春待月
近未来、ロボットの発展に伴って、新たな病が現れた。その病に侵された者は、家族などの本人にとって大切な人に関わる重大な病状があるという。それは人によって異なるらしいが、軽い者なら顔が認識できない、視界に入ると声が出ない程度で済むとのこと。重篤な者になると、社会復帰が困難なほど何も理解することができないと言われている。詳しいことは本人しかわからないが、同じ感覚を共有できる者は他にいないのだから、何も分かっていないと言えるだろう。
勿論、特効薬や改善方法は見つかっておらず、罹ったが最後、大切な人との別れになる。
この病は巷では、文字通りの意味で『離縁病』と呼ばれている。
────彼の世界には、彼と彼女しかいない。
勿論、特効薬や改善方法は見つかっておらず、罹ったが最後、大切な人との別れになる。
この病は巷では、文字通りの意味で『離縁病』と呼ばれている。
────彼の世界には、彼と彼女しかいない。