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一匹目

誤字脱字がありましたら、容赦なく、ツッコんでください!


それでは、小説の世界へ、いってらっしゃいませ!

なんの変哲のないある日の朝。不可解な事が起きた。それは誰もが居るこの世界の中で、誰もが知らない間に起こったことだった。


7月25日。どこの学生も夏休みに入り、遊んでいる時間。そんな時間に俺、水無月悠斗は自室にあるパソコンを前にして唸っていた。

「これは…そうだな。うん、こうだ」

パソコンではプログラミングをしていた。プログラミングといっても、ちょっとしたお遊び程度のゲームだった。パソコンから一度目を離し、そばに置いてある冷蔵庫の中からブラックコーヒーを取り乾いている喉を潤す。喉をゴクゴクと鳴らせるとブラックコーヒーを冷蔵庫にしまう。そしてもう一度パソコンに向き合い、途中で止めていたプログラミングを再開する。

ーあぁ、平和だ。アイツが居ないとこんなに平和なんだな。

そんな時だ。パソコンの画面にオレンジ色の何かが現れた。オレンジ色の袴のような服を着ている少女だ。

「主、私が居なかったら平和だなって思っているでしょ?」

オレンジ色の少女――ミネは約2年前から俺のパソコンに居候している。本人によれば電子ガールだそうだ。


――2年前

差出人の欄には『???』と書かれていて、本文も?ばかりのメールが届いた。とにかく開けると勝手にダウンロードされ、バグったかと思いキーボードで何とかしようとすると…。

「初めまして、主!私はミネと言います!」

オレンジの少女が現れた。俺は夢かと思うが直ぐにそれは違うという考えに至った。ならば何かのウィルスかと思ったが、それもまた違うようだった。ここまでの考えに要した時間は2秒。

「お前、誰?」

疑問をそのまま声に出した。するとミネと呼ばれる少女は首を傾げながら言う。

「いやぁ、私にもよくわからないんですよ!」

楽観的に言った。自分の事がよく分からなかったら普通は戸惑い、慌てるはずだ。なのにこの少女は分からなくても楽観的に物事を捉えている。この時は可愛い少女だな、としか思っていなかった。だから俺のパソコンに住まうことを許したのだ。だが、可愛い少女だと思っていたのは最初の三日だけだった。何かと騒がしく、俺にちょっかいをかけてくる。今ではアラームだと言い張りどこかの警報まで鳴らす。

「ミネ、今は創作中なんだ。ちょっと下がっていてくれ」

作っている途中のゲームを仕上げたいのは事実だが、それを口実にミネから逃げようともしていた。だが、ミネはそれを阻止してきた。

「主、今日は補習があるのでは?」

ミネは教えてないはずのスケジュールを当ててきた。行くわけないだろ、とばかりにため息を吐くと余計大きな声を出してきた。

「そんなことをしたら、退学どころでは済まないのでは?ここのところ約一年ほど行ってませんし」

そう。一年前に全国共通の模擬テストが行われた時から学校に通っていない。いわゆる、不登校だ。理由は、学校に行っても学べる事が1つも無いからだ。俺は小さい頃から物覚えが良い方だった。だからテストは大抵百点満点。一年前の全国共通の模擬テストが驚きの結果となった。学校から個人的に渡された紙にはこう書いてあった。

【水無月悠斗 全国一位 500/500点】

これには悠斗自身も驚いた。学校の教師は驚くどころか怯えさえした。並大抵の学力では模擬テストで満点を取れる訳がない、と。それからの悠斗の渾名はこうなった。【鬼才】と。それからイジメも始まり、その一ヶ月前に黄色のピンを付けた幼馴染みも居なくなっていた。学校に行く理由が全て無くなった。だから約一年ほど行っていなかった。だが先日、学校の教師から電話があり、学校で補習を受けろと今更言ってきた。だが悠斗は行く気が無かった。

「学校に行かないのなら、主の作ったゲームを全削除しますよ?」

脅しで悠斗を学校に行かせようとするミネ。悠斗はせっかく作ったゲームを全て消されてたまるか、と呟きながら制服を取り着替える。時刻は午前7:30。学校に行くにはまだ早い。が、朝食を作らなければならない。階段を降りキッチンに入るとガタッと物が落ちた音がした。

「お、お兄ちゃん…!?」

物を落としたのは悠斗の妹である、梨沙だった。梨沙はアイドルをしており普段はこの時間帯は居ない。

「梨沙…。仕事は?」

悠斗は梨沙がいることに気づきトーストと目玉焼きを追加した。出来上がった朝食をテーブルに持っていき梨沙に声をかける。

「今日は休みなの。それよりもお兄ちゃん、部屋から出てきたんだ。あ、ありがとう」

梨沙はテーブルにある朝食があることに気づき席につく。梨沙が制服姿だということに気づいた悠斗はマーガリンを渡しながら聞く。

「どうして制服着てるんだ?」

梨沙は自分の着ている服を見てから悠斗の着ている服を見た。そして肩をすぼめながら言う。

「今日は補習があるんだ。だけど、お兄ちゃんも制服着てるじゃん」

悠斗はさっきの出来事を思い出し、ため息を吐いてから説明する。

「この前、学校の先生から電話があってな。今日の補習に来いって言われたんだ。来ないと退学どころじゃ済まないだろうって」

悠斗は話し終わると同時に朝食も食べ終わり、キッチンに皿を洗いに行く。洗い終わると二階に上がりカバンを取って筆箱だけを入れると充電していたスマホをポケットに突っ込み、ミネが入った事を確認すると、一階に降りる。悠斗が降りた頃には梨沙は食べ終わっていてカバンを持ち、学校に行こうとしていた。

「梨沙、送ってってやるよ」

悠斗は靴を履きながら言う。梨沙は私立の学校で、バス停は悠斗の学校までの道にある。悠斗は梨沙のカバンを持ちバス停まで一緒に歩いた。悠斗はふと気になった事を梨沙に聞いた。

「そういえば、梨沙って三年だよな。どこの高校受けるのかは決めたのか?」

梨沙は悠斗に聞かれ俯く。梨沙はお世辞にも頭が良いとは言えないレベルに悪かった。だが芸術面、もしくは人に魅せる様な物に関しては人一倍凄かった。その為アイドルという道に進み、私立の中学校に通った。

「お兄ちゃんの通ってる高校って偏差値はいくつなの?」

梨沙は興味本意で聞いてみた。兄が頭が良いことは重々知っていた。だが、気になったのだ。兄が通っている高校がどれだけ凄いところなのかが。

「そうだな…俺が入る時は偏差値は…76くらいだったかな」

偏差値76。梨沙の胸にグサッと何かが刺さった。見るからに落ち込んだ様子で口を開ける。

「そっか…。私、30くらいだからとてもじゃないけど比べられないね」

苦笑いをしながら話すと丁度バス停に着いた。梨沙はバイバイと手を振ると悠斗が梨沙をじっと見ていた。

「梨沙、勉強教えてやるから偏差値50くらいまで上げろ」

そう言い残すと手を振りながら歩いていった。梨沙は優しくて頼もしい兄の後ろ姿を眺めていたー―。


悠斗はその後、三十分ほど歩いた。すると、久しぶりの高校が目の前に現れる。校門をくぐり、職員室の方の玄関から校内に入る。すると後ろから声がかかった。

「おぉ、来たか水無月。久しぶりだな」

振り返ると一年前に悠斗の担任を持っていた菅崎先生が居た。悠斗はよっと片手を上げ軽く挨拶をした。

「久しぶりどころではないですよ、菅崎先生。」

また後ろから声が聞こえた。そっちを見ると悠斗が通っている高校――鐘楼しょうろう高校の校長先生がいた。悠斗は校長先生には良く世話になっていて、仲が良かった。

「お久しぶりです、校長先生」

二人の先生と話しながら本来、悠斗が通っているべき教室についた。プレートにはⅡ-Aと書いてあった。この高校は成績でクラス分けがされており、一番上のAから順にEまである。不登校だったにも関わらず、悠斗はA組の生徒だった。校長の方に振り返ると入りなさいと言わんばかりの笑みで見てきた。悠斗は誰も居ないであろう教室の扉を開ける。すると――。

「久しぶりだね、ユート」

ここに、この世界に居ないハズの少女がいた。動揺した悠斗は校長の方にまた振り返るが、そこには誰も居なかった。そして仕方なく教室に入ると黄色のピンを付けた少女――イロハは確かにそこに居た。

「ユート、どうしたの?化け物でも見た目をして…」

悠斗は目を擦った。腹部もつねった。もちろん、痛い。夢では無いのだろうかと思ったその時――。

「忘れてしまったのか?我との契約を」

イロハの声だが、イロハの口調ではない言葉が聞こえた。目も耳も疑った。だが、目の前にいるのは確かにイロハで。聞こえた声は確かにイロハで。そして、何かを叫ぼうとしたその時――。

「うぉっ!」

目が覚めた。夢だったのだ。何だ夢か、と流そうと思ったが流すに流せなかった。

「お、起きたか」

見たことも無い部屋で初めて見る人ばかりだったからだ。俺は必死に記憶をたどった。


――約二時間前

悠斗は梨沙と分かれ、高校へと向かう一直線の道に入ったその時だった。悠斗から見て右手にある大手スーパーから変な気配があった。勘、だろうか。これからここで何かが起きそうな気がしてスーパーの中に入り、最上階へと向かう。最上階に入った途端、大柄な男に両手を縛られた。そして二十人ほどの男たちはフロアの中央に集まり、リーダーであろう男が携帯で電話するように持つ。こんな時に電話なんて余裕だな、と思った瞬間、それは違うと咄嗟に思った。こうやってフロアを閉鎖し、これほどの人数で立て籠るなど1つしかない――。

「今から三十分以内に一億持ってこい」

――立て籠り犯だ。というか一億とか幼稚園児か、とは思ったが、この状況でふざけている場合ではない。ここから脱け出すには何が最善策か、捕らわれた人たちを全員を助け出すには何が安全策か――。

「君、楽しそうな目をしてるね」

いきなり茶化した様な声が聞こえた。振り返るとパーカーを深く被った男が笑いながら言ってきた。

「それがなんだ、こっちは考えてんだ。邪魔すんな」

初対面できつく言い過ぎたかもしれないが、本当に考えているから良いだろう。そこまで考えたところで、本当に考えなければならないことを考える。このフロアを閉鎖しているのはシャッター。ということはどっかの権限を盗れたらコッチの勝ちだ。

「ねぇ、どれくらいの成功率なの?それ」

心を読まれたかとドキッとするが、動揺はしない。冷静に確率をだす。出た確率をありのまま言った。

「どっかで隙が生まれたら、勝率100%」

流石にこれには驚いたのか目を丸くしていた。ありのままを伝えたのだから嘘ではない。俺は悪くないぞ、と思うと予想外の言葉が帰ってきた。

「クックック…。いやぁ、君を見てると楽しいわ。あ、もう少ししたらあの人がもう一回放送する。その時がチャンスだね」

`あの人がもう一回放送する´この情報が本当なら、それこそ万々歳だ。そのチャンスを見逃す訳にはいかないな、と思いつつ、それは本当か?と疑う自分がいた。

「嘘は勘弁してくれよ。ま、信じるけど」

言い終わると本当に男がもう一回放送した。

「気が変わった。十分早くすることにした。だから後十分だ。もし十分以内に一億が用意できない、又は警察がここに入ってくる、なんてことがあったら直ぐに人質を半分殺す。ヘリで入ってこようなんて考えは止めとけよ。上空で俺らのヘリが爆弾乗っけて準備してっからよ…!」

それは街全体を人質にとるって事か?それじゃあ梨沙も人質ってことじゃないか…!それだけは許さねぇ…!

「……ねぇ。ふざけんじゃねぇぞ、お前ら!」

俺はいつの間にか立っていて、後ろにいた茶化した奴は俺の腕を縛っていたテープを破った。

「ね、隙が生まれたでしょ」

それを聞いてからパソコン用品のところへ行き、ミネの入っているスマホを接続する。

「ミネ、一仕事だ。サポート任せた」

俺は必死にキーボード1つで管理権限を奪った。そしてシャッターのロックを外し、開けると――

――バンッ

そんな音が聞こえたと思ったら左肩が痛かった。その衝撃の痛さで俺は気絶する。

「……ん!」

身近で優しい声が聞こえたが声の主が分からないまま倒れてしまった。


――現在

悠斗は頭に手を当て、唸る。

「そうか…。あの時の声は梨沙で、茶化した奴はお前か」

白い部屋で寝かされていた俺は頭の整理が終わった。あまり時間はかからなかったが、1つだけ疑問のままだった。

「茶化した奴って酷くない!?俺にも名前があるんだよ!」

「まぁまぁ、落ち着いて」

黒いパーカーを被った男と緑の作業服を着た男の二人が目の前にいる。そこは放っておくとして、1つの疑問を明かしたかった。

「ここはどこだ?」

この白い部屋には梨沙と茶化した奴、緑の作業服、それから白い女の子と紫の女の子がいた。

「俺はカト、団員No.2。やっぱり茶化した奴は酷いよ!」

茶化した奴――カトは意味深なことを言った。団員、と。団員など、どんな中二病だって思うが、こいつらなりに真剣なのだろう、と思い敢えてつっこまなかった。

「作業服じゃないです!えっとダイ、団員No.3です」

緑の作業服――ダイは敬語を使っている。何で敬語とは思うが初対面ならそれは当たり前だろう。そう思った。

「俺はシイナ、団員No.1で団長も務めている」

俺?女子じゃないのか?あ、俺っ娘か。今どき居るんだな、とは思いはしたが、少し不安になり、尋ねることにした。

「えっと…シイナ。お前って女子だよな?」

シイナは―深くフードを被っていてよく見えなかったが―目を丸くした。何かおかしな事を言っただろうか、もしや本当に男だったのだろうか。急に不安になる。

「よく、わかったな。口調がこうなのに」 

「いや、雰囲気で分かるよ。明らかにあの二人と違うからな」

あの二人と呼ばれたカトとダイは、何言ってんだよ!とばかりに睨んではきたが声には出してはなかった。案外、いや見かけによらず真面目なのかなと思うがそれは直ぐに打ち消された。二人はシイナにちょっかいをして腹部にパンチを喰らっていたからだ。

「えっと、メアリー…です。No.4」

「お兄ちゃん、ごめんね。メアリーちゃんは人見知りなの」

梨沙が白い女の子――メアリーをフォローした。見るからに人見知りです、というメアリーは悠斗のことをじっと見つめては梨沙の後ろに隠れた。

「私は団員No.5!」

梨沙までもが団員No.を言ってきた。これは危険な香りがする。今すぐに逃げなくては、と思い立とうとするとー―

「あーるじ!私もNo.6を貰っちゃいました!良いでしょ!」

ミネまでもが団員とやらになってしまっていた。手遅れだった。俺は半分諦めた。だが、諦める訳にはいかないとばかりに頭をフル回転する。いつの間にかシイナ以外は部屋の外に行っていた。

「ミナヅキのお兄さん、なんだよな?ちょっと聞いてくれ。我々、アカメキャット団は特殊な物を持っている人を保護して協力している組織の様なものなんだが、実はこの団員に共通する事があってな。それは…、皆は一度死にかけてるんだ。俺は小さい頃に家が火事になってしまってな。姉が俺を庇ってくれたんだが、火は予想以上に強くてな。もう駄目だと思って目を閉じて暫くしてから開くと黒い猫が目の前に現れたんだ。その猫が姉を喰うんだ。その時は泣いて叫びまくったよ。で、起きたら姉はいないし、俺は無事だしで色々と大変だったよ。因みにその猫は`離す猫´と言ってな。存在を極限まで消すことが出来るんだ」

シイナはいつの間にか目に涙を溜め込んでいた。ハンカチを取り渡そうとすると、そこにシイナは居なかった(・・・・・)。まばたきをして目を凝らすとシイナが目を赤くして座っていた。離す猫…自在に操れればそれなりに使えるが、暴走なんてことが起きるとそりゃ大変なことになるな。

「それでだな…。お前は知ってはいけない事を知ってしまった。だから我がアカメキャット団の団員となってもらう。これは強制だ」

こうして俺は赤い目を隠しながら、アカメキャット団の団員No.7を貰った。俺とシイナは部屋から出て皆が居るリビングへと向かう。すると賑やかな話し声が聞こえたから二人は離す猫を使って耳を澄ました。

「本当に、あの時の考えてたことって無謀だったの?」


――遡ること約三時間

私、梨沙は高校へ向かうバスに乗る直前にファンに見つかり、バスに乗れずに逃げ回ることになった。必死に逃げていたらいつの間にか路地裏に立っていて、目の前にはパーカーを羽織った女子がいた。出来るだけ知らぬフリをして通り過ぎようとしたら、声をかけられた。すると、後ろからファンの人たちが追い掛けてきた。あとから聞いた話だと、この時は既に赤い目をしていたそう。それに気づかずにまた必死に逃げた。また路地裏に入った時、パーカーを羽織った女子が私の手を引っ張りどこかの部屋に入った。

「いきなりごめん。俺はシイナ。ここはアカメキャット団のアジトだ。えっと君は…」

「水無月梨沙です。アイドルしてます!」

やば、アイドルだなんて言わない方が良かったかな…?

「そうそう、ミナヅキは赤い目を持っているそうだな?」

え?赤い目?何のことなの…?頭の中で、ただえさえ悪い頭なのに、ややこしい事で余計こんがらがった。混乱している時に横から可愛らしい手が出てきた。

「ミナヅキ…は、`奪う猫´の保持者…。あ、わ、私はメアリーです…。静止の猫の保持者…」

童話などで出てきそうな可愛らしい少女は私の前に冷たいお茶を出してくれた。ありがとう、と言って喉を潤すため、喉に流し込んだ。そのあと、アカメキャット団の説明を受けてお出かけをしようと、近くのスーパーに向かった時。そのスーパーに駆け込むお兄ちゃんの姿が見えた。思わず、お兄ちゃん、と呟いていて、シイナが嫌な予感がすると言い、非常階段から最上階へと向かった。やっと着いた…!と安堵した時。大柄な男の人が銃を持ってお客さんたちを脅しているのが見えた。その中になんと、お兄ちゃんの姿もあった。

「ミナヅキちゃん、シイナ、メアリー。僕が様子を見てくるから待っててよ」

そう言いカトは目を赤く染め堂々と歩いていったが、誰にも気づかれる気配がない。すると、カトはお兄ちゃんの後ろに座って話しかける。そして私は閃いた。お兄ちゃんの頭があったら。私が注目の的になるのなら。シイナに携帯を借りてカトにメールを送った。その二分後、実行に移った。まずは男が二度目の放送を終えた瞬間、シイナの目を使って後ろに回り込み、私の目を使ってメアリーちゃんの目に注目を浴びせる。そしてメアリーちゃんは目を使って全員を静止させた。作戦成功だ!そう思った矢先――

――バンッ

銃声が聞こえた。慌てて音のした方を見ると倒れているお兄ちゃんがいた。

「お兄ちゃん!」

泣きながら叫んだからどんな声かは分からない。声は震えているだろうし、聞きづらい音だったと思う。だけどお兄ちゃんを呼べるのならそれで充分だ。


――現在

「本当にあの時はびっくりしたよ…。お兄ちゃんが撃たれるなんて思ってなかったもん」

梨沙は兄が撃たれた時の事を鮮明に映像として脳裏に焼き付いている。まさか、撃たれるなんて思いもしなかったからだ。思い出して、泣きそうになった時。扉が開いた音がした。振り返ると心配した本人、悠斗がたっていた。

「皆、改めて紹介する。ほら、名前を言え」

シイナに促され自己紹介をする悠斗。

「この度は心配をかけました。梨沙の兄、悠斗です。梨沙はミナヅキって呼ばれてるそうなんで、俺の事はユートと呼んでくれ」

悠斗――ユートはイロハが自分のことをこう呼んでいたことを思い出しながら言う。赤い目の事を言うタイミングは失ったが、これからの日々が大変になりそうな出来事は起きた。これは揺るがない真実。そう考えていたユートは大変な事を思い出す。

「…補習、忘れてた」

慌てて学校に向かおうとするが、銃で撃たれた左肩がまだ痛くて走れなかった。もうこの際、退学になってもいいや、そう思った。

「ユートって何歳なんだ?」

シイナから突然、年齢を聞かれ驚いたが普通に答えた。

「そういえば教えてなかったな。俺は鐘楼高校の2年A組。17歳だ」

俺は普通に言ったら梨沙とメアリー以外は驚いて俺を取り囲む。そして三人が口を揃えて言ったのは…

「ユートって頭良いんだ!全国で一番難しい高校じゃないか」

あぁ、また言われるのか。化け物なんて誰が好んで呼ばれるんだ。俺は嫌だよ。

「ユートさん、因みにIQはいくつ何ですか?」

「幼稚園で測った時は200ぐらいだった気がする。今は知らん。調べて見てもいいんだが…」

この後、本当にIQを測った。その結果、俺のIQは228となった。



ーTo be continuedー

どうだったでしょうか?

可笑しな点、不明な点などございましたら、是非是非、質問なさってください!


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

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