普通の入院病棟なのかなぁ
父が病棟にやって来た。
「よっ元気?調子はどうよ?」
父は病棟についてもっと考えて欲しい。
元気?は無いだろう。
と、後に思うがこの時の私にそんな思考力は無い。
「・・・元気。」
「そりゃあよかった。元気が一番だからな。」
「・・・うん。」
「欲しい物はあるか?なんでも買ってくるよ。」
「・・・・・。」
「まだわからないわな。」
「・・・へへへ。」
「お!笑ったなぁ。良かったな!もっと笑っていいぞ!」
「へへへ。」
「よし!手出せ。」
?
「右手出せ。」
?
「お父さんが暖めてやるから。こうすると動くからな!」
右手を出せと言われても無理。
わかっているのかな?
父は私の右手をむんずと掴んだ。
そして一生懸命に私の動かない右手をこすり続けた。
大きな手に包まれる。
「動け〜動け〜動け〜。」
私の倍はある手でこすり続ける。
父は手がデカい。
とにかくデカい。
指なんて一本が私の倍はある。
百姓の手だ。
トラックの運ちゃんの手だ。
私の父の手だ。
あったかい父の手だ。
「・・・あったかいね〜。」
「お!あったかいだろう。もっと暖めてやる。」
「・・・・・。」
「明日もくるからな。毎日くるからな。毎日暖めてやるからな。」
「・・・うん。」
安心する。
子供の時と変わらない父がそこにいた。
安心する。
「・・・お父さん。」
「ん、なんだ?」
「・・・気持ちいい。」
「そうかそうか!気持ちいいか!」
「・・・うん。」
「そうか・・・・・。」
「・・・うん。」
「・・・そうか。」
父が帰った後、家に1人残された気がした。
泣いてる自分に驚いた。
・・・あれ?
・・・どうしよう?
・・・あれ?
・・・あれ?
・・・あれ?
・・・旦那と娘に会いたなぁ。
また眠った。




