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走る事は依存する
"タイヤの悲鳴が耳から離れず、真夜中にひとり目を覚ました事が無いドライバーがいたとしたら、そいつはきっと別の星からやってきた宇宙人だ。"
この名言を知っているだろうか?
この名言はファン・マヌエル・ファンジオというアルゼンチン出身で、F1創成期にチャンピオンを5度も手にいれた偉大なドライバーである。
このファンジオの名言は、走り屋達にとっても響く言葉である。
毎晩毎晩、荒れ果てた山道でタイヤの限界ギリギリで走り込む。
タイヤの悲鳴は嫌になるほど聞き、寝ても覚めてもその音は消えない。
それでも飽きずに毎日走り込む。 ある者は社会の不満を発散し、ある者は夢として追いかける。
それは走る"愉しさ"を知ってしまったからなのだ。
もはや止まらない、止められない。
その快感は味わってしまった者しか共有できない。
時速200km越えからのブレーキング。そして最低40km以上のコーナリング。
強烈な縦横のG、スイングする車体。
もはやクスリや煙草と同じぐらいに依存する。