始まり
私はガトリングが大好きだ。
幼少期、ブラウン管テレビの前で見た生まれて初めて映画。
大男がM134で警察車両を蜂の巣にしていたシーンで、ガトリングに対しての憧れを抱いた。
私も小脇に抱えて撃ちまくりたいと思った。
けれども現実は甘くはなかった。
どんなに肉を筋力をつけようが、ひとりでM134を小脇に抱えて連射すると言うのは不可能に近いのだ。
それに仮にガトリングを持てようが、人間ではその反動に耐えることは出来ないだろう。
良縁に恵まれ固定されたガトリングを撃たせてもらえる機会があったが、それでは私を満たすことは出来なかった。
そして消化不良のまま、生涯を終えることとなった訳だけだが、目の前に白い髪の少女がいる。
「お主の人生なかなかに楽しませてもらったぞ。だがシュワちゃんみたいになれなくて残念じゃったな」
所詮、シュワちゃんも絵物語のような存在。
「まあ、人間じゃ制御できなくて死ぬからの」
家族に看取られて死ぬくらいだったら、ガトリングの制御に失敗して死にたかった。
「うーわ、贅沢。それに後片付け大変そうじゃ」
やりたいことが出来なかった人生は不幸だ。
「それもそうじゃな、ではそこで取引といこう。お主の次の人生ではガトリングを撃ち放題な身体にしてやろう」
ガトリングの傾向歩兵になれるんですか?
「うむ、反動も無しじゃ」
それは対価が重そうだ。
「なあに、異世界のひとつを壊してくれればいい。キャラメイクの要望は何でも受け付けてやるぞ」
神様がキャラメイク。
「我は神と名乗ってらんが。悪魔かもしれんぞ」
自分がしたいことをさせてくれる人間は、悪魔でも神様です。
「そうかそうか、さあ要望を出来るだけ細かくいうがいい」
それではですね、反動に耐えられる体って燃費悪いじゃないですか。
「じゃな、常に消費するカロリーが大きくなるな」
なので普段は持ち運ぶ筋力パラメータだけ使うようにして、使用する時に反動用のパラメータをアップするように出来ますか?
「出来るぞ、それなら力の解放ぽくて最高じゃな。体にその機能を入れるか、拡張するかどうする?」
拡張?
「うむ、ヒーロースーツ的なのでも、グローブでも使う時に現れたり光ったりするやつじゃ」
多分色んな障害があるでしょうし、この際出来る限り全部盛っておきません?
「そうじゃな、何があるか分からないだろうし全部盛るか」