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居候さんは変わり者

わたしの家には居候さんがいる


ある日お父さんが連れ帰ってきた彼は、

唯一持っていたネックレスを見せて自分は″林″というのだと名乗ってくれた


それ以来、私は彼を″林さん″と呼んで日々観察している

下の名前は知らない

だって教えてくれないんだもの



今日は林さんを皆に紹介しようと思う


林さんは熱い食べ物が苦手だ


野菜スープが好物なくせに

ぬるま湯のようになるまでは絶対に口をつけない

今だってすっかり冷めきってしまったハチミツ入りのホットミルクをチビチビと口に含んでいる


まだ春の夜は肌寒いのに冷たい方がいいだなんて

林さんは変わり者だね

セーラー服の上から薄手のカーディガンを羽織って、熱々のホットミルクを味わうわたしとは正反対


冷たい方がいいのなら始めから冷たいミルクを飲めばいいのに、

甘いものが大好きな彼はハチミツとミルクを一度温めないと気が済まないらしい


妙なこだわりがあると、飲み物一つでも手間がかかる

そんなわたしもミルクにはハチミツが譲れないという

面倒な人種なのだけれど


ほうと暖かな吐息で空間を染めてみる

あぁ、安心できる美味しさだ

熱い食べ物が苦手なんて損してるんじゃない?


林さんが座り込んでいる隣に移動する

ディスプレイされた雑誌を傷つけないように

棚に背を預けると隣からやんわりとした視線


チラリと盗み見ると、

のんびりとした動作で気の抜けた表情


また一口、

冷えきったホットミルクに舌鼓をうって

林さんはわたしを見上げた




「熱いミルクが好きだなんて、君は変わり者だね」


「えー、そうかなー?」


「そうともさ」




わたしが変わり者なら

林さんはもっと変わり者だと思うよ


そっと心の中で呟いて、

妙に満足げな林さんを見下ろしながらいつものようにわたしはミルクで言葉を飲み込むのだ





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