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流星のヴァルキリー  作者: 夢見 旅路
第5章 もう一人のヴァルキリー
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【閑話】回想

 玄関に見慣れない男物の靴を見付けた。情報部の長らしくそれを見咎めると妻に尋ねた。すると娘が男を夜分に自宅へと連れて来た、と。それだけで男親としては警戒のレベルを上げるに十分な理由だ。しかも大分年上の軍人だと言う。そうかとだけ返事をすると自分の階級章が良く見える様に襟を正して娘とその男がいると言う居間に向かう。場合によっては銃を抜く事も辞さない、そんな覚悟を決めていた。

「あぁどうも。夜分遅くにお騒がせしてすみませんハヤカワ中将」

 娘の連れて来た自分の元部下に咄嗟に叫ばなかった自分を褒めてやりたい。

 カイトはそう真面目に考えていた。


 ちゃっかりと夕飯を頂いていたケインズと共にカイトは自分の書斎へと向かう。この男の事だ。何か密談したい事があるのだろう。完全に防音と盗聴対策が施された書斎へと入るとケインズはテロ組織から押収したと言う情報をカイトに提示した。

「教主派は本当に高位銀河の知的生命体とコンタクトを取って、何かしらの兵器の技術を手に入れたと考えているのか?」

 その内容に驚かされカイトは考え込む。もし仮に高位銀河から何かしらの技術提供を受けているのだとしたらそれはこちらの想像だに及ばない技術の筈だ。

 だとすればその技術と言うのは、

「<幽霊船>…」

 カイトが追うあの光学迷彩を備えた特化型艦が脳裏をよぎる。宗教惑星系との関係を以前は否定したが、この情報を鑑みると可能性は捨てきれなくなった。

「あの<幽霊船>は惑星パルムでも現れたそうだな。しかも明らかにダーナ帝国と協力関係があった。となると惑星パルムで見受けられた敵の新兵器…あれも怪しいな」

 調査段階だというがどうやらダーナ帝国は重力子を利用した兵器を開発したらしい。

 重力子を使った兵器など構想も聞いた事がない。

 そんな兵器の可能性があると技術開発局から報告を受けカイトは半信半疑だった。

 しかしそれも高位銀河とのやりとりで現実味を帯びてきた。

「だがダーナ帝国が宗教惑星系へと進軍しているのは確実な情報だ。にも拘わらず宗教惑星系からダーナ帝国への技術提供?何らかの交渉が破れて揉めたが故の結果か?」

 ケインズにどう思うか尋ねるとケインズは何とも言えない顔をして、

「やはりこのタイミングでこんな情報が出てきたらそう判断しますよね」

「何?」

 カイトはケインズの言葉に眉を顰め、瞬き一つの間に考えると、

「…情報の誘導か」

「恐らくは」

「このタイミングを狙っての事と言うと、やはりダーナ帝国の仕業か」

「それなのですが一つ、懸念があります」

「懸念?」

 はいとケインズは言うと―


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