表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流星のヴァルキリー  作者: 夢見 旅路
第2章 命と覚悟
33/95

第14話 理由ありきの結論

 斥候から連絡が届いてドマーズは自分の考えが当たったのを確信した。

「やはり星間連合軍の艦隊が追随していたか」

「へい。ただ付かず離れず……絶妙な距離で追っているとの事で」

「何かあればすぐに駆けつけられる位置か。やっぱり輸送艦を餌に俺らをおびき出して、背後から強襲するつもりだったな」

 作戦の全体としてはこうだろうとドマーズは考えた。目の前の相手に気を取られている内に別働隊で背後からこちらを強襲する。星間連合軍の数は少数だが追ってきているのは巡洋艦。速度を重視しこちらの艦隊を沈める気なのだ。数は増えたと言っても艦一隻毎の戦力は正直言って軍隊の正規艦に及ばない。正面から同数で遣り合っても勝てないし、奇襲されれば言うまでも無い。双腕肢乗機による接近を許すことなくこちらを倒して持久戦に持ち込むつもりなのだろう。幾ら優れた双腕肢乗機とは言え、エネルギーが尽きればそこまでだ。補給する為の母艦が無ければ只の鉄くずへ直ぐに変わってしまう。しかし、

「罠だと分かっちまえば…こっちにだってやりようはあるさ。おい輸送艦の方の積み荷は間違い無いんだな?」

「えぇ。間違い無く積み荷は食料品で、そして実際に積み込まれています。囮だと思わせない為ですかね。偽物の食糧では無い事は確認済みです」

「そうか。ならば」

 ドマーズは副官の男に指示を出した。星間連合軍が造り出した罠を食い破る為に。

「艦隊を2つに分けろ。一方で輸送艦を襲い、もう一方で別働隊の艦を抑えるぞ」


 つまらない物を聞いた。アリアは携帯端末を閉じると呆れたように呟いた。

「結局、迷ったまま戦うって事?」

「違う。戦う事に迷いはしない。けど悩んだり考えたりするのはやめないって事だ」

「分別できるの?迷って引き金を引く指を鈍らせていたくせに」

「もう鈍らせない。戦ってでしか守れない事があるって知ったから…覚悟は決めたんだ。引き金を引いた結果がどんな事だろうと、敵を殺す事になったり自分が死んで…しまうのはそりゃ嫌だけど引き金を引いた結果から目を背けない覚悟を俺は決めたんだ」

 別のテーブルで耳を傾けていたフランは周囲に気付かれないくらい小さく嘆息した。

 フィオの言った悩み続ける事も引き金を引いた結果から目を背けないというのもそれはある意味、生半可な答えを出す事も出来ない茨道ではないか。

 アリアは眉を顰めた。その表情にフィオは少し驚いた。

 無表情で淡白。およそ感情の表出を見た事の無かったアリアの顔に今、初めて苛立ちの感情を見た。

「前にも言った。覚悟はいらない、悩む必要もない。すべきことは任務を達成する事のみ。余計な物は全部捨てるべき」

 アリアは言いようのない不快感に囚われていた。理由は分からない。けれど真っ直ぐこちらを見るフィオの眼に何かが気に入らない。凡そ他人なんかに興味を抱いて来なかった筈なのに、何故だがフィオの語る覚悟とか葛藤だかと言う言葉に苛立ちが募る。

 アリアの眼がフィオを正面から捉えた。

けれどフィオはその視線を恐れる事無く正面から受け止める。

 アリアから追い込まれたあの時とは違う。

 今度は自分の番だ。答えられなかったあの時のアリアの言葉に答える番なのだ。

「覚悟とか意味に理由がないとか無意味だなんて事はない。誰も皆、戦場で生きていく中で考え出した答えなんだ」

 フィオは思いだす。

 ロイの言葉、ベンの言葉、フレデリックの言葉、ロンドの言葉。

 そしてフランの言葉。

 それはどれも違った答えを導き出しながらも、けして悩まず出した答えではなかった。

己が経験、想い、主義、理想。それらが入り混じって生み出された答え。

その言葉はその人たちの人生そのものだった。

 だからそこに意味がないと断ってしまっては、それはその人たちの人生をも否定することになる。

 フィオは、その決意とも人生とも言える物を聞いてきてそこに意味が無いとは思えなかったし否定させたくなかった。

「お前が言う事も正しいのかもしれない。けどそれだってお前が感じて悩んで生み出したものなんじゃないのか?」

 その瞬間、その言葉にアリアは自分が何故、苛立っているのか少し理解した。

 それは2つの理由からだった。

「―悩みなんて無い。だって最初からそんなの与えられていないから」

 アリアが呟く。フィオはゾッと背筋を震わせた。

 先程までフィオが感じていたアリアの感情の揺らぎ。そしてまだアリアの中で燻ぶる苛立ち。それなのにどうしてかアリアの表情は先程よりもずっと平淡で何の色も感じさせなかった。

「私に与えられたのは戦闘技術。そして任務。そしてリリア。それだけ」

 アリアの中の苛立ち、その1つはフィオが自分の事を勘違いしていたからだ。

 同じ人間だと思われているのだ。種族(塩素系列)として全く同じであると、同じように悩み葛藤する人間なのだと。だから不快だったのだ。

 違う。そうではないのだ。自分は人間ではなく人形である。フィオは知らない。けれどこの艦に居る多くの人間が、いや星間連合軍で自分を知っている人間の多くがその事を知っている。自分が、自分たちが人間ではない事くらい。

 悩む?考える?そんな事、自分には必要無い。そんな不要な機能は備えていないのだ。

 アリアは淡々と告げた。

「―私は模造人間(ホムンクルス)。リリアは私の複製人間(クローン)

「……は?」

 突如として告げられた言葉をフィオは理解できなかった。

 模造人間と複製人間。どちらも知識として知ってはいる。

 人工授精と遺伝子操作を駆使し、人の手によって造られた人間。

 それが模造人間。

 遺伝子をそのまま複製し増幅、同じように人工授精を用いて造られた人間。

 それが複製人間。

 そこまではいい。だがフィオが理解できなかったのはただ一つ。

 どちらも星間連合の最高法規で禁止されている技術だからだ。それを造る事は厳しく禁止されており、そして造られたモノも―人として扱われずに<処分>される。

 <処分>されるはずなのだ。だが周りで驚いているのはフィオだけだった。

 そんなフィオの戸惑いに関わらずアリアは語る。

「私には戦場で必要な物しか与えられていない。逆に言えば私に与えられていないものは戦場では必要ない物。そして実際に私は戦場で生き残ってきた。私は私の経験で言っている。無意味だと」

 アリアはこの4年間を振り返った。来る日も来る日も銃を握り弾丸を標的に打ち込んできた日々。そこに何か意味を感じたかと問われれば何も感じなかった。

 人形である自分が何かを感じることはない。けれど何も感じてこなかった自分が今こうして生きていると言うことは、

「意味だとかなんだとか考えたり感じたりしなくても私はこうして生きている。逆にそうやって悩んだ人間は死んだ。戦場で生き残った人間は勝者で正しい」

「負けたら、死んだら全部間違いなのかよ」

「少なくとも負けたから死ぬ。戦場では勝つか負けるか、生きるか死ぬかの2択。戦場でどちらが正しいかなんて考えるまでもない」

 フィオは負けじと口を開こうとするが、

「戦場を知らない貴方が何を語ろうというの?」

 開きかけた口が閉じた。

 2つ目の理由、それは戦場を知らないフィオが戦場の事を語っている事。

「戦場を知らない貴方が戦場での事を語るのはおかしい。色んな人たちから話を聞いてきた?それで?戦場がどんなものかそれで本当に分かったつもりなの?」

 覚悟だとか意味だとか悩んでいるようでは分かる訳が無い。アリアはそう思った。

 常に緊張感に包まれ僅かな油断が自分の死も周りの友軍の死をも巻き起こす。

 合理的な行動と任務の達成のみが要求される。それが戦場の掟。アリアが駆け抜けてきた戦場のルール。

「何も知らない癖に覚悟だとか悩みだとかそんな余計な事を口にしないで。戦場を知る軍人はそんな事に惑わされる事は無い。そんな事が許されない世界だと知っているから。貴方も戦場をちゃんと経験すればそんな事を考える必要が無い事はすぐに分かる」

 アリアの言葉にフィオは押し黙った。アリアに返す言葉が見つからない。けれどアリアが言っている事の方が正しいのか。そうではない。そうではない筈なのに。

 何かを口にしようともアリアの何も知らない癖にという言葉がフィオの口を閉ざしてしまう。アリアの表情は今だ冷たい。

 話はもうお終い。そんな感じだった。無言で圧迫された空間にフレデリックは何と声をかければ良いか迷い視線を泳がせる。フィオを慰めるべきかアリアの言い過ぎを諌めるべきか。いや、別にどっちが悪いとか可哀想だとかそう言う訳ではないが、只この場にいる身としてはとても居た堪れない。

 ぶっちゃけ胃が痛い。何とかしなければとそんな風に思った矢先の事だった。

 ガチャンと食器が音を立てる。その音は意外と大きく食堂中の視線を集めるのには十分であった。床に落ちたり割れていないところを鑑みるに本気で料理が載ったトレーをテーブルに叩きつけたわけではなさそうだ。

 それでもそれを行ったのが予想外の人物で皆驚いた。

「ずるいです。アリアさん」

 長い付き合いでは無い、けれど今まで見たこともないエルムの顔。真剣でいて何処か怒っているようにも見えるその表情は誰にも口を挟めないそんな場を作り上げていた。


 突然の乱入者にアリアは眼を向けた。

「ずるい?何が?」

「アリアさんは<何も知らない癖に>って言いましたよね?確かにその通りです。だって私たちはアリアさんの事、何も知らないです」

 アリアの眼を真正面から見つめるエルム。そこには何の迷いも感じられなかった。

「<何も知らない癖に>って言いながらアリアさんは何も語ろうとしないじゃないですか。戦場で何が合って何を感じたのか。戦場の何がアリアさんに教えて何を思わせたのか。それが理由なのに、その理由を全て<戦場だから>って言葉に一纏めにして自己完結している。結論だけ大きく語ってその理由をよく説明せずにどうしてそれが相手に伝わるっていうんですか?」

 例えばだ。誰かが「戦争は悲惨だ」とか「苦痛だ」と言ったとする。確かにそれは一般論として正しいだろう。

 けれどどうやったらその悲惨さや苦痛を人に伝えられるか。<悲惨>や<苦痛>は結論に過ぎない。言葉だけ聞けばそれがどう言った意味なのかは分かるが何故、そうなったのかまでは結論だけでは分からないのだ。

結論に結び付く理由が無ければ人には伝わらない。具体性の欠ける話は真実味を帯びないのだ。

 けれど厳しい言葉だとロイは思った。

それは下手をすれば自身のトラウマを語れと言っているのも同じだ。

 何せ戦場で感じたものや経験など大半はそんな物ばかりだからだ。

「戦場でアリアさんは何を経験したの?何を知ったの?アリアさんはそういった事を語らないじゃないですか。なのにアリアさんが経験した事を大前提に何でも結論を述べるけど…アリアさんが見た物、知った物はアリアさんにしか分からないし、それを口にして言葉にしないと誰にも伝わらないですよ。アリアさん、だから教えて下さい。アリアさんの言う悩みなんて必要ないとか考える必要が無いって言う理由を。どうしてその結論に至ったのかその訳を話して下さい」

 エルムの言葉にアリアは脳裏にかつての戦場を思い浮かべた。幾度も幾度も繰り返した命の遣り取りの中で自分は何をしていたか。記憶にあるのは敵を殺す自分の姿だけ。戦場の掟やルールを知ったのは何時だったか。

 幾ら思い返しても出て来ないのは何故なのか。

 その理由にアリアは気付いてしまいそして愕然とした。

「アリアさん」

 エルムの呼ぶ声にアリアは顔を上げた。だが言葉が出てこない。気付いてしまったそれを認める事が出来なかった。今まで同じようにそれをしようとした。けれど正面から見据えるエルムの瞳が邪魔をする。アリアの頭の中は真っ白になった。気付いてしまった事と初めてのこの感情に自分自身をコントロール出来ないが為に。

 だから、

「…こと……」

 言い返せないから、

「そんな…こと……」

 言い返せないことに、

「そんな、事を…!!」

 アリアは顔に血が上っているのにも気付かず、その口を開いた。

「そんな事を、過去も覚えていない貴方なんかに言われたくない!!」

 その言葉にエルムが大きく目を見開いた。アリアは構わず溢れ出る言葉に任せるがまま舌を動かす。

「何を経験しただとか、何を思っただとか、そんな物、何も持っていない今の貴方に説教なんかされたくない!!貴方に語れる大層な経験があるのなら語ってみなさいよ!!」

 自分が何を言っているかも分からずにアリアは言葉を放ち続ける。

我に返ればそこにはエルムの顔が、

「あ…」

 悲しく歪んでいた。自分が何を言ったのか思い返して、その歪みがどういう理由なのか考えてアリアは耐え切れず逃げ出した。

「お、おいっ!!」

 後ろから誰かが呼ぶ声が聞こえたが振り向くことは出来なかった。

 初めてに近い感覚にアリアの脳は処理が追いつかずにいた。

 けれども頬をぬらす感覚が、それが涙であると言うことだけは分かっていた。


 走り去っていくアリアの背を見て空白だった頭に浮かんだのはまずエルムを傷つけた事への怒りだった。けれど直ぐにアリアの頬を流れる涙を見てその怒りは有耶無耶になってしまった。

「エルム…?」

 フィオはそっとエルムの顔色を伺う。エルムは眦を少し下げながら首を横に振った。

「私は大丈夫ですフィオさん。でも…アリアさんには悪い事をしてしまいました」

「あれはアイツが…!!」

「いいんですフィオさん」

 フィオの言葉を遮りエルムは困った顔で微笑を浮かべ首を傾ける。

「言い過ぎたんです私が。アリアさんの過去なんて知らないのに、偉そうな事言っちゃって…それでアリアさんが怒るのも当然の事です」

 そう語るエルムを見てフィオは胸を痛めた。

 自分が悪いと言いつつもエルムはアリアの言葉で傷ついていた。そうでなければ目尻の涙は嘘になる。

 女の子の慰め方なんて生まれてこの方、経験した事の無いフィオはかける言葉が思いつかない。成程、経験と言うのは重要だなと場の空気を読まずにそう思ってしまった。

「ま、嬢ちゃんの言う通りだな。今のは嬢ちゃんも悪い」

 そう言って大きな手でエルムの頭をぽんぽんと叩くロイの姿は親のようだった。

「けど嬢ちゃんは少年とアリアの為に言ってくれたんだろ?」

 一緒に並べられたアリアの為と言う意味が分からずフィオは首を傾げる。ロイは軽く肩を竦めてみせて、

「アリアは…あぁは言ったけどそれが本心だったのかって事さ」

「それって……」

 フィオがロイに尋ねようとした瞬間、艦内に警報が鳴り響いた。

『先行する偽装輸送艦より入電!!フェイズ2へ移行!繰り返す作戦はフェイズ2へ移行!!』

「どうやら嬢ちゃん―リュンネちゃんとアリアが仲なおりしている時間は無いようだな」

 ロイはそう言って表情を引き締める。マイカやフランも、食堂に居た軍人たちは皆、持ち場へと向かった。先程のフィオとアリアの諍いなど関係無く、戦いになれば彼らはそのスイッチを切り替える。それが軍人なんだとフィオは改めて思った。

「出撃の用意だ。抜かるなよアイザー。それにランスター」

 ロイはフィオの頭を軽く小突くと食堂を出て行った。

「って何で叩く必要があるんだよ」

「ガキみたいに思われているんじゃね?隊長、子供いるって言ってたし」

 むくれるフィオにフレデリックは言う。それから少し言いづらそうに口篭ってからハァと溜息をついた。最近、何となく気付いたのだがフレデリックが溜息をつくその動作は何かを落ち着いて話そうと心を鎮めようとする現れなのではないかと感じていた。

「隊長はどうしようもない酔っ払いだけど腕は確かだし部下を見捨てたりしない…調子乗るから本人の前じゃ言わないが最高の上官だと思っている」

 突然フレデリックが話し出した内容にフィオは目をまん丸にして驚く。

「同じ様にアリアも…あんなんだけど、さ。腕は一流だし、俺も何度か助けられてる。信用してくれって言っても難しいかもしれないけど……頼む、それでも信じてやってくれ。やっぱ仲間なんだわ、あいつも」

フレデリックはそう言って頭を下げた。

 フレデリックは自分が死にたくないから戦うのだと言っていた。ならば何故、死ぬかもしれない戦場に赴くのかとフィオは問うた。例え戦場で死ななくとも自分が戦わなかった事で他の誰かが、もしかしたら自分の大切な人たちが死ぬ事になったきっと自分の誇りだとか心は死んでしまうのだ。だから自分は戦うのだとフレデリックは語った。

フィオは自分の心臓がドクンとはねるのを感じた。きっとフレデリックの語る大切な人たちには仲間の事も含まれているのだろう。それが例え自分より腕が経つ人間でも、どうしようもない酔っ払いでも、どんな無口な奴だったとしてもだ。

 だから今もこんなに真剣な表情で頭を下げているのだろう。フィオはそんなフレデリックの姿を見て、そして、

「おりゃ」

「うげっ!!」

 その後頭部を思いっきり踏みつけてみた。

「何しやがる!!」

「そんな風に無防備に頭さらす方が悪いんだよ」

 怒るフレデリックにフィオはイーと口を横にしてからかう。

青筋を浮かべるフレデリック。

 戦場へ向かう前にケンカ勃発かと思われた次の瞬間、

「仲間、なのはアイツだけなのかよ」

「は?」

「仲間なのはアリアだけなのかって言うんだよ。違うだろ。少なくとも俺は…」

 フィオは視線を逸らし、拗ねたような声で言った。

「あの双腕肢乗機小隊の仲間、だと俺もその1人だと思っている」

 きっと仲間だからあんなに真っ直ぐアリアの事を見返したのだろうとフィオは思った。

 もし他の全く知らないこの世の何処にいるか分からない様な人間がアリアと同じ言葉を言ってもフィオは何も思わなかった。けれどほかならぬアリアが、仲間が言ったからこそフィオは真剣にその言葉とそして彼女に向かい合ったのだ。

「お前…」

「フィオさん……」

 視線を逸らしたままのフィオにエルムはクスリと笑ってみせ、

「顔真っ赤ですよ」

「ほっとけ」

 恥かしさを誤魔化す為に視線を逸らしたままそう応えた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ