歩き続けているが、モンスターどころか、動物すら出てこない現状であった。そのことに思い出したシンは「確かに。」といって適度な広さがある空間で休憩を挟んだ。

「歩き始めて数時間たつけど、ゴブリン1匹どころか動物もいないんじゃ話にならないと思うけど、これからどうする?」

「この地域でゴブリンの発生を確認しているから、いるのは確実なんだけどな。捜索範囲を広げるにも限界があるし、地道に探すしかないな」

「私もそうするしかないと思うな。それにゴブリンは集団で行動するため、一度見つけてしまうと何匹か一緒に狩れるからそこを狙うしかないよ」

各々意見を交えながら休憩時間を過ごしていると、突然周囲の草むらからカサカサという音が聞こえた。

瞬時に三人とも臨戦態勢を整え辺りを警戒しながら構えていると、前方から2匹のゴブリンが襲い掛かってきた。二匹とも鎧をまとい、一方は刀、もう片方は棍棒を持っていた。

お互い距離を保ったまま様子見していたが、埒が明かないと呟くとシンは行動に移った。左前方に走り出すと「我が生み出すは火の球、火球」という詠唱と共に30㎝の火球を出現させ、ゴブリンにぶつけた。命中したゴブリンが一瞬固まるタイミングを見計らい越しにぶら下げている剣でゴブリンの首を刎ねた。「ギギッ」と言って動かなくなった。

後に残った棍棒を持ったゴブリンには、アキラ、シズクが対峙していた。最初にシンが飛び出す前に「刀を持った方は俺が狩るから、もう片方は頼んだ」と告げていたためだ。目の前の敵に標準を定めながらアキラは「敵を貫くは風の矢、ウインドアロー」詠唱を済ませると3本の矢が出現させ、ゴブリンに向かって放った。1本は脳にもう1本は胸を貫き、戦闘が終了した。(1本は関係ないところに飛んで行ったことにコントロールの問題があるな~と少しへこんでいたりする)

「お疲れ、二人とも。」

軽く手を挙げながらシンが近づいてくる。手の中には1つの魔石が握られていた。

シンは魔石の握られていないもう一方の手でハイタッチを求めてきたので、タッチし返した。

パンッ!

力いっぱい叩いた。その行動がうれしかったのかいい笑顔だった。

そういえば、遠足以来シンとのこういったコミュニケーションってなかったな。そう考えると自然に笑みがこぼれていた。はたから見ると少し気持ち悪いと思うな。

そういえば、シズクが近くにいるんだった。

「そっちもお疲れ、こっちはシズクの助けがあったから何とかなったよ。シズクもありがとう。」

「私は大したことはしてないよ」

久しぶりに行った親友とのコミュニケーションのせいか少しだけシズクを忘れてしまっていたが、すぐに気を取り直して戦闘をサポートしてくれたシズクにお礼を述べた。

特に何もしてないといった感じで返事を返すシズク。実は戦闘の最中にゴブリンを挟むように風属性の壁を出現させて、ゴブリンの動きを制限してくれていたりする。初戦から息の合ったコンビネーションを行った三人はすでに日が沈みかけていることに気づき夜営の準備を始めた。



夜の見張りの順番(シズク→シン→アキラ)を決めて、夕食を食べ終わった後、見張り以外は各々休息に入った。

まだ少し眠気がこないこったため、見張り役であるシズクに目を向けた。シズクは焚火の火を眺めており、ボーとしていた。その様子に学校でも才色兼備であるシズクがどうして自分なんかとパーティーを組もうと言い出してくれたのか気になったため、焚火に座るシズクの隣に腰を下ろして尋ねた。

「シズクはどうして今回、俺なんかとパーティーを組もうと思ったの?」

ボーとしていたシズクがいきなり声をかけられたことに驚き、ビックリした~とつぶやいてから、近くに置いてあった小枝を焚火に入れながら少し考えるようなしぐさをしてから口を開いた。

「私ね、自分で言うのもなんだけど学校では優等生だと自負しているの。少なくとも魔法に関しては適性が3つもあって、魔力もあるから学園にいる人には負ける気がしないんだ。もちろんシン君とは何度か模擬戦をして実力は拮抗しているのは分かるんだけど魔法に関してはそれでも負けている気がしないんだ。昔からそうなんだけど、私がやることは全て、同年代では考えられないような成績を収めてしまっていて、それで両親や学校の友達も含めて全員が私のことを天才と呼ぶようになった。その結果、学院では私の実力を目当てに集まる人が私の周りを取り囲んでしまった。私の中の完璧な部分しか見えないようになった。みんな私の結果のみを見て過程を見ない。私の努力を見てくれない。お前ならできると期待され、どんどんプレッシャーをかけられて潰れてしまいそうになったそんな時に図書館で放課後ずっと魔法の本を読んでいるアキラ君を見かけたのよ。一度だけじゃなくて何度も。決定的だったのは、夜中の散歩に出た時に公園でアキラ君が魔法制御の訓練を行っていた様子を見かけたことなんだ。アキラ君は学院内でも目立たない生徒で、成績も普通。みんなが才能あるものにひかれてしまい努力をしなくなる。その中で誰にも褒められたりもしないのに、努力している姿を見て、この子なら私のことを理解してくれる。そう思って話しかけようとしたのだけどアキラ君が集中していて話しかけられない雰囲気だったからそのまま帰って、次の日から学校で自然とあなたのことを目で追うようになった。そしてある違和感に気が付いた。」

水を飲んで一息入れてアキラに目線を向けるシズク。アキラが何かに気づき目線を少し外しながら、先を促した。

「あなたは魔法に関して何を隠しているの?」

アキラはやっぱり~と思いながら髪をポリポリと描きながら

「俺は学生時代の間で無詠唱魔法を使えるように練習しているんだ。」

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