ショートショートI「リスク」
21世紀、リスク管理が叫ばれていた。危機管理センターにより少しでも危険なものは店頭に出回らないようになった。
そのおかげで絶対安全剃刀、絶対安全な玩具が発売されている。例えばサランラップの歯は金属からより安全なセラミックへと姿を変えた。
そんな中、金物加工メーカーの製造部長は画期的な包丁を作ったのである。
「社長! これなら絶対安全です。危機管理センターのチェックも通りました」
「よし、すぐに売ろう!」
こうして彼の作った包丁は出回ることになった。
数日後、一本の電話がそのメーカーのもとにかかってきた。
「お電話ありがとうございます」
「どうなってるのよ!」
顧客は怒り心頭だった。
「全く切れないじゃないの!」
クローズアップ現代を見て思いつきました。