未輝ちゃんは異世界にいっちゃった?!
平和なファンタジーの物語。
ピピピッ!ピピ!(止まる)
目覚まし時計で六時に起きる。
髪型は、センター分けした前髪と顔と首の間ぐらいまで伸びている。
小学3年生で、年齢は8歳の女の子である。
彼女の名は、見有 未輝
未輝ちゃんと呼ばれていて、明るく素直な性格。
「未輝〜起きてる〜?ご飯できたから降りて
来て〜。」
未輝の母親が、大声で呼びかける。
急いで、階段を降りてリビングのドアを開ける
未輝。
「おはようございます!お母さん。」
元気よく挨拶する。
「おはよう、未輝。」
落ち着いた声で挨拶を返す未輝の母親。
「おはよう!未輝。」
笑顔でイントネーションがはっきり挨拶を返す
未輝の父親。
三人は椅子に座った。
「いただきます!」
朝食は、半熟目玉焼きにレタスを添えたのと、
豆腐とわかめの味噌汁と、白ご飯。
未輝は美味しく食べ終わった。
すると、未輝の母親が
「未輝、お昼に食べるパンを買って来て欲しい。
未輝セレクトが一番美味しいからお願い。」
お願いのポーズをして頼む。
「うん、分かった。じゃあ今から行ってくるね。」
「待って、お金持ってないのにどうやって
パンを買うのかな?」
慌てて止めつつ、お金の入ったかわいい小さな
がま口の財布を未輝に渡した。
「えへへ、忘れてた。ありがとうお母さん。
行ってきます。」
てへっとウィンクして顔を少し赤くしつつ、
行く挨拶をして、家を出た。
徒歩5分の所にパン屋はあった。
でも、様子がおかしい。
「あれ?今日お休みなのかな?でも書いてない。
なんか暗いなぁ。あっ開いてる。
はいっちゃお。」
入り口が開いていたため、怖がりもせず
普通に入る未輝。
「誰かいませんかぁ?うーん、いないなぁ。
帰ってお母さんに言おう。
お店やってなかったよーって。」
再び同じドアに手をかけて出ようとした途端、
ピカーン!と光って吸い込まれてしまいました。
〜異世界〜
「眩しい!うん?なんだろここ?
さっきまでパン屋さんにいたのになぁ。」
地面は土で、空は晴天のいい天気、周りは…
「猫さんが立って歩いてる?!
自然がいっぱい?!なんで?!」
全然違う場所にいて戸惑う未輝。
「どうしたにゃ?迷子かにゃ?」
心配そうな顔で顎に左手を当てて話す猫獣人。
「猫がしゃべったー!?」
未輝は驚きすぎて気絶した。
「にゃー!?大変にゃー!
誰か手を貸してにゃー。」
慌てて他の猫獣人に助けを呼んで、家に運んだ。
〜家の寝床〜
未輝はふかふかなベットの上で目を覚ました。
「おっ!どこだろう?ここ。
ふかふかだなぁ。ふやぁ。」
また寝そうになる未輝。
トントンとドアを叩く音が聞こえて、
目が覚めた。
「はい!」
思わず返事をする未輝。
「失礼しますにゃ、目が覚めて良かったにゃ。
ミルク飲むにゃ?」
笑顔でミルクを勧める猫獣人。
「うん、ありがとう。助けてくれた猫さん?」
茶碗に入ったミルクを受け取って、素直に
感謝を言って、真剣に質問をする未輝。
「そうにゃ、ここはキャナの家にゃ。
キャナは私のことにゃ。」
キャナは自己紹介と共に、場所の説明をした。
「美味しい!ここってどんな世界なの?
別の世界から来たんだよ。地球から。」
両手をあげて、目をより一層大きくして
なかなか壮大な説明をする未輝。
キャナは固まって、理解が追いついてないよう
である。
「異世界から来たにゃ!?だから見慣れない
格好してるのにゃ、分かったにゃあ。
説明するにゃ。」
キャナは詳しく説明してくれた。
この世界の名前がワンダーアナザーであり、
獣人が半分、人間が半分住んでいる。
キャナは猫人という種族である。
獣人と人間は喧嘩中で、境で戦争がある。
猫人は人間と仲良くしている
人間友好派であり、未輝のことを追い出したり、
襲ったりしないので安心。
「ほぉー、分かったような分からないような。
とにかくここは安全なんだね。なんか安心した。
キャナ、ここら辺案内してよ。いつ戻れるか。
分からないから…。」
安心と共に、家族に会いたいのと戻れるかの不安
が押し寄せて、泣きそうになる未輝。
「にゃ…大丈夫にゃ、きっと戻れるにゃ。
よしよしにゃ…。」
キャナは未輝を抱き寄せて、頭を優しくさする。
未輝は暖かさと優しさに感動して、大泣きして
しまった。
「うえーん。」
キャナは慌てつつ、冷静になって言う。
「あにゃ?!もっと泣いちゃったにゃ。
しょうがないにゃ。しばらくこのままにゃ。」
「ひっくひっく、ありがとう。
うん、案内お願いします!」
涙で濡れた目を手でこすりながら、
元気よく言う未輝。
キャナは未輝を町に連れて行く。
「ここは、中心の街で賑わってるにゃあ。」
商店は客で賑わい、丸い家がたくさん立っている。
装備屋、パン屋、八百屋、果物屋など、
それぞれ専門的な店で構成されている。
「わぁー!すごい。全然日本と違う。
気になるものが、たくさんあるよ。
パン屋さん行きたい。パン大好きなんだ!」
興味津々でキラキラな目で周りをキョロキョロ
している。
「良いにゃんよ。ご飯そこで食べるにゃ。」
「うん!」
からんからんとドアが開いて、パンの匂いが
する。
テーブル席に座って、キャナが選んだパンを
食べる。
「おいしい〜甘いのからしょっぱいのまで
全部おいしいよ!キャナ。」
ほっぺたに手を当てて、美味しそうにほうばる
未輝。
「良かったにゃあ。ここのパンは最高にゃ。」
キャナも美味しそうにほうばりながら言う。
パンが食べ終わった後は、アクセサリー屋
に行った。
そこにはみたこともない石が並んでいる。
「わぁ〜すごい綺麗だね。これが好き。
値段はよく分からないけど…。」
見惚れたように眺める未輝。
一つの透き通った薄紫色の石が丸い形に加工
されていて、ペンダントになっている。
「それは魔法石の一種で、魔力を高める効果が
付与されてるにゃ。1000キャペだにゃ。
欲しいなら買ってあげるにゃ。」
丁寧に説明した後、余裕のある表情で提案する
キャナ。
「いいの!やったー、ありがとう。」
満面の笑みで言う未輝。
「はいにゃ、未輝。つけるにゃ。」
キャナは未輝の首にさっき買ったネックレス
をつける。
未輝はネックレスの輝きを見つめて、
「綺麗だなぁ。大切にするね。」
自然に笑いつつ、嬉しそうに言う未輝。
その後、夕方になったため、キャナの家に
帰った。
夕ご飯は、パンと魔物肉と野菜炒めだった。
「おいしい、魔物?の肉は食べたことなかった
けど、おいしいね。」
初めての食べ物にも動じずちゃんと食べる未輝。
「もっと抵抗すると思ったけどにゃ、
けっこう普通に食べるにゃ。美味しいなら
良かったにゃ。」
食べっぷりに驚きつつ、嬉しそうにするキャナ。
「キャナ、お風呂ってあるの?」
食べ終わって、お腹が落ち着いた頃に
お風呂に入りたくなった未輝。
「おふろ?にゃ、ないにゃ。
貴族とかくらいの高い人しか持ってないにゃ。
集団風呂ならあるにゃ、行くにゃ?」
一瞬戸惑いつつ、申し訳なさそうに言った。
「そっかぁ、銭湯みたいのはあるんだね!
行く!」
未輝は少し残念な顔をしたが、
すぐに明るくなって行く気満々になった。
キャナに連れられて、未輝は集団風呂に着いた。
銭湯そのもので男性女性で分かれており、女湯に
木の籠に着替えを入れてから、
お風呂のある部屋に入った。
「わぁーおっきいねー。あったかい。」
「そうにゃ。あったかいにゃ。」
大きなお風呂が一つあり、わいわいしていた。
そのまま夜になって、キャナの家の寝床に行った。
「おやすみにゃ、未輝。」
キャナは挨拶をして部屋を出ようとすると
「キャナ、本当にありがとう!
キャナのおかげで今日一日楽しかった。
おやすみなさい。」
とびっきりの笑顔で心からのお礼を言った
未輝。
「未輝、おやすみにゃ。
キャナも楽しかったにゃ…。」
自然と笑みがこぼれ、なぜか少し涙が出たキャナ。
〜次の日の朝〜
「未輝〜起きなさーい!」
未輝の母親の声が聞こえる。
「はわぁーはーい…って戻ってる?!
元の世界戻ったぁ。」
なぜか自分のベットの上にいた未輝。
「何変なこと言ってるの?
昨日も今日も普通でしたよ。
まぁ朝ごはんできてるから、着替えたら
下降りてきて。」
疑問な顔をしつつ、明るい声で話す未輝の母親。
「うん、キャナ心の中でずっと覚えてるからね。
夢だったかもしれないけど…。」
キャナの日常は元に戻った…。
あの夢は永遠の思い出になって…。