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赤髪舞う その1

「うわぁ、本当に何も無い部屋だ」

 ミドリはアカネの部屋に入るなり驚きの声を上げた。

 高級マンションの最上階にアカネの部屋はあった。

 家賃だけでTEIの部長の給料より高い家賃の部屋、そのダイニングにテーブルと椅子がぽつんとおかれ、後は寝室にベッドと机と簡素なクローゼットがこの部屋の家具の全てだった。

「だろう、このカーテンだって私が取り付けたんだぜ」

 部屋の窓に薄いグリーンから白にグラデーションする優しい感じのカーテンと、レースのカーテンが二重に掛かっていたが、アオイが取り付けるまではカーテンが無かったと言う。

「こいつ、カーテンの無い部屋ですっぽんぽんでうろついていたんだぞ」

 15階の最上階で、この近辺では一番高い建物であるにしても年頃の娘としては無防備すぎる話だ。

「こいつ、いきなり私の頭を殴ったのよ」

 アカネが文句を言う。

「うるせー、殴られて当然だ」

 ミドリもウンウンとアオイに賛同した。

 それを見てアカネが頬を膨らませる。

「私がきちんとナイト・クラン・ウォーについてレクチャーするから、一緒に暮らした方がいいよ」

 と言うアカネの提案で、急遽、ミドリがアカネと同居する事になり、その引っ越しの為に来たのだ。

 最初は乗り気ではなかったミドリだったが、ミドリが家事全般を出来ると知ったアオイに「あいつの面倒を見てくれ」と泣き付かれたのだ。

 顔を合わせると直ぐに口喧嘩が始まる仲の悪い二人のように見えるが、アオイは意外とアカネのことを気に掛けていた。

 アカネに無理矢理連れてこられたミドリの面倒も、何かと見てくれたアオイの頼みでは断れない。

「とにかく、生活用品は買わないとな。

 ほれ行くぞ」

「なんで私まで行かないとならないの?

 私は今のままでも生活に困っていないのよ」

 アカネが渋るが、そのアカネの頭をアオイが抱え込んで、

「うっせーな、ミドリと暮らすと言い出したのはお前だろ?

 だったらお前があいつの保護者になんだから、面倒見るのは当然だろが」

「判った、判ったから頭を離して」

 何とかアオイの腕の中から逃れようとしたが、しっかりとホールドされて脱出は不可能とアカネも観念する。

「それじゃ行くぞ」

 アオイの号令と供に、レンタルのワンボックスカーとトラックにそれぞれ乗り込む。

「どこ行きます?」

「そうね」

 と鐵に聞かれて、アオイとミドリが比較サイトで必要な物の価格を調べる。

「海野電気にすっか」

「この特売品は、滅多にこの値段じゃ出ないんですよ」

 横から見ていた愛虹が目をキラキラして勧める。

 ミドリの為の買い物とあってかなり張り切っていた。

 他も見たが、特売品は海野電気が頭一つ抜けているようだ。

「よっし、決まり。

 行くぞ!」

 アオイの合図で車が静かに動き始め、後ろのトラックもそれに追従して動き出す。

 自動運転管制システムによって完全自動運転化されているので、行き先さえ指示してしまえば到着するまで運転の必要は無い。

 街中に設置されている街灯の上に小さなアンテナが立っていたが、そのアンテナが交通管制システムと車との通信を担っていて、交通状況や歩行者の状況を逐一、車に伝えているのだ。

 因みにそのアンテナはグラスやリングの電波の中継基地でもあるので、外との付近なら圏外になることは無い。

 車が移動中、中にいる人間は外を見たり談笑をしたりして過ごす。

 八間通りから学園通りへ出て、国一を経由してからグルメ街道を上がり、車は海野電気に到着した。

 既に購入品は車の中でピックアップ済みなので、必要な家電を購入するとミドリの手下達の手によってトラックに積み込み、次はミトリに向かい日用品を揃える。

「本当にこんなに必要なの?」

 支払いを済ませたアカネがブツブツ文句を言う。

 購入品の支払いは全てアカネ持ち、決済は生体認証でするのでその為だけにアカネは引っ張ってこられたのだ。

「これでも安く上げてるよ、大型家電は全部特価品だし、日用品だってミトリのお買い得品ばかりで揃えたからね。

 他で買ったらこんなにかかるんだから」

 とミドリが他店で買った場合の見積もりと、今回の買い物のレシートを並べて出す。

「金額の事を言ってるわけじゃないの、なんか一杯買ったから本当にこんなに必要かと思ったのよ」

 それを聞いてミドリとアオイがしばし顔を見合わせてため息をつく。

「あんたね、人が二人生活するのに最低限これくらいのは必要なんだぞ」

 言われてもアカネにはピンとこなかった。

「でも、私は今まで困らなかったし」

「今までどんな生活していたか言って見ろよ、どうせろくでもない生活していたに決まっているけどな」

「失礼ね、こう見えてもちゃんと生活出来ていたんだから」

 アカネが今までどんな生活をしていたか説明した。

 服は全てクリーニング、部屋の掃除は週に一度業者に頼み、食事は外食か配達。

 下着に至っては使い捨てで、溜まった下着は袋にまとめて捨てていた。

 そこでアオイにまた頭を張り倒される。

「いたぁぁい、何するのよこの脳筋女」

「いや、今のはアカネちゃんが悪い」

 袋にそのまま捨てられた下着がその後どうなるかこんこんと二人に説明されて、

「うそ・・・」

 と言って一気に顔が青ざめる。

「大丈夫、私が一緒に暮らす以上、もうそんな生活はさせないから」

 ミドリがどんと胸を叩く。



「あれからもう半年経つのか」

 ミドリが朝食を支度しながら、懐かしく思い出す。

「この間に色々あったな」

 最初の二ヶ月は結局、アカネにしごかれてとても家事をするどころではく、自分の身の回りを何とかするのが精一杯だった。

 アカネのしごきにも慣れ、それからやっとアカネの生活改善が始まり、今まで全裸で寝ていたアカネにパジャマを着せ、毎朝まともな食事を食べさせられるようになったのだ。

「一日の活力はなんと言っても朝の食事が大事って、母ちゃんに散々言われたからな」

 ミドリの家事全般は母親に仕込まれたものだ、自分たちにもしもの事があった場合は一人で生活出来るようにと言う親心だったが、まさか本当に行方不明になるとは両親も思っていなかっただろう。

「さて、支度が出来たからアカネちゃんを起こすか」

 アカネの部屋のドアをノックする。

「アカネちゃん起きて、朝ご飯出来たよ」

 呼んでみたが返事がない。

 迷わず扉を開け、ベッドで寝ているアカネの身体を揺する。

「アカネちゃん起きて、ご飯だよ」

 何度か揺するとようやくアカネの目が開く。

「むぅぅん、ミドリちゃん・・・おはよう・・・」

 また寝てしまいそうなので、ミドリは肩を貸して立ち上がらせた。

「ほらアカネちゃん、行くよ」

 アカネの左側から身体を支えてテーブルまで連れてくると椅子に座らせ、

「はい、あ~~ん」

 ご飯をアカネの口に運んで食べさせ、時折、焼き魚や味噌汁も口に運びアカネの食事を終わらせると、自分もちゃっちゃと朝食を済ませる。

 アカネはその間に、テーブルに突っ伏して爆睡してしまっていた。

「仕方ないな」

 起こしてベッドに連れて行こうかとも思ったが、あまりにも気持ちよさそうに寝ているので毛布を持ってきてアカネの身体に掛けると、エアコンの設定をお休みモードに切り替えておく。

「無茶ばっかするから」

 ここ数日、夜遅くまでアカネが何か調べ物をしている事は知っていた。

 聞いても曖昧にしか答えて貰えなかったので、それ以上深く聞かなかったが、アカネは目標が出来るとそれに向かって自分の体力ギリギリまで使ってしまうので、身体を壊さないか心配になる。

 今日は休みなので、このまま好きなだけ寝かせておく事にして、食事の後片付けを済ませると、メモを残してミドリはクランルームに向かう。



 誰もいないかと思っていたクランルームに、既に先客がいた。

 ゴスロリ金髪少女のヴィオレットとその従者のジョセフだ。

「ミドリ様、おはようございます」

 クランルームに入るなり、ジョセフが丁寧なお辞儀をして挨拶してくる。


 ジョセフ・シモン、4月12日生まれの70歳。

 若い頃からダルク家に仕える生粋の執事である。

 常に背筋正しく、とても70歳に見えないほど矍鑠としている。


「あらミドリ、おはよう」

 ヴィオレットがソファーで紅茶を啜りながら挨拶をしてきた。

「お嬢様、これから供に戦う事になるお方に失礼でございますよ」

 ジョセフに注意され、唇を少し噛んでからヴィオレットは紅茶をテーブルに置くと立ち上がり、

「おはようございます、ミドリ」

 スカートをつまみ優雅に腰を落として挨拶する。

「お、おはようヴィオレット」

 ミドリは「映画で見た貴族の挨拶だよ」と驚きながらも、それは顔に出さないでヴィオレットに挨拶する。

「ところでミドリ、朝早くからクランルームに来て何かしら?

 一週間、操縦禁止ですわよね」

 ナイト・クラン・ウォーの規定で試合の後、一週間はプレイヤーの体調管理期間としてバルチャーの操縦は禁止になっているのだ。

「家でゴロゴロしていると身体がなまるから、軽くトレーニングしに来たのと昨日の試合をじっくりと見たかったから」

 それに、どのみち黒猫丸も二週間は試合禁止だ。

 バルチャーが試合で破損した場合、その修理にかかる時間が破損状況によって算定されるのだ。

 待機期間の一週間以内で済む破損ならば問題ないが、それを超える破損をした場合は修理期間が済むまで試合をする事は出来ない規定となっている。

 黒猫丸は左腕の肘から先と左肩のパッドが完全に潰れたので、その修理に二週間かかると算定され、その間は試合出場禁止となった。

 ポイントを使って修理時間を短縮する事も出来るが、それはポイントが潤沢にあるランキング上位のすること。

 初試合が終わったばかりの初心者は、ポイントは全て機体強化に回される。 

 アシエ・ガルディアンも頭部のセンサーが全てダメになり、ランサーの破損もひどいので同じく二週間の出場禁止となった。

「あんたこそ、ここで何をしているのさ」

「あんたではありません、わたくしにはヴィオレット、ヴィオレット・ダルクという名前がございます。

 夕べ名乗ったはずですが、人の名前を覚えられないとは東洋の黄色い猿は、本当に猿並みの知能しか持ち合わせていませんのね、オ~ホッホッホッ」

 ヴィオレットの高笑いがクランルームに響き渡った。

「黄色い猿って、誰の事さ?」

「ここにあなた以外にどなたがいまして?」

 とヴィオレットが冷たい笑みを浮かべるが、ミドリも負けじと意地悪い笑みを浮かべ、

「へ~っ、その知能の低い黄色い猿に負けた間抜けが、私の目の前にいるけどさ」

「な、なんですって」

「こっちこそなんだよだよ」

 ミドリとヴィオレットの間に激しい火花が散る。

「まあまあ、お嬢様もミドリ様も落ち着いて下さい」

 二人の間にジョセフが割って入った。

「お嬢様、肌の色が違うからと言って黄色い猿呼ばわりとは、あまりにも失礼ですぞ。

 ダルク家の次期党首としてあるまじき発言です」

 ジョセフが厳しい声でヴィオレットを窘める。

「ふん」

 しかし、ヴィオレットはそっぽを向いた。

「お嬢様!」

 ジョセフがさらに強い口調で言うと、ヴィオレットは少し下を向いてから、

「ミドリ、黄色い猿と言ったのはわたくしの言葉が過ぎました・・・」

 と深々と頭を下げた。

「お嬢様の無礼な発言をどうかお許し下さい」

 ジョセフも一緒に深々と頭を下げる。

「いいよ、いいよ。

 もう気にしてないから」

 それだけ言うとミドリは慌ててクランルームを飛び出す。

「ああいうのは苦手だな」

 修行に関しては両親は厳しかったが、二人ともざっくばらんな性格だったので躾に関してそんなに厳しくなかった。

「お嬢様って言うのも大変だね」

 ジョセフがヴィオレットに対して厳しい口調で注意していたのを思い出し、自分には無理だと呟く。

 黄色い猿と言われたのは腹が立ったが、あんなにひどく怒られるのも大変だなと少しヴィオレットに同情する。

 考え事をしながら歩いている内に更衣室に着いたのでそれ以上考えるのを止め、ミドリは更衣室で着替えるとトレーニングルームに向かう。

 激しい運動はダメとアカネに何度も注意を受けたのでランニングマシンを最低速度にして使う。

 それでも10分もすると汗だくになってきた。

「水分補給して少し休むか」

 そこでミドリは水筒を持ってくるのを忘れた事に気が付く。

 おまけに財布もグラスも忘れてきたので自販機で飲み物も買えない。

「やっぱ昨日のダメージ残ってるかな?」

 自分のオオボケぶりに少しへこむ。

「どうしよう」

 クランルームに行けばお茶や飲み物の買い置きがあるが、ヴィオレットがいる。

「なんか顔合わせにくいな・・・」

 別に気にしなければいいと判っていても、一度気まずい感情を抱くとなかなか「ハイそうですか」とは割り切れないのが人間だ。

「そうだ」

 食堂へ行けば誰かいるかもしれない、今日は食堂は休みなので誰もいなくてもコップを借りて水を飲めばいい。

「我ながらナイスアイディア」

 早速ミドリは食堂へ向かった。

 食堂の前まで行くと中から楽しそうな鼻歌が聞こえて来た。

「誰かいるんだ」

 ミドリはホッとして食堂の扉を開け、中に入ると昨日、病室で看病してくれていたお姉さんが厨房で何か支度をしていた。 

「こんにちは」

 ミドリが声を掛けるとお姉さんが振り向く。

 お姉さんは昨日と同じ、ゆったりとしたサマーセーターにジーンズ、それにひよこのプリントの入ったエプロンをしていた。

「ミドリ、今日は食堂お休みだよ」

 お姉さんが支度の手を止めて厨房のカウンターまで来た。

「あっ、うん。

 そのトレーニングに来たんだけど水筒も、財布も忘れたからここでコップを借りて水を飲もうかなと思って」

「昨日の試合で気を失ったんだから、無理しちゃダメだよ」

 と言いつつ、お姉さんはコップに水を入れて差し出してくれた。

「ありがとう」

 ミドリはそれを受け取り一気に飲み干す。

「ぷはぁ、生き返る」

 思っていたより自分が喉が渇いていたみたいで本当に美味しかった。

 ミドリがコップの水を飲み終わるのと同時にお姉さんがハグしてきた。

「ひぇっ」

 驚いたミドリが手にしたコップを落としたが、お姉さんが受け止める。

「うん大丈夫、昨日の疲れがまだ残っているから無茶な運動をしなければ問題ないよ」

 お姉さんがニコニコ笑いながらミドリの頭を撫でる。

「判るんですか?」

「うん判るよ、ハグすれば大抵のことは判る。

 私、そお言うの得意だから」

 自慢げに胸を張る。

 謎なお姉さんだとミドリは思った。

 コップを渡された時は確かにカウンターの向こうにいたのに、いつの間にか目の前に立っているし。

 そんなミドリの考えを余所に、

「でもミドリ、クランルームに行けばお茶やコーヒーがあるんじゃ無い?」

 とお姉さんに言われ、ミドリは少し考えたが素直に事情を話す。

「クランルームにヴィオレットがいるんだけど、ちょっと揉めて顔合わせ難くて・・・」

 それを聞いたお姉さんが、ミドリの腕をむんずと掴んで歩き始める。

「ちょっと、何ですか」

 と掴んでいるお姉さんの腕を振り払おうとしたが、びくとも動かせい。

 まるで柔らかい万力に挟まれた様だ。

「友達とケンカしちゃダメ、みんな仲良くしなくちゃ」

「ヴィオレットは友達じゃ無いです、昨日会ったばかりだから」

「でも知り合ったんでしょ、だったらこれから友達になればいいの」

 お姉さんに腕を掴まれ、ずるずる引きずられながらミドリは抵抗しようとしたが、腕を振りほどくことが出来ないでクランルームまで引きずられて来てしまった。

「ヴィオレットいる」

 お姉さんはミドリを引きずったままクランルームに入った。

「お世話になっています」

 ジョセフがお姉さんに頭を下げてから、引きずれてきたミドリに気が付き、

「ミドリ様、先程は失礼いたしました」

 また丁寧に頭を下げてくる。

「ジョセフ、そういうのミドリが苦手だって」

 お姉さんが物怖じせず言う。

「お、お姉さん」

 慌てるミドリ。

「ダメだよ、自分の気持ちはしっかり伝えないと。

 言わなくても判るでしょなんて言うのは日本人の悪いところだよ」

 ド直球な言い方に流石のミドリもタジタジとなる。

「それからヴィオレット、またそんな物に頼って」

 と言ってお姉さんはミドリの腕を放しヴィオレットの側まで行くと、いきなりヴィオレットをお姫様抱っこする。

「きゃっ、何をしますの」

 悲鳴を上げて逃れようとしたが、腕の中から逃れることが出来なかった。

「いいから、いいから。

 ミドリ、私に着いてきて」

 慌てるヴィオレットを無視して、お姉さんはヴィオレットをお姫様抱っこをしたまま走り出す。

「お嬢様、お待ち下さい」

「ちょっと、お姉さん」

 ミドリとジョセフが慌てて、その後を追いかける。

 ミドリは足には自信があったが、ヴィオレットを抱えて走っているお姉さんに追いつく事が出来ない。

「あははは、はやく、はやく」

 楽しそうに笑いながら、ヴィオレットをお姫様抱っこしてお姉さんは廊下を走る、走る、走る。

「とうちゃ~~~く」

 お姉さんは昨日ミドリが寝かされていた病室の隣の病室の前で止まった。

「あれっ、ここは・・・そう言えば、昨日はジョセフさんが入っていったよね」

 ミドリは首を捻った。

「ちょっと、やめて下さい」

 自分がどこに連れてこられたか判りヴィオレットがさらに慌て始め、お姉さんの腕の中から逃れようとしたがお姉さんはびくともしない。

「やめて下さい、お願いしますからやめて下さい・・・」

 ヴィオレットの声が次第に涙声になっていく。

「ダメよ、あなた自信で解決出来ないから私が手を貸しているだけだから。

 私は生まれついてのお節介焼きだから、目の前にお節介の種が転がっていたらノータッチは出来ない性格なの。

 小さな親切余計なお世話、それでもお節介を押し売りするのが私、諦めよう」

 めちゃくちゃな理屈である。

「それじゃ開けるよヴィオレット」

 お姉さんは勢いよく病室のドアを開ける。

「きゃぁぁぁぁ!」

 同じ悲鳴がヴィオレットと病室の中から聞こえた。

「えっ、なに今の?」

 と驚いてミドリが病室の中を見ると、ベッドの上に顔全体を覆うバイザーを付けた金髪の少女がいた。

 少女の両腕は何かをコントロールする為のアームレストに通されている。

「ヴィオレット、具合はどう?

 まあ、こんなことやっているようじゃ元気だよね」

 お姉さんがベッドの上の少女に気軽に挨拶する。

「えっ、ヴィオレットって?」

 意味が飲み込めずミドリは、腕の中にいるヴィオレットとベッドの上の少女を見比べた。

 ベッドの上のヴィオレットは何かを動かそうと必死にコントローラーを操作する。

「無理無理、この子の機能停止させたから動かないよ」

 と言いながらお姉さんは腕に抱いたヴィオレットを優しく椅子に座らせる。

 椅子に座らせられたヴィオレットは、お姉さんの言葉通りぐったりして身じろぎ一つしなかった。

「あ、あなた、なんの権利があってこんなことをなさるのです・・・?」

 バイザーの下から抗議するか細い声が聞こえたが、お姉さんは気にする様子もなく、

「取りあえず、バイザーも取っちゃおうか」

 言うが早いか、あっさりとベッドの上のヴィオレットの顔からバイザーを外してしまう。

「うっ、素早い」

 動体視力には自信があるミドリが、その動きを見失うほどの早業だ。

 バイザーの下から現れた顔は、多少やつれた感じはするがヴィオレット本人の顔。

「どういう事・・・」

 とミドリは驚いたが、唐突にある考えが閃く。

「もしかしてエレペット?ここからあのヴィオレットを操っていたとか?」

 椅子の上でぐったりしているヴィオレットを指差す。

 エレクトリック・マペット、通称エレペット。

 災害救助用に開発された遠隔操作の人型ロボットだ。

 本来は災害現場様なのだが、最近では障害者の社会進出に使われる事も増え、街中で見かける事が年々増えてきている。

「わ~~っ、ミドリ正解」

 お姉さんが嬉しそうに拍手する。

「と言う事は私と戦ったのはそのエレペット・・・」

 ミドリは驚いた、何故ならナイト・クラン・ウォーは遠隔操作のエレペットを使って戦えるほど甘くない。

 たった0.1秒の判断の遅れが勝敗を分ける、エレペットではどうしてもタイムラグが生じるのだ。

 つまり常に対応の遅れというハンディを背負いながら戦うことになる。

 昨日の試合での動きはとうてい遠隔操作のエレペットを使っているとは思わせないほど見事な戦いぶりだった。

 ひとえに先読みのセンスと修練の賜物である。

「あっ、そうか。

 だからスーパーダッシュなんだ」

 スーパーダッシュなら開幕一発目を当てれば決着が付く。

 たとえ外れたとしても、ヴィオレットの先読みのセンスなら二発目は当てるのもさほど苦にならないだろう。

 昨日負けたのは、相性の悪い黒猫丸だったからだ。

「そ、そうですわ、その為にスーパーダッシュ中の旋回まで出来るようにしたのに・・・それをあなたは」

 ヴィオレットが弱々しくミドリを睨む。

 その口惜しさはミドリにもなんとなく理解出来た。

 スーパーダッシュの超高速移動中に旋回して目標に当てるなど、自分にはどう考えても不可能だ。

 その不可能をヴィオレットはやって見せた。

 エレペットなら操縦者が旋回Gで苦しむ事はないが、代わりに針の穴に糸を投げて通すほどの繊細なコントロールが必要になるだろう。

 正しく神業と呼ぶにふさわしい偉業だと心の底からヴィオレットを賞賛する。

「ヴィオレット、あんた凄いね」

 ミドリは素直にヴィオレットを讃えた。

「な、なんですの急に」

 唐突に褒められてヴィオレットは頬を赤くする。

「あなた、わたくしを見てなんとも思いませんの?」

 ヴィオレットの言葉の意味が判らず、ミドリは助けを求めてお姉さんの顔を見た。

「気にしすぎだよヴィオレット、だってこの子を使って出場するのは運営側から許可取ったんでしょ。

 だったらなんの問題も無し、堂々としていればいいの」

 お姉さんは笑いながらヴィオレットの頭を撫でる。

「頭を撫でるのは止めて下さいと、何度も申してますでしょ」

 ヴィオレットが頭を撫でる手を払いのけるが、逆にお姉さんに抱きつかれて身動きが取れなくなってしまう。

 ミドリはお姉さんの言葉から、ヴィオレットが何を言おうとしていたかようやく理解出来た。

「お姉さんの言うとおり、許可貰ったんなら別にいいんじゃない。

 うちのアカネちゃんだってバルチャーを操縦する時は、足の補助装置が付いたスーツ着ているから」

 ナイト・クラン・ウォーでは以前から、身体に障害があっても補助装置を使えば出場可能であれば出場が認められていた。

 勿論、試合で使用される補助装置は事前に厳しい検査を受け、許可を取った物だけが使用を許されている。

 少しでも怪しいところがあればたちどころに出場停止を食らうのだ。

 つまりヴィオレットがエレペットを使っての出場も、正規の手続きを踏んでいる以上なんの問題も無いと言う事なのだ。

「でも、わたくしはダルクの人間ですから・・・」

 ダルク家については昨日、アカネに説明して貰った。

「そんな事、気にしていたの?

 ナイト・クラン・ウォーってさ、エレペット使って戦えるほど甘くないよ。

 でも、ヴィオレットは昨日、私とちゃんと戦ったじゃない、それで文句言う奴がいたら私が張り倒してやるから」

 任せてと言わんばかりにミドリは握りこぶしを作る。

「あ、ありがとう、ミドリって結構熱いのね」

 ヴィオレットが安心した様に少し微笑んだ。

「あはは、よく言われる」

 ミドリも照れ隠しで笑う。

「そうだ、ヴィオレット。

 外に行こう」

「えっ」 

 お姉さんの唐突な提案に驚くヴィオレット。

「いいから、いいから。病室に籠もっていたら良くないよ」

 言うが早いか、お姉さんは病室の隅に置いてあった電動車椅子を持ってくると、ヴィオレットを抱き上げて座らせ、車椅子を押して病室から飛び出していった。

 ミドリもジョセフも止める暇がなかった。

「お嬢様、お待ち下さい」

 あまりの唐突の出来事に、反応の遅れたジョセフが後を追う。

「ちょっと待ってよ」

 ミドリもその後を追った。

「きゃぁぁぁぁぁぁ」

 ヴィオレットの悲鳴など我関せずとばかりに、電動車椅子とは思えないほどの速度でヴィオレットを乗せた車椅子は廊下を疾走する。

 幸い、曲がり角ではしっかりと減速してくれるので、ミドリ達が離されることはなかったが、

「全力で走っている人間より早い電動車椅子って何よ」

 信じられない物を見るような目でミドリとジョセフは後を追う。

 やがて車椅子は裏庭に出るドアにたどり着くと、お姉さんがドアを開けて外に出る。

 外は9月もあと数日で終わろうとしているのに、太陽が燦々と照らしていた。

 車椅子は裏庭を突っ切っるとベンチの横の木の影へ移動する。

「ここなら良さそう」

 周りの照り返しが強いが木陰なら暑さを感じず、時折吹く風は心地良く既に秋に入っている事を知らせてくれていた。

「お姉さん、早すぎ」

 息せき切って、ようやく追いついたミドリが一息つく。

「ふ、振り落とされるかと思いましたわ・・・ぜぇぜぇ」

 ヴィオレットも車椅子で青い顔をしていた。

「お嬢さん、無茶をしすぎですぞ」

 ジョセフが車椅子のスピードとは思えないほどの速度で押してきたお姉さんに注意をしたが、

「大丈夫、私と一緒だから」

 お姉さんはニコニコ笑いながら自信満々に胸を張る。

「アカネちゃん並みの自信だ」

 ミドリはあまりの自信ぶりに、お姉さんとアカネを重ねてしまった。

「しかし・・・」

 食い下がろうとするジョセフに、

「実際、大丈夫だったでしょ」

 ヴィオレットが青ざめた以外、問題が無かったのでそれ以上は何も言わなかった。

「やっぱり外は気持ちいい、お日様の光大好き」

 お姉さんは木陰から日の光の中へ出ると、気持ちよさそうに伸びをする。

「お姉さん、あまり日に当たると焼けますよ。

 まだ日差しは強いし」

 とミドリが声を掛けたが、

「大丈夫、私は焼けないから」

 と振り返ったお姉さんの瞳が、きれいな青から少し濃い色に変わった様に見えた。

「光の加減かな?」

 振り返った時に、顔に影が出来たのでそのように見えたのだろうとミドリは思った。

「変な方ですね」

 と言いながらヴィオレットはクスッと笑う。

「そうだね」

 強引に人を巻き込むのはアカネと変わらないが、アカネの場合は絶対君主として上から目線で圧力を掛けてくる。

 お姉さんの場合は、巻き込まれて終わってみると笑顔になる。

「人間の出来の差かな」

 とミドリはガラにもなく哲学的な洞察をしてみたりした。

 ふと優しい音が耳に囁きかけているのに気が付き、ミドリはその音に耳を澄ませる。

 その音はお姉さんの方から聞こえていた。

 お姉さんは日を浴びながら楽しそうに鼻歌を歌い始めていたのだ。

 その歌声はミドリ達にやっと聞こえる程度のかすかな声であったが、とても澄んできれいな音で、心に優しく染み込んで来た。

 いつの間にか、ミドリも、ヴィオレットも、ジョセフも目を閉じてその歌声に聞き入ってしまう。

 ふとミドリが目を開けると、お姉さんの回りを小鳥や猫などの小動物が取り囲んでいるのが見えた。

 その様子はまるでおとぎ話に出てくる妖精か天使の様だ。

「妖精がいるとしたらこんな感じなんだろうな」

 ミドリはその風景が至極当たり前に思えた。

「あ~~っ」

 突然、お姉さんが声を上げ、驚いた動物達が一斉に逃げ出した。

「いっけない、私、ヴィオレットのお昼作りに来たんだっけ」

 とお姉さんは舌を出す。

「ごめんねヴィオレット、直ぐに作るから。

 ミドリも食べるよね、食べるよね」

 とお姉さんに迫られて、ミドリは思わず頷く。

「じゃ、ここで待ってて。

 外で皆で食べるの美味しいだよ」

 と言って、お姉さんは走り去っていった。

「はぁ・・・」

 ヴィオレットはため息をつく。

「台風みたいな人だ・・・」

 散々人を振り回しておいて、結局、三人ここに置き去りである。

「悪い方ではないのですが」

「そうですな」

 ヴィオレットもジョセフも同じ思いのようだ。

 その後、しばし沈黙が訪れる。

 ミドリは何か話さなければと焦るが、焦ると余計に言葉が出てこない。

「・・・に、日本語上手だね・・・」

 絞り出してやっと出た言葉がそれだった。

「ええ、日本に来てみたかったので勉強しましたわ」

「日本に?何故?」

「アカネにお会いしたかったのです」

「アカネちゃんに?」

 それは奇特なとミドリは本気で思った。

「会ってもろくな事無いよ、横暴だし生活破綻者だし」

「ちょっとミドリちゃん、それは言い過ぎじゃない」

「えっ」と、ミドリが声の方を見る。

 裏庭に出る入り口の前で、アカネが両手に腰を当てて睨んでいた。

「どうしてここに居るのが判ったの?」

「クランルームに行ったら誰もいないから、館内モニターで探したのよ」

 アカネは警備主任でもあるので館内モニターの全ての操作権限を持っているのだ。

「でもアカネちゃん、その格好でここまで来たの?」

 アカネはパジャマ姿で、頭も寝起きのままのボサボサ頭だった。

「アカネちゃんもレディーなんだから、もう少し身だしなみに気をつけようよ」

 と言われ、アカネは自分の身体を見回して、

「どこか変?ちゃんと服は着ているわよ」

 と不思議そうに言うので、ミドリはアオイがアカネの頭を張り倒す気持ちが判った。

「レディーはパジャマ姿で町中をふらふらしないの、頭だってボサボサだし。

 だから生活破綻者だって言われるのよ!」

 ミドリの剣幕にアカネは気圧される。

「服は仕方ないとして頭は何とかしないと、でも、櫛なんて持ち合わせていないし」

 と呟くミドリの傍らにジョセフが近寄り、

「ミドリ様、わたくしので宜しければお使い下さい」

 懐の中から櫛を差し出す。

「ありがとう」

 それを受け取ると、アカネをヴィオレットのいる木陰まで連れて行き座らせると頭を櫛で梳く。

 アカネの髪は素直なストレートヘヤーなので、櫛で梳くだけで整ってしまう。

「アカネちゃんだって、ちゃんとすれば可愛いんだから。

 もう少し身だしなみとかに気を遣おうよ」

 言われてアカネは「う~っ」と唸るだけだった。

 しばらくミドリに頭をいじられていたが、自分の隣の車椅子の少女がヴィオレットだと気が付き、

「ヴィオレット?その足は・・・」

 アカネの問いに少し顔を曇らせて、

「わたくしはダメでした・・・、

 事故で・・・」

 それで全てが理解出来た。

 再生治療は万能では無い、アカネは後遺症が残ったが歩けるまでには回復出来た。

 だが、ヴィオレットの場合は歩けるまで回復出来なかったのだ。


 

 ヴィオレット・ダルク 6月6日生まれの16歳。

 フランス生まれで、フランスきっての富豪、ダルク家の次期党首。

 幼い頃、両親と供のに自動車事故に遭い両親は死亡、ヴィオレット自信も両足を切断する重傷を負う。

 再生治療で両足の再生は出来たが、歩けるまでには至らなかった。

 ジャンヌ・ダルクの兄弟の末裔。

 


「でも、昨日は歩いていたわよね?」

 同意を求める為にミドリの方を見る。

「あれはエレペットだよ、別の場所から操作していたんだ」

「えっえっ!エレペット操って昨日の試合に出ていたの・・・

 ヴィオレット、あなた凄いわね」

 滅多に人を褒める事の無いアカネがヴィオレットを褒めた、それだけヴィオレットの成したことは凄いことなのだ。

 直接、ヴァルチャーを遠隔操作するのでなく、エレペットで操縦するのがどれだけ大変な事か知っているからだ。

 昨日の試合でのミドリとの攻防も見事だった。

「あなたみたいな優秀な人がクランに加入してくれて嬉しいわ」

 ヴィオレットの加入に関しては、アカネも昨日まで何一つ聞かされていなかったのだ。

 昨日の試合でヴィオレットの優秀さはよく判った、その彼女が加わってくれればクランの戦力アップになるのは間違いない。

「でも、何故あなたがここに居るの?」

 当然の疑問だ。

「私が昨日、寝かされていた病室の隣の病室から操作していたんだって」

 ミドリがざっと状況を説明した。

「じゃあ、昨日はそこから操縦していたん・・・あ~~っ」

 アカネが突然大声を上げた。

「な、何、アカネちゃん。

 突然大声出さないでよ、びっくりするじゃない」

「あっ、ごめん。

 二ヶ月くらい前に、急に医療部門の通信回線の効率を上げる様に言われたんだけど・・・そうか、ヴィオレットの為だったのね」

 あの時は大変だったとブツブツと文句を言う。

 そこへお姉さんが昼食を乗せたワゴンを運んできた。

「お昼出来たよ・・・あっ、アカネだ。

 アカネもお昼食べてくよね、ちょっと作り過ぎちゃって、ちょうど良かった」

 えへへへと笑う。

 それからお姉さんは料理をトレーに乗せて、各人に配る。

「あれ、お姉さんの分は?」

 皆に配り終わったが、お姉さんだけ料理が無かったのでミドリが不審に思った。

「私、これから家に帰って家のお昼作らないとならないから。

 食べ終わったらワゴンを食堂に戻しておいてくれる。

 料理もまだ少し残っているから、オカワリも自分でしてね」

 それだけ言うと、お姉さんは元気よく走り去ってしまった。

「元気と言うか慌ただしいと言うか」

 ミドリ達に手を振りながら走り去っていくお姉さんをミドリ達は見送る。

「でも、あの方の作る料理は大変美味しいですわよ」

「そうですね、料理人としての腕は一流です」

 ヴィオレットとジョセフがお姉さんの料理の腕を褒める。

「へ~っ、そうなんだ。

 それじゃあ、いただきます」

 とミドリとアカネは食べようとしたが、ヴィオレットとジョセフが神への感謝の祈りを捧げ始めたので、二人の祈りが終わるのを待つ事になった。

 二人の祈りが終わったのを見て、

「いただきます」

 と言って食べ始める。

 お昼のメニューは、スクランブルエッグにトマトの野菜スープにフレンチトーストの簡単な食事だった。

 ミドリは最初にスクランブルエッグを口にして、口の中に広がるほのかなバターの香りと舌の先で溶ける卵と砂糖の絶妙なハーモニーに、

「美味しい、美味しいよ。

 スクランブルエッグってこんなに美味しい物だったんだ」

 と絶賛しながら夢中で食べた。

「じゃあ、こっちのスープは・・・」

 期待を込めてスプーンにすくって一口食べた瞬間、トマトと野菜と香辛料とこれしか無いという大きさに刻まれた鶏肉の挽肉がミドリの舌を天国に導く。

「美味しい、美味しいですお姉さん」

 あまりの美味しさにミドリは食べながら笑顔になっていた。

 ふと見回すと、アカネもヴィオレットもジョセフも幸せそうな顔で食事をしている。

「あのお姉さん、行動はめちゃくちゃだけど本当は凄い人なんだ。

 今度、料理を教えて貰おう」

 と心の中で誓うミドリであった。                                

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